改革路線で多数派となったが、安心と活力ある社会を目指す・・・ 卓上四季 八葉蓮華

2009年01月29日(木) 23時40分
 「日本もまた『この国のかたち』を変える節目にあります」。麻生首相が初めての施政方針演説で述べていた。「この国のかたち」とは、作家・司馬遼太郎の評論からとったものだろう

 〈「この国のかたち」の再構築〉。報告書にそう書いたのは、橋本元首相の肝いりで中央省庁再編を進めた行政改革会議だ。最近では、安倍元首相が最初の所信表明でこの言葉を使った。目新しい文句ではないが、それはいい

 首相演説によれば、「この国」は二世紀の間に、二度の危機的状況を経験した。最初は開国と明治維新、二度目は敗戦と戦後改革だ。こうして経済大国となり、「安全で平等な社会をつくった」

 そしていま、「第三の変革を迫られている」。高齢化が進み、新たな格差や不安が問題となっている。安全と平等が揺らいだ「この国」が目指すのは、安心と活力ある社会だという

 小泉元首相の改革路線からの決別といえるが、それは言葉にしていない。安心を脅かす道をかつて支持した反省も示さない。小泉政権下の総選挙で多数派となった人々が、これに距離を置く政権をともかく支える。何と不思議な状況だろう

 自分の行いを反省せぬまま、時の流れに身を任せる。司馬は、こうした形で権力の座にあった人物の倫理観の薄さを問うた。「この国のかたち」は今もあいまいである。麻生首相が語ったのと違う意味ではあるが。

卓上四季(1月29日) 北海道新聞
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