類子は部屋で、枕元に置かれたガラスのふくろうを手に取る。
何かを考える類子だが、すこし乱暴にふくろうを元の場所に置いた。
類子は槐の部屋に行く。
槐「結婚祝い?・・・だったらお気持ちだけで充分です」
類子「あら、遠慮しないで何でも仰って。
それとも、澪さんと相談した方がいい?」
その言葉に類子の顔を見る槐。槐は答えずに椅子に座った。
類子「だけど彼女も物好きね。
若くて美しくて絵本作家の才能にも恵まれて、
何不自由なく育ったお嬢様の彼女が、
わざわざ貴方みたいな人を選ぶなんて。
本気で彼女と結婚する気?」
槐は即答する。「勿論」
類子は真顔で言う。「・・・今すぐにここを出て行って」
槐のキーボードを打つ手が止まる。
類子「わざわざ不破の懐に飛び込んで来るなんて
きと何か魂胆があるに決まってる。
彼が貴方の出入りを認めたのは、
最終的には貴方を叩き潰すのが目的よ。
だからそうなる前に、ここから出てって。
二度と私達には関わらないで。
それが澪さんと貴方への結婚祝いよ。いいわね」
そう言って部屋を出て行こうとした類子を、槐は呼び止める。
「待て」
槐は椅子から立ち上がって言った。
「不破が俺を叩き潰すって?
・・・面白いじゃないか。やるならやってみろ」
驚いて振り向く類子に槐は言う。
「俺だって、昔ここで働いてただけじゃない。
あんたのおかげで4年間ムショにいる間に、
いろいろと学ばせてもらったからな。
あの能瀬とつながりが出来たのも、ムショで一緒だった男がきっかけだ。
今の俺には、ここにいたころとは比べ物にならない位、
頼りになる手合いが大勢いる。
あんたの旦那に大人しく潰されるつもりは毛頭ないね」
類子「・・・ではどうしても、ここを出て行く気はないという事ね」
槐「戴く物を戴かないうちは」
類子はその口に笑みを浮かべて言う。
「そう。残念ね。せっかくの結婚祝いが無駄になったようだわ」
再び部屋を出ようとする類子。
槐「だったら、一つだけ、あんたに返して欲しいものがある。
4年前、澪にプレゼントしようと思って用意したものだが、
どこへ消えたか行方不明だ。
多分、あんたなら知ってると思ってね。それを返して欲しい」
類子「私が?知らないわ、プレゼントなんて。
ここにあった荷物なら、澪さんが何もかも引き取ったのよ。
私に聞くより、貴方の澪さんに聞いてみる事ね」