“お一人様”のお出かけの記録。
ちょうど1ヶ月ぶりの“お一人様”は美術館と映画館をハシゴ。
2011.7.20.Wed. 美術館 「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展印象派・ポスト印象派 奇跡のコレクション」
@国立新美術館
「これを見ずに、印象派は語れない。」との宣伝を見て、6月からず〜っと行きたいと思っていた展覧会。
アメリカの国立美術館=ワシントン・ナショナル・ギャラリーから日本初公開の絵画も多数寄せられた、印象派〜ポスト印象派の作品がメインの展覧会。しかも、ワシントン・ナショナル・ギャラリーは常設作品から1回に貸し出すことができるのは12作品までと決まっているのだけど、今回はなんとうち9作品も展示されて、事実上、国内史上最大級にして最高級。
彫刻より絵画、日本画より西洋画、中でも印象派やらキュビズムやらをこよなく愛する私としては、これはもう!マネ、モネ、ゴッホ、ロートレック、クールベ、ピサロ、ルノワール、セザンヌ、ゴーギャン、…名前を並べるだけで垂涎のメンツ!
展覧会のスタートは、印象派の前身とも言えるバルビゾン派から。外に出て今その瞬間にそこにある眺めを切り取って残そうとした最初のグループ。風景や人々の日常を中心に、写実的でありながらもリアル感よりも表現を優先した絵画が多い。
それを象徴していると思うのは、静物画。今回はテーブルの上で皿に載った牡蠣や桃の静物画があったけど、立体的ではあるのだけれど、リアル感がなくて美味しそうには見えない。そういうところが、リアルな写実よりも独特の表現や空間の雰囲気を優先しているところなのかなと。
でも、質感の違いの表現はすでに確立されつつあって、静物画の中の皿の陶器の質感や、マネの「キング・チャールズ・スパニエル犬」に見られる犬の柔らかくてふわふわの毛の質感などは、同じ絵の中の違う質感のものとははっきり区別されて見えた。
次に、メインの印象派へ。まず、メモ的な意味で、印象派という名前の由来から。1874年、パリでモネ、ルノワール、ピサロなどが集まってグループ展が開かれたとき、モネの「印象、日の出」という絵画が批評家から酷評されたことがきっかけで、港の日の出を柔らかい筆致で書いたこの作品に共感した画家たちの集まりが「印象派」と呼ばれるようになった。
この頃、チューブ入りの絵の具が普及したことで、画家たちは外に出て絵を描くようになり、それまで屋内で宗教画を描いていたものとは明らかに目的が変わった。しかし、そこでリアルに風景を描くだけでは写真と同じ。画家たちは、写実的でありながら同時に写真には無い表現を追及する方向へと向かっていった。その結果が、印象派の特徴である柔らかいラインや点描の筆致。その筆致で、風景や何気ない日常の一コマを切り取ったのが、生き生きとした印象派の作品。
特に解説されてはいないけど、私が勝手に思っているのは、印象派の作品はあまり人物の表情がわからないこと。柔らかくぼんやりと描かれているせいかも知れないけれど、あまり生気が無いように私には見える。絵画のメッセージが、人物の表情より全体の雰囲気に依存している感じ。全体の眺めから受ける印象として、嬉しかったり哀しげだったりするような。
あと気になったのは、モネの風景画。私は写真でも絵画でも、一点透視図法の遠近のものが好きなんだけど、今回のモネの風景画は、奥に視線を誘われて吸い込まれるような遠近法で書かれていて、けっこう長いあいだ見入ってしまった。
このあと展覧会は、キャンバスではなく紙に描かれたデッサン的な作品へと移る。どんな展覧会に行っても、大体真ん中あたりで小休止的な意味でこういうのを挟んでくるんだけど、実は、私はあんまりこういうのが好きではなくて、いつもさっと見て終わりにしてしまう。今回も、紙の上に鉛筆で描かれた線にはあまり印象派らしさが無くて、一通り目を通したら次のエリアへ。
最後は、ポスト印象派からそれ以降の作品。印象派の柔らかい表現を受け継ぎつつ、写実性をもう少し追及したのがこのあたり。私は、印象派の中でも、このあたりの後期の作品が一番大好き。絵の具を厚塗りしたり、柔らかい筆致の中に強い筆致を交えて、よりはっきりした表現になってくる。
このあたりはよく知られた名作が多い。セザンヌの「赤いチョッキの少年」、ゴッホの「自画像」などなど。特に、ゴッホの自画像は、
去年の12月に見たゴッホ展にきていた「灰色のフェルト帽の自画像」とは違って帽子をかぶっていない方の自画像で、ゴッホが拳銃で頭を打ち抜いて自殺する直前に描かれたもの。帽子をかぶっているほうが世間的には有名だけれど、悲壮な表情はこっちのほうがより伝わってくる。
代表的な作品にどんなものがあったかは、
公式サイトを見ればわかるし、何より、日本初公開で私が好きで好きでいつかは見たいと思っていた作品が多すぎて、全部書いていたらキリがないので省略。
でも、今回の展覧会は、印象派が特に好きじゃない人でも、絵画に興味が無い人でも、きっと楽しめると思う。色が綺麗だなぁ、優しい絵だなぁ、素敵だなぁ、ってそれだけでいいと思う。ジブリのイラストみたいに、予備知識やストーリーを知らなくても、絵ヅラだけで楽しめるものが揃っているから。おばちゃんたちが始終「あらまぁ〜素敵ねぇ〜うっとりしちゃうわねぇ〜」ってうるさくてイライラしたんだけど(笑)、純粋に絵画を楽しむには知識なんて不要で、おばちゃんたちみたいに純粋に“いいな”と思う作品を直感で探すのもいいと思う。ぜひぜひ、興味が無い人にも行ってほしい。ここまでの展覧会は、きっともうほとんどない。
2011.7.20.Wed 映画 「軽蔑」
@角川シネマ新宿
7月いっぱいで公開終了で、間に合わないんじゃないかと思っていたけど、今日ようやく観れた。角川の映画館はTOHOほど多くないから、美術館のあとのランチついでに角川シネマ新宿をチョイス。
まず、映画云々の前に、大問題があった。ここの劇場は初めて来たんだけど、予想以上に小さかった。今回のスクリーン2は、全部で50人入るか入らないかくらいで、シートピッチも狭かった。そして、終了間際とあってほぼ満席、しかも節電で空調は弱め。ここまで条件がそろえば何が起きるかは考えるまでもなく。小さな教室くらいの窓も無い空間に50人の人が押し込められて、空調も大して効いてないとなれば、簡易サウナ状態。満足に身動きも取れない簡易サウナで過ごす136分は、お世辞にも快適とは言えなかった。映画って、まず、ベストコンディションで観ないといけないものだと思う。そうでないと、映画の出来とは無関係な要素で映画の評価が少し下がってしまう。
私がこの映画を観ようと思ったのは、主演の高良健吾が見たかったから。私が周りと話した感じでは、彼はまだそれほど知名度は高くない?たぶん、出ている作品を見れば「あーこの人か」となるんだろうけど、一人で写ってる顔写真だけでは認識してもらえないのかな。
まずは、映画の内容をざっくりと。田舎の名家の出身であるにも関わらず賭博をしながらその日暮らしをするヤクザ者の男と、トップレスバーのストリッパーの女が新宿歌舞伎町で出会って恋に落ちる。ある事件をキッカケに2人は男の田舎へと高飛びするも、周囲は2人の関係に反対し、それが2人の仲をぎくしゃくさせる。やがて女は一人で東京へ戻り、再び夜の世界へ。男はしばらくしてから東京へ女を追っていき、また2人で田舎に戻る。しかし、男は、女が東京にいる間に田舎でとある問題を起こしていた。その問題をきっかけに、2人はある男に振り回されることになる…。といったところ。
キャッチコピーの「世界は二人を、愛さなかった。」からもわかる通り、悲しい悲しいラブストーリー。結論から言ってしまうと、ハッピーエンドではない。登場人物みんなが何かしらの負を抱えていて、最後まで誰一人として救われない。誰も幸せにならない。
内容より、鈴木杏のポールダンスとか、2人の一糸纏わぬベッドシーンとかが先走って話題になったから、なんとなく「えっちな映画」みたいな印象になってしまってるかも知れないけど、ちゃんと深くてちゃんと悲しい映画だった。確かに、R-15指定なだけあって、随分な濡れ場がたくさんあったし、脱がなくても淫靡なシーンがたくさんあったけど、その生々しさが逆に2人の悲しさを際立ててくる。誰にも理解されない、っていう孤独と、強すぎる愛情。悲しくて痛い。
主演の若い二人だけでは何となく心もとなくなりがちだけれど、まわりがベテランぞろいだから、全く軽々しくない。中でもとっても気に入ったのが、大森南朋。ドラマでは、穏やかだったり面白かったりする役が多いけど、私はずっと彼には悲しい悪役が似合うと思ってた。今回はまさにそれで、彼の鬼畜な高笑いや怒鳴り声や罵声が、すごくツボにはまった。二人を引き裂く悪役としては最高のキャラクターで、人間って怖いなって思わせてくれる。
私は原作を読んでないからわからないけれど、主演の二人に関しては少しミスキャストな感じもした。高良健吾じゃなかったら私は観てなかったんだけど(笑)、つまり、ダメ男なのにどうしても惹かれてしまう魅力的な男じゃないといけないのに、ただの遊び人にしか見えない。なんで女がそこまでこの男に惹かれるのか、という明白な答えが見当たらない。女のほうはと言うと、単純に、鈴木杏がストリッパーには見えない。確かにポールダンスには猛特訓の成果は見えたけど、セクシーな衣装を着ていても全裸になっても、イマイチ、圧倒的な色気っていうのがない。残念。
観て良かったとは思うけど、他の人にも薦めるかどうかとなると、薦めないかな…。ポスターとか公式サイトとか観て、お金出しても観てみたいなと思う人だけ観ればいい。恐らく、無料で観れるとなっても、観ない人は観ないと思うし。逆に、こういう世界観が好きな人は、ストーリーにハマらなくても雰囲気だけでも充分楽しめると思う。
今度、原作を本で読んでみたい。
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