部屋でチェスの駒を手にする不破。
「そうか。類子は帰ったか」
槐は資料を不破のデスクに置いて言う。
「はい。これは、先ほどお話した買収に関した資料です」
不破「なんだ、もう出来たのか」
槐「はい。時は金なりですから。
今の時代、グズグズしていては勝ち残れません。
潰される前に、こちらから潰しに行くくらいで丁度いい」
不破はその言葉を聞いて笑い出し、チェスボードに駒を置いた。
東京、類子のマンション。
カクテルをグラスに注ぐ草太に、
バスローブ姿で髪を拭きながら類子は言う。
「柳原のお嬢さん、貴方に気があるんじゃないの?」
草太は平然と言う。「ええ、そのようです」
椅子に座る類子。
「分かってるならもう少し優しくしてあげればいいのに」
草太はグラスを持ち、類子の前に置く。
「しかし、変に期待を持たせたらややこしい事になる。
冷たいくらいで丁度いいです」
類子「分かったような事を言って。・・・でも、
可愛い子じゃない。貴方だってまんざらでもないはずよ」
草太は類子の横に座る。「そりゃあ、まあ」
類子「貴方もその気があるなら、私、応援するわ」
カクテルを手に、草太に微笑む類子。
そのグラスに、グラスを合わせて草太は言う。
「よして下さい。ああいうお嬢様育ちの女は苦手で。
ハワイの夕陽の話なんかされても、退屈なだけですから」
カクテルを口にする草太。類子は笑う。
草太「第一、ああいう女は金がかかりそうだ」
類子「あら。彼女の実家はお金持ちよ」
草太「だからって、僕の金じゃないし、彼女の金でもない」
類子「お金がなきゃだめ?」
草太「そりゃそうです。
例え愛があっても、愛で腹が膨れるわけじゃない。
生きていくには、やっぱり金がなきゃ」
類子は笑う。「随分現実的ね」
草太「というより、僕は正直なんだ。
愛さえあればなんて、綺麗な嘘は付きたくない」
類子は少し遠い目をし、草太を見つめて言った。
「・・・そうね。私、貴方のそういう所に惹かれたんだわ」
草太と類子は微笑を交わして唇を重ねた。
ベッドで愛し合う二人・・・
槐は部屋で、キーボードを叩いていた手を止めた。
何かを考える槐。
類子はベッドでコップの水を飲む。
寝入る草太の隣で、槐の捕まった夜の出来事を思い出す類子。
・・・秘密の小部屋で、類子は槐に猟銃を突きつけて言う。
『自惚れないで。私が貴方を愛してるとでも言うの?
・・・そうね、少しは愛してたかもしれない。
でも私達はお互い誓ったはずよ。
愛なんて信じない、愛より金だって。
だから私は、愛より金を選んだ』
類子と槐がもみ合い、その拍子に発砲された銃。
解き放たれたように唇を重ねる二人。
近づいてくる足音に、類子は思わず口にする。
『逃げて!早く、逃げて!』
・・・ベッドの上で、類子はその目に涙を湛える。
槐は隠し扉を開く。
秘密の小部屋に入り、思いに耽る槐。
翌朝。うなされながら類子は、電話の着信音で目が覚めた。
類子は電話に出て、その声に驚く。「澪さん?」
澪は、主のいない槐のベッドの前で電話をしていた。
「おはよう、類子さん。・・・もしかしてまだお休みだった?」
(感想)
槐は全てを片付けて、3ヵ月後に澪と生きようと決心しました。
まず、目的は達成できるのでしょうか?
そして、無事に澪の元に帰れるのでしょうか。
・・・しかし私は、敬吾の人生を奪った槐に
澪との新しい人生を始める権利は無いと思ってしまいます。
3ヶ月の間に敬吾殺しの罪を償えるとは思えません。
彼の魂を真に受け止められるのは、
同じように悪の華を咲かせる類子しかいないのではないかと・・・
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8/31 ROKOさん、美罠同盟にご参加ありがとうございます(^o^)