ギブミーチョコレート。 

February 14 [Wed], 2007, 16:35
「何の嫌がらせだ?」

今日一日、学校中が甘い匂いと浮き足立った雰囲気にまみれ、疲れきった所でさらに目の前には色とりどりのチョコレートが…。

「チョコ三昧」
「死ね!!」

いくら甘いものが嫌いでなくても限度がある。
いつも使っているパスタ皿にアーモンドチョコ、クランキーチョコ、マーブルチョコ、ウエハースに挟まれたもの、クッキー、パイ…眩暈がする。

「あ、ホットチョコレートがええ?外寒かった?アイスもあんねんけど…。」
「……。」
「ん?」
「…わかった。食わせてやるからそこに座れ。」

にこにこ上機嫌にチョコレートを進めてくる馬鹿なこのクソ男…これで食わなかったらまたジメジメ泣くと思ったら鬱陶しくて仕方がない。
しかし、今日1日この甘い匂いを嗅ぎ続けていてもうすでに匂いだけでお腹がいっぱいになってしまっているので全く食いたくない。食わなくていい方法を瞬時に考え、苦肉の策でアーモンドチョコを一粒摘むと、口の中に押し込んで、耳元でそっと…。

『Happy Valentine』


頼む、騙されてくれ…。もうチョコレートは無理。

end

どっちもどっち。 

February 05 [Mon], 2007, 15:29
「なぁ、その恰好で寒くねぇの?」

長袖のシャツ1枚にジーパン、足は素足ベランダに出て洗濯物を干している男に声をかけた。

「寒いで〜、早よ終わらせな凍ってしまうわ。」

外気が入らないようにぴったりと閉めたガラス越しにヒラヒラと手を振ってくる。
手も足も真っ赤で、なのに笑っているから腹が立った。


「バーカ、その冷たい手で絶対に俺に触るんじゃねぇぞ。」


その馬鹿の為にキッチンでやかんに火を付ける俺も相当馬鹿だと思う今日この頃。

end

健全に遊んだりもするんですよ。 

October 30 [Mon], 2006, 14:42
「ここ、ここ。中々いいぜ?」

そういって宍戸に連れてこられたのはビリヤード場。
部室でビリヤードの話になった時に「今度やろーぜ」と言ったきり、そのまま流すはずが呼び出されてしまった。

「ったくよ〜、できるならできるって言えよな?俺がつまんねーだろ。」
「はいはい。で、何やる?」
「ナインボールでいいだろ。先ずはお前の腕見なくちゃな。」
「ほんなら俺が勝ったら夕飯そっちの奢りな。」
「おう」

キューに滑り止めのチョークを付け、ブレイクショット。
久しぶりの球を突く感覚に自然と気分が高揚する。

「跡部もだけどよ、お前もむかつくわ」
「何やねん」
「ただ突いただけなのによ、人目引く」
「あ、羨ましい?」
「んのやろ、見てろよ?」

趣味がビリヤードと言うだけあって中々。宍戸の性格上がつがつ攻めるかと思えば慎重すぎるくらいに慎重だ。なかなか自分の番がまわってこない。

「なぁ、宍戸」
「何だよ、話し掛けるな」
「青学の乾とやったことある?」
「あ?」
「データマン・乾や」
「ねえ」
「一度やってみや、おもろいで。あと、亜久津もおもろい」
「チッ…お前って意外と社交的?」

ポケットギリギリで落ちるはずだった球が落ちずに舌打ちをして宍戸が場所を空ける。
忍足がその球をあっさり落とし、次の球へを狙いを定める。

「学校終わったらただの同級生やん。性格出て楽しいで?」
「面白そうだな、今度おれも混ぜろよ」
「亜久津は来るかわからんけど、乾は都合がつけば来るな。…はい、終わり」
「うっわ、これを入れるのかよ…むかつく!!!」
「夕飯奢り、やんな?」
「しょうがねえな、マック奢るか」
「え、マクド?…その為に俺はがんばったんかい…」

end

観察。 

September 28 [Thu], 2006, 13:02
ジーーーー。

「…何やの?」
「これ、邪魔。」

面と向かって座り、キスできそうな距離でじっと目を見詰めてみる。
眼鏡が邪魔。
前髪が邪魔。

「顔に穴があく…。」
「あかねぇ。」

顔を手で隠そうとするから手首を掴んで、背ける顔を追いつつ観察。
次は鼻。
次は唇。

パーツで見ると整ってはいるが特にこれが好きというパーツはない。
突出して綺麗というわけでもない。

「何、今日は何の遊びなん!!」
「遊びじゃねぇよ、真面目だ。」

困ったように眉毛が下がる。
(お…。)

「そない熱く見詰めてくると…襲うで?」
「いいぜ?」

眉毛があがって、目が少し大きくなり、口元が緩む。
(…うん。)

「キスしろ。」
「ん?何や…ただの構ってちゃんかいな。」

目を少し細める。目尻が下がり、口角があがる。
(ああ、俺はこれが好きなんだ。)


end

まだ…。 

September 27 [Wed], 2006, 12:53
げし。
げし。
げし。
げし。

「…景ちゃん。」

げし。

「この足はなんでしょう?」

げし。

洗濯物を畳んでいる忍足の背中を、跡部がソファーの上から伸びた足で押していた。
痛いほどではないけれど、体が前に傾くほどは力を入れたそれに何か理由が…と聞いてみるも返事はない。
一定のリズムで何度も繰り返して押す。

「景ちゃん、洗濯物たたんでるんやけど。」
「…ん…。」
「ん、やなくて、何?」

そっと足の届かない所に移動すると、跡部が不満そうな顔をして、足を引っ込めた。

「…足が、寒かったんだよ。」
「え?」
「でも、背中が…あったかかったんだよ。」

たたみ中のタオルを放り投げて跡部を見ると、ソファーの上で小さく丸まっていた。
放っておかれて眠くなったのだろう、そして寒くなってきた。
俺の気を引こうとして伸ばした足に触れた背中の、足の裏から伝わる体温が暖かかったらしい。
「せっかく眠れそうだったのに」と恨めしそうな顔をする跡部がかわいくて、タオルケットとはなを取りに行く。はなを渡し、タオルケットを体の上にかけてやった。

「もうそろそろ、毛布にする?」
「……まだ、お前でいい。」

end

ホラー。 

September 08 [Fri], 2006, 15:34
忍足がボソボソと歌いながら夕飯を作ってる。
低いその声が聞き辛く、奇妙なメロディーが気になって近づいてみた。
手元をみると、焼いたたらこを解してパスタの上に乗せている。

「た〜らこ〜、た〜らこ〜、た〜っぷり、た〜らこ〜♪」
「…?何だ、それ。」
「ん?景ちゃん知らんの?」
「気持悪いメロディー。」
「そう?CMかわいいんよ、たらこのきぐるみ来たキューピーがいっぱいおんねん。」
「ふぅん。」
「はい、和風タラコキノコパスタのできあがり。テーブルは用意できた?」
「とっく。」
「さすがやな。」

席に付いて食べ始めると、忍足が「これこれ」とテレビを指差す。
確かにタラコを来たキューピーが沢山…。

「…ホラーじゃねえか。」
「そうやろか…かわええやん?」
「これ横溝正史とか江戸川乱歩とかの世界だぜ。」
「ああ…言われてみれば。」


end

猫耳。 

September 06 [Wed], 2006, 14:26
猫耳というものがあります。
『萌え』アイテムの1つです。
それが目の前の恋人の頭にあったら悶えてもしょうがないと思うのです。
しかし、うちの可愛いハニーは「にゃ〜んv」と言わずに目を細めて舌なめずりして迫ってくるんですが、どうしたらいいですか。食われそうです。

砂糖菓子より…。 

August 15 [Tue], 2006, 9:58
(何だか落ち着かない。)

読みかけの本は読みきってしまったし、腹が減っているわけでもない。
一昨日洗ったばかりだというはなからは優しい香がするし…忍足がいないわけでもない。
妙な感じだ。

「どないした?」
「あ?」
「何やきょろきょろして。」
「…何か、落ち着かねぇ。」

忍足はセットしていた珈琲メーカーの前で片眉を軽く上げると、スイッチを入れて、首を傾げている跡部へ足を向けた。

「何か変な匂いでもする?」
「いや…。」
「ん〜…眠い?」
「いや、全然。」

隣に座り、そっと前髪を掻き分けて額に触れてみるが、熱もない。
そのまま髪の毛に指を入れて梳くようにする。

「ほんなら、おいで。抱っこしたる。」
「…意味わかんねぇ。」
「いいから、おいで。ほら…。」

体格のそう変わらない相手を抱っこするのはなかなか容易なことではないけれど、足の間に体を収め、胸の上に頭が来るように少しずらして抱きしめる。
跡部も良くわかっていないながらも、抵抗せずに大人しく収まった。
少し強めに抱きしめると「苦しい」と抗議の声があがったが、嫌がりはしない。
そのまま背中をトン、トンと一定のリズムで叩きながら、「どう?」と聞くと「別に…」と素っ気無い返事しか返ってこないものの、体の力を抜いて、リラックスしてることは体から伝わってくる。

「スキンシップ不足…やったかな?」
「セックスは十分過ぎるほどしてんじゃねぇか。」
「それとこれは別やろ。あっちは体のセックスで、こっちは心のセックス。ちゃんと…気持ええやろ?」
「…う〜ん。眠くなる。」
「寝てええよ?」
「それで、夜はまたベットの上なのに眠れないんだろ…。」
「ベット以外がええの?」
「ばーか…こういうの、ベットでしろよ。そしたらもっと気持ちよく…眠れる。」

体に直接響く声の振動が心地いい。
暖かさと、心音と、優しい接触。
自分の体がほっとしてることになんて、とっくに気がついていたけれど、それを口に出すのも悔しいので、言わない。

「かわいく甘えてくれたらいつでもするんやけどなぁ。」
「…キス、しろよ。」

額、こめかみと降ってくるそれが唇の上に降りてくることを瞼を閉じて待つ。
睫毛を唇で引っ張られて思わず笑った。


end

母子会話。 

July 25 [Tue], 2006, 12:42
飲み物を取りにキッチンに行くと、リビングから「ママも〜。」と声がかけられた。

「何?」
「ママにも頂戴。」
「だから、何を?」
「景吾の特製愛情たっぷりアイスティー。ダージリンで。」
「……。」

冷蔵庫を開け、水を取り出すとパタンと閉じると、部屋へと方向転換。

「景吾〜、ママもう喉乾いて死にそう…。」
「自分で動けよ。」
「ずるい…自分は飲んでるくせに〜。」
「…何だよ、絡むなよ。鬱陶しい。」
「酷いわ…蝶よ華よと育ててきたのに、この仕打ち。小さい頃は天使だったのに…。」

ドン。

リビングのローテーブルの上に硝子のティーポットとカップを置いた。
ポットの中には茶葉が浮いている。

「お待たせしました、景吾特製水出しダージリンアイスティーでございます。本日はキャッスルトン農園の茶葉をご用意いたしました。抽出時間は3時間となっておりますので、ゆっくりとお待ちください。」
「…なんてイヤミな子。」

end

彼の憂鬱。 

July 19 [Wed], 2006, 11:33
雨は嫌いだ。

テニスが外で出来ない。
どんなに気をつけて歩いてもズボンの裾に泥はねができる。
テニスが外で出来ない。
空気が体に纏わりついて気持が悪い。
テニスが外で出来ない。
ノートは湿気を吸い取り腕にべったり張り付く。
テニスが外で出来ない。
書いた文字が中々消えない。
テニスが外で出来ない。
元々あまりコシのない髪の毛がへたる。
テニスが外で出来ない。
ただでさえ鬱陶しい忍足が少し不機嫌そうでさらに鬱陶しい。


どんよりと重く分厚い雲を空色の瞳で睨みつけた。

end
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