第一章/第七話 

March 25 [Fri], 2005, 15:13
「とりあえず、白樹に最も信頼されてる存在。ってワケか…。っていうかリクって誰…?」
説明されればウンウンと頷きながら納得はしていたけど、途中初めて聞く名前が出てくると首を傾げて思わず問いかけてみた。
万里が、さん付けをするなんてきっと女性の方か偉い方の人だろう。
「哩紅さんは…えと…、この時間だからラウンドに居ると思いますね」
「千尋。…キミは私の事を、皇帝。と呼ぶんだ。間違えても公衆の面前で名前呼びはよしたまえ。…まぁ、名で呼びたいのは解るが、…そういうのは二人きりの時だけだ」
この人は、BL大好きな人なのか…?それとも、冗談が好きなのか?
まぁ、私は前者だが。
「…皇帝…?…解った。…ぁ、でも…向こうの世界…如何するんだ?」
「あぁ、それなら大丈夫。向こうの世界の10秒は、コチラじゃ30日…、まぁ1ヶ月位ですね。アナタが寝てらした時間、残り40分だったので…コレを60秒に戻して…計算すると、コチラの世界に居られる日数は、10年以上はありますよ。…多分ですが」
単純に計算しても10年…、…何かのよい経験にはなりそうだな。
それに、ゲーム感覚的世界を実体験出来るなんて最高じゃないか自分。

そんな風に少しニヤけていると、万里に肩を叩かれた。
「…哩紅さんに逢いに行くついでに、城内見て行きましょうか。んと…じゃあ、一回外に出て街からココまでの」
行きましょう、と笑顔で手をとられ、その笑みとは思えない位の力で扉の方へ引っ張られていく。
コイツってこんなに力強いのか…。
「ついでに、万里は走るのも早いから気をつけたまえよ」
今にでも走ろうとしている万里を見ていた私に、白樹からのアドバイス。
ソレを耳にするや否や。
何がどうなっているのか解らないが既に先程の部屋を出て廊下を走っていた。
確かなのはついて行かなくては、足が無事ではスマナイ。と言うコトだけ。
ほぼ直線の廊下を突っ走る。
この時点でもう足が着いて行かない。
だが、きっと足を止めたら床と接触して骨だって折れるだろう。
頭を下げている召使いの方々も、目の前を走り過ぎて行く物体が皇帝の右手であった、千神だとは思わないだろうなぁ…。
万里は何箇所もの階段や段差を軽々と飛び越えて城の正面玄関に迫りつつある。
これまでは一列にならんでいた召使いや兵士達が集まって横にならんていて邪魔な場所をするりと走り抜けていく。

第一章/第六話 

March 25 [Fri], 2005, 13:43
「シロちゃん。愛しのちーちゃんはお目覚めになった?」

今度は、ブラウンのような…薄い色の蜂蜜みたいな、肩スレスレの、この彼等とは違うショートヘアー。…しかも、私とあまり変わらない歳位で背丈もきっと同じ位だろう。
彼は、皇帝様と呼ばれる程の人を、シロちゃん。と呼ぶ位、白樹と親しい仲なのか…。
もう一つ、彼と白樹や万里の違いは、服装だ。
彼は学ランでは無いが、制服らしきモノを身に纏っている。
この世界にも、学校と言う建物が存在するのか?
「…春華、学校帰りか?ちなみに、千神では無く、千尋だからな」
白樹は彼に笑顔で私の事を紹介している。
「千尋?…それでも、ちーちゃんだねー」
彼は私に駆け寄ってきて手を差し出して、ヨロシク。とニッと笑んでくる。
こういう馴れ馴れしい奴は好まないが…、どこか憎めないような笑顔とコチラへ来てから初めての安心の所為か軽く笑んで手を差し出す。
「俺、春華って言うの。しゅ・ん・か。解った?ぁ、ついでに俺、17歳だからねー」
「…私は…、坂上千尋だ。私も17歳…。コチラにも学校はあるんだな。…で、春華や万里と白樹の関係っていうか…その、千神って奴との関係とかが全然解んないんだけど。…もし面白そうなコトだったら…文句言わずに、身代わりっていうのやるケド…如何だ?」

名前とかそういうのもだけど、まずそういう関係が知りたかった。
メンドウや面白いコトは大好きだから、それに丁度元の世界の暮らしにも飽きていた位で。
しかも、BL系オタクにとってこのハーレム状態は確実に元の世界では人生で一度も経験の出来ないであろう、最高の時だ。
…頭の中ではそんなコトを考えている私を知ってか知らずか、…否、絶対に知らないと思うが、万里は目を輝かせて嬉しそうに笑みを浮かべていた。

万里は、感情が表に出やすいタイプなのか…。
「えと、じゃあ僕が説明しますね」
あぁ、…是非アナタにお願いしたいです。
他の二人はきっと…失礼だけど、そういう説明が得意な方では無いようだし。
「まず、僕と春華と哩紅さんと千神様…、いえ、千尋様は皇帝の最も近い付き人の存在です。そして、千尋様はその中でも、皇帝に一番近い存在。…まぁ、皇帝の右を任されていたのです」

第一章/第五話 

March 25 [Fri], 2005, 13:31
それから、互いに合図をするように一度頷けば、私を見る。
「僕の方から順を追って説明します」
「…出来るだけ、簡潔にお願いする」
解った、と少し落ち着こうとして一度先程の紅茶を口にする。
少し時間が経っている為か、冷めてしまうが、ソレもまた美味い。

釘をさしたのは、きっと万里は超敬語キャラで本当に事細かに全てを話す人だと思うから。
「解りました。では申し上げます。…簡潔に…、…千神様…ではなく、千尋様。アナタの今のその身体の持ち主、千神様は昨日お亡くなりになりました。ですが、千神様の代わりとなるような人物は見つからず、護身となるアナタ、千尋様をお呼びさせて頂きました。普通はこのようなコトは無いのですが、やはりまだ千神様は必要なので…申し訳ありません」
「私と対になる奴が死んだけど、まだ必要だ。だから私をその為に呼びつけた。ってコト?」
その通りです、と心底うれしそうに万里は何度か頷いた。

なるほど、よくある話だ。
映画じゃそんなのザラにあるし、アニメや漫画でもよくあるネタだ。
文庫本や児童文学書にだって、クオリティーの差はあるにせよ、よく出回っている。
「で、…そういう迷惑なコトする馬鹿は何処だ?」
「…馬鹿、……皇帝ですか?」
しかも、魔法使いでもなんでもない、きっとこの城の持ち主であろう、こーてい様に呼び出された、ってワケか。

「白樹皇帝なら、先程からずっと此方に」

一度、本当に不思議そうな表情をして、目の前の黒髪を軽く示した。
…この何も一人では出来なさそうなコイツが皇帝…?
今まで見てきた、漫画に登場する皇帝・王様等の美形キャラはこんなのでは無い。
もっと、クールで指パチン一つでメイドとか呼んじゃって…、っていうかとりあえず攻めだ。
…いや、受けでも全然クるが…。

ってそういうコトじゃなくって。
「お前だったのか、私を呼び出した馬鹿皇帝は」
「スマナイ。言おうとは思っていたのだが…なぁ…」
殴りかかろう、等と思っていた丁度その時。

第一章/第四話 

March 25 [Fri], 2005, 13:27
「オイ、いい加減質問に答えろよ」
「せっかちな男性は女性にモテないと思うが?」
確かに、女性にモテたコトは少ないが…、人の気にしてくるコトを言う嫌な奴だ…。

「ぁ、千神様?チーカーミーさーまー?」
そう思っていると後ろから人の声がして肩を叩かれた。
二人しか居ない空間だと思い込んでいた為、驚いて振り返る。

千神様、とその人は言った。

銀色の様な長い髪と蒼色の瞳、背筋の伸びた八頭身。
千神様、と呼ばれて何と答えれば良いのか、しかもこんな二十歳前半位の年上に。
この美しさを的確に表現できないのは、私のボキャブラリー貧困な所為でも無く。
でも、私は人呼んでオタク。
…それでも、平均的高校二年の私の周りには、そうそう美形なんて居ない。
まして、目の前に居る彼も後ろに居る彼だって絶対に見慣れた日本人では無い。
目の前の彼だって、後ろの彼に負けない位に綺麗。
綺麗、と言う言葉が似合っている様な人。
「ぁ、千尋。まず俺の名前は、白樹」
質問するコトで頭がいっぱいになって。

ちゃんと見て居なかった為全然解らなかったが。
目の前の…しら、き…って言う、この人は目があっただけで女の子が失神するような…、まさにBL界ではプリンスの座に置けるだろう。…女の子だけ…、…否…熟女全般か…?
十九歳から二十歳前半位の背格好で、機能的な服装。青とまでは行かないが綺麗な青色で、ベルトとブーツの革のソレが、何処かの軍服に見える。
漆黒の耳に掛かる位の髪と、また漆黒の綺麗な瞳。
全体的、綺麗に整っている人だった。

「万里、違う。…其方の方は、千尋だ」
後ろの彼の名は、万里と言うらしい。
「えーと…、なぁ、何から話せば良いと思う?」
「僕に聞かなくても、全て話したほうが宜しいのではありませんか?」
「…んー…じゃあ…、えと…ココは日本では無いんだ、千尋。それに世界も違う」
そんな衝撃的なコトを告げられながら、私は他の事を考えていた。
白樹って人はきっと一人で居たらあまり何も出来ない人なのかもしれない…。
でも、万里って人はきっとその反対だろうな。
「白樹…えと…、…さん…?」
「なんだい?」
「ココは一体何処なんだ?日本でも無い、私の育った…世界も違うなんて体験は初めてだ」
いつのまにか後ろから、白樹の隣へ移動していた万里が少し不思議そうな表情で、白木を見ていた。

第一章/第三話 

March 25 [Fri], 2005, 1:22
部屋を出れば一転し。
何かの漫画で見たような鮮やかな眩い光を放つシャンデリアが目にはいる。
また、ソレを引き立てる真っ白い綺麗な壁。
茶色の大きい木製の扉。
その中でも一番大きく、一番奥の扉へ向かっているらしい。
歩いている途中も様々な人が私達を見るようにして歩いていて、気になる。
否、むしろ気になるのはその人々の格好等だ。
緑、白、銀、赤、青、紫…金は良いとして、髪色が可笑し過ぎる。
服装だって、今私の手を引いているこの人と同じような軍服っぽい服装の人も何人か見えるし、制服の人だって見える。メイドも居るようで。

そんな風に頭を混乱させていると、一番奥まで来てしまい。
「…ココが千尋の部屋だ」
そう案内され部屋に入ると、思ったとおりとても広い部屋。
先程の部屋よりも随分と明るく、大きなベットだってある。
夢見る女性の方々なら一度は住んでみたい部屋だと思う。
けど、私は違う。
女性なんかじゃないから、そこまで住んでみたいなんて思わない。
「私は、こんな部屋を紹介して欲しいんじゃない。質問に答えろ」
「…さっきのコトかい?…まぁ、ゆっくりと話す。此方へ」
ね?とニコニコとした満面の笑みで椅子をの方へ手招きをされた。
仕方なくその椅子へ腰掛けると、彼は近くにあったティーポットで紅茶を淹れ始める。

コイツは本当に何者なんだ…?
紅茶を淹れるコトにも慣れてる、ってコトは…召使いか何かか…?
それにしても、通ってきた廊下でメイド達はワザワザ振り向いて頭を下げていたし。
なら、御偉いさん?…でも、紅茶…。
「どうぞ」
悩んでいると湯気のたった、淹れたての紅茶を差し出された。
もしかしたら、淹れてるだけで不味いのかも知れない。
等と、先程の脳内想像の末を見届けようと一口飲むと、それがまた美味しい。
お袋に淹れて貰う紅茶も市販のより美味いが…、お袋には悪いが、コレが凄く美味しい。
やはり、コイツは召使いか。

なら、さっさとこの大きい城のような家のような宮殿のような持ち主の馬鹿王子に説明して貰わなくては。

第一章/第二話 

March 19 [Sat], 2005, 23:26
それが今、現在、保健室にいる理由。
あぁ、本当に忌々しい。
ソレを考えるのが嫌になって、私はもう寝よう。と考えた。
授業が終わるまでは、まだ40分もある。
それまでに、胃なんて治るだろう。



――チ…、ヒロ……。…チヒロ…。


誰かが私を呼んでいる…?
コレは…夢か…、…だが私には意識がちゃんとある。
変な夢だな…。


――チヒロ…。…、おい、で…?


――千尋、来い。




誰かに呼ばれた。
最後は異様にハッキリとした記憶だった。
少し頭痛がするが、目は覚めた。


まだ私は夢の中か?
それとも、漫画の読みすぎか?
目覚めた私は、保健室の白い綺麗なシーツのベットでは無く黒い黒い棺桶の中。
何故、私がこんなトコロで寝ている?
「…千尋…?…千尋か?」
私が混乱している中、一人の男の声が確かめるかのように私の名を呼び。
「おはよう、千尋」
声のする方向をじっと見上げた。
男性が、座っている所為か目線を下げて微笑みつつ手を差し伸べている。
「おはよう、千尋」
同じ声。夢の中で私の名を呼ぶ心地良い声だ。
手を差し伸べられると、ついつい見知らぬ者と解っても手を取って立ち上がってしまう。
「…ココは…、…お前は誰だ…?何故私の名を知っている?」
質問するコトが多過ぎる。解らないコトが多過ぎて。
必死になってしまう私に、彼はクスクスと笑い始め。
「ソコでは寒いだろ?…部屋へ戻ろう」
手を掴んだままだった為、手を引かれてしまう。
確かにココは寒いし、何故私があんな棺桶で寝ているかも不気味だ。
抵抗しようとしたが、ココに居るより何処かへ連れて行って欲しい。
まさに、そんな位の部屋だった。

第一章/第一話 

March 18 [Fri], 2005, 22:23
あのね、この世界にはもう一つの世界があるの。
だから、千尋はチヒロって名前でも全然可笑しくないのよ?


ぁー…胃が痛ェ…。
さっき食いすぎたか…?
授業なんてマトモに受けられる自信が無い。
「…先生。胃の調子が悪いので保健室へ行って来ます」
そう言うなり、先生の了解を得た言葉も聞かずに教室を出て行く。
1階へ行き、右へ曲がればスグに保健室。
生憎、保健の先生は居ない。が、寝ている生徒も居ない。
ベットに横になると、眠りにつくまでに色々と思い出して少しイラついてきた。


食器のたてる小さな音と、他のテーブルからも聞こえてくる喋り声。
一日の中で何番目かに好きな昼食のハズなのに、私の座っているテーブルからは近寄り難い喋り声しか聞こえない。
大好きな、カレーライスとリンゴゼリーなのに、何故こんな雰囲気なのか。
ソレは、先程の事。

「俺と付き合って下さい」

あぁ、今思い出しても忌々しい。
私は坂上千尋。コレだけ聞き、一人称が「私」なら、誰だって女性に思う。
まぁ…こうして髪だって長いし、背だってあまり高いワケでは無い。
髪を長くしているのは今度のイベントでコスをしたいからであって。
背なんて、高くしよう。と念じて高く出来るものでは無い。
大体、ココは男子校だ。
そんなコトがあるから、ホモだ。等と私が言われるハメになるんだ。
別に嫌いでは無い。むしろスキだが、リアルは駄目だ。


「あ…あのさ、ちーちゃん。…そんなに急いでいっぱい食べると、また胃を悪くするよ?」
「…別に良いんだ。私に指図しないでくれ」
私の様子を見るに見かねた隣に座っている、幼馴染の刹耶が苦笑気味に止めに入るけど、そんなコト位で止めワケが無い。
だが、実際のトコロは、もう少し胃の調子は悪くなってきている。
2005年03月
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