それはいつもと変わらぬ夜 

March 20 [Sun], 2005, 6:55

彼女とベットに入ったのは深夜2時過ぎ


『あれ、もうこんな時間やったんやぁ』
という彼女の言葉をさらりと聞き流し
そわそわと窓の外が気になった私


ニャーニャーとすぐ近くで猫の鳴き声がする


彼女の家は一階
ベランダの前は駐車場になっていて安全の為に
一階には全室電動シャッターが備え付いている
その為窓を開けるにはちょっと面倒だったりする


『もういいやん、寝ようよ』


ベットから出ようとした私を彼女が促した
そろそろ春の季節だから猫ちゃんも忙しいよね
そう思いながらニヤニヤと眠りに就いた

ある朝突然の出会い 

March 21 [Mon], 2005, 6:39

月曜のゴミだし当番を忠実に守り早めに目覚めた私
例の鳴き声がする事に気付き彼女を
起こさぬよう隣の部屋の窓のシャッターを開けた


猫の鳴き声はお隣のベランダからだった


窓を見上げ一生懸命鳴いている
まんまるに太った見覚えのある猫ちゃん
私に気付きビクビクと視線を交わす


夕べ彼女の家にやって来た時
お隣の玄関にガス栓を締めた札が架かっており
『あれ、引越しはったんや』『うん、荷物出してはった』
なんていう会話をのほほんとしていた

このコとは一度だけ玄関先で出くわし
足元までやって来てそっと頭を撫でさせてくれた


おいで、あの時の私だよ


脅かさないよう小さく呼んでみた
いつもと違う開かない窓といつもと違う隣人
早々には警戒心を解いてはもらえなかった

急いで冷蔵庫を隅から隅まで見たけど
猫ちゃんのご飯になるような物は何も無かった
とりあえず家中のゴミをまとめゴミ捨て場に向かうと
私の目に飛び込んできたのはゴミの山

タンスやソファーやその他諸々

決められたゴミ出しの日も何も
引っ越しするからもう関係ないのか?
溢れかえったゴミのせいで空き缶とペットボトルは
所定の場所までいけず家に持ち帰った

少しの怒りを覚えつつふとベランダに目をやると
あのコが家のベランダへオズオズとやって来ていた

慌てて近寄った私はうっかり驚ろかせてしまい
暫く少し離れた場所からコチラをじっと眺めていた


走り去る後姿を見つめながら気持ちはしぼんだ


***


お隣さんは小型犬と外猫を飼っていた
玄関先ニャーニャー鳴くあのコの合図でドアは開く
名前を呼びながら家に招き入れる姿を
私は幾度と無く目にしてきた

あの人はワンちゃんだけを連れて行ったのだろうか?
あのゴミの山をマナーの欠片も無く捨てて行った様に
あのコも・・・ココにポイと捨てて行ったのだろうか?
外猫なら一人ででも十分に生きて行けると


あの人はそんな風に思ったのだろうか?


切なさと悔しさで胸がキリキリと痛んだ
あのコは一晩中あの窓の下で鳴いていた
いつもと違う夜に不安だったかもしれない
とにかく、窓が開く事を信じていたに違いない

あのコは今夜もココにやって来るのだろうか
一人取り残されたのだといつか気付くのだろうか

こんな無責任な別れはやりきれない


ベランダ隅のダンゴ 

March 21 [Mon], 2005, 13:30


雨の中ここからちっとも動かない様子

おそらく今日も明日も 

March 22 [Tue], 2005, 7:01

もしかしたら今日も夕べの猫ちゃんが
飼い主を求め温もりを求めやって来ているような
そんな気がして窓の外が気になった

窓を開け隣のベランダを覗き込むも
そこには猫の姿はなかった
案外外たくましく生きて行けるものなのかもな



面倒に巻き込まれず内心安心したのかも知れない
自分が少しナーバスに考え過ぎたのかも知れない


そんな風に考えるよう
つとめて平静に過ごしてみた


***


昼過ぎ何の気なしに覗き込んだベランダには
私に気付きあらん限りの声を張り出し力いっぱいに鳴く


夕べの猫の姿があった


壁に寄り添い寒さを避けながら鳴く姿は
私に何かを訴えかけているようだった

野良猫は皆、最初から野良猫だった訳ではない
捨てられて野良猫になった猫もいるのだ
愛情いっぱいに育てられたはずの猫

人の都合で放し飼いにし、人の都合で捨てていく
誰かが可愛がってくれるだろうと考えるのは
楽観的過ぎるのではないだろうか



私の目の前にいるのは理由ではない結果だ

あなたは味方? 

March 23 [Wed], 2005, 1:38


コチラが少し気になるようで時々遊びに来てくれます

生活事情 

March 23 [Wed], 2005, 8:37

私の家には既に先住猫が1匹
ペット禁止マンションにて何とかばれずに
ひっそりと、共に7年ここで過ごしてきた
時間に不規則な仕事柄不自由な事もあたが
縁あって我が家にやって来たこのコを
私に出来る最大限の愛情で大切に育ててきた



1匹飼うのも2匹飼うのも同じじゃないか
なんて、どうかそんな事言わないで下さい
飼ってやりたい気持ちは私にだって十分にあるのです

ただ今の私の生活状況を考えると
やっぱり家では無理なのだと言う事なのです


彼女の家も状況は同じです
先住猫こそいませんが時間に不規則な仕事
1日の3/2はシャッターを締め切り真っ暗な
光も風も入らない家で外猫だったこのコを
十分な状態では迎えてやれないのです


たくさんたくさん話し合っても
どうしてあげたら良いのか、答えを出せないでいます

そして小さな決意 

March 24 [Thu], 2005, 0:12

仕事から帰り自宅で仮眠していた私は
枕元で鳴る携帯にビックリして目が覚めた

見てみると彼女からの数件の不在着信
折り返し電話をかけて見るといつに無く張り切った
楽しそうな彼女の声が聞こえてきた

猫の餌はどんなものが良いのかと聞く彼女に
とりあえず家にあるカリカリの名前を教えると
ここにはそれが無いので他にはどんな物がいいのか、と
さらに続ける彼女に使いきりで包装された物を
探してごらんと答え電話を切った



数時間後、電話で
ご飯いっぱい食べてくれたよ
声を弾ませ嬉しそうに話す彼女に私まで嬉しくなった

捨てていったあの人達から餌を与えた私達へ
小さな命に対する責任をバトンタッチされた気分に
なんとなく、覚悟みたいなものをした


調べていなかった訳ではなかった
外猫を家猫にする事の大変さや
野良猫のおかれた過酷な境遇
そしてこのコに最適な里親を探すと言う事




どれも未経験で不安で心配




彼女と相談し、貰い手が見つかるまでの間
私達が育てる事にした、それが今の私達に出来る事

見つからなかった時は頑張ってココで
面倒見ればいいよねという彼女の言葉は
なんでも考えすぎてしまう私には心強く感じました



これがなんとか練りだした私達なりの答えです

一歩進んで二歩下がる 

March 25 [Fri], 2005, 1:39

里親を探すと決めたからには猫ちゃんでは可哀相
とりあえず名前を付けることにしてやった

雨の中ニャーニャーと鳴き続けご主人様を待った
この猫にもっともふさわしい名前といえばコレしかない


忠犬ハチ公ならぬ忠猫ハチ公

命名『ハチ』そして後は決意も新たに進むだけ



・・・・・のはずだった



まずは保護をして動物病院に連れて行くべく
ペットショップにてハチ用のキャリーケースを購入
大きな体を収めるのに適した大きさのケースを吟味

おもちゃもヒトツ

これは私達からはじめましての挨拶と
淋しい夜を頑張ったハチへのご褒美のつもり
大急ぎで家へと帰り早速ベランダを覗くと

そこには真っ黒の、明らかに野良猫とハチ
私と彼女はお互い言葉もなく目を見合わせた

いわずもがな

先に口を開いたのは彼女
『とりあえず家に入ろっか』っと言われ我に返った

保護するつもりで餌をやり始めた私達
今更お友達がいるかなら可哀相だから
やっぱり保護はやめましょうと見てみぬふりは出来ない


あんなに悩んでやっと前に進む事を決めたのに
どうしたらいいのだろう、どうしてやればいいのだろう



振り出しに戻った私達

重大事実 

March 26 [Sat], 2005, 7:42

私、明日連れて行くわ

彼女はそれがさも何でも無い事のように言いました
少しの驚きとたくさんの感謝
こんな時の彼女はとても頼もしく誇らしく思います

今晩はとりあえず保護する事はせず
時々聞こえるハチのかすれた鳴き声で
ベランダから離れていない事を知る


想像以上に大きな体と大きなお腹


もしかしたら身重かもしれない
数日前からそんな事も新たな心配に加わり
一日も早く動物病院に連れて行ってやらなければ
と言う気持ちと、もし子供が生まれたらと言う思い

不安な反面子猫の心配までする私達

午後から仕事が無い彼女は
慎重に慎重にハチをキャリィーケースに入れ
あまり揺らさないようゆっくり病院まで連れて行った

私の仕事が終わる頃彼女からメールが入る
その様子、病気の有無、妊娠の過程
知りたい事は山ほど有るのに


こんな時彼女の筆不精さ、短文メールにヤキモキする




さっそく会って話すと重大事実発覚




すっかり身重だと思っていたハチは
あのお腹からワラワラとハチ二世が誕生すると思っていたハチは
運動不足がたたったのか、はたまた食べ過ぎがたたったのか
重度の肥満から多血症を患っていた


要するに血液ドロドロ超肥満児という事らしい


なんだか拍子抜けで笑ってしまった
もちろん、放っておけば死んでしまうかも知れない訳で
ホントの所は笑い事ではないのだけれど


とりあえず生まれてくる赤ちゃんの重責は無くなった(笑)
女の子だと信じて疑わなかった身重のハチは男の子だった
・・・・・彼女は少し楽しみにしていたらしく残念だった模様

撫でてくれる? 

March 26 [Sat], 2005, 23:53


保護直前

とても人懐こく大人しい性格にビックリした私達
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