白いセカイの端の端 

April 24 [Tue], 2007, 4:46
少女は、天井すら見えないほど突き抜けた場所で眠っていた。
壁は一面白で統一され、遥か頭上の天井も真っ白。汚れ一つないほど磨かれた床も、同じく白。何処に目をやろうが、"此処"に色といえば白しかない。
"此処"が何処かは誰にも分からない。何処でも無い、無の場所――その言葉がしっくりと合っていた。
丸く切り取られた"此処"の『白』の中央、そこで少女は規則正しい呼吸を繰り返し、二つの瞼は閉じられたまま。まるで死んでいるかのように、生気を感じられない寝顔。
風一つ、音一つ届かない『無』ある此処は、一切の世界の常識が通用しない。
それは何の比喩でなく、此処だけが『普通』と違うという事。
ふと、少女は瞼を震わせて目を開けた。
ぼんやりと視線を巡らせ――やがて、仰向けで眠っていた少女の傍らで膝を着いている男に行き着く。
「ロムト」
静かに名を呼ばれた男――十七歳ほどか――は、億劫そうに伏していた顔を上げ、少女に目をやる。
「何ですか、巫女」
「そんなに素っ気なく呼ぶのは止めてと、何度も言っているでしょう?」
「はて、いつ私は伺いましたか」
感情を表に出さず、常に何事にも面倒臭そうな物言いだが、少女は彼が本当は自分の身を一番に案じてくれているのを知っている。
いつも傍に居てくれるからこそ、少女は鳥篭のような"此処"で笑っていられるのだから。
「まぁ、良いわ。今回だけは見逃してあげる」
「それは有り難う御座います。……御身体は、如何で?」
それとなくそう尋ねる彼に特別の感情を抱いて、少女は己の身体を見下ろした。
何処か痛みを感じるとか、負傷しているとか、そんな異常は感じない。
「大丈夫。何処もなんともないから」
「それは良かったですね」
寡黙の彼とは会話は弾まず、それきり二人の間には静けさが覆う。
「……ねぇ、ロムト」
そんな中、ぽつりと、少女は呟く。
「なんですか、巫女」
「私は一体……。何をしたのかしらね?」
一瞬何を言われたのか困窮した男は、目だけを動かして俯く少女の顔を覗き込んだ。
ぎゅっと唇を噛み、今にも涙が零れそうな表情――。
彼は胸の奥がずきりと痛むのを感じ、あくまでも素っ気なく言う。

「貴女は、世界を崩壊へと落とす引き金を引いたのです」

それはまるで、少女の死を通告したような。氷のような声色だった。
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    ・読書-オリジナル小説書き
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遠くから響くは
君の悲しみに墜ちた聲

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