炭より黒い惑星発見、光をほぼ反射せず
August 18 [Thu], 2011, 11:39
Andrew Fazekas
for National Geographic News
August 15, 2011
想像しづらいかもしれないが、われわれの銀河系には、炭よりも黒い惑星が存在するという。NASAの宇宙望遠鏡ケプラーが発見した、TrES-2bという木星サイズのガス惑星だ。
TrES-2bは、その恒星からわずか480万キロほどの距離を公転しており、摂氏980度の高温に熱せられている。にもかかわらず、この惑星は真っ黒で、恒星から受ける光をほとんど反射していないとみられることが、新たな研究によって明らかになった。
「その反射率は炭より低く、真っ黒なアクリル絵の具をも下回る。これまで発見された中では最も暗い惑星だ」と研究の主執筆者でアメリカ、マサチューセッツ州ケンブリッジにあるハーバード・スミソニアン天体物理学センターの天文学者、デイビッド・キッピング(David Kipping)氏は話す。
「近くで見たら、ほぼ真っ黒なガスの球が、わずかに赤い光を帯びているように見えるだろう。太陽系外惑星の中でも、真に異質な惑星だ」。
◆NASAの系外惑星探査ミッション
太陽の軌道を周回するケプラーの目的は、太陽系外にある惑星の探査だ。しかし、それほど遠くの惑星(今回のTrES-2bは地球から750光年の距離)だと、その異世界を写真に収めることは容易ではない。
代わりにケプラーが用いているのは、明るさを測定する光度計(photometer)だ。これを用いて何万という恒星を継続的に監視し、恒星の明るさが定期的に弱まる現象を検出している。
このような恒星の光度減少は、地球から見て惑星が恒星の前を通過する現象(トランジット)が起きており、それが恒星の光をいくらか遮っていることを示唆する。今回見つかった炭より黒い惑星の場合、それが光を遮る効果が驚くほど小さいのだ。
◆黒い星がもたらすわずかな光度変化
惑星がその恒星の前を通過するときは、影になっている側をケプラーのほうに向ける。しかし、恒星を横切ってその“背後”に入りかけるとき、惑星は恒星に向いている側をこちらに見せる。このとき恒星の光度は、惑星が反射する光と合わさって増大し、その状態は、惑星が完全に恒星の後ろに隠れて見えなくなるまで続く。
TrES-2bとその恒星の場合、ケプラーが検出したトランジットに伴う光度の減少と増大はごくわずかだったが、それでも木星サイズのガス惑星の存在を示す証拠としては十分だった。
新たに見つかったこの系外惑星が反射する光が光度にもたらした変化率は、主星である恒星の明るさのわずか650万分の1ほどだった。「これは、われわれが太陽系外惑星から検出した測光信号としては最も弱いものだ」とキッピング氏は述べている。
さらに、この暗い惑星が通過したことによる恒星の光度減少も「非常にわずかで、車のヘッドライトの前をショウジョウバエが1匹通り過ぎた程度のものだ」という。
◆TrES-2bの“暗さ”の謎
最新のコンピューターモデルによると、恒星のごく近くを周回するガス惑星(ホット・ジュピター)は、どんなに暗くても水星レベルが限界だという。水星は太陽から受ける光の約10%を反射している。
これに対し、TrES-2bは、恒星から受ける光のわずか1%しか反射していない。キッピング氏によると、これは現行モデルに修正の必要があることを示唆しているという。
今回の測定結果が信頼できるとすると、新たに見つかった惑星の大気をそれほどまでに暗くしているものは何だろうか。
「気体状のナトリウムと酸化チタンがごく大量に存在するためだという説もある。しかし、それ以上に考えられるのは、何かわれわれのまだ考えつかない、異質なものが存在する可能性だ」とキッピング氏は言う。
「今回の発見で私が特に好奇心をそそられるのは、この謎だ」。
今回の研究の詳細は、「Monthly Notices of the Royal Astronomical Society」誌に近く発表される。
Illustration courtesy David A. Aguilar, CFA
記事元:炭より黒い惑星発見、光をほぼ反射せず
for National Geographic News
August 15, 2011
想像しづらいかもしれないが、われわれの銀河系には、炭よりも黒い惑星が存在するという。NASAの宇宙望遠鏡ケプラーが発見した、TrES-2bという木星サイズのガス惑星だ。
TrES-2bは、その恒星からわずか480万キロほどの距離を公転しており、摂氏980度の高温に熱せられている。にもかかわらず、この惑星は真っ黒で、恒星から受ける光をほとんど反射していないとみられることが、新たな研究によって明らかになった。
「その反射率は炭より低く、真っ黒なアクリル絵の具をも下回る。これまで発見された中では最も暗い惑星だ」と研究の主執筆者でアメリカ、マサチューセッツ州ケンブリッジにあるハーバード・スミソニアン天体物理学センターの天文学者、デイビッド・キッピング(David Kipping)氏は話す。
「近くで見たら、ほぼ真っ黒なガスの球が、わずかに赤い光を帯びているように見えるだろう。太陽系外惑星の中でも、真に異質な惑星だ」。
◆NASAの系外惑星探査ミッション
太陽の軌道を周回するケプラーの目的は、太陽系外にある惑星の探査だ。しかし、それほど遠くの惑星(今回のTrES-2bは地球から750光年の距離)だと、その異世界を写真に収めることは容易ではない。
代わりにケプラーが用いているのは、明るさを測定する光度計(photometer)だ。これを用いて何万という恒星を継続的に監視し、恒星の明るさが定期的に弱まる現象を検出している。
このような恒星の光度減少は、地球から見て惑星が恒星の前を通過する現象(トランジット)が起きており、それが恒星の光をいくらか遮っていることを示唆する。今回見つかった炭より黒い惑星の場合、それが光を遮る効果が驚くほど小さいのだ。
◆黒い星がもたらすわずかな光度変化
惑星がその恒星の前を通過するときは、影になっている側をケプラーのほうに向ける。しかし、恒星を横切ってその“背後”に入りかけるとき、惑星は恒星に向いている側をこちらに見せる。このとき恒星の光度は、惑星が反射する光と合わさって増大し、その状態は、惑星が完全に恒星の後ろに隠れて見えなくなるまで続く。
TrES-2bとその恒星の場合、ケプラーが検出したトランジットに伴う光度の減少と増大はごくわずかだったが、それでも木星サイズのガス惑星の存在を示す証拠としては十分だった。
新たに見つかったこの系外惑星が反射する光が光度にもたらした変化率は、主星である恒星の明るさのわずか650万分の1ほどだった。「これは、われわれが太陽系外惑星から検出した測光信号としては最も弱いものだ」とキッピング氏は述べている。
さらに、この暗い惑星が通過したことによる恒星の光度減少も「非常にわずかで、車のヘッドライトの前をショウジョウバエが1匹通り過ぎた程度のものだ」という。
◆TrES-2bの“暗さ”の謎
最新のコンピューターモデルによると、恒星のごく近くを周回するガス惑星(ホット・ジュピター)は、どんなに暗くても水星レベルが限界だという。水星は太陽から受ける光の約10%を反射している。
これに対し、TrES-2bは、恒星から受ける光のわずか1%しか反射していない。キッピング氏によると、これは現行モデルに修正の必要があることを示唆しているという。
今回の測定結果が信頼できるとすると、新たに見つかった惑星の大気をそれほどまでに暗くしているものは何だろうか。
「気体状のナトリウムと酸化チタンがごく大量に存在するためだという説もある。しかし、それ以上に考えられるのは、何かわれわれのまだ考えつかない、異質なものが存在する可能性だ」とキッピング氏は言う。
「今回の発見で私が特に好奇心をそそられるのは、この謎だ」。
今回の研究の詳細は、「Monthly Notices of the Royal Astronomical Society」誌に近く発表される。
Illustration courtesy David A. Aguilar, CFA
記事元:炭より黒い惑星発見、光をほぼ反射せず
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