天上へ響く音

November 20 [Sat], 2010, 19:52
大萩康司のシエロ
心の中にはいりこんでくる弦の響き

ギター課題曲で、鐘の響きを弾くことことになり、音源を探していたらこのCDに出会った。当然、この曲は繰り返しきいたが、その内にこのCDのすごさがわかってきた。心の中にはいりこんでくるのである。1曲目から最後の曲まで、すべていいのである。押しつけるのでなく、自然にはいりこんでくる。歌心にあふれている。

大萩康司さんとアンドリュー・ワイエス

 大萩康司さんは、速弾き・熱いパッション・豪快さ・超絶技巧…で弾くタイプじゃありません。でも、稚拙な技巧じゃないんです。ゆっくりとしたテンポの叙情的な曲ですが、安定した技巧で弾いているからこそ、リスナーも安心して聴いていられるんですから。(スローバラードを歌うには圧倒的な歌唱力が必要なのと同じように)

 アンドリュー・ワイエスの画集を読みながら聴きました。大萩さんとワイエスは相性が抜群に良く、静謐で何気ない日常の、しかし何処か非日常的で幻想的とさえいえる1シーンを、繊細に、叙情的に、表現力豊かに表現しているところが、大萩さんとワイエスが重なってて見える(聴こえる)程でした。

 帯に「ギターの希望を担う”音の詩人” 大萩康司(音楽評論家/濱田滋郎)」と書かれていましたが、その通りだと思います。

天上へ響く音

彼は全く新しいタイプのクラシック・ギタリストかもしれない。紡ぎ出される音がただ美しいというだけではなく、天上に届きそうな音なのだ。この様な音は私自身の経験では晩年のセゴビアの音源でしか聴いたことがない。かといって懐古主義ではなく、曲の解釈は斬新で聴き慣れた曲でも彼が弾くと全く新しい感覚を感じさせてくれるから不思議だ。このアルバムはパリの教会で録音したものだがよく聴くと鳥がギターと共に歌っているのも心地良い。

シエロ

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感動のあまり体が震えました

November 14 [Sun], 2010, 22:48
佐渡裕のホルスト
佐渡裕の熱演とそれに応えるヴィルトオーゾ集団のN響

佐渡裕の真骨頂と言うべき「火星」では金管の咆哮を堪能しました。4分の5拍子のリズムが、ある種の原始的な野蛮さを持って襲いかかってきて、生理的な気持ち良さを生みだしています。

「金星」では、ヴァイオリンのソロやホルン・木管の音色が甘く美しく旋律を奏でるのが聴き取れます。イギリスの作曲家で調性を重んじるホルストですが、この転調を重ねて、印象派のように音を万華鏡のように変化させることによって色彩豊かな光沢を生み出しています。

「水星」のアンサンブルが正確で美しいです。
「木星」は全体的に抑制の取れた演奏でした。中間部の有名なテーマは、もう少しオケを歌わせて欲しかったです。弦の音色は艶やかで厚みがあり華麗でした。そしてクライマックスへと鮮やかに駆け上っていきました。

「土星」のように普段あまり関心をもって聴かない楽章にこそ、この演奏の素晴らしさが如実に表れています。色彩豊かな音楽です。楽器の使用も変化に富み、その楽曲の良さを引き出した佐渡裕とN響。聞き惚れました。
「天王星」でも魅力的な音楽が展開されています。素晴らしい指揮者と精緻なアンサンブルの生み出した音楽は他の指揮者のものとは一味も二味も違います。

「海王星」での東京少年少女合唱隊は難しいダブル・コーラスをノンヴィヴラートで神秘的に歌っています。スコアを見ながら聴きましたが、音程も正確でこの不協和音の織りなす宇宙の深遠さを見事に表現していました。

ライブ録音

このCDでは、たった一回の演奏会のライブでこの大曲をほぼミスなく再現し、すばらしい音色を聴かせるN響の力量に驚く。その意味ではN響ファンの私には、とても価値のあるものである。
しかし、この作品は、ベートーベンやブラームス等のドイツロマン派とは異なり、高い精神性、内面的な充実というよりも、オーケストラのサウンドやリズムといった直接的、外面的な要素を楽しむ部分が大きい。この種の音楽は、一般的にはライブ録音よりも細部まで完璧に近く仕上げられる通常のレコーディングが有利である。ライブ録音ならば、数回の演奏会を録音して編集することで、より完全なものにすることが望ましいように思う。
ここでは、海王星で、女声合唱でなく少年少女合唱を用いたことが、人間の肉声としてあからさまに聞こえない?ような効果をあげている点では成功しているが、大人の合唱でないことによる音程の不安定さが逆効果となっているように思う。ここは音楽の精神性よりも、効果音的に、神秘の世界を描写する音として、ある意味、無機的に響く必要があるので、演奏会の場は別としてCDになると、聴く者に音程を気にさせるのはまずいのではないか。この曲のライブレコーディングのCDは珍しく、そのような細部のことを除けば全体の出来は大変すばらしい。

感動のあまり体が震えました。素晴らしい!

オペラシティで聴きました。これだけ躍動感あふれ、調和し、そして心に響く演奏は初めてです。金管、木管とも破綻なく、しかし、大胆に攻めています。演奏中、大ジャンプを見せる佐渡裕に、やはりこの演目を得意とするN響が、その実力をいかんなく発揮して応えています。
この演奏会のもう一つのポイントは、最終曲、海王星の合唱です。通常、女声合唱団で演奏されるこの曲は、今回は、歴史ある東京少年少女合唱隊により演奏されました。通常の女声より、はるかに透き通った声が、より神秘性を醸し出していました。
通常、舞台奥、もしくは袖で合唱が行われるのに対し、今回は、二階席下手側廊下での演奏となり、一階席ではまさに、天使の声が天上から降り立つ雰囲気となりました。惜しむらくは、その声はかなり小さく、しかし、客席全体は固唾をのんでいきました。これがCDでどのように変化しているかは楽しみです。
演奏終了後、最後の音が消えてもなお、観客はつばを飲み込む事もはばかられ、信じられないほど長い静粛の後、熱狂的な拍手が会場を覆いました。客席は笑顔に包まれ、演奏家たちも誇りと達成感を表していました。
帰り道、見知らぬ人に「素晴らしかったですね」と声を思わずかけてしまいました。すると「本当に、涙が出ました」と応えてくれました。こんな素晴らしい演奏は、カーネギーでも聴けなかった。
発売が本当に楽しみです。これはベストオブベストと思います。その瞬間に立ち会えたことを本当に幸運に思います。

ホルスト:惑星

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悪女には思えない清潔感が漂う

November 04 [Thu], 2010, 22:59
藤堂 志津子の夜のかけら

まぁまぁの作品

主人公利保子の性格が、何というか、個性的で、珍しい。最近読んだ、この作者の本にもやはり、個性的な主人公が出てきて、今回の場合は、離婚経験者で、その後は複数の男性とつきあう女性・・・作者自身も離婚経験者のようなので、何となくイメージを重ねてしまったが、実際のところはどうなのだろう・・・。興味深い。また別の本の話題になるが、やはりこの作者の本で、利保子と同じように、複数の男性と付き合う女性の小説があったのだが(確か、「淋しがり」というタイトルだったと思うが)この作者のこだわっている点なのだろうか、とも、感じられる。

悪女には思えない清潔感が漂う

男たちそれぞれの良さを認め、足りない部分を他の男で補う・・・「恋人はいないけど「男」ならいるわ」と言いのける主人公利保子の淡々とした生活を描きながら、実はその男たちにも同じような扱いをされていたことを知り、本当の愛を探し出そうとするまでの利保子の成長ぶりを描いている。 男の移り香を残しながら、次の男の元へ通うという、一見どろどろとしたシーンもあるのだが、何故か全体を通して清潔感が漂い、嫌な女の代表にも思える利保子が嫌いになれない。 それは、彼女なりの筋が通っている点と、別れさえも演出してしまう完璧な演技が物語に客観性を持たせ、全体的にさらっと乾いた印象を持たせているのだろう。

ただもう少し話に展開が欲しかったのと、ラストが弱いように感じる。
利保子の強い意思というものがどこかに見られると、もっと全体が締まるのではと思うが・・・

大人の恋愛模様

主人公の利保子には4人の男がいる。
それぞれに個性の違う男たちにすべてを求めるのではなく、気に入ったところだけを見ていれば誰にも落胆しない。
そんな恋愛に興じている利保子なのに、不思議と読んでいても不快感は感じません。
たぶん、実際にこんなことはできなくても心の中で似たようなことを誰しも抱えているのかもしれませんね。
そんな4人の男たちとの恋愛にも少しずつ亀裂ができてきます。
また、利保子の身近な人たちの恋愛模様にも関わることで、利保子自身が変わってきているのかも。
たくさんのかたちを持った恋愛が一気に読めて、奥深い作品です。

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両親に不満を感じる子供にも勧めたい

November 04 [Thu], 2010, 17:27
アラン ツァイベルのノース―ちいさな旅人

いまいち...

模範的な子どもだったノースが,本当の両親のもとを去り,
別の親を求めて旅をします.

大人の身勝手さや,子どものときに感じたような思いが書かれていますが,
いまいち共感できませんでした.
子どもや,子どもがいる大人がよんだらもっと理解できるのかもしれません.

フリーエージェントで親を決めると言う設定は面白かったです.


両親が不満な子供にも

最初に読んだのは小学生の頃。とても面白かった。
個性的で駄目な親がたくさん出てきます。そして、ノースの本当の友達となるジョーイ・フィンガーズ。彼は大人でありながら、両親よりもノースに近い大人。
薄くて、ユーモアにあふれていて、すぐ読めます。両親に不満を感じる子供にも勧めたい。

ノース―ちいさな旅人

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はまった!!

November 04 [Thu], 2010, 0:17
藤堂 志津子の夫の彼女

全体△一部◎

久しぶりに藤堂志津子さんの本を手に取ったのですが、
今回のお話はストーリーに少し飛躍が多すぎるようで、
全体的に荒っぽく、あまり感情移入できませんでした。

ただ、飲み屋通いの毎日を送る私としては、
飲み屋で働きはじめる女性の感情の移り変わりは、
非常に面白く、この部分はお薦めです。


愉しく読めますが・・・

夫の本心をはかりかねる妻の心情を、主に妻の視点から描いている物語です。ユーモラスな印象もあり愉しく読めますが、ご都合主義的な展開もあり、イマイチ感情移入しにくい部分もあります。不思議なことに、夫の振る舞いに対しては「男ってこういう風だよな」と納得できる部分もありました。


はまった!!

私がはじめて読んだ、藤堂志津子さんの本です。
あっという間に読んでしまいました。
男の人の優柔不断、それに傷付けられながらも相手を嫌いになれない女の人達。
すっきりとしたわかりやすい文章で、とっても読み易く、でも考えさせられるところもあり、魅力的な主人公達の会話や人間関係にドギマギしながら、とても楽しく読みました。
以来、藤堂さんの大ファンになり、藤堂さんの著書を読みあさっています。

夫の彼女

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うれしい驚き

November 02 [Tue], 2010, 22:30
補足ですが
レビューは他の方がされているので補足的な話ですが、この本には高村薫作品の登場人物紹介も掲載されています。
一人ひとり簡単なプロフィール付で、イラストは「ハチミツとクローバー」「3月のライオン」の羽海野チカ先生が描かれています。イメージとピッタリの人もいれば、ちょっと違うかなーと思う人もいて、面白いですよ。

濃い内容
高村ファンにとってはたまらない本だろう。特に合田雄一郎ファンにとっては「素晴らしいニュース」も含まれているし。ただし、高村薫未読の人や、1冊ぐらいしか読んでいない人にとってはちょっととっつき難いかもしれない。それと、読本にしては詳細な著者年表が入っていないのも不満ではある。しかしそれ以外はおおむね満足一部大満足の出来である。編集の皆さんには「ご苦労様でした」といいたい。これから秋にかけて「レディージョーカー」の映画化等でまたぞろ高村薫が話題にのぼるかもしれない。しかし基本的にはそれだけでこの本を手に取ると痛い目に会う。私でもまだ読むのは先にしたほうがいいかな、という特集があった。特に冒頭の爆笑問題太田光インタビューはまだいいとして、第二特集の高村薫と竹内洋の対談は「晴子情歌」を読んでいない私には非常に読み辛かった。その辛さも高村薫の魅力ではあるのだが。

高村ワールドに浸る
高村薫の本が出るとは、うれしい驚きです。私は根っからの高村ファンですから、思わず手に取りました。内容はなかなか読み応えがあって、これまたうれしさ倍増。爆笑問題の太田光インタビューや映画『レディ・ジョーカー』撮影現場突撃取材ルポ、高村薫×竹内洋の対談などの読み物から、七つのキーワードで読み解く高村作品や創作秘話など、高村ワールドの裏と表がぎっしり。本人自らが語るロングインタビューも人となりが感じられて興味深いものでした。高村ファンはぜひ読んでみましょう。世界が一気に広がります。
別冊宝島981号「高村薫の本 」

ポップな日常

ひとを愛することの孤独

November 02 [Tue], 2010, 18:30
金子 光晴の女たちへのいたみうた

ひとを愛することの孤独
現代詩の最高峰と言われる金子光晴さんの愛にまつわる詩を、
高橋源一郎が編集した詩集です。

言葉のひとつひとつが美しく心に沁みますが、
同時にひとが生きる孤独が痛いほど伝わってきます。
誰かを愛すること、誰かと心から向き合おうとすることは、
<ひとり>を感じることなのだと思います。

誰かを愛している、いや、愛しかけているすべての人に読んでほしい作品。

高橋源一郎さんに感謝
金子光晴の本を持って海を渡る旅に出たい。文章の美しさ、言葉の優しさ、そして悲しさをいつもと違った空気で感じたい。高橋源一郎さんが別の本で、金子光晴について、最も美しい日本語を書く人と紹介されていました。この文章に出会えて幸せです。

輪島功一と金子光晴
高橋源一郎の編纂した、本文庫は岩波文庫版と内容に重複が見られつつも、すっきりと纏められている。兎に角、この詩人の詩作を量で読みたいという人には、岩波文庫版が良いだろう。この文庫が優れているのは、装丁画の美しさ(金子光晴自身描いたもの)と、はっきりとした編集方針にある。女についてを横軸にして、戦争、文学、東南アジアを採り上げ、一生を俯瞰する。又、解説も面白い。元ボクサー輪島功一と金子がイレブンPMで対談をした、今からみると有り得ない挿話が入っている。
女たちへのいたみうた 金子光晴詩集

オロビアンコ

谷崎 潤一郎のお艶殺し

November 02 [Tue], 2010, 1:17
映画化について
この作品は実はかなり早くに映画化されています。増村保造監督の『刺青』がそうです。新藤兼人のシナリオは谷崎の短篇「刺青」よりもこの作品に多くを負っており、ほぼ原作どおりにお話が展開します。実は私も映画をはじめて見たときは知らなくてあわててこの作品を購入して読みました。映画は主演の若尾文子がお艶の役を熱演するのがすばらしく、いまではDVDで繰り返し見るほどです。ぜひ原作を読んだあとは、映画でも谷崎の世界を堪能してください。

映画にすれば超B級映画か?
 若き谷崎潤一郎の作品で、ストーリーの展開に惹かれて、読み出すと止まらない面白さがある。ただ、文豪谷崎にしては、けれんみが多くかなり通俗的である。
 
 質屋の奉公人真助が店の一人娘お艶と雪が降りしきる深夜に駆け落ちするところから物語は始まる。
 運命を賭けた駆け落ちは本意通りにはならず、冷酷で残忍な罠が待ち受けていた。
 自分を守るために殺人を犯してしまった新助は、自首することを決意するが、勝気でエキセントリックなお艶に振り回されてきっかけを失い、ますます運命が狂わされていく。
 
 谷崎29歳の作品で、この半年後に結婚している。そのこととは関係ないだろうが、谷崎にしてはディティールが粗い反面、溌剌とした感じも受ける。悪女に跪く女性崇拝は谷崎文学には多く見られるが、この後10年作られる「痴人の愛」を連想させる。
 北野武かタランティーノが映画にすれば、エンターテイメントで超B級な映画になるかもしれない。

お艶殺し

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太宰を語りたければ避けては通れない道

October 30 [Sat], 2010, 23:29
すげぇ生麦文学!
マジヤベェ!古典作家なんて見くびりはきかねぇのが真の古典作家っすが太宰はやっぱサイコサイコサイコッ!実験精神溢れまくりで作品の調和とかねぇねぇちゅーかぶっ壊す勢いっす!すげぇパワー&アイディア?!太宰やっぱサイコッ!YEAH!!

最高!
これを読んで吐き気を催すか、どっぷり太宰ワールドに浸かるか。太宰の作品の中でも、好き嫌いがはっきり分かれる類のものだと思う。僕は圧倒的に後者の方だ。とにかく言葉の持つ力が半端じゃない。特にこの作品に収められている「HUMAN LOST」は「人間失格」につながる小説(日記?)なので、太宰を語りたければ避けては通れない道だ。

太宰本人に興味がある人むきです
太宰の作品が好きというよりは太宰本人に興味がある人にむいてます。小説というよりはエッセイ、むしろ日記に近いものです。しかも太宰が最も悲惨な時期(精神病院に入るなど)のものなのでかなり陰鬱です。しかしその時期だけに作者の本音のようなものを感じることが出来ます。私はそこまで太宰好きではないという人は避けた方が無難です。
二十世紀旗手

あまりにも歌が説明的

October 30 [Sat], 2010, 16:01
書き込みもなく、いい状態でした。
綺麗な状態でした。9年前の本にしては、良い状態でした。

ビタースゥイートの反旗
俵万智さんの大ヒット「サラダ記念日」。私は全く感じなかった。けれども「チョコレート革命」には私は感じた。「大人の返事する君」に「チョコレート革命起こす」万智さんの「恋心」と「もがき」が。
惚れた男に妻子がいたら不倫は必須。不倫はいけないとわかって恋する女の惚れた男への反旗を翻すにはは「甘くほろ苦い」=「ビタースゥイート」のチョコレート語でしか描けまい。倫理観をぶっとばしてもこの万智さんの思いへの共感が先に立つ。俵万智さんのファンになった第一作であり、短歌を真似して作った最初の一冊です。最後に言い添えたい。短歌は道徳本ではない、ということを。

どーなのよ、これ
学生時代に読んだ時は、ありありと詠んでいるなー、なんて思ったものだけれど、今になって読み返すと、「なんかかぶれてるんじゃないか、この人?」と思ってしまう。この人は色々短歌の評論本も出しているけれど、たくさんの伝説的な女歌人を知っていくうちに、自分をそういう人たちと重ね合わせてしまっている、というか…。たとえば与謝野晶子や中城ふみ子なども不倫の歌でその地位を確立したものだけれど、この人の不倫歌は到底先代たちのものには及ばない。気障だけれど、正直に言って歌そのもののレベルが違う。晶子やふみ子の歌は、歌わなければ病んででもしまいそうな、誰にでも向けられたものでもないような発散的なところがあると思う。でも、俵万智のこの歌集の中の歌は、およそ、大衆に対して、「私はこんな恋をしてるんですよ」と大っぴらに「見せつけて」いる感じがする。誰かに不倫の事実を知ってもらいたくてたまらないといった感じ。
あまりにも歌が説明的である。前のレビュアーの方が書いていた「お父さん」の歌といい、「泥棒猫! 古典的なる比喩浴びてよくある話になってゆくのか」など、その典型。
不倫をするということが良いかどうかは別として、もっと違った表し方はなかったものか?と思ってしまう。
チョコレート革命

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