ヴェルサイユの奇妙な慣習
December 17 [Thu], 2009, 21:40
今日はベルばらkidsぷらざの、mashironのコラム、『楽園の生活案内』の更新日です
第11回は「ヴェルサイユ宮殿のトイレ事情」です。
「トイレが無かった」ということで有名なヴェルサイユ宮殿ですが、実際はどうだったのだろうか、ということについてのお話です。
詳しくはそちらを見ていただけたらと思いますが、こちらではそのフランス風の慣習を見て驚いたある人物の感想について触れてみたいと思います。
ヴェルサイユの庭園。
一見とても美しい庭園のようにみえるが、
もしかしたらその実体は・・・・!?
宮廷の人々は確かにいたるところに排泄物を撒き散らしていたようですが、一応簡易便器というものもあって、その数は2000くらいは用意されていたそうです。
ただ、この簡易便器の使い方の意識が、決定的に違うのです。
そういうわけで、外国人から見たとき、それはとても奇妙に映るということもあったようです。
その証言を残しているのは、オルレアン公フィリップ1世の妻、リスロット(エリザベート・シャルロッテ)。
フィリップ1世といえば、こちらのブログでも今話題になっている最中の、例の女装癖があったルイ14世の弟のことですが、彼の二番目の妻が、まさに彼女のことです。
彼女はドイツからお嫁にきましたが、どうしてもフランスのこの慣習にはなじめなかったのだとか。
そういうわけで彼女はあるとき叔母に、手紙でこう訴えています。
「フランス人は何に関してもデリケートではなく、特に生理現象についてあからさまに語ります。
ある粋人は、その人の名を言うつもりもありませんし、言ってもいけないのですが、寵姫と一緒に便器におもむき、一人が用を足し、もう一人がその上に用を足しました。
その間にも二人は談笑しあっているのです。
またお互いに灌腸しあう恋人たちも承知しております。
本人の口から直接聞いたのですが、夜、食べすぎてしまい、胃が痛くなるので、翌日の昼食をおいしく食べられるようにどうしても灌腸が必要だそうです。(・・・)
また当地に来た初めの頃とても奇妙に思えたことをもう一つお話しましょう。
ここでは何の恥じらいもなく女性の生理が話題になります。
王妃はたいへん尊敬すべきお方ですが、公共の食卓で、つまりたくさんの殿方とご一緒のときでも、臆面もなくそれを話題にされます」
他にも、
「娘はナンシーに就いて衣裳を着替えました。
といいますのもスカートが重くてそのままでは歩けなかったからです。
娘がちょうど服を脱いだときにロレーヌ公が入ってきて、二人は一緒に用を足しました。
娘は慣れていたので、わたしほどいやだとは思わなかったようです。
わたしに娘の教育を任せてくれていたら、もっとよくしつけられたのですが」
また、
「この宮廷の汚さには相変わらずなじめません。
つまり誰もがわたしたちの部屋の前のギャラリーの隅に『お』をするのです。
部屋から出るときに、かならずといっていいほど誰かが『お』をしている姿を見かけます。
コメディやオペラを禁止する代わりに、まずこちらの方を禁じたほうがいいと思うのですが」
とのこと。
つまりヴェルサイユでは簡易便器を使いながらも会話を交わすのが普通なのであって、しかもそれは男女の区別もないのであって、場合によっては用を足しながら公使と謁見することまでもあったということらしいのです。
さらには食事中にお腹が満たされると、その場で灌腸を始め、そのあとまた食事を始めるなどといったようなことも行なわれていたのでした。
現在の私たちがこのような状況に遭遇したら、間違いなくためらうだろうし、自分も一緒になってその文化を実践するなどということにはかなりの覚悟がいると思いますが、きっとリスロットも同じような思いをしたのでしょう。
ところで話は少し変わりますが、リスロットは今あげた叔母への手紙の中の灌腸に関する話で、
「もしそのようなこと(灌腸)をドイツ人が行なえば、フランス人は笑うにきまっています。
自分たちがしていることだから、それが宮廷風ということです」
というふうに言葉を続けています。
これはフランス人の意識や、「モード」というものに対して、何やら鋭く核心を突いているような気がしてなりません。
引用:宮本絢子『ヴェルサイユの異端公妃』

第11回は「ヴェルサイユ宮殿のトイレ事情」です。
「トイレが無かった」ということで有名なヴェルサイユ宮殿ですが、実際はどうだったのだろうか、ということについてのお話です。
詳しくはそちらを見ていただけたらと思いますが、こちらではそのフランス風の慣習を見て驚いたある人物の感想について触れてみたいと思います。
ヴェルサイユの庭園。一見とても美しい庭園のようにみえるが、
もしかしたらその実体は・・・・!?
宮廷の人々は確かにいたるところに排泄物を撒き散らしていたようですが、一応簡易便器というものもあって、その数は2000くらいは用意されていたそうです。
ただ、この簡易便器の使い方の意識が、決定的に違うのです。
そういうわけで、外国人から見たとき、それはとても奇妙に映るということもあったようです。
その証言を残しているのは、オルレアン公フィリップ1世の妻、リスロット(エリザベート・シャルロッテ)。
フィリップ1世といえば、こちらのブログでも今話題になっている最中の、例の女装癖があったルイ14世の弟のことですが、彼の二番目の妻が、まさに彼女のことです。
彼女はドイツからお嫁にきましたが、どうしてもフランスのこの慣習にはなじめなかったのだとか。
そういうわけで彼女はあるとき叔母に、手紙でこう訴えています。
「フランス人は何に関してもデリケートではなく、特に生理現象についてあからさまに語ります。
ある粋人は、その人の名を言うつもりもありませんし、言ってもいけないのですが、寵姫と一緒に便器におもむき、一人が用を足し、もう一人がその上に用を足しました。
その間にも二人は談笑しあっているのです。
またお互いに灌腸しあう恋人たちも承知しております。
本人の口から直接聞いたのですが、夜、食べすぎてしまい、胃が痛くなるので、翌日の昼食をおいしく食べられるようにどうしても灌腸が必要だそうです。(・・・)
また当地に来た初めの頃とても奇妙に思えたことをもう一つお話しましょう。
ここでは何の恥じらいもなく女性の生理が話題になります。
王妃はたいへん尊敬すべきお方ですが、公共の食卓で、つまりたくさんの殿方とご一緒のときでも、臆面もなくそれを話題にされます」
他にも、
「娘はナンシーに就いて衣裳を着替えました。
といいますのもスカートが重くてそのままでは歩けなかったからです。
娘がちょうど服を脱いだときにロレーヌ公が入ってきて、二人は一緒に用を足しました。
娘は慣れていたので、わたしほどいやだとは思わなかったようです。
わたしに娘の教育を任せてくれていたら、もっとよくしつけられたのですが」
また、
「この宮廷の汚さには相変わらずなじめません。
つまり誰もがわたしたちの部屋の前のギャラリーの隅に『お』をするのです。
部屋から出るときに、かならずといっていいほど誰かが『お』をしている姿を見かけます。
コメディやオペラを禁止する代わりに、まずこちらの方を禁じたほうがいいと思うのですが」
とのこと。
つまりヴェルサイユでは簡易便器を使いながらも会話を交わすのが普通なのであって、しかもそれは男女の区別もないのであって、場合によっては用を足しながら公使と謁見することまでもあったということらしいのです。
さらには食事中にお腹が満たされると、その場で灌腸を始め、そのあとまた食事を始めるなどといったようなことも行なわれていたのでした。
現在の私たちがこのような状況に遭遇したら、間違いなくためらうだろうし、自分も一緒になってその文化を実践するなどということにはかなりの覚悟がいると思いますが、きっとリスロットも同じような思いをしたのでしょう。
ところで話は少し変わりますが、リスロットは今あげた叔母への手紙の中の灌腸に関する話で、
「もしそのようなこと(灌腸)をドイツ人が行なえば、フランス人は笑うにきまっています。
自分たちがしていることだから、それが宮廷風ということです」
というふうに言葉を続けています。
これはフランス人の意識や、「モード」というものに対して、何やら鋭く核心を突いているような気がしてなりません。
引用:宮本絢子『ヴェルサイユの異端公妃』
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『宮廷マダムの作法』











