最も極端な部分が引用される 

January 08 [Thu], 2009, 23:51
「初めて読んだミステリは、それはそれは酷いトリックのものでね。密室殺人。被害者の死体は消えた。文体は第一発見者の一人称。真犯人は第一発見者。死体は第一発見者が胃の中に隠した、つまり食べたんだ。食べて消化してしまったから被害者の死体はどこにも残っていない。どうだ、酷いトリックだろう。被害者は十九歳の少女だったんだがね、いくら少女とはいえ少なく見積もっても四十キロ前後はあるだろう。人間はそんなに大量に肉を食べることなんかできないよ。それに骨は? 髪の毛は? 眼球も食べたのか? 三百ページも引っ張った挙句、種明かしがこれだ。読んでいて腰が抜けてしまったよ。さあ、この酷いトリックと君が持ち込んできた作品に書かれている稚拙この上ない小説の『被害者の死体を人形として飾る』というトリックのどちらが低レベルか、じっくりと言い争おうじゃないか」
(小林守宮「黒とベージュのうえうえ」より抜粋)

どうせ誰も見ていないから 

January 07 [Wed], 2009, 14:51
「国生さんは私にこうも言った。『よろしくて、あなたはもっと勉強しなければなりませんわ。もちろん小説についての方法論を勉強していることは分かっています、あなたがしつこいほど説明してくださいますものね。でも、そればかり勉強してなんになります。小説とはエンターテイメントですわ、学問ではないのです。それ故、小説家は小説以外の事柄について詳しくなければなりません。小説に経理を取り入れてみたり、小説に物理を取り入れてみたり、小説に芸能界の裏事情を取り入れてみたり。小説の事ばかり勉強してきたあなたに、そういう話が書けて?』『なるほど、書けません。諦めることにします』『あなた、馬鹿ですの?』国生さんは目下の者を見る目を私に向けた。『馬鹿なのでしょうね。だって私は自分のことを馬鹿だと思っていないのですから』『馬鹿には懇切丁寧に説明してさしあげることにしていますの、あなた、取材なさい』」
(天城春香「国生ライトノベル・没」より抜粋)

生きる理由を訊かれて怒り出す人は、 

January 06 [Tue], 2009, 16:18
「んー、なんとなく、としか言いようが無いな。十七じゃまだ早い、なんていう人もいるけど、私はこれでもう満足だよ。だって十年以上も楽しいことさせてくれたんだから、これ以上世間に求めることなんて何も無いよ。それにね、大人は言うじゃない、社会は厳しい、会社がつらい、楽しいことが無いって。どうしてそんなところに行かなきゃならないの? 楽しくないのに働かなきゃならないって、それじゃあ奴隷と変わらないじゃない。私は奴隷になるのはいやだし、自分が奴隷であることを少しも嫌がっていない不気味な人たちと関わりを持つことも嫌。だから飛び降りることにしたの、じゃあさようなら」
(Aoi「永久機関」より抜粋)

怒倭夫風雲録とは関係ありません 

January 05 [Mon], 2009, 17:59
「例えば、箱の中に黒いボール300個と赤いボール1個を入れ、1発で赤いボールを取り出すことが出来れば10万円を獲得できる、というゲームがあるとします。1/301なのですから、パチスロで大当たりを出すよりも確率は高い。しかしそれでも、そのゲームはパチスロより人気が出ることは無いでしょう。それは何故か。私は『褒めてくれないから』だと予想します。パチスロは大当たりが出ると派手な演出が始まります。つまり『褒めてくれる』わけですね」
(小林八十八夜「思い出し辛い」より抜粋)

タイトルに「清涼院流水 カーニバル」をくっつける週間終了。予定より早いが 

January 04 [Sun], 2009, 21:32
「収納の出来ない私は、袋を活用している。もちろんちょっと刃物が触れただけですぐに破れてしまうような脆弱な袋ではない、しっかりとして布袋だ。カテゴリー別の袋をいくつか用意して、項目に当てはまるものを全て袋に詰め込んでしまうのだ。例えば、『たまに必要』というラベルが貼り付けられた袋の中には、爪切りと耳掻きとティッシュとウェットティッシュ、それから風邪薬の瓶などが入れられている。爪が伸びてきたらこの袋をごそごそやって爪切りを取り出して爪を切り、用が済んだら元の袋に放り込む。置き位置を定めなくて済むからとっても楽だ」
(泉谷啓子「たとえば私は」より抜粋)