Tales of Innocence 冷酷なる騎士 〜6〜 

2008年05月07日(水) 14時40分
Tales of Innocence 冷酷なる騎士 〜6〜 虜囚者達

「ここに入ってろ!」
地上に落とされた神々の末裔―グリゴリ―の兵は言い、乱暴に二人を押し込んだ。
「ねぇ、イリアぁ…」
「どうしたの?びっくりするくらい情けない声出しちゃってさ」
イリアは言った。
「これから何をされるんだろう…。ほら、想像しただけで怖くて身体が震えてるんだ」
「馬鹿ね、想像しなきゃいいじゃない」
確かに、そうなのだが。
「そ、そんな事できないよ。イリアは平気なの?怖くないの?」
「無事じゃいられないかもって考えたことはあったけどね。ま、でもこういう状況は想像
外だったな〜」
「無事じゃいられないなんて…、僕、そんなこと考えもしなかったよ」
異能者として捕まる、そんなこと想像したこともなかった。
「ひょっとして後悔してる?あたしについてきた事」
「そ、そんな!僕は!」
慌てて飛び上がるが、
「ん〜、やっぱりいいや。あんたの答えを聞くのが怖い…。あんたの怯えた目を見ると、自分が許せなくなっちゃう。―だから、そんな顔禁止ね」
と、イリアがルカの言葉を遮ってそう言った。

「こんにちは、初めまして」
「こんにちは。僕、ルカっていいます」
黒い髪と、白い肌が印象的な、綺麗な少女。一番の親友―ネリス―といい勝負だ。
「私はチトセ・チャルマです。あなたも転生者なの?」
少女――チトセ――は、自分をまじまじと見つめた。なぜだろう、この気持ち。初めて感じる感じだ。
「うん、そうなんだ。えーっと、あなたもそうなの?」
「もちろんよ!前世の記憶を持つ人が集められてるって聞いてるわ」
――チトセ。そう名乗った少女は言った。
「私、人探しをしててね。その人もきっと転生しているはず。そして必ず巡り会う運命なのよ」
「じゃあ、アルカってヤツに入信するの?」
「そのつもり。だって、同じ境遇の人がたくさんいるんでしょ?そこにいれば、いずれ必ず会えると思うから…」
「そう…なの。でも不安じゃない?よくわからない団体だし」
そう。それに、イリアの村を襲った、と聞いている。
「…でも、前世の記憶をみんなで共有するのって、きっと楽しいと思う。あなたもあるんでしょ?前世の記憶が」
「う、うん。あんまり憶えてないけどね」
チトセはイリアに視線を移した。
「…一緒に来た女の子…。お友達なの?」
「そんなカンジかな」
「どうしてかな。あんまり好きになれない…かも」
何となく、わかる気がした。イリアはあんな性格だ。少ししゃべっただけだろうし、当たり前だと思う。でも、一つだけはっきりと言えることがあった。イリアはいい人だ。決して、悪い人なんかじゃない。
「え?どうして?自分勝手だし、気が強いけど、いい子だよ!多分」
それが本音。
「でも何となく、あなたに合わないような…あ、うん、忘れて!余計なお世話よね?」
あはは、とチトセは苦笑いした。
「早く出られるといいわね。きっとあなたはいい人だと思うから、アルカでまた会えると嬉しいな」
「うん…そうだね。また会えるといいよね」

「あの…」
ルカは次に、自分より一つか二つくらい年上であろう少年に声をかけた。
「あ?」
「(しまった…苦手なタイプだ…)」
ルカは話し掛けてからしまった、と思った。だが、もう遅い。
「何だってんだよ?自分で話し掛けて、なに黙ってんだ、あ〜?」
「あ、はい、すみません…」
ルカはただ、そう謝るしかなかった。
「スパーダ・ベルフォルマだ」
少年は、そう言った。…ベルフォルマ?どこかで聞いたことがある。でも、思い出せない。
「あ、あの、ルカです。ルカ・ミルダ」
「ミルダって聞き覚えあるなぁ。ひょっとして、イイトコロのボンじゃねぇ?おまえ」
ニヤつきながら、スパーダはそう訊ねた。
「はい、わりと。あ、でも!……今、持ち合わせが」
「なんもしねーよ、バーカ!」
ハッ、とスパーダは鼻で笑った。
「……んで、あのコ、結構カワイイけど、彼女か?」
「も、もちろん…その…、かの、かの…彼女?」
しどろもどろになりながら、ルカは答えた。
「知らねーよ!おまえ、ウソつくのヘタなタイプだな」
「そ、そんな事は…!あ、いや、でも…そうかも…」
あはは、と引きつった笑みを浮かべるルカ。
「ふうん…、まいっか。ここに寄こされたってコトは、だ。おまえも異能者なワケ?」
「そ、そういう事になりますね」
「オレよぉ、町でケンカしちまってなぁ。施設でも入れられるのかと思ったら、異能者狩りだってよ」
スパーダが言うと、ルカはレグヌムでスパーダが騒ぎを起こしていたのを思い出した。
「ええ、ちょうどあなたが乱闘騒ぎで捕まる所を町で見かけましたよ」
「マジで?へへ、どうよ、オレ強かったろ?」
「あ、いや〜連行される場面しか見てませんから、なんとも…」
ルカは正直に言った。
「あぁ?!なんでブッ飛ばすトコ、見てねーんだよっ!!」
「はひぃ!す、すみません…!!」
と、ルカは飛び上がった。やはり不良は―怖い。彼に会って、改めてそう思った。
「……おまえ、怯えすぎ」
「は、はい、すみません…」
また、謝った。ここのところ、謝ることが多い気がする。
「敬語もいらねぇよ。ま、よろしく頼むわぁ」
「はい!じゃなくて、う、うん。よろしく…、スパーダ」

「女!大人しくしろ!」
「大人しくしろって言われて、素直に大人しくする人なんて、いないと思いますけど」
この声には、聞き覚えがある――。
今回のタイトル、「虜囚者達」は、転生者研究所で流れている曲です。
次回も「虜囚者達」です。 By音谷 響

Tales of Innocence冷酷なる騎士 〜5〜 

2008年04月20日(日) 12時24分
Tales of Innocence 冷酷なる騎士 〜5〜 その歩み、止まることなく

「ねえ、これからどこ行くの?」
それが、気になっていることだった。
「南の橋を渡った先にあるナーオス。重い病やケガを瞬時に治癒する力を持った人がいるんだって。きっと、転生者なんじゃないかな」
「『きっと』?そんなあやふやでいいのかなぁ」
「しょーがないでしょ?じゃ、こう言ってあげる。『絶対転生者よ!多分』。とにかく、ほかに手がかりないしさ。もし仲間だったら、それに越したことはないでしょ?」
「そうだね…よし、ナーオスに向かおう!」
ルカは立ち上がった。

「ねぇ、ナーオスってこっちで正しかったっけ?」
しばらく行って、ルカはイリアにそう訊ねた。
「知らないの?」
「アニーミさんのほうが詳しいと思ってたけど」
「もォ〜、頼りにしてたのに!」
ため息の混じった声で、イリアは言った。
「あっ、通行人はっけーん。訊いてみましょ。すみません!ナーオスって、この先ですか?」
イリアは老人に訊ねた。
「ああ。そうだよ。私達はナーオスから来たんだ。王都はこっちでいいのかい?」
「はい。大変ですね、王都へはまだ少し遠いですけど」
イリアは言った。が、老人はなんの、と笑ってみせた。
「いやいや、アルカへ入信できるのならこんな苦労、大した事はないよ」
その言葉を聞き、イリアの表情が曇る。
「アルカに…?」
「王都をさらに超えて、アルカの本部『黎明の塔』へ行くところなんだ。アルカの信者になれば、これから創造される楽園に行くことができる…。信者になれば、教祖マティウス様は異能の者であれ、罪人であれ守ってくれるそうだよ」
「異能の者って…?異能者捕縛適応法ってヤツで捕まってしまうんじゃないんですか?」
前々から疑問に思ってはいた。
「王都の異能者狩りも、アルカにまでは手出し出来ないらしい。異能者は救いを求めて入信を急いでいるという話だよ。大地は荒れ果てる一方。戦争も絶えない。こんな世界なんてもうウンザリだ。さて、王都までもうひと頑張りするか」
「あ、お気をつけて…」

「なんか、評判いいね、ねえアニー…」
「その呼び方!」
ビシ、とイリアは指をルカに突きつけた。
「…ミ…さ…、え、何?」
「『イリア』でいいってば。エラっそうに初対面で呼び捨てにされるのってムカッてくるときあるけど、ほら、あんたは礼儀正しそうだし、どう見たって悪いヤツじゃないしさ。付き合いって長くなりそうだもん」
「あ、その…えー、イリア…さん」
遠慮がちにそう言うと、はぁ、とイリアはため息をついた。
「旅の間、ずーっとそう呼ぶつもり?呼び捨てオッケーよ。その代わり、あたしもあんたのこと『あんた』って呼ぶから」
「う、うん、わかったよ、イリア」
違和感がある。
でも、きっと慣れるだろう。そう思って、ルカも後を追いかけた。

「…待て、とうとう追いついたぞ」
遠くにナーオスが見えたとき、声が聞こえ、二人は足を止めた。
「誰よ、あんた達。あんたに追っかけられる覚えなんてないっての」
「王都で暴れていた坊主だな?異能者…いや、転生者。今からおまえを連れて行く!」
「ちょっと!私の連れよ?勝手な事言わないで!」
イリアが反発した。
だが、彼らは怯まなかった。
「女。おまえも同行してもらうぞ。抵抗するなら容赦せん」
「捕まってたまるか!僕の力を知らないな!」
ルカは指で彼らを指し示し、剣の鞘に手をかけた。
「…って、あれっ?力が出ない?いつもの僕だ」
「どうして?天術が使えない」
その答えは、すぐに明かされた。
「転生者の天術を封じる事など我々にとって初歩の技法。さあ、研究所に連行しろ!」
「来い!」
「そ、そんなぁ…」
そう言って、ルカたちは連行されていく。
「この生物はどうする?」
「し、しかし〜」
「一応連れて行け」

今回のタイトル「その歩み、止まることなく」はフィールドで流れてる曲ですね、はい。
次回は2回にわたって「虜囚者達」をお送りいたします♪ By音谷 響

Tales of Innocence 冷酷なる騎士 

2008年04月05日(土) 15時49分
Tales of Innocence 冷酷なる騎士 〜4〜 轍の続く道3

「な、何がなんだか…さっぱりだよ。それに君は一体、銃なんか持ってさ…」
「これは、親がくれた護身用なの」
銃をくるくると回し、ホルスターに収めると、イリアは言った。
「…ともかく、全部話す。あんたはあたしと同じかもしれないし」
「お願いするよ」
ルカは頷いた。
「あたしには小さな頃から不思議な力があってね。そして、その力のせいかな、繰り返し見る夢があるの」
イリアは、そう切り出した。
「あたしの故郷、東部のサニア村には、他にもそういう子供が何人かいた。でも、不思議な力を人前で使ったり、それらの話をすることはいけないと親に固く言い聞かされてたの。そしてマティウスが、アルカという教団組織を率いてやって来た」
「さっきのあいつ…だね。それで?」
「マティウスは、あたしに、『創世力』のありかを教えろと言ったの。こっちは何の事だかわかりもしない。でもあっちは、あたしが繰り返し同じ夢を見ている事と、力の事、『天術』が使えることを知っていた」
「天術って…それがさっきの力の事?昔、協会の人が使えたっていう」
ルカは訊ねた。
「天術は、この地上ではない、天上に住む神々が持っていた力。そして、今現在、ここ地上では忌むべき存在とされている異能者の力よ。マティウスはあたしを捕らえるために村を襲ったの」
「異能者捕縛適応法、だね?」
「ううん。異能の力を狩る為ではなく、自分達に協力させるためにあいつらはやって来た」
「つまりマティウスは、その…『創世力』を得るためにイリアを狙っているわけ?」
イリアは頷いた。
「そうみたい。それが何なのか、さっぱりわかんないんだけどね。前世で、どうにか関わってたのかなぁ」
「ぜ、前世?え?前世って…、その…」
「夢の内容の事。マティウスが言ってたもん。その夢は前世の記憶だって。つまりそのイナンナは、その創世力の近くにいたって事なんじゃないの?」
「えっ、えええぇぇぇ?き、君がイナンナ!?」
ルカは思わず飛び上がった。
「そーだけど何?信じられないっての?マティウスも言ってたじゃん」
「いや、だって!!!その…、僕は夢の中ではアスラなんだよ!!天上の神々の世界の、センサスって国の将軍で、それで…イナンナっていうキレイな人と僕は…僕はその…」
恋人同士、だったのだ。
「そうよね、夢で見たアスラってすんごいカッコイイよね」
そんなルカの気持ちを読むように、イリアは言った。
「あんな人と恋人だったイナンナって、きっと幸せだったんだろうなぁ」
「う…」
何も言えない。自分はアスラではないのだから。
「ね、こういうのどう?あたしとあんたで先に創世力を手に入れるの!創世力ってのは前世の記憶頼りなんでしょ?いろんな人を訪ね歩いて、前世の話を聞いて回るの」
「うん。前世の記憶を持った人は他にもいるだろうからね。僕と君みたいに」
「そして、前世の力。つまり異能者捕縛適応法で捕まってしまう可能性がある。急がないとみんな捕まっちゃう!ってか、あたし達だって捕まっちゃうかもよ?」
「……」
エディとニーノ、二人の顔が思い浮かぶ。通報されているだろうか。
「そう…だね。僕も力を貸すよ、急ごう!アニーミさん」
「オッケー。じゃあ、旅立ちの準備をしましょ」
イリアは嬉しそうに言った。
「これ、あたしの両親が持たせてくれた武器だけど、これ使って」
「あ、ありがとう」

「はぁ、はぁ、はぁ……」
一方その頃。ネリスは息を切らしながらそこらを猛スピードで逃げ回っていた。
「(もう、逃げ場ないじゃない…)」
家へと帰る途中、ネリスはアルカ教団の男に追われていた。逃げ回るものの、追っ手は増えるばかり。自分は、何もしていないというのに、何故追いかけ回されなくてはいけないのだろうか。
「(ここで捕まったら…また独りになる…そんなの嫌だ)」
ルカに出会うまで感じ続けていた寂しさと辛さの気持ちが、蘇ってくる。
「もう…ダメ…」
すべての力を出し尽くした。もう、歩けない。それどころか、立っていること自体が困難だ。
「ようやく我がアルカに来る決意をしたか」
男は言った。
―またそれか。先程から断り続けているのに。物分りの悪い奴だ。
だが、そんなことを反論する気力もない。このまま…このまま連れて行かれるのか。このまま、永遠に独りで暮らしていくのか。絶望に溢れた人生が、目に見える。
「(嫌だ…独りになんか、なりたくない…!もう…寂しい想いはしたくない!!独りには…独りにはなりたくないっ!)」
必死にもがき、そして追っ手の手から逃れた。何か熱いものが込み上げてくる。
「独りに…独りになるもんか…!!いやぁぁぁぁぁ!!」
この感触、わかる。この感触は…紛れもなく、フラン―冷酷なる騎士―のものだ。

ようやく、「轍の続く道」終了です。長かったなぁ。

Tales of Innocence 冷酷なる騎士 〜3〜 轍の続く道2 

2008年03月22日(土) 12時56分
Tales of Innocence 冷酷なる騎士 〜3〜 轍の続く道2

「サニア村の転生者だな。マティウス様がおまえをご所望だ」
「そんなのお断り。誰が村を襲った奴らに喜んでついていくっての?」
イリアは男―おそらくはアルカ教団の者だろう―に指を突きつけ言った。
「我らが『アルカ』の目指す世界を作るためにおまえが必要なのだ。さあ、共に楽園を目指そうではないか」
「お断りだってば。しつこいのって、苦手なのよね」
「ならば連れて行くまでだ」
男たちは歩み寄り、イリアに掴みかかった。イリアは何の抵抗も出来ず、ただもがいている。
「は、放してよ!」
「そーだ、放してやれ!」
「か、彼女を…は、放せ…」
「あぁ?空耳だよなぁ、さっきの」
男は言った。
「おまえ、今何も言ってないよな?」
「も、もう一度言うよ?彼女からははは離れるんだ!」
声が震える。
ああ、アスラのようになりたい。勇敢で、公明正大な、アスラの強い力が欲しい。
男が、前に歩み出た。ルカは一歩、引き下がる。
「ちょっと、その子は関係ないじゃない!えーっと、ルカだっけ?あんた、とっととどっかに行っちゃいなさいよ!」
―彼女を守りたい。そんな想いが、ルカの頭をよぎる。
「ああ?」
「逃げて!こいつら、あたしの村を襲ったの!何するかわかんないんだから!」
イリアを守りたい。ルカはそう思った。その強い気持ちが答えたのだろうか、何かが込み上げてくる。
「夢の中の…僕…。夢の中の僕…夢の中の僕夢の中の僕夢の中の僕夢の中の僕…僕は、僕なら、やれるんだ!うわぁぁぁぁ!!!」
「何、こいつはっ!?」
男たちは驚いた。そんなことにルカは構わず、地面に落ちていた棒を拾い、男たちに躍りかかった。

「あんた、ヤルじゃん?あいつらと互角に戦うなんて!見た目ってアテにならないのね」
イリアが感心したように言った。が。
「多分、運が良かったんだ。僕、ケンカなんて全然だし。でも、さっきの力…」
「――まさしく転生者の力、だな。フフ、これは思わぬ拾い物をした。もう一人同志を迎えられるとは」
突如声が聞こえ、ルカとイリアは声のしたほうを振り返った。
振り返った先には、奇妙な仮面を被った、おそらく女であろう者がいた。
「だ、誰…?」
「コイツがマティウスよ。ほんと、しつこい奴っ。あたしは何も知らないんだってば!」
「いや、おまえは思い出すさ―『創世力』を」
『創世力』?一体何の話だろうか。
「さあ、思い出すのだ、イリア。『創世力』。センサスの中枢にいたおまえなら、知っているはずなのだ」
「センサス?センサスって、ラティオって所と戦争をしている…?」
そう、ルカが呟くと、マティウスは鉄杖でルカを示した。
「ほほう?貴様も記憶を取り戻しつつあるようだな。これは話が早い」
「く、来るのか!?さっきの僕の力を見ただろ?僕には、魔神アスラの力が宿っている!てて手出しするなら、命の保証とか、出来ないんだからな!」
ルカは棒切れを向けて威嚇した。だが、マティウスは怯まない。怯んだ様子さえも見せない。
それどころか、小さく笑っている。
「アスラ?アスラだと?」
その笑いは、次第に大きくなっていく。
「あは、あはははははは!いい!これはいい!このヘッピリ腰のモヤシ小僧が、あの魔神アスラかっ!」
「やったな、ルカ。受けてるぞ、しかし」
「な、何がおかしいんだよぉ!そ、それより…やるのか?」
マティウスは鉄杖を戻し、親しげに言った。
「いやいや、やめておこう。人目についてはまずいのではないか?確か、『異能者捕縛適応法』だったか」
「あ……」
はっ、とした。一気に血の気が引くのがわかる。
「ほら、そこに目撃者がいる。通報されたくないのなら、アスラの力を使えばいい。死体に変えるぐらい、わけはないだろう?」
そんなルカの思いを知ってか知らずか、マティウスは言った。
「だが、人目をはばかりたいのはこちらも同じでな。イナンナ、そしてアスラよ、また必ず相見えようぞ、フフフ」

「ルカ!大丈夫か!?」
マティウスが踵を返し、その背中が小さくなると、エディとニーノが駆け寄ってくる。
「なんなんだよ、さっきのヤツ…」
「ちょっとついてきて!」

今回もタイトルは「轍の続く道」です。うん、次回もだね。でも、次回で最後だね。
マティウスとか覚醒するとめっちゃでかいy(銃声 By音谷 響

Tales of Innocence 冷酷なる騎士 〜2〜 轍の続く道 

2008年03月22日(土) 12時35分
Tales of Innocence 冷酷なる騎士 〜2〜 轍の続く道

エディとニーノにホットドッグを買ってくるよう言われたルカ。
「何で僕、こんな事をしているんだろう…」
夢の中とは大違いだ。自分も、夢の中のアスラのようになれたらいいのに。
そんなことを考えながらただぼーっと歩いていた時だった。
「いてっ」
誰かとぶつかったのだ。ぶつかった相手は自分と同じ年くらいの女の子だった。
「もう…ダメ…」
女の子は呟いた。
「えええ!?ダメって…君、しっかり!死んじゃダメだ!」
「お腹すいた…」
「え?」
「お腹すいた、イリアはそう言っている。しかしコーダも同じ気持ちだ」
女の子のそばにいたネズミのような小動物が急にそう言い、ルカは驚いた。まさか、動物が言葉を話すなんて!
「き、君は何なの?」
「コーダはコーダというのだ。それにしても、ヒドイな奴だな、しかし」
コーダ、と名乗った小動物は言った。言葉を喋るだけでなく、名前まであるのか。なんとも不思議な生き物だ。
「ホットドッグなら…あるよ。食べる?」
「ホント!?ちょうだい!」
女の子は立ち上がり、ホットドッグをねだった。
「(エディとニーノ、怒るだろうな。それに、ネリスさんから貰ったお金なのに…)」
「ふぅ〜生き返ったぁ。あんた、中々都合のいい奴ね?」
「…普通、お礼言う場面じゃないの?そんなことより、僕お使いを頼まれてるんだけど」
と、ルカは抗議した。が。
「細かいこと言いっこナシ。あたし、今無一文なのよねぇ」
女の子は言った。その声音は、どこからかっているようにも聞こえた。
「はぁ…もういいよ、買い直す」
幸い、まだお金は残っている。こんなにも多くお金をくれた、ネリスに感謝しなければ。
「もう、冗談よ、冗談!無一文っていうのは冗談じゃないんだけど。せめてお礼一つでも言ったげる」
女の子は笑った。
「あたしはイリア。イリア・アニーミよ。食べ物をありがとっ。そしてコイツは、ミュース族のコーダ。無理矢理ついて来たのよねぇ」
と、コーダがイリアの足元で飛び跳ねる。
「え、あ、っと僕はルカ・ミルダ…」
そう言ったとき、イリアが引きつった笑みを浮かべた。
「やばっ!」
「どうしたの?」
「あ、あたし、お使い頼まれてるんだった!」
動揺し、しどろもどろになりながらイリアは言った。
「無一文って言ってたけど?」
「あんた、細かすぎ!!と、とにかく逃げないと…」
「追われてるの?」
だが、イリアはルカの問いには答えず、どこかへ行ってしまった。そしてイリアの背中は、あっという間に見えなくなってしまった。
「あっ、ちょっと待ってよ!」

「って行き止まりじゃない!」
「はぁ、はぁ…そっち行っちゃダメだって…はぁ…教えようとしたん、だ…」
やっとイリアに追いつき、荒い息遣いを整えながら、ルカは言った。
「そういうのは先に言って欲しかったんだけど…」
呆れたようにイリアは言ったが、すぐに、げ、と嫌そうな顔をした。ルカが振り返るとそこには…!?
今回のタイトルは、「轍の続く道」。これは、王都レグヌムで流れている曲ですね。
By音谷 響

Tales of Innocence 冷酷なる騎士〜2〜 轍の続く道 

2008年02月21日(木) 12時26分
Tales of Innocence 冷酷なる騎士 〜2〜 轍の続く道

エディとニーノにホットドッグを買ってくるよう言われたルカ。
「何で僕、こんな事をしているんだろう…」
夢の中とは大違いだ。自分も、夢の中のアスラのようになれたらいいのに。
そんなことを考えながらただぼーっと歩いていた時だった。
「いてっ」
誰かとぶつかったのだ。ぶつかった相手は自分と同じ年くらいの女の子だった。
「もう…ダメ…」
女の子は呟いた。
「えええ!?ダメって…君、しっかり!死んじゃダメだ!」
「お腹すいた…」
「え?」
「お腹すいた、イリアはそう言っている。しかしコーダも同じ気持ちだ」
女の子のそばにいたネズミのような小動物が急にそう言い、ルカは驚いた。まさか、動物が言葉を話すなんて!
「き、君は何なの?」
「コーダはコーダというのだ。それにしても、ヒドイな奴だな、しかし」
コーダ、と名乗った小動物は言った。言葉を喋るだけでなく、名前まであるのか。なんとも不思議な生き物だ。
「ホットドッグなら…あるよ。食べる?」
「ホント!?ちょうだい!」
女の子は立ち上がり、ホットドッグをねだった。
「(エディとニーノ、怒るだろうな。それに、ネリスさんから貰ったお金なのに…)」
「ふぅ〜生き返ったぁ。あんた、中々都合のいい奴ね?」
「…普通、お礼言う場面じゃないの?そんなことより、僕お使いを頼まれてるんだけど」
と、ルカは抗議した。が。
「細かいこと言いっこナシ。あたし、今無一文なのよねぇ」
女の子は言った。その声音は、どこからかっているようにも聞こえた。
「はぁ…もういいよ、買い直す」
幸い、まだお金は残っている。こんなにも多くお金をくれた、ネリスに感謝しなければ。
「もう、冗談よ、冗談!無一文っていうのは冗談じゃないんだけど。せめてお礼一つでも言ったげる」
女の子は笑った。
「あたしはイリア。イリア・アニーミよ。食べ物をありがとっ。そしてコイツは、ミュース族のコーダ。無理矢理ついて来たのよねぇ」
と、コーダがイリアの足元で飛び跳ねる。
「え、あ、っと僕はルカ・ミルダ…」
そう言ったとき、イリアが引きつった笑みを浮かべた。
「やばっ!」
「どうしたの?」
「あ、あたし、お使い頼まれてるんだった!」
動揺し、しどろもどろになりながらイリアは言った。
「無一文って言ってたけど?」
「あんた、細かすぎ!!と、とにかく逃げないと…」
「追われてるの?」
だが、イリアはルカの問いには答えず、どこかへ行ってしまった。そしてイリアの背中は、あっという間に見えなくなってしまった。
「あっ、ちょっと待ってよ!」

「って行き止まりじゃない!」
「はぁ、はぁ…そっち行っちゃダメだって…はぁ…教えようとしたん、だ…」
やっとイリアに追いつき、荒い息遣いを整えながら、ルカは言った。
「そういうのは先に言って欲しかったんだけど…」
呆れたようにイリアは言ったが、すぐに、げ、と嫌そうな顔をした。ルカが振り返るとそこには…!?
今回のタイトルは、「轍の続く道」。これは、王都レグヌムで流れている曲ですね。
By音谷 響

Tales of Innocence 冷酷なる騎士 〜1〜 揺り椅子と猫のいる風景 

2008年02月20日(水) 12時50分
Tales of Innocence 冷酷なる騎士 〜1〜 揺り椅子と猫のいる風景

「負けたぁ〜」
「おいルカ!おまえのせいだぞ!」
エディとニーノは言った。
「突っ立ってるだけでいいって言ったじゃないか…」
「誰も寝てろ、なんて言ってないだろ!」
ルカの言葉に怒る。
「罰としてホットドッグを買って来い!家に逃げて帰らないように見張っておくからな!」
「早く行けっ!」
「えぇ〜…」
――王都レグヌムのグラウンド前。見慣れた少年がそこにいた。ここのところしばらく学校を休んでいた事もあってか、久しぶりに見た、と思った。嬉しくなって駆け寄ろうとした時。
「――放せっ!放しやがれっ!」
綺麗な緑色の髪をし、帽子を斜めに被っている少年が、王都兵に捕まっていた。初めて見るはずなのだが、どこかで会ったことがあるように思えてならない。
「貴様を異能者捕縛適応法に基づいて逮捕する。この悪魔め、大人しく歩けっ!」
「くそっ!悪魔だとォ?言ってくれるじゃねェーか。このっ、放せっ!」
そう言いながら、不良少年は王都兵に連行されていった。その一部始終を見、ルカに駆け寄った。
「今の、異能者さんだって、ルカ」
見慣れた、そして自分の一番大切な親友。銀髪の男の子―ルカ・ミルダ―に声をかける。
「え、ね、ネリスさん!?あのっ、どうしてここにっ!?」
ルカは驚き、目を瞬いた。
「私ね、今、買い物の途中なの。ちょうど、家に帰るところだったんだ」
茶髪の髪を後で束ねている少女―ネリス・ティルミレア―は、嬉しそうに目を細めて言った。
「それで、ルカは何?またエディとニーノって子にいじめられたの?」
「…うん」
ルカは俯き、小さく頷いた。
「…ホットドッグ、買って来いって言われてきたんだ」
「ルカ。少しくらい反発する事も覚えなさい」
ルカの鼻先に指を突きつけ、ネリスは言った。
「そ、そんなことしたら何されるかわからないし…それに、僕、喧嘩なんて…」
「男の子でしょ?男の子がしっかりしなくてどうするの?本当にもう、ウジウジしてるなぁ」
呆れたように溜め息をついたが、それも一瞬。ネリスは嬉しそうに笑った。
「あぁ、もう。仕方ないなぁ。はい、コレ」
ネリスが手渡したのは、いくらかのお金だった。
「買い物したあとに余ったお金なの。これだけあればホットドッグくらい買えるっしょ?もらってきなよ」
「い、いいの…?こんなにも…」
あげるにしては少し多すぎたかな、とネリスは思ったが、無理矢理押しやった。
「全部使い切る事。じゃないと、お母さんとお父さんに怒られちゃうよ?」
「う…うん。ありがとう、ネリスさん」
ルカも嬉しそうに笑うと、ネリスからお金を受け取った。
「ごめんね、いつも」
「ううん、平気だよ。ルカは私の一番大切な友達だもん。困っている時は互いに助け合う。それが普通でしょ?」
「うん。僕、ネリスさんの友達でよかった」
「私もよ。あ、そろそろ家に帰らないと。会えて嬉しかった。それじゃ、またね、ルカ」
「うん。また明日」
ルカは何度も手を振った。
「それにしても、ルカって、あの魔神アスラの転生者、だったんだなぁ。なんか意外、かも」
それは、今日見た夢の内容だった。

『調子はどうだ、フラン』
――センサスの魔神アスラ。その剣術。それは、幾千もの敵兵をねじ伏せた腕。そしてその威風堂々とした態度。ラティオの民からも恐れられた勇敢な戦士。
『うん。体調は、大分良くなったよ。これも、アスラやイナンナ…みんなのおかげだね』
と、嬉しそうにフランは微笑んだ。
『僕、みんな大切だよ。みんな、失いたくない。僕、アスラに助けてもらえてよかった。僕、アスラに感謝してる』
――魔神アスラの忠実な片腕、騎士フラン。その穏やかで優しい性格はセンサスのもの誰もが惚れた程。でも、別称は…―冷酷なる騎士―。刀を抜くと、無感情で、問答無用で敵をねじ伏せる人。
『もし俺が助けてやらなかったら、おまえはどうなっていたと思う』
『死にたいって、生きていたくないって、考えたんじゃないかなぁ』
フランはしみじみと言った。
『でも、もう僕は一人じゃない。だから、もうそんなこと思ってないよ。このまま生きて、アスラたちと一緒に人生を歩んでいきたいって思ってる』

「…冷酷なる騎士、かぁ。どう考えてもそんな性格には思えないんだけど…」
ネリスは呟いたが、やがて顔を上げて首を振った。
「そんなこと考えてる場合じゃなかったぁ。とにかく、家に帰らないと」

はい、新作ですね。
この作品は、各話すべてタイトルはCDの曲のタイトルから取ります。
今回のタイトル、「揺り椅子と猫のいる風景」は、ルカの家やハルトマンの家で流れますね。
でわでわ。 By音谷 響

Tales of Innocence 冷酷なる騎士  

2008年02月19日(火) 15時06分
わほーい、新作だよぉww
前はスパーダ一直線だったので、今回はルカとスパーダに取り合い(?)をしてもらいますww
なので、とりあえず夢主紹介〜

Tales of Innocence 冷酷なる騎士 1 夢主紹介

Nelith Tillmileir (ネリス・ティルミレア) 年齢:16歳 性別:女 武器:刀・二刀流 出身地:王都レグヌム
 王都レグヌム生まれ。ベルフォルマ家に並ぶ武門の名家、ティルミレア家の息女である。幼少期から剣を振るい始め、わずか13歳の頃に両親の実力を超越した。生まれながらにして剣の太刀筋は優れており、右出るものがいないほど。その剣術の実力は、前世フランの影響も少しはあるようだ。
 剣の修行に明け暮れて育ってきたため、友達がおらず、すっと孤独を感じて生き続けていたが、同じ学校に通う1歳年下のルカに出逢い、友達がいないという境遇が似ていたことから仲良くなり、現在では大の親友で、今ではネリスがルカの家に通いつめるほどだ。
 性格は、明るく、マイペース。ルカよりも年上なせいか、いつもいじめられているルカを影で助け、支えている。また、スパーダとよく馬が合い、ルカは多少なりともスパーダに対して嫉妬の念を憶えているようだ。
 ルカもそんな彼女を大切に思い、信頼しており、彼女の前でだけは緊張せずに前向きに話せる。
何かと関わって来るチトセのことを唯一よく思っており、彼女の言葉に心を突き動かされかけることもある。それには理由があり、前世でフランがチトセの前世、サクヤのことをよく思っていたため。だからといってイナンナを恨んでいる、というわけでもない。
 ちなみに、ルカはネリスが貴族である事を知らない。
また、ネリスは幼い頃に両親が勝手にベルフォルマ家の子息と自分を婚約させたが、本人は記憶にないらしい。
『男の子でしょ?男の子がしっかりしなくてどうするの?』

〜前世〜
Franc(フラン) 年齢:人間で言うなら13歳 性別:男 武器:大剣
 地上の国センサスの軍人魔人アスラの忠実な片腕で、超一流の騎士。幼い頃に両親を失い、ある時アスラに助けられて以来、アスラを慕い、憧れつづけている。
また、アスラの持っている剣、聖剣デュランダルのことをかっこいいと思っており、またすごいと思っている。
また、センサスの天空神で、センサスの者からは『天地の統治者』と呼ばれている。
性格は穏やかで、どう見ても戦を出来る人間性を持ち合わせていないが、いざ刀を抜くと、冷酷な騎士に変貌してしまう。
『僕、いつかアスラみたいな勇敢な戦士になりたいなぁ』

Tales of Innocence17 〜北の戦場〜 

2008年02月19日(火) 14時37分
Tales of Innocence17 〜北の戦場〜

「うぐぅぁぁぁ〜……に、二回目の戦場…」
レムレース湿原を越え、北の戦場へやって来た一同。この山場を越えれば、目的地―北の国テノス―に着ける。
「さあ、ここから戦場だ。幸い前線は移動しているようだな」
リカルドは言った。
「僕たちと出会ったのも、戦場だったね」
「そうだね。どうしてだろ。会ってからそんなに時間経ってない気がする」
「僕もだよ。あの時は、どんなに男っぽい女の子だろう、って思った」
「今はどうなわけ?今でも結局、男っぽいって思ってんでしょ?」
と、リティアがルカの鼻の頭に指を突きつける。
「うん。でも、あの時みたいに不良だとは思ってないよ」
「…それ、スパーダに言って。スパーダのほうが不良だから」
「ああ?呼んだか?」
スパーダが振り返る。
「呼んでませんから」
素っ気無くリティアが言う。
「思い出話は後にしろ」
「そうだな。よし、行くぜ!」
リティアが拳を上に突き上げた。

「さあさあ、お待ちかねー。『窓辺のマーガレット』でおなじみのオレの登場です」
北の戦場も後半に差し掛かり、もうすぐ出口、そう思ったとき、ハスタが現れた。そのとき、イリアとリティアが明らかに嫌そうな顔をした。
「ゲェッ、出たッ!」
イリアが言う。
「ほう?その声紋と体臭には覚えがあるなぁ。えーっと、イブラ・ヒモビッチさん?」
「徹頭徹尾、ハンパなく違うっての!」
「なんで?」
ハスタが問う。
「なんで?ってあんたねぇっっっ!!」
イリアが叫ぶ。
「はぁはぁはぁ…」
「イリア、血圧上がりすぎ」
「大変やなぁ、ツッコミ役…」
アンジュとエルマーナが言う。
「変態エロ殺人鬼ぃぃぃ!!何しに来たぁぁっっ!!」
今度はリティアが怒鳴る。
「やあ、探したよーフィティスちゃ〜ん」
「ああ?ぎゃー!!寄るなー!来るなー!近づくなぁーーっ!!!」
リティアはそこらを逃げ回る。そして、スパーダの後に隠れる。
「だー、もう!あんた、ウザイ!!」
「この戦場には歯ごたえのある奴がいなくてねぇ、欠伸を噛み殺していたところだったんだりゅん」
「くぅおら!はぐらかしてんじゃねーッ!この変態エロスケベ変人殺人鬼っ!」
と、再びリティアが怒鳴る。
「おい!このクサレ脳みそ野郎!おまえは今倒す!」
今度はスパーダが言った。
「ああ?おまえ、名前なんだっけ?『口の利き方知らな太郎』?もっと耳障りな言葉選ぶと吉」
「ンだよテメー!人様の身内に悪口言ってんじゃねーッ!マジで潰すぞコルァ!」
恐ろしいような形相で、リティアはハスタを睨みつけた。
「きゃー、フィティスちゃん、そんなに怒らないで♪」
「キショい!もーお願いだから目の前から消えて」
しっし、と手を動かす。
「貴様の軽口は聞くに堪えん。沈黙させるには…死を持ってでしかなかろうな?」
リカルドは銃剣を抜き、ハスタに向ける。
「そうそう、こんなカンジ。キミ、もっとリカルド氏に言葉、教えてもらうといいと思う」
「うっせー!ちっと黙れ!」
「…僕も君に借りを返さないとね。刺された時の痛み、忘れてないよ」
ルカが歩み出て言った。
「やあ、力強い呪詛(じゅそ)の響き。だが靴と服のコーディネイトが気に入らないから死刑な」
ハスタがルカに槍を向ける。
「だからうっさいっての!クドいよ、テメェ」
「…こいつの話聞いてると胸やけせぇへん?」
エルマーナが言った。すると。
「同意!熾烈に激烈に猛烈に同意!!!!!」
リティアが激しく同意した。
「ああ、その貧相な胸の奥では苦しみが満ち満ちているのだね。それは悲しいことだ…」
「テメェにさえ会ってなけりゃ、ンなことにはなってねーよ!」
リティアが反発した。
「さて、なんの脈絡(みゃくらく)もないけど、そろそろおっぱじめよう。授血の時間だ。ちなみに授血とは、『授乳』のミルクの代わりに血を与える行為を言うんだよ?」
「オマエ、マジデウザイヨ? オネガイ メノマエカラキエテ…」
「リティア、あなたも可笑しくなっちゃったの?」
「それくらい察してよ…」
リティアが呟いた。
「…あ、話終わった?ウチ、耳塞いどってん」
「ラルモ。『そろそろ始めよう』とヤツは言っているのだ」
「おもろいやん。はよ、やろうやぁ」
エルマーナはフットワークをとる。
「今度こそ、息の根止めてやる!」
スパーダはそう言って抜刀した。

「グフゥォァッ!おのれ、ここまでくわぁぁぁぁ!!!!」
「へッ、ざまぁみやがれ」
リティアは剣を収める。
「これで貴様の面も見納めだな」
リカルドがそう言ったとき。
「はい、お時間です。帰ろ」
ハスタが立ち上がり、言った。
「てめー、まだ生きてやがんのか…」
リティアがうえぇ、と舌を出す。
「あいつ、何バルドだっけ?そいつの用事済ませたら…見てるだポン」
そう言って、ハスタは去って行った。
「くそっ!やっとアイツを倒したと思っていたのに」
「だぁーもぉ!しつこいヤツ!しつこいヤツ、嫌いだぁ!!」
「『そいつの用事』って、何のこと?」
「オズバルドのことじゃない?あいつ、きっと何か企んでんのよ。あのハスタを使ってね」
アンジュの問いに、イリアが答えた。
「イリア!オズバルドじゃなくてブタバルド!もしくはデブバルド!」
「く…まだあいつと付き合わないといけないのか…」
「顔も見たくねぇ…」
リティアが嘆いた。
「まあ、あんなやつのこと考えててもしょーがねぇ。さっさとテノスに行こうぜ。最後の手掛かりなんだからさ」
リティアの意見に全員が頷き、一行は最後の手掛かりがある街―北の国テノス―へ急いだ。

ハスタとのやりとり、大好きです。ジアビスのディストに匹敵するくらいおもろいわぁ。ってか、下手するとあのディスト×ジェイドやりとりより面白いかも…?ハスタの声優さん、あんなキャラを作れてすげぇ。ディストの声優さんもすげぇ。いつか共演しないかな?めっちゃおもろくなりそう…ww By音谷 響


Tales of Innocence16 〜裏切りの理由〜 

2008年02月19日(火) 13時00分
Tales of Innocence16 〜裏切りの理由(わけ)〜

「どういう事!?リカルドっ」
リティアが船の中でリカルドに訊ねた。
その声を聞き、ルカが起きる。
「みんな、すまない。おまえらを利用させてもらった」
「それだけじゃわかんねーよ」
スパーダがやってきて訊ねる。
「あのガードルがタナトスだと話したな?初めて会った、ナーオス基地で一目見てわかったんだ」
「わたしと契約した直後ですね?でも、あなたはそのときには傍にいてくださいました」
「戦闘後、念波、とでも言おうか。心が直接語りかけてきたのだ。おまえがヒュプノスなら協力しろと」
リカルドは説明した。
「そのときから裏切る事を決めてたっての?」
「そうじゃない…。俺は真意を知りたかった。本当に兄なのか?転生者なのか?そしてかつての優しい兄、地上のためにすべてを捨てたあの兄なのか?それを確かめたかったのだ」
「ウチらを助けたっちゅうことは、そのガードルっちゅう人は期待通りやなかったんやな?」
エルマーナが問う。
「…ああ、優しかった兄の姿はもうない」
「ガードルって人は、僕たちをどうするつもりだったの?」
「おまえたちの記憶を取り出すつもりだったらしい。もっとも、命の保証はなかったらしいがな」
リカルドは言った。
「とにかく…結局はわたしたちを守って下さったのですね?」
アンジュが問う。
「でも…リティアはどーなるんだよ?」
スパーダはリティアをちらりと見、訊ねた。
「もしかしたら、死んでたかもしれねーんだぞっ!あいつ、約束も果たせずに逝っちまってたかもしれねんだよ!てめぇ…それ、どうやって償うんだよっ!謝って済む問題じゃねーんだよ!」
「スパーダ、いいってば」
リティアがやってきて言った。
「リカルドは謝った。ワビを入れた。ちゃんと筋通してるじゃん。確かに、私は一瞬、意識がなかった。生死の境界を彷徨ってた。もしかしたら死んでた。でも、いいじゃん。私は生きてるんだし。生きてて何が悪いの?悪い事なんて、何にもないよな?」
リティアがスパーダに言った。
「けど、おまえ…」
「クドいなぁ、ほんと。クドいヤツは嫌いだっつってんじゃん。怪我ももう大分癒えてんだし、いいの!気にすんなよ、リカルド」
「すまん。幾重にも詫びよう」
リカルドが俯く。
「よし、予定通りテノスへ向かう」
「へっ、何だってんだよ。見捨てたり、拾ったりよ」

「な、なんだ!?」
「チッ」
「逃がさん」
遠くをふと眺めてみると、ガードルがいる。ガードルが追いかけてきている。やがてガードルは船に来て、着地した。
「フン、あなたも創世力を狙う俗物と変わらんな。かつての兄の面影もない」
「私をそこらの有象無象と一緒にするな!その力で天上は消えた。地上で使えば、地上も消えるかもしれぬ。ならば封じるのみだ!それが地上のためだと何故わからんのだ!」
ガードルが言う。
「『地上のため』という言葉は免罪符ではないぞ」
「待ってよ、タナトス!その考え、僕らも同じだ!協力できないかな?」
「いいだろう!貴様の脳みそ引きずり出させていただく!」
「あぁ?うるせーよ。こちとら忙しいんじゃ、ゴルァ!」
リティアが叫ぶ。
「もうあなたはあのタナトスではないようだな」
「勘違いするな、私は転生者ではない。私はタナトス本人だ!地上を愛し続けながら、悠久の時を生き続けておる」
「そんな…では、この方は、神…」
「神だかなんだか知らねーけど、ブッ飛ばすのみ!」

「…勝負あったな」
「いいだろう、殺せ。死んで地上人に生まれ変わるなら…それもいい」
激闘の末、ガードルを倒した一同。ガードルは膝をつく。が、そのとき、何らかの機械音が聞こえた。
「ああ?何の音だ?」
!!」
ガードルは驚き、その機械音のするほうを見上げる。
「あれは…ナーオス基地で見たヤツ…」
「空まで飛んでる…」
「クハハ!ガードル!おまえはもう時代遅れなんだよ!」
ナーオス基地で見たことのある機械の空飛ぶバージョン−ギガンテスZ−の中から声が聞こえる。グリゴリ兵の声だ。
「おのれ…」
「これから我らの長はオズバルド様に取って代わる!」
「愚か者!そこへ直れ!」
ガードルはいい、ギガンテスZに突進した。が、ギガンテスZからミサイルが放たれ、ガードルははるか彼方まで飛ばされていってしまった。
「兄者!」
「貴様もすぐ後を追わせてやる!」

「……」
ギガンテスZを倒し、リカルドはガードルの飛んでいった空を見つめた。
「なあ、ウチ、ようわからかんかってんけど、さっきのおっさん、悪い人やったん?」
「いいえ、きっといい人よ。リカルドさんがあんなに悲しんでいるもの」
「リカルド…」
「マムートが…見えて来た…」
「あ、ほんとだ」
そして、新たな目的地−北の国テノス−を目指し、一行はレグヌムとテノスの国境にある国−商業都市マムート−へむかった。

プロフィール
  • プロフィール画像
  • アイコン画像 ニックネーム:音谷 響
  • アイコン画像 性別:女性
  • アイコン画像 誕生日:1994年8月10日
  • アイコン画像 血液型:B型
  • アイコン画像 現住所:愛知県
  • アイコン画像 職業:小中高生
  • アイコン画像 趣味:
    ・ゲーム-FF・テイルズが大好きっww テイルズは特にTOAとTOIが好きっ☆
    ・マンガ-まだ鋼の錬金術師しか持ってないけど、これからいろいろ集めていきますっ♪
    ・映画-DEATH NOTE もぉめっちゃ好きww
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