昼ドラHolic 〜安宅家の人々・美しい罠・麗わしき鬼(麗しき鬼)・紅の紋章・母親失格・金色の翼・愛の迷宮・安宅家の人々〜

東海TV昼ドラのあらすじや感想を書いてます。

2007年12月
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ご訪問に感謝です(^-^)
2006/07/01〜09/30
「美しい罠」189,044Hit
09/30最終回は8,911アクセスでした
2006/10/01〜12/31
「紅の紋章」170,020Hit
12/27最終回は2,096アクセスでした
2007/01/04〜03/30
「母親失格」47,685Hit
03/30最終回は1,472アクセスでした
2007/04/02〜06/29
「麗わしき鬼」130,863Hit
06/29最終回は4,355アクセスでした
2007/07/02〜09/28
「金色の翼」91,308Hit
09/28最終回は840アクセスでした
最新コメント
rei@昼ドラHolic
『花衣夢衣』を見終えて。 (2008年06月29日)
rei@昼ドラHolic
花衣夢衣/第11週+2日 (2008年06月29日)

『花衣夢衣』を見終えて。 (2008年06月29日)
ひろみ
花衣夢衣/第11週+2日 (2008年06月27日)
rei@昼ドラHolic
花衣夢衣/第6週 (2008年05月18日)
ゆなりん
花衣夢衣/第6週 (2008年05月14日)
rei@昼ドラHolic
花衣夢衣/第6週 (2008年05月14日)
ららかん
花衣夢衣/第6週 (2008年05月11日)
rei@昼ドラHolic
花衣夢衣/第5週+2日 (2008年05月08日)
«安宅家の人々 | Main | 金色の翼»
『愛の迷宮』を見終えて。 / 2007年12月30日(日)
ご無沙汰してます、rei@昼ドラHolicです(^-^;)
毎日仕事で帰宅が遅いので書き起こしは途中で断念したのですが、
視聴は毎日していました。昼休みにワンセグで(笑)
そんな事はさておき、ようやく完結した(のか?)
『愛の迷宮』の感想を記しておきます。

脚本が『冬の輪舞』『緋の十字架』の中山乃莉子さんと聞いて、
最初面白くても途中から失速するという懸念を抱きつつ見始めたのが
遥か遠い思い出のようです。
実際に蓋を開けてみると、
ドロドロのエピソードで物語を展開させていくというよりは、
エピソードは昼ドラの定番を用いつつ
登場人物達の心情を深く掘り下げて、
人間ドラマとしての深みを追求していく・・・ように見えました。

しかし。

終わってみると、人物描写もエピソードも中途半端で
ドラマとしての目新しさも魅力も全くない
悪い意味で「普通」の昼ドラになっていました。
目指している方向性はわかるものの、辿り着いたところは
全くの的外れでかすりもしない、というか・・・
最初の頃思った「可もなく不可もなく」が続くと結局「不可」になる、
という流れを見ると、思うのは、
やっぱり毎日30分・63話の昼ドラを作るのは難しいということ。
良いドラマはまず「完成していること」が最低条件なのですが
そこまで届く昼ドラが残念ながらなかなか出てこないんですよね。
そして今回の『愛の迷宮』の場合、「可もなく不可もなく」
の状態で話が続いていたのですが、この様な状態のドラマは
最終話・・・特にラストシーンで評価が決まってしまうものです。

私の感覚ですが、このドラマのラストシーンは
とても後味の悪く、すっきりとしないものでした。
よって、ドラマ全体の評価が「負」に傾いてしまいまして。
そんな感覚で感想を書きます。

一言で言うと、「親達の不始末で子供が迷惑する話」。

罪なく血に苦しんできた拓真・ゆりあ・春樹・恵理香は勿論、
罪を犯しながら25年もの間苦しみ続けてきた光男・可奈子・祐子も含め、
心からの悪人はいず、苦しみを乗り越えて愛に満たされたのに
終わってみると中途半端で不透明感が残り、
結局ドラマ自体が迷宮入りしてしまった感が拭えません。
目指すところは「血を越えた愛」や「家族の絆」だとは思うのですが
そこに到達して感動的なドラマに仕上げるための
説得力のない展開が緩ーく続いてしまってたんですよね。

例えば・・・

○光男が文香を撃ったという真実は必要だったか?

この物語の中で一番の核となっていた光男の心情ですが、
これは単に、自分の妻を殺した男の子供を育てるというお話にした方が
光男の拓真や文香への愛が切ないものに思えた気がします。
「拓真を育てたのは文香への償い」という
ありきたりの薄っぺらいものでは
せっかくの「迷宮入り」が当然で同情の余地なし、になってしまいます。
このドラマで秀逸だったのは、光男役の保阪尚希さんの
脚本を越える「迷宮入り」を考察した演技だと思っていたのですが、
最後の最後で全て台無し。光男が会社を失ったという「贖罪」が
「文香を愛して幸せにすることができなかった」ことに対してだけの方が
人間ドラマとしての奥深さを追及できたはず。

○決定的な悪役がいない

悪役がいないドラマもそれはそれでいいのですが、
それなら徹底的に人物描写を深く追求しなくては
中途半端感が増すだけになります。
徹底した「悪役」がいれば、視聴者の感情の向き所もはっきりして
物語にメリハリを持たせられるのでは。

○心情の描写・状況説明に所々抜けがある

・梶原が政男に似ている、という飛び道具のような設定。
そういう設定ならちゃんと可奈子との出会いの時に描写すれば
春樹を光男の子と偽って育てた可奈子の「迷宮」も
もっと深く掘り下げられたはずなのに・・・。
そうすると、春樹が光男の子でないという事が想像に易くなるけれど
視聴者を引きつけるのは必ずしも「衝撃の事実」ではないと思うのです。

・拓真はどこから三千万円を調達した?そしてどうやって返した?

・大好きなゆりあに苦痛を与えた亮介と付き合い続ける久美子・・・。

・「バブル崩壊・鮎川コンツェルンの危機」の曖昧表現。
あまりにアバウトでびっくり。

・梶原の可奈子への執着が意味不明

・猟銃→車椅子のつながりがよく分からない

・5年後の再会の、経年の感じなさ。
せめてゆりあに大人っぽい雰囲気を出させた方がいいし、
会ってすぐに約束の言葉が交わされるのも??
(しかし二人の身長差のあるキスは好きです(笑))

・春樹と拓真がそれぞれ光男と和解するまでが描かれていない。
ここ、一番大事だと思うのですが。特に春樹は意味不明。

・真美の不気味な笑いは後味悪すぎ。
せめて「可愛らしさの中に一点浮かぶ迷宮への入り口」のような
さりげない描写に出来なかったのか?

他にも疑問点を挙げたらきりがないと思うのですが、
こういう疑問も終わりよければ全てよし、で済むような気もします。
その為には、とりあえずもっと焦点を絞らないと。
今回のように6人を主演においてあれもこれもと盛り込んでしまうと
逆に散漫になりすぎて薄いドラマになってしまいます。

いろいろと書きましたが、
それでも毎日楽しみに見られた事は記しておきますね。
どんな形であれ、ドラマは楽しければいいや、と思うのは
『金色の翼』を見た後だからなのでしょう・・・
楽しめた、という点でちょっと甘めの60点。
しかし心に何も残らず。そんな印象のドラマでした。

※役者さん的にも、皆さんやはり可もなく不可もなく・・・
なんとなく昭和の少女漫画のようなキャラ達も特に魅力は無く。


2007.12.29 rei@昼ドラHoric


※次回昼ドラは遠藤久美子さん主演の『安宅家の人々』。
原作は『冬の輪舞』の原作(『あの道この道』)吉屋信子さん。
うーん、また昭和路線?

 
Posted at 01:42 / 愛の迷宮 / この記事のURL
コメント(3)
愛の迷宮/第63話(最終話)「永久の約束」12/28Fri. / 2007年12月28日(金)
社長室で光男は、ゆりあに真実を話す。
文香を撃ったのは自分だ、と。
航太を殺そうと銃の引き金を引いたその瞬間、
文香が航太を庇って飛び出したと・・・。

航太は「文香が死んだ原因は自分にある」と自ら警察に名乗り出た。
光男はその時、本当に文香を愛していたのは航太だと気が付いた。
そして、自分を守る為に口をつぐんだ。
全ての罪を航太に背負わせて25年間生きてきた光男。
拓真を育ててきたのは、文香へのせめてもの償い。
しかしそれは自己満足でしかなく、大切な拓真を傷つけてしまった・・・

光男「今まで誰一人、満足に愛して幸せにしてやることは出来なかった」
ゆりあの目から涙がこぼれる。
ゆりあ「・・・もう、いいわ。
あなたの苦しさも悲しみも、分かりました。
あなたはずっと文香さんを失ったことに心を痛めて苦しんできた。
だから、文香さんの代わりに拓真さんを愛したんですね」
光男「文香を失って初めて、文香を愛していることに気付いた」
社長室から去ろうとしたゆりあに光男が声を掛ける。
「・・・ゆりあ、すまない」
ゆりあは無理に笑顔を作って言う。
「いいんです。
どんなに辛い真実でも、知りたいと言ったのは私ですから」

ゆりあは部長室に行き、拓真に言う。
「あなたのお父さんは無実だったわ。
沢木さんは文香さんを愛してたから罪を背負った。
他人の罪を背負って刑務所に入ったの。
・・・本当に撃ったのは、私の父。鮎川光男だったわ」
愕然とする拓真。
ゆりあは目に涙をため、拓真を見つめて言う。
「・・・やっぱり、私が人殺しの娘だったの。
でも鮎川さんは文香さんを愛していたの。
だからあなたは苦しまないで・・・」
ゆりあの言葉を待たずに、拓真はゆりあを抱き締めた。
拓真「・・・もういい。もうやめよう。もう誰も憎みたくない。
君のお母さんも言ってたじゃないか。
誰かを憎み続けても、誰も幸せになれないって」
ゆりあの目からとめどなく涙が零れる。
拓真「・・・だから、25年前のことで俺達が苦しむのは
もう終わりにしよう」
ゆりあ「ありがとう、拓真さん。
そうよね。25年も前のことに拘ってたって、何も変わらない。
・・・拓真さん、あなたに出会えてよかった。
あなたのことはどこにいても忘れない。
あなたにもらった夢をかなえる為に、どこにいても強く生きていく」
拓真「俺も、ゆりあに出会えてよかった。
君が教えてくれたように、人を愛して、自分を信じて生きていくよ」
しっかりとゆりあを抱き締めて拓真は言う。
「また、いつか会おう」
ゆりあは小さく頷いた。

鮎川家、夫婦の寝室。
帰宅した光男に可奈子が言う。
「恵理香がパリに行ってしまったわ」
光男「・・・そうか」
可奈子「でもこれでよかったのかも知れない。
恵理香もやっと自由になれたのかも知れないわね」
光男「可奈子。お前にもいろいろ迷惑を掛けたな」
可奈子「迷惑を掛けたのは私の方です。
私のせいで春樹があんなことに・・・」
光男「お前のせいじゃないよ。
俺はお前が地位も財産もある男のところに行ってしまっても
文句を言える立場じゃなかった」
可奈子「・・・光男さん。お金持ちはあなたの他にも沢山いるわ。
でも私はあなたが良かったの」
光男は可奈子をそっと抱き締めて言う。
「ありがとう。お前はこんな俺についてきてくれて、
三人の子供達を育ててくれた。
いろいろ辛いこともあったし、大変だったと思う。
・・・お前に話しておかなければならない事がある。
私は殺人犯だ。文香を殺したのは航太じゃなく、私だ」
愕然とする可奈子に、光男は記名をした離婚届を手渡した。

仏壇のある和室。
光吉の遺影の前に座り、マキに言った。
「母さん、すまない。
父さんから受け継いだ会社を俺がだめにしてしまった」
マキは穏やかに答える。
「そんな事はいいって言ってるでしょ」
光男「俺はこの家に産まれて幸せだったよ。
今までこんな息子を育ててくれてありがとう」
笑みを湛え、マキは光吉の遺影を見た。

ゆりあはアメリカに発つことを決意した。
真実を受け止め、もう一度自分の足で立つことを・・・

翌日、鮎川コンツェルンの部長室。
春樹が拓真に株主総会で社長の解任と経営権の譲渡が決まったと告げた。
拓真「・・・満足か?」
春樹「ああ。こんなに喜ばしいことはないな。兄さんに勝ったんだ。
父さんや兄さんが守りたくて仕方なかったこの会社を奪ったんだからね」
拓真「それで、お前は何を得たんだ。何を望んで鮎川を潰したんだ」
春樹は嘲笑うように言う。
「負け犬の遠吠えか。成功した人間をひがむのはやめてくれないかな」
拓真「お前が選んだことに口出しするつもりはない。
俺は鮎川コンツェルンに未練はないんだ」
清々しい目で春樹を見る拓真。

社長室。
椅子に座った光男が猟銃を手にする。
銃口を自らの喉に向け、足の親指を引き金に掛ける光男。
かすれた声で光男は呟く。
「・・・これで、いいんだ」
光男が目を瞑ったその時、可奈子が扉を開けて部屋に入ってきた。
驚愕して可奈子が叫ぶ。「あなた・・・!」
走り出す可奈子、目を見開く光男。

・・・そして、銃声。

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Posted at 23:39 / 愛の迷宮 / この記事のURL
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愛の迷宮/第26話「突然の告白」11/6Tue. / 2007年11月06日(火)
拓真が光男に言う。「そのペンダントがどうかしたんですか」
光男「まさか、お前・・・いや、なんでもない」

社長室で光男は考える。
あんなペンダントなんてどこにでもある、と。
しかし光男は秘書を呼び、
ゆりあの母親とその居所を調べるようにと命じた。

木島が部長室に入り、拓真に設計図を手渡した。
何も見せずに降りたのではプロのプライドが許さないと言う木島。

”Calon”。
ゆりあは春樹に尋ねる。何故部長は私の作品を選んだのか、と。
春樹「君が好きだからじゃないか。そう言ってほしいの?
君って意外と残酷なんだね」
ゆりあ「ごめんなさい、でも・・・」
春樹「いいじゃないか。
兄さんは君のデザインが気に入ったから君を選んだんだ」
ゆりあ「・・・今度のコンペを勝てなかったら、
部長は経営企画部長を辞めさせられるの」
驚く春樹。「そこまでして君を選ぶって言ったんだ」
ゆりあ「木島さんの設計を選んだ方が何もかも上手くいくのに」
その時、一組の男女が店の中に入って来た。
春樹はゆりあを画廊に促す。

春樹「・・・夏木さん。僕は君の事が好きだ。
初めて会った時から君の事ばかり考えていて。
だからもう、兄さんの話はやめてくれ」
ゆりあは視線を泳がせて言う。
「・・・ごめんなさい」
春樹「そんなにすぐ断らないでくれよ。
分かってるよ、君が兄さんの事を好きなのは。
・・・どうして、僕が先に出会わなかったのかな。
運命ってやつなのかな。
だけど僕は君のことをあきらめないよ。
いくら君が兄さんの事を思っても、兄さんは君に心を開いたりしない。
人を愛する事なんて兄さんには出来ないんだから」
ゆりあ「どうして部長は誰にも心を開かないの?
あなたの言う通り、私は部長の事が気になってる。
でもそれが恋愛感情なのかは分からない。
・・・でも小さいとき私に勇気を与えてくれた人が
何故心を閉ざしてしまったのか。私、気になってしかたないの」
春樹「そんな理由知らない方がいい。君が苦しむだけだ。
兄さんは自分の過去を憎んでる。
過去を作り出した家族をひどく憎んでるんだ」
ゆりあ「・・・お父様のことも?」
春樹「そうだ。苦しみに打ちひしがれている兄さんを
アメリカに放り出したんだからね。
父さんの連れてきた建築家を使わないのもそのせいだ。
だから君が気にすることなんかないよ。
お願いだからもう、兄さんに興味を持つのはやめてくれ。
僕は君が兄さんに振り回されて傷つくのを見たくないんだ」
悲しそうに下を向くゆりあ。

夜、経営企画部。
拓真はゆりあの製図台の上に、ウサギのペンダントを見いだした。
それは少女の頃からゆりあが身につけていた、母の形見の品・・・。

鮎川家、和室。
光男はマキに祐子の事をさりげなく尋ねる。
あれからどうしてるのかな、と。
マキ「祐子さんあの時妊娠してたのよね。
無事生まれてれば春樹と同い年くらいかしら。
幸せになってくれてるといいけど・・・」
光男の顔色が変わる。

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Posted at 23:26 / 愛の迷宮 / この記事のURL
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愛の迷宮/第25話「親子の確執」11/5Mon. / 2007年11月05日(月)
部長室。
ゆりあは描き直したデザイン画を拓真に見せる。
精一杯妥協した、これ以上直すと私のデザインではなくなる。
これでだめだったら潔く会社を辞める、というゆりあに拓真は言う。
「よくがんばったね」
驚くゆりあ。
拓真「いいデザインだと思うよ。ご苦労さま」
ゆりあ「ありがとうございます!」
嬉しそうに笑顔を見せ、ゆりあは部屋を出て行こうとした。
その時、入れ替わりに光男が部長室に入って来た。
挨拶をしたゆりあの胸元のペンダントに、光男は気付く。

経営企画部に著名なデザイナー・木島敬吾がやって来る。
部屋に帰って来たゆりあに千佳が声を掛ける。
「今度のコンペは木島敬吾でいくって言われたでしょ」
ゆりあ「いえ、よく頑張ったねって」
千佳「よく頑張ったね、さようならってことでしょ」
ゆりあ「・・・そうなんですか?」
木島敬吾が来るなら辞表を書いた方がいい、と言われ戸惑うゆりあ。

社長室。
拓真の前で、木島に光男が頭を下げる。
木島が社長室を出て行くと、拓真が光男に詰め寄った。
何故相談もなく木島を連れてきたのかと。
拓真「私は自分のやり方でやりたいんです」
光男「この事業はお前の趣味でやってるんじゃない。
本当にあんな小娘の設計でコンペで勝てると思ってるのか」
拓真「既に名前の売れてる木島敬吾で勝ったところで
会社にメリットがあると思えません」
光男「お前は次期社長候補なんだ。
そのお前の初めての仕事を皆見守ってる。失敗は許されない。
私はお前につまらない汚点を残したくないんだ」
拓真「でも」
光男「お前はこの会社の社長になるんだ。
それが文香の息子であるお前の使命だと思っているんだろう。
だったら下らない遠回りはするな」
光男を睨む拓真。

夜、ゆりあの部屋。
落ち込んでいるゆりあに久美子が声を掛ける。
「ゆりあは王子様に認められたいんでしょ。
頑張ったかいあったじゃない。落ち込むことないでしょ」
拓真が少年の頃描いた絵を見て悲しそうな目をするゆりあ。

社長室。
光男は雑誌に載ったゆりあの写真を見てつぶやいた。
「拓真はどうしてこんな女に・・・」
光男は思い出す。ゆりあの胸に揺れたウサギのペンダントを。
その時、ノックの音がして春樹が中に入って来た。
光男は春樹に尋ねる。ゆりあと拓真は何か関係があるのか、と。
春樹「小さい頃別荘の近くで初めて会ったって聞いたけど。
夏木さんは別荘の近くの養護施設で育ったんだ」
光男は昔、別荘の居間で拓真と会っていた少女を思い出した。
春樹「でもそれは関係ないよ。
兄さんは昔の思い出に浸るほどセンチメンタルじゃない。
夏木さんのデザインが気に入っただけだよ」
光男「・・・そうかなぁ」
眉を寄せる光男。

鮎川家の居間。
可奈子は光吉にお茶を淹れて言う。
「私、お父様にお願いしたいことがあるのですけど。
・・・春樹のことなんです。
光男さんは拓真のことで頭がいっぱいだから」
光吉「春樹は鮎川コンツェルンを継ぐ気はないんだろう」
可奈子「そんなことはありません。
将来気が変わるかもしれませんわ。
お父様のもとで春樹を鍛えてやってほしいんです。
それで見込みがないなら諦めます。
でも、仕事をさせてもみないで跡取りを拓真に決めてしまうのは
春樹が可哀想です」
光吉「まだ後継者が拓真に決まったわけじゃない。
手熊も光男に逆らってばかりで手を焼いてるそうだしな。
春樹だって可愛い孫だ。
あいつにその気があればいくらだって鍛えてやるぞ」

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Posted at 22:32 / 愛の迷宮 / この記事のURL
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愛の迷宮/第21話「インタビュー」10/30Tue. / 2007年10月30日(火)
拓真はゆりあに言う。
「これからはうちの設計室で働いてもらう。
ただし、才能が無かったら容赦なく切るから」
歩き出す拓真を追いかけるゆりあ。
拓真「まだ何か?」
ゆりあ「・・・私のこと、覚えてませんか?
小学生の頃別荘で会った夏木ゆりあです」
拓真「悪いけど、子供の頃のことはあまり覚えてないんだ。
いい思い出が無くてね」
仕事がある、と冷たく言ってその場を去る拓真。

ゆりあは落胆し、部屋でワインを煽る。
久美子「初恋は実らないから美しいのよ」
ゆりあ「もうちょっといい男になってると思ったのに。
あんな嫌味なやつになってるなんて」
久美子「分かった、分かった」
ゆりあは酒の勢いで叫ぶ。
「拓真のばかやろぉーーーっ!!!」

翌日。
ゆりあは鮎川コンツェルンの経営企画部に足を踏み入れた。
挨拶をするゆりあだが、皆忙しそうにしていて振り返らない。
設計図を書いている社員がゆりあに言う。
「君、二級建築士も持ってないんだって?
どうしてそういう人がコンクールに通っちゃうかな」
ゆりあ「・・・でも一生懸命頑張りますのでよろしくお願いします」
そこに拓真が入って来てゆりあを部長室に呼んだ。

拓真「君には明日からマスコミの取材を受けてもらうから。
インタビューの受け答えの練習をしてくれ」
拓真がゆりあに見せたのは、別の人間が描いた設計図。
拓真「マスコミにはこれを見せるから。
アイデアは良くても、君の稚拙な図面では
グランプリとして発表できないからね」
傷つくゆりあ。
拓真はゆりあの地味なスーツを見て言う。
「他にどんな服を持ってる?」
ゆりあ「これ一着しか」
拓真はすぐにデパートへと電話を掛けた。

デパートの店員が持って来た数々のスーツが
会議室のテーブルの上に広げられる。
拓真がゆりあに合いそうなスーツを選び、試着を勧める。
似合うと拓真に言われ、嬉しそうにはにかむゆりあ。
スーツとパーティードレスを何着も注文する拓真にゆりあは言う。
「そんなに買うほどお金を持ってないんですけど・・・」
拓真「心配ない、必要経費だ。君はコンクールの顔だ。
みっともない格好されてたら会社のイメージが損なわれるんだ。
君にはこれからイベントやパーティーに出てもらう。
だから自覚を持って外見を磨いてほしい」
困惑してゆりあは言う。
「私は建築家としてこの会社に雇われたんですよね?」
拓真「悪いが、建築家として雇ったつもりはない」
ゆりあ「でも、いつかは・・・」
拓真「建築もセンスだ。君は見るからにセンスの悪い者に
家を建ててもらいたいと思うかい?
わかったら、服に合うメイクでも考えてくれ」

ラウンジで落胆しているゆりあに春樹が声を掛ける。
春樹「どうしたの、疲れた顔して」
ゆりあ「・・・私、そんなに服のセンスない?」
春樹「僕は好きだけど。君らしくて。
・・・もしかして、兄さんに何か言われたの?」
ゆりあ「外見をもっと磨けって言われたわ。
学校もやめろって言われた。
二級の受験資格は鮎川コンツェルンで経験を積めば取れるからって」
春樹「なんでも兄さんの言いなりになることはないんだからね。
困ったことがあったら僕に言ってほしい」
ゆりあは微笑んで言う。
「あなたは優しいわね。お兄さんとは大違いだ」
春樹「・・・え?」
ゆり「ううん、何でもない。新しい環境で疲れちゃっただけ。
私、頑張るわ。せっかく夢の一歩を踏み出したんだもの。
あなたのお兄さんに認めてもらうようになるまで頑張る」

ゆりあの部屋。
拓真の買ったスーツを試着して、ゆりあは久美子に言う。
「やっぱり人間って変わっちゃうのかしらね」
久美子「小学生と同じだったら気持ち悪いわよ」
ゆりあ「・・・目が冷たいのよ」
久美子「クールでかっこいいじゃない」
ゆりあ「やっぱり何かあったのかな。急にアメリカに行ったりして」

部長室。
春樹は拓真に、ゆりあにセンスがないと言ったことを責める。
ゆりあは親にお金を出してもらって学校に通ってるんじゃない。
服だって切り詰めて買ってるんだ、と。
拓真「だからなんだ」
春樹「もう少し言葉に気をつけてほしいんだ」
拓真「これは仕事だ。何の為に受賞者を若くて美人にしたんだ。
その彼女にセンスを磨けと言って何が悪い?受賞者の義務だろう」
春樹「そうやってどうしていつも仕事、仕事って。
彼女はご両親を早くに亡くして貧しくても頑張ってるんだ」
拓真は机に向かい、書類に目を通しながら言う。
「・・・お前は彼女の何を知ってるんだ?」
春樹「学校の友達に聞いただけだよ。
学費だって自分で働いて出してるって。
・・・やっぱり彼女の作品を推すんじゃなかったよ。
彼女の夢を応援したいと思ったけど、
彼女にこの会社は似合わないのかもしれない。
兄さん、彼女を会社の利益の為に利用して傷つけたら許さないからな」
拓真「・・・彼女はそんなことくらいじゃ傷つかないよ。
彼女はどんなに辛くても頑張って努力してきたんだろう。
両親がいなくても明るく生きてきたんだろう」
春樹「ああ、そうだ」
拓真「だったら心配するな。お前みたいな世間知らずの
ボンボンが支えてやらなきゃならないほど彼女は弱くないはずだ」

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Posted at 23:50 / 愛の迷宮 / この記事のURL
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愛の迷宮/第20話「審査結果」10/29Mon. / 2007年10月29日(月)
光男は「コンクールの受賞者を決めるのは拓真だ」と言う。
その言葉に春樹も快く賛成する。

ゆりあと久美子の部屋。
夜になっても来ない連絡を待ち続ける二人。
ゆりあは諦めてベッドルームに入る。
壁の絵を見て、拓真を思い出すゆりあ。

拓真はまだ決めかねていた。
春樹がゆりあの絵を見せて言う。
「この子、若くて美人だよ。働きながら頑張ってるんだ。
だから応援したいと思ってる」
拓真「・・・もう少し考えさせてくれ」

久美子がゆりあに言う。
鮎川コンツェルンに行けば王子様に会えるよ、と。
アメリカから帰ってきてるかどうか確かめるだけでもと言う
久美子にゆりあは言う。
「それはだめよ。
小さいときに、どんな時でも頑張るって誓ったの」
久美子「頑張ってるじゃない」
ゆりあ「・・・少しでも自分に自信が持てるようになってから
会いたいの」
久美子「あんな大会社に乗り込んでいけない?」
ゆりあ「うん」
久美子「そんな事言ってたらオバサンになっちゃうよ。
会いたいんでしょ?」
壁の絵を見つめるゆりあ。

拓真はゆりあの絵をテーブルに置いた。
窓の外を見て思いを馳せる拓真。

翌朝、鮎川家の居間。
朝帰りした恵理香を可奈子が叱る。
美大の講師の仕事は大変なんだと言う恵理香に、
仕事を辞めればいいと言う可奈子。
恵理香「働かずにこの家にいたって仕方ないでしょ」
可奈子「結婚すればいいじゃない」
恵理香「またその話?見合いなんてしないって言ってるでしょ。
自分のことは自分で決めるわ」
可奈子は心配そうに言う。
「まさか、まだ拓真と結婚したいんじゃ」
恵理香「だとしたらどうだって言うのよ。
私は拓真を愛してるわ。
鮎川家で拓真の事を分かってやれるのは私だけですもの」
可奈子「・・・汚らわしい」
恵理香「安心してよ、結婚しようなんて考えてないわ。
あの男は女なんか愛せないわ。私が誰も愛せないように」

ゆりあは鮎川コンツェルンのビルの前に来た。
意を決して中に入り、受付に声を掛けるゆりあ。
「鮎川拓真さんはいらっしゃいますでしょうか」
受付「経営企画部部長の鮎川でしょうか。お約束ですか?
お名前を頂戴できますか」
ゆりあ「・・・夏木ゆりあです」
受付「少々お待ちくださいませ」
受付が拓真に連絡を取り、受話器を置く。
ゆりあ「あの、鮎川さんはアメリカから・・・」
受付「はい、昨年末に帰ってらっしゃいました」
ゆりあ「・・・それなら結構です」
ゆりあは受付の制止も聞かずにその場を離れた。
入れ替わりに拓真が階段を降りてくる。
拓真はドアから出て行くゆりあの後姿を見た。
それは、ギャラリーで出会ったウサギのペンダントを掛けた女性。
拓真は部長室に戻りながらその名前を反芻する。
「・・・夏木・・・ゆりあ・・・」

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愛の迷宮/第19話「コンクール」10/26Fri. / 2007年10月26日(金)
ゆりあはペンダントを見せて拓真に言う。
「母の形見なんです」
ゆりあの持っていたものと気付き、驚く拓真。
ゆりあ「これが何か?」
拓真「・・・いや」

夜。
ゆりあは部屋で、建築設計コンクールのチラシを見つめていた。
そのチラシを見た久美子にゆりあは言う。
「がんばれば、夢に手が届くのかな」
久美子「珍しく弱気じゃない」
ゆりあは壁の、拓真の絵を見て言う。
「このコンクールね、鮎川コンツェルンの主催なの。
この絵をくれた人、鮎川家の人なの。
小さいときに育った養護施設の近くに鮎川家の別荘があって、
そこでその人に出会ったの」
久美子は驚いて言う。
「すごいじゃない!
ゆりあの王子様は鮎川コンツェルンの御曹司ってこと?」
ゆりあ「・・・会えるかな。
このコンテストでグランプリを取ったら、あの人に」
久美子「会えるよ。絶対会えるよ!」

教室で設計図を描いているゆりあに、春樹が声を掛ける。
「それコンクールのために?やっぱり応募するんだ。
がんばってるね」
ゆりあ「なかなか上手く描けなくて」
春樹「上手く描こうとするからじゃないかな」
ゆりあ「え?」
春樹「君らしいものを思いのままに描けばいいんだよ」
その言葉を聞いて、拓真の言葉を思い出すゆりあ。
ゆりあ「前にも同じ事を言われたの。
わたし、その時から絵を描くことが好きになったの。
絵を描くことで、辛いことをみんな忘れることが出来た」
春樹「・・・そうだったんだ。
君ならきっといいものを描ける。そんな気がする」
その時、ゆりあを突然眩暈が襲った。
驚いて助け起こす春樹。
ゆりあ「大丈夫、ちょっと寝不足なだけだから」
バイトに行く、と急いで教室を出て行くゆりあ。
春樹はゆりあが置き忘れた小さなスケッチブックを手にした。
そこにはゆりあの名前が書いてある。

夜。
ゆりあの描く絵を見て、久美子が嬉しそうに目を細める。
「ゆりあらしい絵だわ。優勝できるといいね」

鮎川家、春樹の部屋。
春樹はスケッチブックを開き、
ゆりあの描いた絵の数々を見てつぶやく。
「あの人らしい絵だな」
そこに、扉をノックして拓真が入ってきた。
拓真「お前、明日は朝から会社に来られるか?
コンクールの作品が大分集まったから整理してほしいんだ」
春樹「分かったよ」
拓真は春樹の手にしているスケッチブックに気付く。
「何だそれは」
春樹「何でもないよ。学校の友達の忘れ物」
拓真「お前、学校続けるのか」
春樹「親が敷いたレールの上を進むのだけが人生じゃないからね。
今の学校には自分の脚で立ってる人がいっぱいいるんだよ。
働きながら夢に向かって頑張ってる人がいる。
僕なんて本当に恵まれると思うよ、そういう人達に比べて。
僕も生きてみたいんだ、自分の力で」
拓真「そうか。僕は反対しない。
お前のやりたいようにやればいいと思う。お前の人生だからな」
笑みを見せる春樹。

帰宅し、書斎に入る光男に可奈子が声を掛ける。
「春樹のことなんですけど」
光男「見合いの話はやめろ。まだ学生なんだ」
可奈子「お見合いの話ではありませんわ。
あなたはどうして春樹に学校を辞めるよう
言ってくださらないんですか?
あなたがちゃんと叱って下さっていたら、
鮎川コンツェルンで拓真に負けないくらいしっかり働いていたんです」
光男「春樹の意見を尊重しただけだ」
可奈子「あの子は優しいから、拓真と争いたくなくて
自分から出世する道を閉ざしただけです」
光男「それならそれでいいじゃないか。
拓真は長男だ。鮎川コンツェルンを継ぐのは当たり前だろう」
可奈子「・・・あなたは文香さんの産んだ子の方が可愛いのね」
光男は怒って言う。
「そういう言い方はやめろ!拓真が不憫だとは思わないか。
あいつには何の罪もないのに、
家族と離れて一人でアメリカで暮らしてきたんだ。
どれほど寂しかったことか。
それを考えたら、少しくらい拓真に
会社でいいポストを与えてやったって構わないだろう」
可奈子「みんな私が悪いんですか。
確かに、私はどちらが可愛いかって聞かれたら
春樹が可愛いと言います。血を分けた我が子ですから。
でも私だって、拓真が憎くてアメリカにやったんじゃありませんわ。
あの子がこの家にいたらもっと傷つくことになると思って」
光男「分かってる。何もお前を責めてるわけじゃないだろう。
拓真はアメリカで絵描きになると、
それで過去を忘れて傷つかずに生きていけるなら
それでもいいと思ってたんだ。
でもその拓真が鮎川コンツェルンを継ぎたいと言ってるんだ。
何を反対する理由があるんだ?」
口をつぐむ可奈子。

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愛の迷宮/第18話「夢の王子様」10/25Thu. / 2007年10月25日(木)
1991年、秋。
ゆりあが『ひだまりの園』を離れて14年の歳月が流れた。
ゆりあは働きながら学校の課題をこなしていた。
家の設計図を真剣に描くゆりあに、
アパートで同居している友人・久美子が感心して声を掛ける。
「あんたのそのパワーはどこから来るのかしらね」
壁には、額に入れられた拓真の描いた憧れの家の絵。
ゆりあはそれを見つめ、拓真との約束を思い出した。

ゆりあは前を見て必死に生きていた。
いつかまた、拓真に会える日を夢見て。

日本建築設計専門学校。
登校したゆりあは、
掲示板に建築設計コンクールのポスターを見つけた。
そのポスターを貼った青年がゆりあに言う。
新人のみずみずしいアイデアを求めているから女性は有利だよ、と。
青年は二ヶ月前にこの学校に入ったばかりだとも言う。
ゆりあ「・・・賞金100万円か。でもまだ無理かな。
学校の課題だけで精一杯なの」
青年「君、働いてるの?」
ゆりあ「近くの会社で事務を。学校が終わったらギャラリーでバイト」
青年は驚いて言う。「大変だね」
ゆりあ「いいえ。それで好きな勉強が出来るんですもの。幸せよ」
そこに、ゆりあの友人が来てゆりあに声を掛けた。
同時に、青年の友人が青年を呼ぶ。「春樹」
春樹は明るい笑顔のゆりあを見て微笑んだ。

ゆりあの働くカフェギャラリー”Calon”。
コンクールのチラシを見て、ママが応募してみれば、と言う。
ゆりあは飾ってある一つの絵の前に立つ青年に気付く。

そのスーツを着た青年は、どこか悲しげな背中で
湖畔に浮かぶヨットの絵の前に30分も見入っていたのだった。
ゆりあは青年に声を掛ける。
「あの絵、素敵ですよね。私も大好きなの。
あの深い青をみていると、苛立っている気も静かになる気がして」
青年「他にも、あの画家の絵はありますか」
ゆりあ「ええ、何点か。ご覧になられますか?」
青年「では、全ていただけますか」
驚くゆりあとママ。
ママが絵を取りにその場を離れると、
カウンターに座った青年にゆりあは尋ねた。
「見ずに買われるんですか?」
青年「見た所で判断は変わりませんからね。
あの画家は先週、突然亡くなったんですよ。
一週間もすれば倍の値がつくでしょう。一年立てば、10倍は下らない」
その言葉を聞いてゆりあは眉を顰める。
「・・・投資目的ですか?」
青年「ええ。私にとって絵は、それ以外の価値はありませんからね」

その冷たい目をした青年が、
成長した拓真であることをゆりあはまだ知らない。

ゆりあは部屋に戻ると、久美子に愚痴をこぼした。
「本当にいやなやつ!いい絵を見ても札束にしか思えないんだわ」
久美子「10倍になるなら私も買いたいけど、そんな余裕ないし。
あーあ、お金がほしい」
ゆりあ「そりゃ私も欲しいけど」
ゆりあは壁の、拓真の絵を見て言う。
「お金なんか無くても、みんなが暮らせる温かい家が私は作りたい。
それが小さい頃からの夢だから」
久美子「あんたは偉い!養護施設で育って人一倍苦労してるのに」

ゆりあと久美子が出会ったのは、高校に入った時。
ゆりあは制服を買うお金もなく、
新聞配達をしながら必死でお金を貯めていた。
馬鹿にされ、いじめられても泣き言を言わず、
いつも明るくて元気だったゆりあ。

久美子「私もゆりあみたいになりたいって思った。
今も同じよ。
バイトが忙しくて寝る時間がなくても、夢をあきらめないもの」
ゆりあ「私も、久美子と同じよ。
小さいときに出会った人にパワーをもらったの。
泣かないで強く生きるって、その人と約束したの。
その時に私も、大きくなったら夢の家を建てるって決めたの。
それまではどんなことをしても頑張ろうって」
久美子は絵を見て言う。
「それが、この絵をくれた人?」
ゆりあ「そう」
久美子「それがゆりあの王子様か」
ゆりあ「でもその人、私にその絵をくれて
すぐにアメリカに行っちゃったから。
それから一度も会ってないけど」

鮎川コンツェルン、経営企画部。
出社した拓真に社員が挨拶をする。
拓真は部長として部員に指示を出す。

拓真は部長室に入り、春樹にコンクールの入選者は
マスコミに取り上げられやすいように若くて美人にしろと言う。
拓真「それより春樹、お前学校なんて辞めて
うちの会社に就職したらどうだ。
鮎川家の人間がバイトの身分じゃまずいだろう」
春樹「僕はデザインに興味があるんだ。
だから学校はちゃんと卒業するよ。
会社は兄さんがしっかりやってるんだからいいじゃないか。
この会社は兄さんが継ぐんだから自由にさせてよ」
拓真「・・・自由か。いいな、お前は気楽で」
春樹「今日は家に早く帰れるよね?
母さんの誕生日のお祝いをするって言っただろう」
拓真「今日は仕事で帰れそうもない」
春樹「そんな事言わないでよ」
拓真「お前に恨みはない。
だが、お前の母親の誕生日を祝う気にはなれないんだ」
春樹は怒って言う。
「僕達家族だろう?僕は兄さんがアメリカに行っても、
兄さんの事を忘れたことは無かった。
母さんだってそうだよ。
兄さんが生まれたときから、兄さんの面倒を見てきたんだ」
拓真「俺の母親は亡くなった母さんだけだ。
お前の母親はお前が大切にしろ」

鮎川家の居間。
大きなバースデーケーキの前に可奈子が座る。
しかし帰って来ない家族達に、春樹が怒っている。
可奈子「私は春樹がいてくれれば満足よ」
そこにマキが来て言う。
「あら、美味しそうなケーキね。
でも来年からはもっと小さなものにしたら?
どうせあなた達二人だけなんだから」
可奈子の顔色が変わる。
春樹「そういう事言わないでよ!」
マキ「だって本当のことでしょう。
拓真も恵理香も可奈子さんとは上手くいってないし。
家の中はゴタゴタしっぱなしだし」
春樹「母さんの責任じゃないでしょう!」
マキ「いいえ、可奈子さんの責任よ。
一家を預かる主婦がしっかりしてないから」
春樹「そんな!」
可奈子「いいのよ、春樹」
マキ「可奈子さんは本当に心の冷たい人よね。
私があんなに反対したのに拓真をアメリカに追い出してそれっきり」
春樹「もうその話はいいでしょう。
兄さんだってちゃんと日本に帰って来たんだから」
マキ「拓真はアメリカに行ってすっかり人間が変わってしまったわ。
私、あの子が去年戻ってきたときびっくりしたわ。
顔つきがすっかり変わっていて、笑わなくなってしまっていて。
子供の頃は素直で優しい子だったのに・・・。
それもみんな、可奈子さん、あなたのせいですよ。
何が誕生日よ。誰も祝ってくれなくて当然なんですよ!」
口をつぐむ可奈子。
居間を出て行くマキを春樹が追いかけて言う。
「母さんだって、兄さんのためを思って留学を勧めたんだよ!
大学院まで卒業して立派になって帰ってきたんだから
それでいいじゃないか!」

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Posted at 22:26 / 愛の迷宮 / この記事のURL
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愛の迷宮/第17話「色鉛筆の家」10/24Wed. / 2007年10月24日(水)
新聞記事を見せてもなお、
母さんは病気で死んだ、と拓真に言い張る光男。
拓真はいたたまれず家を飛び出す。

拓真は『ひだまりの園』を訪れる。
園長に、ゆりあは今日は新しいお母さんの家に行くと言われる拓真。

文香の墓の前で、拓真は涙をこぼす。
そこに、ゆりあが来て声を掛けた。

拓真「・・・新しいお母さんの所に行ったんじゃなかったの?」
ゆりあ「うん。泣いてるの?泣かないって約束したじゃない。
・・・私が傍にいるじゃない。だから泣かないで」

光男は恵理香の部屋に行き、
拓真に新聞記事を見せた恵理香を叱る。
光男、そして光男を止めようとする可奈子に、
恵理香はみんなあんた達が悪いと叫ぶ。
みんなで仲良くしようなんて、笑わせないでよ。
自分達子供が迷惑だ、と。

拓真はゆりあを連れて別荘に来た。
憧れの家に入り、居間の内装を見て感嘆するゆりあ。
ゆりあ「東京に帰らなくていいの?」
拓真「うん。あんな家、帰りたくない」
ゆりあ「何故泣いてたの?」
拓真「泣いてなんかないよ」
ゆりあ「・・・泣かないって約束したものね。
でも、私は泣いちゃった。友達の香織がお母さんの所に帰ったの」

・・・でも、私、もう泣かない。拓真がいるから。

僕も、ゆりあがいればいい。大人なんてもう誰も信じない。
ゆりあだけだよ。僕の友達は。

私も、拓真だけよ。新しいお母さんなんていらない。
拓真がいれば寂しくない・・・

拓真は色鉛筆とスケッチブックを棚から取り出し。
ゆりあの言うままに夢の家を描き出した。

家の色は、ゆりあの好きな水色。空と、湖の色。
お父さんがいて、お母さんがいて、赤ちゃんがいて。
プールがあって、屋根は三角。サンタクロースのため。
煙突の位置は・・・

鮎川家の居間。
夜8時を過ぎても帰って来ない拓真を光吉夫婦が心配する。
冷静に電話を掛けて探す可奈子に、
マキは「自分の子じゃないから冷たい」と言う。
別荘に行って探してくる、と恵理香が立ち上がる。
光男は言う。
お前が行くと拓真を傷つけるかもしれないから俺が行く、と。

拓真は描き上がった家の絵をゆりあに見せた。
嬉しそうにゆりあは言う。
庭に真っ赤なカーネーションを植える、と。
母親になって、赤いカーネーションをもらうのが夢・・・
ゆりあ「大人になったら香織も呼んでいい?」
拓真「いいよ。みんなで一緒に暮らそう」

光男が別荘に到着する。
すると、居間で並んで椅子に座って眠る拓真とゆりあの姿があった。
拓真を起こして光男は言う。「帰ろう」
目を覚ましたゆりあが、絵を手にして帰ろうとする。
拓真「待って!」
ゆりあ「私は大丈夫よ。拓真はお父さんのところにかえった方がいい」
部屋を駆け出していくゆりあを追おうとする拓真の腕を
光男が取る。
光男に抱えられながら拓真はゆりあの名を呼ぶ・・・。

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Posted at 22:18 / 愛の迷宮 / この記事のURL
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愛の迷宮/第16話「友だちの指きり」10/23Tue. / 2007年10月23日(火)
ゆりあと拓真は指切りをする。
もう泣かない、強く生きる・・・
同じ悲しみを持つ友達として、そう誓い合う二人。

別荘の居間。
可奈子は恵理香に、拓真と何をしていたのかと尋ねる。
キスしてあげようかとからかった、いう恵理香に驚く可奈子。
恵理香は言う。
拓真は弟じゃない。お母さんが可愛いのは春樹だけ。
春樹が大きくなったら拓真を追い出して
この家を継がせようとしてるんでしょ。
そんな事考えてない、と否定する可奈子。
恵理香「じゃあ、どうしてあんな奴と結婚したのよ。
この家の財産が欲しくて結婚したんでしょ」
可奈子「そんな風にお母さんを見てたの?!情けないわ」
恵理香「情けないのは私よ。
・・・私の本当のお父さんは何故死んだの?
自殺したんでしょ。近所の人は皆噂してるわ。
次々と死人が出て、鮎川家は呪われてるって。
それは皆、財産を狙ってるお母さんのせいだって」
怒ったように顔を曇らせる可奈子に、恵理香は歩み寄って言う。
「不倫してたんでしょ?だから父さんは・・・」
可奈子「違うわ!」
恵理香「あんた達の汚い嘘には、もううんざりなの。
私はあんたなんか信じない。私はもう子供じゃないのよ」

可奈子は倉庫で文香のアルバムを見ていた。
仏壇に飾る文香の写真を選ぶ可奈子。
そこに来た光男に可奈子は言う。
「あなたと結婚したのは間違いだったのかしら。
一生懸命やってるつもりでも、
子供の気持ちはどんどん離れていくみたいで。
難しいわね、正直に生きるって。
私なんかがいいお母さんを演じるのは無理みたい。
仕方ないのよね、私もあなたも覚悟をして生きていくしかないのよね」
その言葉に、光男も苦悶の表情を浮かべる。

ひだまりの国、ゆりあと香織の部屋。
寂しそうな香織にゆりあは言う。
今度お母さんが迎えに来たらちゃんと行くのよ、と。

私はどこへも行かないから。
ずっとここで香織を待ってるから。
寂しくなったらいつでも会いにくればいいよ。
大人になったら大きな家を建てる。
そしたら一緒に住もう・・・

香織は言う。
私のこと嫌いになっちゃったの?
ゆりあは香織がいなくて平気なの?

ゆりあ「私はめそめそしないって誓ったの。だから大丈夫」
香織「いや!そんな事言うゆりあなんて、大嫌い!」
香織が泣き出したとき、園長がゆりあを廊下へと呼んだ。

園長「あなたを里子にほしいと言う人がいるんだけど。
お金持ちのご夫婦なんだけど、子供が出来なくて」
ゆりあ「でも・・・」
廊下で待っていた夫婦がゆりあを見て嬉しそうに微笑む。
困惑するゆりあの傍に香織が来て言う。
「行けばいいじゃない!新しいお母さんの所に。
どうせ香のことなんか忘れちゃうんだから!」
悲しそうに駆け出す香織。

鮎川の一同は実家に戻った。
走って玄関に入る春樹を心配する可奈子を見て
拓真は恵理香の言葉を思い出す。
可奈子が可愛いのは春樹だけ、と言う恵理香の言葉・・・。

恵理香は和室に入り、政男の遺影に向かって叫んだ。
「どうして死んじゃったのよ!」
恵理香は煙草を取り出して咥え、その先に火をつけようとした。
そこに拓真が来て恵理香に言う。
「なにやってんだよ!中学生が煙草なんて」
煙草を取り上げて拓真は言う。
お父さんとお母さんが悲しむ、と。

恵理香は言う。
私とあんたはこの家の半端者なの。
だから、仲良くしよう・・・

抱き締めようとした恵理香を突き放す拓真。
恵理香は怒って言う。
この家は呪われてる。
かっこつけたってまともに生きられやしないのよ!

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Posted at 22:05 / 愛の迷宮 / この記事のURL
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