ついに日本上陸した「真面目な大人のSNS」 リンクトインはフェイスブックと何が違うのか 

February 07 [Tue], 2012, 3:01
ついに日本上陸した「真面目な大人のSNS」 リンクトインはフェイスブックと何が違うのか

 日本にリンクトインが上陸したという。

「また新しいSNS(ソーシャルネットワークサービス)か」と、うんざり気味の人もいるかもしれないが、リンクトインはSNSの中でも多少毛色の違ったものであることを知っておく必要があるだろう。

 実はリンクトインの歴史は、かの有名なフェイスブックよりも数年長い。フェイスブックは、大学生が友達を広げるためにつくったものだが、リンクトインはシリコンバレーで2003年にスタートした。職業を持つ人々が集い、ユーザーがネットワークを広げて仕事の情報交換をしたり、場合によっては新しい職に就くチャンスを得たりするのが、このサイトの目的だ。その意味では、真面目な大人のサービスと言える。

 リンクトインは、ドットコム・バブル崩壊や経済危機を切り抜け、今年5月にIPOを果たした。地味ながらも信頼されるSNSというのが、ここアメリカでのリンクトインへの評価である。地味と言いながら、現在の登録ユーザー数は1億2000万人に上り、利用も世界200ヵ国に広がっている。サイトも英語の他にフランス語、ドイツ語、イタリア語、ポルトガル語、日本語など10ヵ国語で運営されている。

 では、リンクトインはフェイスブックと具体的にどう異なるのだろう。

 大きな違いは、フェイスブックのように日々の活動をあれこれアップしたりしないことである。昨夜どこのレストランで何を食べたの、次の週末はどこそこへ旅行に行くなどといったことは、リンクトインにはあまり関係ない(ツイッターのフィードを統合することは可能)。

 その代わりに充実させるのは自分の履歴書だ。人によっては、学校を卒業して以来の職業を綿々と綴るユーザーもいる。そうすることで、自分の技能や経験をしっかりと見る人に印象づける。リンクトインは、言わば自分の履歴書のオンライン版だと思えばいいのだ。

 もちろん、SNSなので、知人や友人のネットワークもここで築く。一緒に仕事をした人、知り合いだが、将来の仕事上大切にしておきたい相手などを自分のネットワークに加える。フェイスブックと同じく、リンクすることを依頼した上で加える方法だ。

 もともとリンクトインは、知人のそのまた知人とつながれることが利点とされてきた。自分のネットワークとは、直接の知り合いだけでなく、知り合いの知り合い、そのまた知り合いまで広がっているという感覚だ。仕事上知っておくといい人、今度のプロジェクトについて声をかけたい人などがそのネットワーク内にいれば、知人に頼んで紹介してもらうこともできるし、ネットワーク全体に向かって伝えることも可能。

 ここでも挙げられるフェイスブックとの違いは、ともかく全員が職や仕事に関心を持つユーザーであるため、仕事に関する情報集めや情報拡散で効果を発揮することである。その点、フェイスブックは遊びや雑談の大波をかき分けて、仕事の話をしなければならないようなところがあるだろう。仕事上の利点ばかりを求める関係というのも味気ないと思われるかもしれないが、SNSが数ある中、リンクトインはそういうところだと割り切るしかない。

 ネットワークのあり方も、フェイスブックとちょっと違う。フェイスブックは「友達」でがっちり固めるというコンセプトだが、リンクトインはもともと「ゆるい人間関係」が基点となっている。というのも、仕事上はこのゆるい人間関係こそ重要というのが、リンクトインを創設したリード・ホフマンの考え方だったからだ。新しい仕事の話はよく知っている仲間よりも、ちょっと離れたところからやってくることが多いというのが、定説なのだ。

 リンクトインは、こうした職業人のネットワークなので、企業や人材会社、ヘッドハンターなどもここを拠点に活動している。リンクトインの直近四半期の収入の半分近くである5860万ドルは、実はこうした企業や人材会社向けのサービスから得たもので、ここで人材を捜す企業は多く、現在6000社以上に上るという。

 リンクトインが人材探しに有効な理由はふたつある。ひとつは、先述したように、ユーザーが自分の履歴を詳細にわたってアップしているので、検索で探しやすいこと。履歴はユーザーの「タグ」のような働きをするので、細かに書けば書くほど、ヘッドハンターの目に留まりやすいということになる。だが、履歴書は内容豊富でいて、すっきりと明解である必要があるだろう。そのネットワーク、つまり人脈も、その人となりを査定する基準になるだろう。リンクトインは先頃、この人材探し機能をさらに向上させるサービスの発表をしたところだ。

 もうひとつは、人材募集や職探しサイトとの違いである。職探しサイトには、積極的に新しい職を探している人がやってくる。だが、リンクトインは、少なくともこれまではすでに職に就いているユーザーが多かった。必死になって職探しをしている人よりも、ちゃんとしたポストについている人の方が、精神的にハッピーで、技能的にも評価されているというのが、これまた定説。人材会社やヘッドハンターは、やってくる人を相手にするよりも、出かけて行ってこそ優れた人材に出会える。職探しをしている人には厳しい現実だが、企業にとってリンクトインは人材の宝庫というわけだ。

 だが、昨今のように失業率が高くなると、ユーザーも就業者ばかりではない。リンクトインをうまく使って、自分を売り込もうという声も高くなっている。オバマ大統領も数ヵ月前、シリコンバレーのリンクトイン本社でタウンミーティングを開き、雇用問題解決へのアピールをした。高失業率の一方で、現在アメリカには、320万ものポストが人材を求めているという調査もあり、要は仕事を求める人と、人材を捜す企業とのマッチングがうまくいっていないのが問題という。それをテクノロジーの力を借りて、精密機械のように整合させるのが、リンクトインのめざすところである。

 とはいうものの、リンクトインに登録したからと言って、夢のようなチャンスがここからドクドクと生まれてくるわけではない。重要なのは、現実の世界でちゃんと仕事をこなすこと、その上でSNS時代の売り込みの技を習得することである。

ビッグデータ時代を乗り切る 「ビジネス・アナリティクス」のすすめ 

February 07 [Tue], 2012, 2:59
ビッグデータ時代を乗り切る「ビジネス・アナリティクス」のすすめ

「ビッグデータ」という言葉を聞かれたことはあるだろうか。

 これは、現在デジタル技術の発達により、あらゆるところであらゆるタイプのデータが大量に生み出されていることを指し示す表現だ。厳密に言うと定義はいろいろあるが、われわれ自身の身の回りを振り返ってみても、コンピュータ上で閲覧するウェブサイト、そこでクリックするリンク、携帯電話でかける電話番号、知人に送るメールなど、信じられないほどのデータを刻々と生み出しているのである。

 これに交通のデータ、産業のデータ、天候のデータなどが加わると、この世界にはもう把握しきれないほどのデータが存在していることになる。「ビッグデータ」は今、テクノロジー業界のもっともホットな話題だが、その呼び方は、この大量のデータを一体どうしたらいいのかという、途方に暮れたニュアンスも含んでいるのである。

 そのビッグデータを企業の業績のために利用する「アナリティクス」の分野で、長い歴史を持つのがSASインスティテュートだ。35年前にノースカロライナ州で創業され、その後一度も業績を落とすことなく、しかも株式非公開企業として成長を続けてきたことでも知られる会社だ。

 SASは、ビジネス・アナリティクスのソリューションを、製造、流通、小売り、サービス、金融、ヘルスケア、教育、政府官公庁などに広く提供してきた。

 たとえば、航空会社ならば毎日何百本も運行する飛行機について、その乗務員を何人どの都市にどのタイミングで待機させるかのスケジューリングを行っているが、そこにはいつ天候が乱れて欠航になる可能性があるか、乗務員が取る休暇の割り当てがどう影響するかといったようなデータまで盛り込まれている。何種類もの予測モデルを駆使して、どんな不測の事態でもコストを最低限に抑えるのが目的だ。

 また大手デパートチェーンでは、オファーに反応する顧客を複数のモデルに従って分類することで、それぞれに最適なマーケティングを行い、コストの無駄遣いを減らす一方で、売上を伸ばすためのツールを提供している。

 さらに、自動車メーカーではSASのソリューションを導入することによって、拡大する前に問題を特定することを目的としているが、そこに用いられているのはコールセンターへの通話、部品販売数、保証期限内修理申請の種類など多種多様のデータである。

 要は、別々のところで蓄積されたデータであっても、それを統合するとそこに何らかのパターンが見いだされ、それをさらに別のデータと組み合わせて照合することによって、まだ見えない事象を予測することができるということだ。それをさらに他のデータと組み合わせて用いれば、売上を伸ばしたりコストをカットしたりすることにつながり、業績アップが図れるというわけである。

 SASでは、同じようにデータを利用しても、ただ現状を把握するのは「ビジネス・インテリジェンス」、同社が手がけているのは、予測を含んだ「ビジネス・アナリティクス」だと区別する。そのアナリティクス部分こそが同社の強みとするところだ。

 同社上級副社長のミカエル・ハグストローム氏によると、アナリティクスによるオプティマイゼーション(最適化)が可能にするのは、動く標的を予測し、対処することだと言う。たとえば、日本の製造現場では在庫を持たない「シックスシグマ」が行き渡っているが、これにオプティマイゼーションを組み合わせれば、不測の事態が起こる予測モデルが統合されるため、実際にそうした事態に遭遇した場合でも、在庫をゼロに保つことが可能になる。

 同社は現在では業界別の垂直ソリューションを用意しているが、データをハイパフォーマンス・コンピュータで迅速に処理できることで、IBMやHPなどの競合会社より「5年先は行っている」と、同社のジム・グッドナイトCEOは強気だ。

 さて、ビジネス・アナリティクスの分野では今、ふたつの新しいトレンドがある。ひとつは、ソーシャルメディアのアナリティクス、もうひとつがクレジットカードや保険請求の不正の発見だ。

 ソーシャルメディアは、マーケティング業界にとってはデータの宝庫である。ひとつのトピックやブランドについて、人々がどんな感情(センチメント)を持っているのかといったことから、誰と誰がつながっているのか、誰が影響力を持つのか、何を買ったのか、いつどこへ行ったのかといったようなデータが埋まっている。その種類も、テキストだけでなく画像、音声などさまざまなメディアに渡る。ここを掘り起こしアナリティクスを適用すれば、個人顧客にターゲット化したカスタマーサービスや販売企画など、ビジネスにとってはこれまでにない世界へ歩を進めていけるのだ。

 また不正発見では、家電の修理要求、保険の請求などにおいて、請求の内容だけでなく、地理的時間的データなどを組み合わせることで、繰り返し起こるパターンを見いだし、不正請求者を突き止めることができる。クレジットカードの不正利用も、ユーザーの利用パターンを学習することで、そこから外れた利用を追究できるしくみだ。SASはいずれの分野でも、いち早く取り組みを行ってきた。

 アナリティクスとは、いわばどんどん大きくなるビッグデータとの競争である。だが、この分野がこれからの世界を大きく牛耳る存在になることは、ほぼ間違いはなさそうだ。
P R
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