05、 

January 22 [Tue], 2008, 15:48
pipipipipipi・・・

ケータイが鳴り響く。

沙耶は自分の部屋の壁にもたれて座って眠れないでいた。

まだ震えている手をのばし、そばに置いてあったケータイを手にする。

そして、待ち受け画面を見て沙耶はどきんとした。


「松林 光喜」


「なんで、こんなときに・・・」

沙耶はぽつりとつぶやくと、親指をそっと運び電話を切った。

しかし、数秒後・・・またもや光喜から電話がきた。

沙耶は、くしゃくしゃの髪のまま小さくため息をついた。

ピッ・・・


「・・・はい。」

「俺だけど。」

「・・・うん。」

沙耶は遠くを見つめながら落ち着いた様な声で電話に出た。

光喜は、かすれた吐息交じりの声で囁くように言った。

「・・・アイツ、死んだんだってな。」



・・・・・・・・シンダ?


レイノ・・・・・・・・コト?



アイツ・・・・・・?ダレ・・・・・・・?




「お前、友達だっただろ。」


「・・・・・・誰が?」


「は?」



「・・・・・誰がって聞いてんのっ!!」

つい大声を出してしまった。

別にイライラしてるわけでもないのに・・・・・

いま、なんか今まで感じたことのない・・・変な気持ち。



光喜はしばらく黙っていた。

が、ようやくいつもの感じの口調で話し始める。

「レイ・・・ちゃん?だっけ?」



出来れば、聞きたくなかった。

私は、こらえていた涙を流そうとした。

でも、その涙は不思議で・・枯れたように流れなかった。


どうして?

私・・・・・レイを殺したの?







・・・・・・・



電話を何も言わずにそのまま静かに切る。

そして、大きなため息とともに外で大粒の雨が降りだした。

それをただぼーっと眺めていた沙耶の頬を一筋の涙が伝う。

松林君のせいではないの?

私のせいなの?

レイは何で死んだの?

私たちの未来には一体、何がまってるの?


沙耶の瞳はすっかり藍色に染められていた。

あとからあとから、流れ出る涙の川を雨で濡れた窓に映しながら・・・


その日の午後・・・

レイの自宅から電話があった。

沙耶の母が電話に出た。


どうやらレイは、10階建てマンションの屋上から飛び降りたらしく

屋上には、レイの履いていた黒のローファーと、、、


レイと沙耶が映った写真が見つかったらしい。


それは、青い空をバックに高校入学の記念として撮った

レイと一番最初に撮った写真。

明るい笑顔でピースするレイの隣にいるのは、

作り笑いをして、うかない顔をしている沙耶。

レイは、高校に入って初めての友達が沙耶だから、と

写真を一緒に撮ってくれと頼んだのだ。

そして、後日には焼き増しして沙耶に渡してくれた。


「あのときの・・・・・」


沙耶は、レイの母親から預かったその写真を涙でぐしゃぐしゃに

するまで、ずっと眺めていた。

04、 

January 20 [Sun], 2008, 10:37
「名前教えて♪」

「・・・さや。」

「さやちゃんかぁ♪レイって呼んで!」

「・・・れい?」

「うん!これからお友達になろ?」

レイは本当にいい子で、優しくて私みたいに人見知りなんかじゃなくて・・・

堂々としていて・・・私は高校1年生の時からレイを憧れとしていた。

長いサラサラの髪が印象に残っていて、可愛らしいギャルっぽい子だなって

思っていた。

でも、それは外見だけで、中身は全然違っていた。

ギャルっぽくなんかなかった。

本当に純粋で、誰にでも同じように接して、明るくて

クラス全員を次々と変えていった子。

大人しめの子にはいつもより少しテンションを下げて同じ目線で話しかけて

逆にすごく派手な男子には、髪の色もっと暗くしろとか、ピアス開けるなとか

注意してたっけ。

あ、そうそう。この前も一緒に下校していた途中、小学生が集団でいじめられて

いて・・・レイが、いじめてた子達をおっぱらった。

そして、泣いていた男の子にだけ穏やかな顔で話しかけて

カバンのポケットの中に持っていたキャンディーを2つくらいあげてた。

その前も、おばあちゃんが道路を横断しようとしていたら信号が赤に

変わってレイが一緒に渡ってあげたんだよね。

おばあちゃんも何度も頭を下げて嬉しそうにレイに手を振ってた。

私はただ見ているだけ。

レイみたいな事、できないから。

外見は、スカート丈も短くて髪もワックスやスプレーでくるくる巻いていて

顔もすっぴんのほうも可愛いのに光喜クンが見てるって言って

ずっとギャルメイクしてて、口調も語尾を延ばして、

将来の夢はネイルサロンとか言ってたよね。

レイは、私の憧れだったんだ。


なのに、なのに・・・


どうして?



どうして・・・飛び降りたの?


私が、松林君をもっと早く避けていたらよかったの?

変な誤解させちゃったね。

私にやきもちやいてたって言ってたよね?

あの時、本当にそう思ってたの?

ねえ?おしえて?

「名前、おしえて♪」

「・・・さや。」

「さやちゃんかぁ♪」

おしえて・・・

今度は、私が教えてもらう番だよ・・・


どうして、飛び降りようとおもったの?

レイはなんで学校の前で座ってたの?

いつまで泣いてたの?


私のせいなの?

03、 

January 19 [Sat], 2008, 11:53
私は目の前が真っ白になった


目の前で何が起こってるのかわからなかった


ただ、ぼんやり見えるのは


救急車のサイレンの赤いランプと


野次馬だろう近所の人達の集団


聞きたくない話し声が聞こえる・・・


「女の子がそこのマンションの屋上から飛び降りたんだって」
「違うわよ、踊り場って聞いたわよ?」
「嫌だなぁ・・・自殺か?」
「やめてくださいよ、あなた。」
「ママぁ、誰か死んだの?」
「こらっ、そんな事言わないの守っ!」



救急車の重なるサイレンの音でたまにかき消される・・・

でも、

こんなにはっきり聞こえてしまう。


その時、マンションの出入り口からタンカを二人係で

こちらへ向かってくるのが見えた。

急に周りの人々の声が、また一段と大きくなる。


私は、意識が朦朧とする中 

こちらへ向かってくる・・・タンカで運ばれてくる・・・

傷だらけの


レイの姿をはっきりと見た。




「れ・・・・イ。」

ワタシノコエハフルエテイタ。

アマリノコワサニミブルイシタ。

トリハダモタッタ。

嘘ダ・・・・レイナンカジャナイ・・・・。

コレハ夢ダ・・・悪夢ナンダ・・・。


救急車に運ばれるタンカを私は最後まで見ていた。

雨が降ってきた。

私の頬を流れる。

雨はやさしい。

私の涙を隠してくれる。



私は、暗い空を見上げて大声で笑った、そして、泣いた。

02、 

December 31 [Mon], 2007, 13:47
「・・・え?・・・ ・・・レイが?」

沙耶は受話器を手に取ったまま・・・

昨日レイと話したことを思い出しながら・・・

寒空見上げて冷たい夜の街を歩いた光景・・・

レイの最後につぶやいたように言った「おやすみ」・・・


沙耶は、思い出していた・・・

受話器を手に取ったまま・・・


「った、ただいまぁ・・・」

玄関で苦笑いする沙耶の前に母が怒った表情で立っている。

「沙耶っ!!なんでこんな夜遅くっどこ行ってたのっ!?」

「・・・ごめん、ちょっと。」

「ちょっとって何よ!?もう、お母さんすんごく心配したんだからね!!」

「ごめん・・・」

「あんた、女の子なんだからこんな真っ暗闇ひとりで走ってても

狙われたりするのは0%じゃないんだよっ!?」

「わかったよぉ・・・ちょっとレイと話してただけだから。」

「・・・レイちゃんと?」

「うん」

「・・・ ・・・何処で何してたのかしらないけど、次にこんな事したら

本当に許さないからね?」

「・・・はぁい・・・。」

ようやく沙耶は自分の部屋に入る許可を得た。

パタン・・・

まだ、父や兄は眠っているので沙耶は静かに扉を閉めた。

「・・・ふぅ・・・」

ため息をつくとケータイをいじりだした。

・・・ピッピッ・・ピピピッ・・・ピ・・・


気付けば沙耶の部屋の窓からはうっすら日差しが・・・。



「さやぁ・・・さや・・・ ・・・沙耶!!」

母の声でようやく目を覚ました。

どうやらあのまま眠ってしまったらしい。

ケータイを片手に眠っていた。

「んもう!昨夜は突然出て行くは、今日は机の上で眠ってるは・・・」

「・・・なぁに?母さん。」

「ん?・・・あぁ、レイちゃんのお母さんからお電話よ。」

「・・・レイの?」


しぶしぶ起き上がりながら沙耶は階段を下りてすばやく電話に出た。

「・・・はい、お電話かわりました。沙耶です。」

「・・・沙耶ちゃん?」

「はい・・・?」

今までとは何か違う雰囲気のおばさんの声。

「レイ・・・そちらにお邪魔してないかしら?」

・・・ ・・・え?


「い・・・いいえ?」

「・・・そう・・・。昨日の夜出て行ったきり戻って来ないから。」

沙耶はおばさんの話を最後までよく聞かないうちに勢いよく電話をきった。

そして、ばたばたと玄関に向かって走り出した。

「沙耶っ!?あんたまたどこかに行くの1?」

沙耶の目は涙で濡れていた。

「レイが帰ってないんだって!!私、探してくる!!」

「え!?ちょ、待ちなさい!!」

「お母さんは、警察に連絡して!!」

「沙耶!?」

母の呼びかけを無視して沙耶は走り続けた。


レイ・・・昨日の夜・・・あのまま・・・別れたあと・・・

あなたは、どこに行ったの?

家じゃなかったの? 家に帰ったんじゃなかったの?


どうして?


どうして家に帰れなかった?私にまだ話せていなかった事があったの?

相談相手、私じゃ駄目だったの?


私のせい?


沙耶は、涙を手で拭いながら町中を走り回った。


昨日はすぐ見つかったのに・・・なんで今日は見つからないの?

おかしいな・・・

昨日は学校の前にいたよ?

なんで今日はいないの?

どこに・・・


どこにいるの?  レイ・・・

01、 

December 26 [Wed], 2007, 9:58
「家、帰ろ・・・。」

沙耶は立ち上がり、鼻声のままつぶやいた。

レイは、涙と涙で落ちたメイクでぐしょぐしょになった顔をあげる。

「・・・ん。」

声にもならないような声でレイも沙耶の隣に立った。


静かな夜の町を2人は歩いていた。

「レイ、どうしてあんなとこにいたの?」

沙耶は優しい口調で問いかけてみた。

レイはただうつむいたままで口を開こうとはしなかった。

沙耶は、そんなレイを見て深くため息をついた。

「・・・私、ほんっとに心配したんだよ。」

レイは、まだうつむいている。

その時のレイの表情は、哀しそうで、まるで光喜にフラれたあとのよう。

レイは、まだうつむいている。

沙耶は、レイから視線をいったん離すと再び口を開けた。

「ほんとに心配して心配して・・・レイ、どうしちゃったんだろ・・・て。」

「・・・」

「もしかしたら、松林クンと私との関係誤解してんじゃないかって。」

「・・・」

「そう思えば思うほど、レイの哀しい表情が浮かんできて・・・」

「・・・」

「そしたら電話きたんだ、レイから。」

「・・・」

「びっくりしちゃった。それで電話とったらあんなこと言って・・・」

「・・・」

「私、本当にレイとお別れするのかって・・・ちょっと焦った。」

「・・・。」

「でも、今みたいにまた会えてよかった・・・。」

「・・・ ・・・。」

「これからはもう、あんな電話かけてこないでよね。」

「・・・ ・・・。」

「レイ・・・、私、松林クンとは何もないから。」

「・・・で・・・たん・・・ょ?」

「・・・え。」

「でも、付きあってたんでしょ?」



レイ・・・まだわかってくれないの?



「違うってば!!」

「何が違うのっ!?」

・・・言い返せなかった。

あの時の私は、本当に馬鹿で・・・

知らないうちにレイの傷口をまたえぐってた。



私はレイを悲しませた・・・。



「・・・ばいばい。」

「うん。」

レイは沙耶とは違う道を歩き出した。

「レイの家そっちだもんね。おやすみ。」

「うん。おやすみ・・・」




これが、これが最後の会話だった。


レイとの、最後の会話・・・。



このときの私は本当に馬鹿だった。

本当に・・・・・・・・・・・・。

レイの気持ち考えてやれなかったんだ。

友達失格。

第2章 花 

December 25 [Tue], 2007, 15:20
沙耶は、冷えきった外へ寝巻きのまま飛び出した。

途中で母の声が聞こえたが振り向かなかった。

・・・振り向けなかった。

走っている途中に思い浮かぶものは、元気で笑顔なレイの姿。

光喜のために今まで一生懸命伸ばしてきた綺麗な長い髪を

ばっさりと切ったレイ・・・

沙耶が落ち込んでいる時、たくさん話しかけてきて

明るい笑顔で慰めてきてくれたレイ・・・

外見はギャルっぽいけど、小さい子からお年寄りにも優しくて

誰からも好かれていたレイ・・・

そして、何よりも・・・


「何よりも、私を大切に思ってくれたレイ・・・。」


涙をこらえながらも沙耶は思い切り夜の町を走り抜ける。

レイが、今どこで 何をしようとしているのか

全然しらない・・・

でも、でも、なにか 嫌な予感がする・・・



「っはぁ・・・っはぁ・・・っ」

苦しそうに息を吸ったり吐いたりする沙耶。

たどり着いた場所・・・そこは、


沙耶たちの通っている学校。


「・・・みつけた・・・。」


学校の門の前でうずくまっているのは・・・


レイだった。


沙耶は、今までこらえていた涙を溢れ出たように流した。


「・・・・っな・・・てんのよ・・・・イ。」


レイは沙耶の声に気付いたのかそっと顔を上げる。

せっかく顔をあげてくれたのに涙で滲んでよくわからない。


いま、あなたはどんな表情してる?

いま、あなたはどんな気持ちでいるの?


「・・・ ・・・ ・・・さや?」


レイのかすれた声が、しんとした町に響く。


「・・・どうして・・・どうして・・・きたの?」

沙耶は涙を掌で拭いながらレイの所へ駆け寄る。

「ばっ・・か・・・ ・・・わたし・・・さがさないとでもっおもっ・・・」


上手く話せない・・・泣いてちゃ伝わらない・・・


すると、隣でレイのくすっと笑った。

「れい、おばかちゃんだよねぇ・・・さやに・・・めーわくばっか・・・」

レイの声は、だんだん弱まり震えていく。

「れいねっ・・・ばかだよぉ・・・うっ・・れいねぇっ、さやに

やきもち・・・やいてたぁ・・・っえっうぅ・・・」

どうにか涙を拭い、沙耶はレイを見つめる。


久しぶりに会ったような気がする・・・

ヘンなの・・・レイと昨日あったばかりなのに・・・


でも、何故か・・・その日のレイは昨日と変わって見えたんだ。


09、 

December 22 [Sat], 2007, 16:11
信じられないことが起きた。


pipipipipipi・・・

沙耶は不快なケータイの着信音で目が覚めた。

眠たい目を左手でこすり、そばにあった時計に目をやる。

「まだ、夜中の2時じゃん・・・。」

つぶやきながら、そっと耳元に置いてあったケータイに

手を伸ばす。

ピッ・・・

「あい・・・。」

寝ぼけた沙耶の声。

「・・・。」



「もしもし?」

「・・・。」



電話の向こうからは何も聞こえてこない。

「・・・もしもーし?」

「・・・や・・・とう。」

??

電波が悪いわけでもなさそうだが、声が小さすぎて聞こえない。

「え?」

沙耶の眠気は次第にどこかへとんでいった。

電話の向こうから再び聞こえた少女の声・・・

っ!?レイ・・・?

沙耶は急いで電話を持ち直した。

「レイ・・・レイなのっ!?」

「・・・さや、いままで、ありがとう・・・」

今までに聞いた事のないようなか細く弱弱しいレイの声。

今にでも消えてしまいそうなかすれた声。


泣いてるの・・・?


沙耶は少し声を張り上げた。

「レイっ!?今どこにいる!?おしえてっ!!」


なんか、わからないけどっ・・・


「・・・さや、ありがとう・・・でも、さがさないで・・・」


いやな予感がするの・・・


「レイ!!お願い、答えて!!今どこっ!?」

「ひとりに・・・なりたい・・・」


こんなのっ、レイじゃないよっ!!


次のレイの一言で沙耶の背中には何かが突き刺さったような

凍りつくような・・・何かとても恐ろしい気持ちにさせた。


「・・・さやぁ・・・、光喜クンと・・・付き合ってるんでしょ?」


え・・・。

付き合ってるんでしょ?・・・

何・・・それ・・・

「付き合ってないよ?!」

「・・・さやぁ、さやは・・・やさしいねぇ・・・」

違うっ!

違うんだよ、レイっ!!

「うそつかなくてもいい・・・ほんとなんでしょ・・・?」

「誰がそんなこと言ってたのっ!?」

「・・・ききたい?」

・・・ききたくない。

「うん。おしえて。」

ききたくない。

「・・・ ・・・さやのかれし・・・光喜クン・・・だよ。」


松林くんっ・・・?

何の為に・・・どうして・・・?

ごめん、レイ・・・

私には理解できない・・・


「光喜クンが・・・きょう・・・レイにそう言ってきた・・・」

なんで!?どうして・・・??

「光喜クンが今日・・・がっこうでさやのことよびとめてたの・・・」

あ・・・あの時・・・

今日の選択授業のとき・・・?

「あの時・・・さやにようじあるんじゃない?っていったけど・・・」

レイの声はだんだん低く・・・そして、かすれていく。

「やっぱ・・・さやはやさしいよぉ・・・レイのために・・・うそいったの?」

「ち、違うってばっ!!」

お願い、レイ!!誤解しないでっ!!

「レイ、さやの顔でもわかるけどぉ・・・こえでもわかる・・・」

・・・ ・・・レイ?


「さやぁ・・・?」

ききたくない。

「いままで・・・ほんとに・・・ほんとに・・・」

この先は、聞きたくない。

「ほんとう・・・に・・・」

聞いちゃいけない気がするの・・・



「ありがとう・・・それと、・・・ばいばぁい・・・。」

ブツ・・・プー プー プー プー・・・ ・・・ ・・・




うそ・・・


ウソ・・・・


嘘・・・・


レイ・・・?    レイ?・・・ ・・・


夢・・・

夢だよね?

夢なら・・・

夢なら早く醒めたい夢だよ・・・

08、 

December 17 [Mon], 2007, 16:29
その日はたまたま、選択授業という時間で

幸運なことにレイと同じになったのだ。

しかし、世の中は花に嵐で光喜とも一緒になった。


キーンコーンカーンコーン・・・

退屈な授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響く・・・。


がたっ ゴト ガタ・・・

一斉に生徒たちは席を立ち上がる。

沙耶とレイも2人そろって教室を出ようとした。

「ちょっと待って!!」

光喜の声が沙耶の背中に響く。

レイは反射的に笑顔で振り返る。

しかし、沙耶はむすっとした表情を浮かべながら背をむけたまま。

レイは相変わらず笑顔で答える。

「どうしたの?光喜クン♪」

光喜は沙耶を見つめて真剣な表情。

レイは首をかしげると沙耶の方に目をやった。

「沙耶に用があるみたいだよ?」

イメチェンしたレイはますます女の子っぽくて

沙耶はツンとした態度を見せることができなかった。

本当なら「あんなのほっとけばいいんだよっ」とか

「しらないよ。」とか冷たく言いたいんだけどなぁ・・・


沙耶は唇をかみしめた。

「やぁねっレイ〜。松林くんが私に用があるわけないじゃんっ!」

わざと明るく振る舞ってみてもレイの表情は曇ったまま・・・


どうしよ、このままじゃレイに誤解されちゃう。


案の定、レイはほっぺたをふくらませると沙耶をじっと見た。

「何かあったのぉ?レイはね、沙耶が何か隠してる時の顔、

これまでにい〜っぱい見てきてるんだからぁ!」

沙耶は苦笑いしながら、光喜の方に目をやる。

しかし、光喜の姿はもうなかった。


あれ?もう帰ったのかな、教室に・・・


沙耶はいつもの面持ちでレイに優しい表情を見せる。

「違うってばぁ。あ、ほら。松林くんももういないよ。」

レイはほっぺたを元に戻すといきなり笑顔になった。

まるで少女マンガにでも出てきそうな明るい笑顔。


よかった・・・。


沙耶もにこっと笑った。


「レイねぇ、沙耶みたいにボーイッシュな子、憧れるんだぁ♪」

「へ?」

いきなりのレイの言葉に思わずまぬけな顔をする沙耶。

「レイねぇ、沙耶のコトすごく好きだからね?」

沙耶は戸惑いながらもレイの頭をくしゃっとした。

「ありがと・・・。」


このとき、レイは一体どんな気持ちでいたのかな・・・

このときの私はまだ、これから後悔するなんて思っても

なかったんだ・・・。

07、 

November 21 [Wed], 2007, 16:47
翌日。

「行って来まーす。」

沙耶は、昨日の光喜との会話を思い出していた。

憂鬱そうな顔をしながら沙耶はいつもより声のトーンを

下げて言った。


キーンコーン・・・

学校のチャイムが鳴ると同時に沙耶は勢いよく

ざわつく朝の教室の扉を開ける。

「おはぁ♪沙耶っ!!」

声をかけてきたのはいつもの金髪のきれいなロングヘアではなく

ショートヘアになって前髪をピンで頭の上にとめたレイだった。

「あれっ?レイ、イメチェンしたの!?」

可愛らしくなったレイの姿に一気にテンションが上がる沙耶。

レイは恥ずかしそうに少しうつむき加減で言った。

「イメチェンっていうか・・・う〜ん・・・」

もじもじと両手の指を絡ませているレイを見て

沙耶はにっこり微笑んだ。

「すんごく似合ってるよ♪」

レイは、ぱっと表情を明るくする。

「ほんとっ?!」

「うん、ホントに可愛いからっ!!」

レイは、どうやらメイクまで変えたらしい。

前の派手なギャルメイクからナチュラルなメイクになってる。

「嬉しい・・・」

レイは涙ぐみながら沙耶に抱きついた。

レイの短くなった髪を優しくなでながら沙耶は、ふと

昨日の光喜との会話を思い出した。

あ・・・もしかして、レイ・・・松林クンに振り向いてもらう為に

こんな事したのかな・・・?

そんな勝手な想像をしていた沙耶は、教室の扉が開く音で

はっと我にかえる。

振り向くと、光喜がものすごい息を切らしながら教室に入ってきた。

眉をしかめてしんどそうに背を丸めてよろよろと歩いている。

走ってきたのだろう・・・

「ちーすっ」

光喜は不良グループの男子らに挨拶されながら

席に着いた。

沙耶はそんな光喜の行動をじっと見ていた。

「沙耶??」

首元からはレイの心配そうな顔がこちらを見ている。

「どしたの??」

沙耶は思い切り作り笑いを浮かべてレイの髪をくしゃっとした。

「なぁんでもないよ!!先生来るよ、早く席着こっ♪♪」

不思議そうな顔をしながら席へと向かうレイに申し訳無い

気持ちでいっぱいだった。

だって、嘘ついちゃったんだもん・・・

レイに初めてウソついちゃった・・・

でも、こんな事言いたくないよ・・・
レイに・・・松林クンがあんな人だなんて・・・

言えないよ。

すると、席に着いた沙耶の頭に

一つの紙くずが当たった。

むすっとしながら誰が投げたのかを見ようと後ろを振り向く。

沙耶はどきっとした。

光喜が舌を出して両手でブイサインをしている。

「なによっ!」

昨日の事もあって沙耶はいらつきながら小声で

強い口調で言った。

光喜は相変わらずにこにこしながら口を開いた。

「それ、拾え。」

小声で確かにそう言っているのがわかった。

沙耶は仕方なく足元に落ちた紙くずを拾う。

ノートの切れ端のような紙くず・・・

くしゃくしゃにまるめられた紙くず・・・

ゆっくりと破らないように紙を広げていく沙耶。

紙の上には緑色の蛍光ペンで殴り書きされた大きな文字・・・

『アドレス教えて』

何、ふざけてんの?

意味わかんない・・・

なんで私なの?

レイにもし誤解されたらどうなるの?

レイの大事な友達奪った・・・

確実にゼッタイにこう言われちゃうよ・・・

レイを傷つけたくないから、

私は教えない。

アドレスなんか教えられない!!

沙耶は近くにあったシャープペンシルに手を伸ばす。

そして、カッカッと音を鳴らしながら力強く一文字一文字

にらみつけるような怒りの目で書いていく。

そして、沙耶はそれをさっきよりもぐちゃぐちゃに丸めて

後ろを振り向いて思い切り光喜の机めがけて投げつける。

見事に机の真ん中にカサっと音をたてて落ちる。

光喜は微笑みながらまるで宝箱をそっと覗くような

いきいきとした瞳で紙を広げる。

そして、紙の内容を読み終えたのか眉間にしわをよせて

こっちをにらみつけている。

沙耶はフッを鼻で笑うと何も無かったかのように前を向いた。

『アンタみたいな人にゎ、教えないコトにしてるから♪♪』

06、 

November 11 [Sun], 2007, 15:14
うそ・・・松林クン・・・?

どうして私のケータイの番号・・・

もしかして・・・、レイ?

「正解!すごいねぇ、声聞いただけでわかんの?」

「う、うん。」

電話の向こうからは笑い声・・・

他に誰かいんのかな・・・

「えと、沙耶ちゃん?・・・だっけ?」

「うん。」

「レイちゃんから番号教えてもらった。ごめんね?」

「ううん、そんな事いいんだけど・・・風邪ひいたんじゃなかっ

たの?松林クン・・・。」

「・・・あぁ、そのコト?」

・・・?

「それは、ウソなんだ。ごめんね?」

「え・・・?うそって?」

「レイちゃん俺のコト狙ってんでしょ?」

は・・・?

何言ってるの・・・この人・・・

「・・・ ・・・」

「で、なんか俺レイちゃんみたいなタイプの子と

付き合って結構失敗してんだよねぇ〜。」

ちょっと、待ってよ・・・何それ・・・


「だから、正直言ってレイちゃんとは遊べないから

ウソついちゃったんだぁ・・・。ほんとごめんな?」

・・・信じられない・・・

「・・・ ・・・」

「ねぇ、沙耶ちゃん・・・」

「・・・」

「俺、沙耶ちゃんみたいな子と付き合ったコトないんだぁ。」

・・・だから・・・?

「俺と付き合ってよ・・・。」

「・・・ ・・・ ・・・」

沙耶は拳にぎゅっと力を入れる。

そして、大きく息を吸って言った。

「・・・何言ってるの?」

笑い出す光喜。

「何って・・・俺と付き合おうって言ってるんだよ。」

「・・・残念だけど、私。アンタみたいな人とは

付き合えないし、友達にもなれない。」

「おいおい、チョット待ってよ〜。俺、フラれんの?」

「だから、もう二度と電話なんかかけてこないでっ。」

「・・・ ・・・」

光喜は最後、何も言わなかった。

プッ・・・ ・・・

ツー ツー ツー・・・ ・・・

これでいいんだ。

私は別に間違ってないんだからっ・・・


でも、まさか・・・

まさか、私が光喜を好きになるなんて・・・

まだこのときの私は、これっぽっちも思ってなかった。
P R
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