フールブレイヴ第33話「闘技場」

November 07 [Fri], 2008, 1:49

 翌日復活したローズと共に町を歩いていると、
この世界のマーケットを取り仕切るY村商店という会社が運営する闘技場を見つける。
 参加受付中と書かれている札を見つけ、ローズは嫌な予感がするが、
案の定エントリーしにいくロードクロサイトの付き添いと登録するため自分も受付へと向かった。

「たくさんいますね…くれぐれも本気出さないで下さいよ。」
「あぁ。最近体を動かしていなくてどうにも落ち着かなかったのだが…。これでやっと体操程度にはなるな。」
 皆動きやすそうな姿になっているが、ロードクロサイトはローブのフードをかぶり顔を隠す。
念のためフードの下でも耳は隠しているが騒ぎになっては後々面倒だ。

 付添い人用の観客席へと移ったローズはロードクロサイトが出るまでの間、
やってきた自称つわものの戦いを見るが、すぐに欠伸が出る。弱すぎてしゃれにならない。
先ほど出てきた剣士は何もかもがてんでだめだったが、
観客席にいた白魔導師の服を着た女性が呪文を使い援護していた。
そのおかげで勝ち上がったが、次の試合で負けるだろうと退屈げに見る。

 ようやくロードクロサイトの出番になり、ローズは顔を上げた。
相手は岩男のような筋肉でいように大きく見える巨体の男。
棍棒のような武器を振り回し、細身のロードクロサイトに向け振り下ろす。
軽々とよけたロードクロサイトの動きにローズは思わずため息がでた。

(遊んでる…)

 そう半ば呆れ加減で見ていると次々と襲い来る棍棒を全てかわし、棍棒の上に乗ってみせる。
一瞬ひるんだ岩男にロードクロサイトは懐に飛び込むと見事なローキックが決まり、巨大な体をマリのように弾き飛ばした。
一瞬黙る会場。すぐに歓声が上がり、ロードクロサイトは控え室へと戻っていった。

「まったく。遊びすぎです。」
「まだまだ鍛えが甘いな。ん?どうしてちらちらみてくるのがいるんだ?」
 首をかしげるロードクロサイトにローズはバンダナの下に隠した耳をかく。
次の抽選であたる不幸なのは一体誰だろうかと、哀れみを含んだ目で背を向ける戦士達を見た。
【普通魔王がこんな場所にいるわけないんですからばれないと思いますけど、
勇者の印を持った勇者以外にも各地に勇者と名乗る人々がいるんですから注意してくださいよ。】
【そうか?まぁフードは極力外さないが…じゃあもっと苦戦している風に見せればいいのか?】
【演技下手なのでいいです。ただ攻撃回数を増やしてください。けりで大男を倒すなんてありえませんよ。】

 わかったという返事を返すが、下手とは何だと腕をひき、一瞬近づいたローズの額にでこぴんをする。
幾分力が入っていたようで言葉なく悶絶するローズに賞金目当てでやってきた戦士が顔を青ざめた。
最も、ローズは悶絶していたのは痛みもあるが、半分は顔が突然近づいたことでのうれしさもあるようだ。
立ち上がった早々ににやりと嬉しそうに笑うのを偶然見てしまった自称狂戦士はドMか、と引いた。
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