週末の小春日和(を通り越して初夏の陽気?)から一転して
今日はまた寒い日が戻ってきた感じです。
しかし、気温の寒さ以上にお寒い(?)政治家の醜態ぶりが
朝からワイドショーを賑わしていますが
この国の将来の行く末は本当にどうなってしまうんでしょうね。
多くの国民から不評を買っているのが分かっていながら
自らの姿勢を改めることの出来ない不毛な政策(生活給付金)に
貴重な税金を使わずに、もっと使うべき道があるはず・・・。
そんなことを考えさせられる一冊を今日は紹介したいと思います。
ジェネラル・ルージュの凱旋
海堂 尊著(宝島社文庫)
【あらすじ】
桜宮市にある東城大学医学部付属病院に、伝説の歌姫が大量吐血で緊急入院した頃、不定愁訴外来の万年講師・田口公平の元には、一枚の怪文書が届いていた。それは救命救急センター部長の速水晃一が特定業者と癒着しているという、匿名の内部告発文書だった。病院長・高階から依頼を受けた田口は事実の調査に乗り出すが、倫理問題審査会(エシックス・コミティ)委員長・沼田による嫌味な介入や、ドジな新人看護師・姫宮と厚生労働省の“火喰い鳥”白鳥の登場で、さらに複雑な事態に突入していく。 将軍(ジェネラル・ルージュ)の異名をとる速水の悲願、桜宮市へのドクター・ヘリ導入を目前にして速水は病院を追われてしまうのか…。そして、さらなる大惨事が桜宮市と病院を直撃する。
【書評】
「チーム・バチスタの栄光 」「ナイチンゲールの沈黙 」に続く、田口&白鳥コンビの第三弾となる今回の「ジェネラル・ルージュの凱旋」は、3月に公開される映画の原作でもあります。僕は二作目の「ナイチンゲールの沈黙」を読まずに本作を読んだので、後から知ったのですが本作は二作目と同じ時間の流れで起こっていた救命救急センターを舞台にした物語です。何故、二作目を読まずに三作目から読んだのかといえば、あまりに二作目の評判が悪かったからです(苦笑。だから未だに本屋に行って二作目を手にするものの、購入するまでには至っていません。それでも物語の筋は十分に分かるので、敢えて「新刊」で買わなくてもよいのかなと思ったりしています。
さて、本作の主役は「血まみれ将軍=ジェネラル・ルージュ」の異名を取る救命救急センター部長の速水先生。そして、チーム・バチスタでの事件以来、不定愁訴外来(通称愚痴外来)以外にリスク・マネジメント委員会の委員長にも任命されてしまっていた田口先生の下に届いた一通の匿名の怪文書から物語は大きく展開していきます。
『救命救急センター速水部長は、
医療代理店メディカル・アソシエイツと癒着している。
VM社の心臓カテーテルの使用頻度を調べてみろ。
ICUの花房師長は共犯だ』
高階病院長の助言で、この問題を倫理問題審査委員会=通称「エシックス・コミュニティ」に依頼することになった田口。しかし、このエシックスはバチスタ・スキャンダルで、リスク・マネジメント委員会に恥をかかされて以来、田口に対して敵意を持つ沼田が委員長を務める委員会であり、エシックス・コミュニティとリスク・マネジメント委員会は「天敵」の関係にあるため、結局田口自身が調査を進める羽目になります。このエシックスの沼田が敵役として、非常に上手く描かれていて物語りの盛り上げに大いなる役割を果たしていると言えます。
物語の主人公は、今回も田口&白鳥コンビではあるものの。速見の余りに強烈なキャラクターぶりに二人の影もやや薄い(?)印象すら受けます。
なかなか速水のようなお医者さんはいないような気もしますが、彼の言葉の一つひとつは今の医療現場の深刻な現状と問題を鋭く突いているだけに、読み手の気持ちも彼の言葉に引き込まれていきます。
例えば、「収益を上げなければ、経済資源の配分ができない」と主張する事務長に対して、速水が「救命救急で収益があがるわけがない。俺達の仕事は、警察官や消防士と同じだ。国家は警察官や消防士に利益を上げることを要求するか?そんな彼らに税金という経済資源を配分することを、国民は拒否するのか」という台詞があります。病院の経営が成り立たないからといって、機材を導入できなかったり、人員を確保できなかったりしたときに困るのは、実際に病院にお世話になる私たち国民です。病院の経営が苦しいのなら、国が救命救急をおこなっている病院に対して、きちんとした費用を捻出すれば良いのであって、何も税金で豪華な議員宿舎など必要ないわけです。本当に国民の為に本当に必要としているところに、税金は使うべきであるということを改めて本作を読む中で感じさせられます。
冒頭はややゆったりとした展開ですが、段々と展開が速くなり、下巻からは最後の結末が気になって一気に読んでしまいました。そして最後に速水が下す選択。。。余りにもカッコよすぎて、ややシャクに触る感じ(?)でもありますが、まあオトコなら・・・と思わせるだけに許せる気持ちになります。
映画公開が目前に迫っていますが、
果たしてどんな風に映画化されているのか
期待を裏切らない内容であって欲しいと思います。