た Time has passed. (ディーノとビアンキ) 

July 28 [Tue], 2009, 20:37
「少し昔のことを考えていたのよ」

あさ、目覚めたときに彼女はただ一言そういった。
白い部屋に置かれた、椅子に腰かけて、机の上には何かが乗っていた。湯気をひくそれはきっとコーヒーだ。そんな香りがした。
彼女の背後のめいっぱい注ぐ目覚ましの太陽の光がただ眩しくて、俺は目を細めてきらきらと輝く彼女を何とか見つめるくらいにとどまっていた。
彼女の燃えるような髪の色は、本当に燃えているかのように思えた。それは昨日の夜の甘いランプの色とは全く違って、あの夜がまるで嘘みたいに清潔な朝が真実で、不実な夜はなかったかのように思えた。
布団の中で眠い目をこする俺は、まるで昨日の酔いに浸るかのように、一枚の布団の中で震えている。

「少し昔のことを、思い出していたわ」

似たような言葉がまたひとつ放られた。あいかわらずその顔は眩しすぎる日の中にあってうかがい知れなくて、今どんな表情なのかすらわからなかった。
悲しいのだろうか、それとも甘かったのだろうか。その長い時間はいったい何なのだろう。しらないし、しりたくない。でもできたら教えてほしい。一つ一つをなぞることで君に近づくというのならば、その話で背負う傷も悪くはないと思うのは、もう俺がどうしようもない証拠だろうか。
たくさんの思いが出てきたけれど、等しく言葉にならなくて俺は自分自身困りはてていた。酔いもそろそろさめてしまう、すべてが幻みたいに消えてしまう。不確かな記憶もあいまいになって何もなかったかのように消え失せちまいそうだ。
あぁ、はやく、はやく、はやく!なにかを形にしないと!はやく!
なんでかのどを通って音は出ない。開いた口からはぬるい空気ばかりがとおって変な生々しさばかりがまとわりつく。ちがう、ほしいものはそんなんじゃねぇ!ちがうんだ。このままだとどうしたら。
困り果てた俺をよそに、彼女がもう一度口を開いた。

「なんて、どうでもいい話だったわ。朝ごはんにしましょう、エスプレッソでよかったかしら?ディーノ」
「…あぁグラツィエ、ビアンキ」

彼女がこちらを向いたときに、ようやくその表情がつかめた。あまりよくは見えなかったけれど、そこに悲しみはなかった。たぶん、なかった。
それを見たら、俺の長い長い沈黙が嘘のようにするりと言葉になっていた。
夢は夢じゃなかったようだ。安堵と共に震えが止まった。急に朝の陽射しが、やさしく思えた。

お題一覧 

July 28 [Tue], 2009, 20:27
一応順に消化するつもりです。


た Time has passed.
だ 黙っていれば聞こえた声
し 祝福をくれ、これは幸福に繋がる道だ
い 息詰まる孤高が綻ぶまで
こ コットンの肌触り
と とろむ瞼に映る面影
な ナンセンスの天秤は傾く
ど 鈍感ぶった感受性なんか
な 泣かないほうの彼
に 西日の差し込む窓だった
ひ 光、そう呼ぶはずのもの
と とどめのゼロ
つ 続きのない自覚
し 傷心を塗り潰す
な 詰ってくれればいいものを
い いざというときの話
ば 晩花
か 絡まって切なくてほどけない
に 睨んだ目元が、紅くはないかと
な 並び立つ両雄の夢
れ 例外のかたまりのくせに
た タンデム
ら 乱気流に身を躍らせて
よ 喜べよ、お前が喜びと名付けたんだから
か 数えて刻んで消えないように
つ 伝わり落ちるその前に
た 溜め込んだ疼痛
の 残ったほうの手は伸ばす
に 逃げ口上に混ぜた恋


で deathless
も 妄執と、呼ぶべきだったのでしょうか
そ 外の世界はただ口を開いて待っている
れ 0点とるから教えてね
じ 実は私の夢は、
や 止まない雨はありました
あ 曖昧のままでいさせて
あ 「あの日」になる、今日こそがいつか
な なんと醜い私でしょう
た 溜息と吐息の違い
は 始まりの光は突然やってきました
あ 穴だらけの盾
い 要らないけれど、存在は要る
し 衝動が生ませた
て 敵の決め方
く 覆して欲しい、あなたが、私を
れ 冷酷に思考せよ
な 名付けを急ぎすぎたでしょうか
い 命なんて知らない、でも君の体温は好きなんだ
か 返り血ですが、いいですか
な 何が違うのか分かりもしない癖に


わ 割り切るけど忘れない
た 撓めば折れにくい、折れたなら接げばいい
し 振幅
は 狭間の引力
け 蹴っ飛ばしてやるし抱き起こしてあげる
つ 次は、君が私を忘れたころに
き 聞き違えるくらいはしたい
よ 欲張り者の寓話
く 口うるさくて、偉そうで、でもそれは、
こ 孤独ではなかった、最低ではあったのに
う うつ伏せ寝の染み
か かたくむすんで
い 痛いぶんだけあたたかい
な なりたいものになる練習
ど 独白に仕上がる前の、瞬間的な悲鳴のようなもの
で でもわたしの救い主です
き 牙よりも一瞥がこわい
な なびかす抽象
い インクが滲む
の 望みではなく欲でいいなら
だ だきしめてくれたのだろうに
け 結末のうちの悲劇に近いほう
れ 練習は終わりましたか
ど どうしてこんな勇気は出るの


あ 諦めろ、そして生きてくれ
い いつだって肝心なことを知らないままで
し 白はなくしたけど、ほかの色はもってる
て 展望はどこまでも明らかに広がり
る 累でも愛でも同じこと
を 横暴にもなりきれず
た 例えば長い時間の中に、面差しさえ霞んでも
め 目立つところに名前を書いて
ら 落書きじゃなきゃ書けない
う 疑いながら瞑る
の のろのろとしたく
じ 自嘲以外のぜんぶ
や やっと敗れることが出来ます
な なくさせてもあげられません
か 悲しみは来る、しかし悲劇は訪れない
つ ついばむように小さなお別れ
た 託すならこの季節に
と 留めるならこの胸に
そ そろそろだと、たぶん二人ともが感じていた
れ 怜悧も今は役立たずだ
だ 題名は君が付けるといい
け 消せない明かり
は 羽のような薄闇
お 溺れてしまおうかと
も もういちど出逢わせては貰えませんか
う 運命は優しかった、誰がなんと言おうと。


お題:as far as i know 様よりお借りいたしました

このブログについて 

July 28 [Tue], 2009, 20:25

ご覧になってくださり、ありがとうございます。



無駄に100題に挑戦してみることにしました。



はっきりいって完全な形にする気がそもそもないものが大半なので、いつも以上に突拍子もなく、つながりもなく、終わりもなく、意味もないものしかありません。


それでも良ければどうぞご覧ください

(一応あとがきに補足をつけたりするつもりなので、できたらそれで補完等してください)



タイトルはお題サイト様からお借りしております。

表記は「タイトル」(カップリング、コンビ、他)になります。



更新は自由気ままに不定期です
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