映画「鑑識.米沢守の事件簿」六角、はいりにただただ堪能!

2009年04月07日(火) 19時20分
4月5日日曜昼は嫁さん、長女とシネプラザサントムーンで「相棒シリーズ 鑑識.米沢守の事件簿」を観に行った。

嫁さんはいわゆる曲者が好みでテレビの「相棒」では伊丹役の川原和久や米沢役の六角精児といった役者さんのファンだ。
その六角が主役のムービー、嫁さんが行かない訳がない。
旦那と娘にお誘いの声がかかった次第。

映画を観る前に遺伝研に桜見物に行ったが、ガードマンが門前に立っていて、遺伝研構内への無断侵入が出来なかったので、止むを得ず三島大社の桜を見に行った。
ちょうど満開で見物客もかなり出ていた。
桜見物の後、シネプラザサントムーンへ行った。
軽く昼食をとり映画館へ。

映画は13時10分からの回で観客は50名位。
この映画は相棒シリーズ史上初のスピンオフムービーと銘打たれている。
監督は長谷部安春。

2008年春に公開された映画「相棒 -劇場版- 絶体絶命!42.195km 東京ビッグシティマラソン」の後日談、マラソン当日から始まる。
マラソンに参加した人間の中から犯人を映像サーチしていた米沢(六角精児)はその映像の中に家を出て行った妻知子(紺野まひる)を見つけ驚愕する。
そして知子のアパートで知子がネットで購入した青酸カリを飲んで死んでいるのが発見される。
しかし、実はその知子は妻知子と瓜二つの真鍋知子(紺野まひる)で別れた夫は所轄の刑事相原(萩原聖人)だった。
相原は「元妻が自殺する訳がない。誰かに殺されたんだ。」と固く信じている。
その相原と即席の相棒を組んだ米沢は真鍋知子が働いていた青少年防犯協会に行き、聞き取り調査を開始する。
青防協の経理課長天野(市川染五郎)は理事長の設楽(伊武雅刀)が知子にセクハラをしていたと相原と米沢にリークする。
セクハラで青防協に飛ばされた元警察官僚の設楽は見るからに叩けば埃が出そうな男でいかがわしい。
知子の同僚の早苗(片桐はいり)は「設楽は若い女の子にはセクハラしていたが、年増の知子には興味がなかった・・・」と云う。
知子の部屋や理事長の部屋に盗聴器が仕掛けられ、また、知子が大量の金額を引き出していた銀行通帳が何通も理事長の金庫に隠匿されていたことが分かってくる。
果たして、知子は自殺だったのか、それとも誰かに殺されたのか・・・
強引な捜査を行って警察上層部から謹慎処分を食らって監視される羽目になった相原と米沢の二人は確たる証拠がないまま、犯人に自白させようと一か八か最後の大バクチに出る。
さて、真犯人は設楽、天野それとも・・・

真犯人が判明し、犯人は「誰も見ないポスターやポイ捨てされるパンフを作って・・・これ、皆の税金・・・だったら、使ったことにして、取っといた方がいい・・・」この犯人の言い分に妙に納得する俺。

今回は杉下(水谷豊)と亀山(寺脇康文)はちょこっとしか出てこない。
米沢は杉浦に助けて欲しいと思うが、「これは私の事件(ヤマ)なんです。」と汗だくになって捜査に没頭する。
しかし、杉浦が米沢に送った落語のCDが大きなヒントを与えることになる。
出番は少ないが杉浦の役割は大きい、水谷を立てているわけだ。

ほかの出演者はテレビ「相棒」のレギュラーが総出演。
伊丹(川原和久)、三浦(大谷亮介)、芹沢(山中崇史)の捜査一課トリオ、薫の妻美和子(鈴木砂羽)、右京の元妻たまき(益戸育江)、警察上層部の刑事部長内村(片桐竜次)、参事官中園(小野了)、監察官大河内(神保悟史)の3人、それに角田課長(山西淳)といった面々だ。

矢張り、川原はユニークでおかしい。

六角も几帳面で大雑把の性格がよく出ている。
また、パソコンおたく、ギターを持った路上ライブ、それも高田渡の「生活の柄」を唄う、これがいいのだ、「大人の科学マガジン」が揃っている部屋といった、六角の実イメージが髣髴とするようなシーンも多々、出てきて楽しい。エンドロールで六角がパックしているスナップ写真も妙におかしい。

客演の片桐もほんとにおかしい。
うだつの上がらなく、そして何事にも黙っていられないOLの役がピッタリだ。

途中、六角と萩原とのやり取りのシーンでウトウトしたら、それを目ざとく察知した嫁さん、かなり強く俺を突っついた。
彼女がお芝居でウツラウツラしていてもそんなに強くは突っつかない。
全くーぅっつ!

映画が終わって、「面白かったね」とお互いに確認しあう、我が夫婦。
長女は割りと冷静で一言「マア、マアじゃない」。

俺が「六角で映画のシリーズが始まるんじゃない?」と云うと「ないんじゃあ、ないの!」と嫁さん。

我が相棒はホントに愛想なしだ。

宮藤官九郎監督「少年メリケンサック」、映画自体も充分パンクでグルーヴィーだったよ!

2009年03月10日(火) 23時45分
3月5日木曜夕方は有楽町の丸の内TOEI 1で宮藤官九郎監督・脚本の「少年メリケンサック」をシニア料金1,000円で観た。

主演は宮アあおい、共演が佐藤浩市、木村祐一、田口トモロヲ、三宅弘城の中年4人組。
この4人がパンクバンド‘少年メリケンサック’のメンバーだ。

宮藤の監督第1作「真夜中の弥次さん喜多さん」がシュールで面白かったので、宮アあおい主演で中年パンクバンドをテーマにした2作目も面白いだろうという次第。

平日の16時からの上映だったが、観客が総勢30名弱。
予告編が7本流れて、16時12分から本編が始まる。

レコード会社の派遣社員栗田かんな(宮アあおい)は契約切れ寸前にパソコンの動画サイトで‘少年メリケンサック’の絶叫ライブの映像を見つけ、社長の時田(ユースケ・サンタマリア)に有望な新人と紹介する。
時田は‘少年メリケンサック’を売り出そうと考え、かんなを正社員にして、「すぐ‘少年メリケンサック’と契約して来い」と指示する。
先ず、メンバーのベースギターのアキオ(佐藤浩市)を尋ねる。
イケメンどころかアル中寸前のくたびれた中年男のアキオにかんなはただただビックリ。
かんなの観た‘少年メリケンサック’のライブ映像は何と25年前のものだった。
仙台で牧場を営んでいるアキオの弟ハルオ(木村祐一)、25年前のライブの乱闘騒ぎで半身不随となり言語不明瞭で車椅子に乗っているジミー(田口トモロヲ)、これも乱闘騒ぎの時に額に3本の傷を作って、相変わらずモヒカン刈りのヤング(三宅弘城)をかんなは探し出し、4人にやっとこさっとこ演奏を再開させる。
しかし、25年振りに楽器をいじった4人は演奏がボロボロでバンドの体をなしていない。
愕然としたかんなは会社から逃亡しようとするが、ネットで‘少年メリケンサック’の人気はうなぎ登り、社長の時田は全国のライブハウスと‘少年メリケンサック’の公演の契約を結んでしまっていた。
そこで演奏がボロボロでも違約金を払うよりか、演奏をして客から罵倒された方がまだましということでメンバー4人とマネージャー役のかんなはかんなの親父のラーメン屋のおんぼろバンで全国のライブハウス巡りに出るのだった。
東京を出発して名古屋、大阪、広島、仙台、東京とバンに乗った5人の旅が続き、最後は何とか演奏もまともになり、テレビのニュース・ショーにも出るまでになる。

まあ、一種のロード・ムービーだ。
この全国転々演奏罵倒物語に絡めて、4人の25年前の話が適宜、フラッシュバックされ、また、アキオとハルオ兄弟の近親憎悪というか様々な葛藤も描かれる。

アキオはギターが弾きたかったのにハルオの方が上手かったので、やむを得ずベースにまわったとか、アキオが早く家を出てしまったので牧場の面倒を見なければいけなかったハルオの不満、アキオがハルオの恋人美穂(烏丸せつこ)を奪い、おまけに子供まで作ってしまったアキオへのハルオの憎しみといった兄弟の恨みつらみが、最後に成功してライブ演奏をしているシーンで大爆発して兄弟の大立ち回りとなる。
それを見ていたかんなはその場を逃げ出し、しょぼい顔つきのかんなのアップで幕となる。

かんなの父でラーメン屋の親父に哀川翔、ジミーの妻に広岡由里子、アキオ・ハルオの父に犬塚弘、TV局の司会者に中村敦夫と助演陣も豪華。

主演の宮アは躍動感溢れていたし、何といっても表情がよかった、この人は矢張り映像の方が映えるのではないか!?

佐藤や木村はギターを初めて演奏をしたのだろうけれど割と様になっていた。

田口や三宅も飄々としていてグッジョブだ。

「どうせ俺等は笑われもん。若い時は大人に笑われて、今はガキに笑われて・・・今やらなかったら、何時やるんですか?腹出ても禿げても屁臭くても皆揃っているうちにやりましょうよ。生きているうちに続けましょうよ!」と熱く語るヤング、この台詞にウルウルとしてしまう、俺。

俺はこの映画は中年・老人への宮藤の熱いエールだと勝手に感じいった次第。
パンクバンドの中年男の愛と再生をメインのテーマにしていたが、兄弟の葛藤、親子の葛藤と情愛、派遣社員の悲哀と楽しみ、かんなと売れないシンガーソングライターのマサル(勝地涼)との恋愛といった話が山盛り。

マサルがラストシーンで半分、モヒカン、半分丸坊主姿で‘少年メリケンサック’のメンバーとしてギターを弾いている姿には大笑い。

パンクバンドを扱っていながら、この映画がパンクそのもの。

今回も宮藤は映像で鬼才振りを十二分に発揮したのだった!

足立正生「幽閉者」、新たな闘いの始まり、始まりの闘い!

2007年03月02日(金) 22時11分
28日水曜午後、渋谷のユーロ・スペースで足立正生の35年振りの監督作品「幽閉者」を観た。

60年代、足立監督は若松プロダクションで出口出という共同執筆名でピンク映画の脚本を量産していた。
俺は若松映画を池袋や上野の場末のピンク映画館で良く見ていた大都会の地底に棲息する孤独な青年の1人だった。

かつて、新宿の蠍座で足立監督作品特集があり、「銀河系」などが上映された。
俺はこの時、見にいったが、はっきり云って良く分からなかった。
その後、足立は永山則夫に触発された「略称・連続射殺魔」(69年)、赤軍派の「赤軍−PFLP・世界戦争宣言」(74年)を発表。俺はこれらの映画には興味が沸かず、未見。

そして足立はパレスチナに渡り、No Name Soldierとして活動。
97年にレバノンで逮捕され、2000年に日本に強制送還、執行猶予期間が過ぎて、35年振りに映画界に復帰。
72年のテルアビブ空港乱射事件の岡本公三をモデルとしており、足立正生に或る時期、思いを寄せた俺にとって、モデルの岡本に仮託し、足立が何を考えているのか、「今、足立正生とは何か」を考えようと思ったのだった、まあ大仰な。

平日の午後一番の上映だったので、キャパシティ100名ちょっとのユーロスペースに観客は11名。
俺を含めて男の年寄りが4名、やや年がいった女客が1名。あとは若い男女といったところ。
13時50分に予告編が始まって、14時7分頃から本編がノイジィーな音楽と共に始まる。

空港襲撃に失敗し、1人、自決にも失敗して捕虜となったMは死刑の宣告を受けず、せせっこましい独房で注射漬け、拷問の日々。
そのMの「死すべきか生きるべきか」というより、無理やり生かされている中で、どう死んでいくのかといった哲学的テーマが追求されている。
朦朧としたMの頭には、少年時代の様々な思い出、死のう団の行列の死の誘い、ロシアの革命家や導師の妄言といった様々な幻影・幻想が去来する。
そして、最後に「俺はここにい続ける。ここが俺の原点・・・」とMがつぶやいて再度、生き続けることを吐露。

この映画を観て感じたことは色々ある。
先ず、自分の今いる場所から闘い続けることの大切さ、“今の一見、自由を謳歌している時代に生きている我々は、実は見えない敵から、精神も肉体も幽閉状態におかれているのではないか?”という点、自分が幽閉されたとしたら、どう生きられるのか、Mは牢獄で舌を噛み切るなどして自死出来た可能性があったのに生き続けたのは何故か・・・といったことだ。

又、この映画を観ながら、別のことも考えていた。
オーム事件の麻原彰晃は現在、獄中で一体、何を考えているのだろうか?、又、罰と言う意味では“死刑よりも無期懲役で拷問刑のほうが罪人にはきついだろうな”ということも感じた。
死刑は一瞬で終わりとなるが無期懲役の拷問刑は死ぬまで続くのだから。
とにかく、色々なことを考えさせてくれる映画だった。

この映画では“りんご”が重要なキィ・ポイントになっていた。
先ず、映画冒頭のりんごの花が咲いている叙情的シーン。
次に牢屋で若い囚人が食べかけのりんごを床にこすり付け、そのこすり付けられたりんごの跡をMが匂いを嗅ぐシーン、ここは何とも鮮烈なシーンでブルブルきた。
そして、りんごの花が咲き揃う中をMが駆け抜けて行くシーン、このシーンもノスタルジックで幻想的だ。

また、かつてのATG映画のような古臭いというか、懐かしいというか、そういう感じのシーンも多々あった。
例えば、Mの 少年時代の食事風景。父親を赤瀬川原平、姉を荻野目慶子が演じていた、この2人も秀逸。
Mと少女の2人のラブシーンもそうだ、俺はこのシーンはSEXまでいくのかと期待したが、それは観客の想像に任せた感じで品良く、仕上がっていた。

全般的にかつての足立の難解な映画の作りから比べると分かりやすくなっていたと思う。

主演の田口トモロヲは獄中に囚われた人間の絶望を全身で表現していた。
ロシアの革命家に扮した大久保鷹もいかがわしい雰囲気がプンプンしていて好演。
国籍不明の牢獄の保安隊長を演じた流山児祥もかなり悪い感じが沸々としていてピッタリ。
その他のキャストにはPANTA、瓜生良介(発見の会)、梶原譲二。
そして、特別出演に若松孝二、松田政男、平岡正明、秋山祐徳太子、加藤好弘(ゼロ次元)、四方田犬彦といった錚々たるメンバーが出演。
瓜生、梶原、秋山、加藤といった懐かしい名前に出会えたし、PANTA、若松、松田、平岡、四方田は今でも気になる存在だ。
しかし、誰が何処に出ていたのか、皆目、分からず・・・

音楽も大友良英、ジム・オルーク、飴屋法水、刀根康尚といった通好みが担当。
ノイジィーな音楽が映画にピッタリだった。

ラストシーン、PANTAのモノローグ「何処かへ走りすぎていくことが出来るのか 出来るだろうさ それが俺の 俺達の 君の永遠のはじまり」は新たな足立や足立の仲間達の新たな闘いの始まりなのだ。
そうだ、この映画は足立自身の今、居るところに居座って再び人生の闘いを開始するという“宣言”だった。

映画が終わって、入り口で愛育社刊「幽閉者」という本を買ったのだが、その時の売り子が大人計画の平岩紙に良く似ていた。まさか本人ではないと思うのだが・・・

最後のPANTAのモノローグは“頭脳警察”時代の幾多のアジテーションを思い起こさせてくれた。
かつての「世界革命戦争宣言」のような過激さはないが、深く内省化され、心にズッシンと響いてくる。
そんなことを考えていたら、昔を想い出して、妙に懐かしい感じになって劇場を出たのだった。

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