200人の羽衣の準備!

August 05 [Tue], 2008, 23:37
 みなさん、こんばんは。
 「200人の羽衣」に向かって、いろいろと準備を進めています!

 山本能楽堂では、様々な初心者の方を対象としたイベントを企画し、「初心者も楽しい能楽堂!」として、初めて来られた方でも、何らかの形で「楽しかった〜」「面白かった!」「いい時間を過ごせた!」と思って頂けるよう、日夜試行錯誤致しております。

 イベントを立ち上げる時は、まず最初は、日にちを考えます。
 山本能楽堂の舞台が空いていて、出演者の方にも出演の依頼をしやすい日をまず選び、、、、そして次に行うのが、出演依頼です。

 大きくわけると、能に携わる人はすべて能楽師です。
 その中で、それぞれ、能楽師シテ方、能楽師ワキ方、能楽師笛方、能楽師小鼓方、能楽師大鼓方、能楽師太鼓方、能楽師狂言方とわかれます。
 (さらにそれぞれの流儀、たとえば山本章弘なら、観世流能楽師シテ方といういい方になります)

 能の公演の時は、たいていは一つの演目ごとに、各能楽師の方に個別に御出演をお願いします。
 (おワキや、お狂言はトップの方にお願いしてその方の采配でお願いする事もあります)
 平たく言うと、1演目ごとの契約になります。
 ですから、春・秋の舞台数の多い時は、能楽師は、いくつかの公演を掛け持ちされる事もあります。
 例えば、お笛の方は、午前中はA舞台、午後はBでご出演される、といった感じです。
 
 だから、まず、御出演の依頼です。
 能は1人でもメンバーが欠けると公演が成り立ちません。
 それぞれのパートを分業していますので、兼ね合うという事は一切ありませんし、手が足りないからと言って、シテ方が狂言方を演じたりは絶対にしません。

 その御出演の依頼も、先程申し上げました通り、個人契約なので、結構大変です。
 つまり、お一人お一人個別にご予定を伺い、依頼させて頂くので、案外時間がかかります。
 あいにく、ほかの家の催しがいくつか重なったりしたら、もう大変です。
 公演の時間を少しずらしたり、重なった催しの主催者の方にお願いして、何とか融通してもらったりすることもあります。
 どうしても、手が足りなければ、少し離れた地域でご活躍の方にお願いする事もあります。
 ですから、まず一番はご出演者の依頼です。

 能の舞台は一期一会。
 出演者の方も毎回違う方で、全く同じメンバーで一つの舞台をつとめさせて頂く事はまずありません。(海外公演等長期遠征で、演目が同じ場合くらいです)

 その日に出会えたお客様、そしてご出演頂く方、、、
 その瞬間に同じ場所に居合わせていただくご縁の不思議を思い、さらに舞台から何か感じ取って頂ければ嬉しいです。

「羽衣」について

August 04 [Mon], 2008, 23:47

 有名なお話ですので、みなさん「羽衣」についてはよくご存知かもしれませんが、今日は「羽衣」のお話をさせて頂きます。



 昔、三保の松原に白龍という名の漁師がいて、いつものように釣りに出かけ美しい衣を見つけました。家宝にしようと持って帰ろうとすると、天人が現れ返して欲しいと言います。
 天の衣ならますます珍しいので国の宝にするといって返そうとしない白龍に、衣がないと天に帰れない、と言って天女は悲しみます。
 その姿があまりに哀れなので、お礼に舞を舞ってくれるなら、衣を返すと白龍が言うと、天女は喜んで衣を着け、天人の生活の面白さや、三保の松原の春景色の美しさを讃えた舞を舞います。
 そして地上はあたかも極楽世界のようになり、天女は風に乗って舞続け、やがては空高く、霞にまぎれて消えていきました。

 羽衣がなくては舞が舞えないという天女に、羽衣を返したら、舞わずに逃げていくのではないか、と白龍が言います。
 すると天女は「いや、疑いは人間にあり、天に偽りなきものを」と答え、白龍も「あら恥かしや」とすぐに羽衣を返すシーンがあります。
 私はそこが大好きです。
 人間の清らかな心が表現されているからです。
 なんだかこのシーンはほっとします。
 
 あとは、最後の部分の謡も大好きです。
 「天女が風にのって舞い、続け、三保の松原から浮島ヶ原へ、そして富士の高嶺へ舞い上がり、やがては空の霞みの中へ消えていく」、その部分の謡は、自分が空を飛んでいるような気分になり、春ののどかな海辺の風景とも相まって、いつも気持ちがよくなります。人間の持つ清らかな気持ちがどんどん大きくなっていき、天女によって空高く運ばれ、やがては天までおおいつくし、全世界が平和になるような気分になります。

 今回「200人の〜」に「羽衣」を選ばせて頂いたのは、第1にみなさんがよくご存知の曲であること、第2に「謡」の詞章が美しい事(日本人の美意識が凝縮されている事)、そしてやはり「謡って気持ちがいい」事です。

 最後の部分の謡は、本当に雄大で、パーッと目の前が広がる感じがします。

 よろしければみなさんも是非御一緒に謡いにいらして下さい!

(MM+YY)

能の「羽衣」と「羽衣伝説」

August 03 [Sun], 2008, 23:27
 
 「羽衣」のお話は、国語の教科書にも載っていますし、みなさんは一度はどこかで聞かれた事のある、お馴染みのお話だと思います。

 私自身も小学校のとき、教科書で読んで、その時の挿し絵がかわいらしかったのとあいまって、とても印象深く覚えています。
 そして、読書が好きでしたので、他の絵本や、物語でも、幾度となく読んだ記憶があります。
 私が、知っていたのも、能の「羽衣」とよく似たストーリーでしたが、能のようにすぐには男が羽衣を返さず、何年かして、隠してあった羽衣を天女が見つけて天に帰って行く、、、といった話の展開だったように思います。



 今回調べてみると、この「羽衣」のお話、実は日本国中にいろいろな物語が、それぞれの各地に伝わっていて、最初の部分は同じなのですが、そのあとの展開が本当にいろいろで、それを研究されている学者の方もいらっしゃるそうです。

 「天女が天上から地上に降りて、水浴しているところを男が覗き、天女の羽衣をこっそり隠してしまう。羽衣がないと天上へ戻れないと言って天女は困ってしまう…」
 この冒頭のシーンのみが同じで、あとはそれぞれの地方によって様々に展開されます。

 例えば、、、、
 天に帰れなくなった天女は男と結婚して子どもを残し(幸せをもたらす)、その後男がうっかりと羽衣の隠し場所を漏らし、天女は羽衣を見つけて天に帰る。

 漁師が老人の場合、天に帰れなくなった天女は老夫婦の子どもとして引き取られ、天女はお酒を造るのが上手く、老夫婦は裕福になる。

 男と相思相愛になった天女が、天の父に男を夫として認めてもらおうとするが、父が男に難題をだし天女がそれを助ける。

 そして、子どもが生まれた場合は、、、
 羽衣を見つけた天女と一緒にこども達も天に帰る。

 天女はこども達を抱きかかえて天に帰ろうとするが、帰れず、やむなく子どもを地上に残す。

 残った子どもは、立派で偉い人になる。あるいは、去っていった天女に会おうと、男や子どもがいろいろな手段を使って天上へのぼって来る。

 など、など、本当にいろいろなパターンがあります。

 でも能の「羽衣」はとってもシンプル!

 なくした羽衣を、天女は漁師に返してほしいと言います。
 その姿があまりに哀れなので、漁師はすぐに返します。
 そして、返す変わりに、天女の舞を舞ってほしいと頼みます。
 その時、漁師が「羽衣を先に返すと、舞を舞わずに帰ってしまうのではないですか?」とつい言ってしまいます。
 すると天女が「そのような疑いは人間の心の中にだけあるもので、天にはそんな心はありません」と言います。
 それを聞いた漁師も「あら恥ずかしや(ああ、なんて恥ずかしい事を言ってしまったんだ)」とすぐに反省します。
 そして、羽衣を返してもらった天女は、天の舞をみせゆったりと舞い、やがては天上に帰って行きます、、、

 如何ですか?
 なんていうか、普通の羽衣伝説より、ずっと清らかで、崇高で、美しくありませんか?
 私も、この羽衣を返すシーンが大好きです。
 人間って、美しい、澄んだ気持ちをもっているんだ!と清々しくなります。

 確かに、子どもができたり、その地に住みついたりする方が、現実的で、ましてやせっかく見つけた羽衣をそうやすやすと返さない方が(ましてや舞を舞ってもらう位では返さない)、ストーリーとしては面白く語り継がれやすいとは思います。
 同様のお話は、中国、東南アジア、そしてヨーロッパ各地にもあるそうです。

 でもこの「清らかさ」それこそが「能」であって、能の素晴らしい所だと思います。
 
 私は学者ではないので、わかりませんが、他の能のお話も、恐らく、歴史の中でのいろいろな伝説や実話をもとに作られてきたと思いますが、能として作っていく上で、そこに精神性をこめ、この羽衣のように新たな世界観を作り上げてきているのだと思います。
 そして、それこそが能の真髄。
 この各地に伝わる土着の「羽衣伝説」を能の「羽衣」にまで、そのエッセンスを残しながらも昇華させたところが、能の素晴らしさなんだと思います。

 極端なところ、能の「羽衣」が作られていなければ、「羽衣伝説」はただのおとぎ話で終わっていると思います。
 でも能の「羽衣」になったことで、あらたにそこに芸術としての側面が大きく加わったと思いますが如何でしょうか?

 余談ですが、能の「羽衣」の舞台である「三保の松原」には、天女が舞い降りたとされる樹齢650年の「羽衣の松」があるそうです。
 そして、近くの御穂神社(みほじんじゃ)には羽衣の切れ端が保存されているそうです、、、
 いったいどんな衣なんでしょうか??

(MM+YY)

 

 

 
プロフィール
  • ニックネーム:「200人の羽衣」
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「200人の羽衣」プロジェクトは、2008年から新たにスタートした、新しい形の能公演です!今まで「観るもの」だった能が「参加して楽しむもの」に劇的に変わります。「謡声能楽堂(うたごえのうがくどう)」で皆さんも思いっきりお腹の中から声を出して「羽衣」を謡いましょう!初めての方は、「字幕」があるので安心です!無料の事前レクチャーもあります!お楽しみに!
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