授業が本格的に始まる 

2009年09月10日(木) 4時51分
今日は、午前10時からライティングセンターに予約を入れていたので、明日提出のレポートをチェックしてもらいにいったあと、ロシア語、統計分析、内戦の授業に出たのち(内戦の授業はイントロで30分で終わった)、ジムで3キロ走って筋トレして、6時半から現在(午前1時)まで勉強しました。ライティングセンターは、政治学の人ではなかったので、専門用語を使うべきところで一般的な用語に直されたりして戸惑ったりもしましたが、英語表現などはとても勉強になります。週に4時間まで指導を受けることができます。もちろんタダです。こういう制度はすごいなぁ、と感心します。

 こちらでの勉強は、テレビもないので一層はかどるような気がします。晩御飯は相変わらず残りのシチューにキムチに白ご飯。

 読んだ文献は以下の通り。End Noteが大活躍中です。

[1] Chandra, K. (2006). "What is Ethnic Identity and Does It Matter? ." Annual Review of Political Science 9(June): 397-424.

[2] Sambanis, N. (2004). "What is Civil War? Conceptual and Empirical Complexities of an Operational Definition." Journal of Conflict Resolution 48(6): 814-858.

[3] Chandra, K. (2001). "The Cumulative Findings in the Study of Ethnic Politics." APSA-CP: pp.6-25.

[4] Cederman, E., Luc Girardin, and Kristian Skrede Gleditsch (2009). "Introduction to Special Issue on "Disaggregating Civil War"." Journal of Conflict Resolution 53(4): 487-495.

 [1]のチャンドラの論文は非常に勉強になりました。そして理論だけなのに僕にとって非常に
面白かったです。これまで、エスニシティと経済成長、暴力、民主的不安定性などとの単独の関係が検証されてきたけど、そんな明白な関係はでてないよね。それは人々のもつエスニックカテゴリーがアイデンティティに変化するプロセスを考慮に入れていないから。人々のもつエスニシティはほかの社会カテゴリーより可視的なもので、人々のとりうるアイデンティティの「幅」を規定するのだけれど、それがエスニックアイデンティティに変化して、これら従属変数に影響を与える(人々がエスニックアイデンティティに基づいて行動する)ようになるのは、何らかの第三の変数(民主的選挙とか経済的動機とか)との相互作用の結果でしょう、というのがメインの主張。まぁ、こういう構築主義的なことはゲルナーやボブズホームやベイツ`、レイテン等等の大御所が散々言ってきたわけでそんなに新味はないんですが、各概念を明瞭に解いて、実証分析に含みを持たせるような書き方をできるチャンドラはすごいと思います。 僕の研究の援護射撃で使えそうな論文でした。

 それにたいして[2]はつまらない論文だったので、走り読み。内戦を測定するときに、COWとかがいろいろコーディングしてきたけど、それは厳密じゃなくてこうすればいいんじゃないみたいなことを、概念構築もせずに滔々と述べたのち、よしより「厳密」にコーディングしなおしたから、前のデータセットと比べながら、回帰分析走らせてみよう!おお、この変数とこの変数はロバストだけど、これはロバストじゃないね。なんでだろう、皆さん考えてください、という内容。しかも「やっぱ内戦測るのは難しいわぁ」みたいないいわけが各所に入る。単純にデータセットをつくって、ガラガラポンしながらデータを突き合わせるのが目的なら、理論構築を思わせるこの題名はないと思うな。


 [3]はシンポジウムの内容を要約したもの。ELF批判を行っているLaitin&Posnerの論文とこれまたChandraのレビューが秀逸です。まぁでもELFにかわる指標を世界大でつくるってのは大変な労力がかかりそうです。

 [4]は最近のマクロ内戦研究とミクロ内戦研究の問題点(おおざっぱにいって前者は内的妥当性が、後者は外的妥当性がない)を指摘したのち、基本的にマクロなデータを使いながらも、ミクロなダイナミズムをとらえなれるような中間レベルの内戦研究が必要じゃねぇという話。各国の民族集団の性質を分けてデータセットを作ったり、空間的な地理を考慮に入れたり、暴力の地理的分布の傾向を変数化したり、反政府グループの組織性を変数として考えたら、それに成功するかもね、ということ。CedermanらはChandraとかと違って、民族集団を所与のアクターとしてとらえる傾向がいつもあるんだけど、民族集団がアクターとして立ち現われるのは一体いつなのか、ということを考えないといけないんじゃないか、という気がいつもします。たとえば、こないだ読んだ、

[5Cederman, E., Luc Girardin, and Kristian Skrede Gleditsch (2009). "Ethnonationalist triads: Assesing the Influence of Kin Groups on Civil Wars." World Politics 61(3): pp.403-437.


 は、「A国の民族集団は、隣国において同胞の民族集団が十分に大きく、かつ政治的に阻害されている場合にのみ、隣国に介入して民族紛争を起こす危険性が高まる」、という仮説を上記のパースペクティヴをもとにユーラシアと北アフリカ諸国のデータを使って統計的に検証しています。しかしここでもじゃあ、そもそもエスニックアイデンティティはどこから来たの?というチャンドラ流の問いは無視されているのです。かといって自分の研究でそれをとらえられるのか、といったら理論的にはいえても厳密な実証までもっていくのはなかなかできないので、人のことをとやかく言えないわけですが。。
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