2003年7月の日記(14)

March 21 [Wed], 2012, 3:17
今月は3月で決算月だからだろうか、あちこちで道路工事が行われてバタバタと終わっている。
こんな田舎町ではビルや家屋の建築工事は少なく、公共事業を発注しなければ土木建築業界が成り立たないのではないかといつも思う。
それほど道路工事が目に付くからが、ミャンマーの軍隊と同じで一種の失業対策だと理解することにしている。
それにしても、同じアスファルト舗装をするにしても、もう少し丈夫にすればいいのに、路肩の強度などがどうも弱すぎるような気がする。
それにつけても今日の寒さはなんとしたことだろう。
昨日も今日も天気がいいのはわかっているが、それだけに冷え込みが厳しい。
七月十四日月曇昨日はスコールが降ると期待したのに降らなくて、夜になって申し訳程度に小雨がぱらついたが直ぐ止んでしまった。
今日も朝から薄奄ェ広がっているが、さて雨が降って涼しくなってくれるやら、バンレムの天気は気まぐれでとんとわかりまへん。
それはさておき、これは最近気付いたことだが、バンレムでは真東から太陽が昇って真西に沈んでいない。
これは何故だろう。
天文学についてはど素人もいいところで、無知無学の私にはどう考えても理解できなくて、何回も日の出と日の入りを見たが同じだ。
方角を見ようにも磁石が無くて、従業員宿舎の中心線を東西と仮定して、手製の分度器で測ると太陽が出る方向が北東に二十六度ほど傾いていた。
そうすると対角線の軌道を通って南西に沈むと思うのに、実際には北西の方向に、それも四十度も傾いて沈むから頭がおかしくなる。
従業員宿舎の東側は民家とマーケットで、ここがバンレムの中心とは言え猫の額ほどの広さしかなく、それを外れると平野と丘陵が果てしなく続いている。
西側は黒土の肥沃な畑で、今はトウモロコシが栽培されており、その向こうに民家が疎らに建っているものの、更にその向こうになると山だ。
この山は緑の木々や大きな木が見える距離にある小高い山で、その山の向こうにも高い山が連なっている。
そして、その遥か向こうには更に高くて険しい山が青く霞んで幾重にも重なって山脈をなし、行く手を遮っているのが見える。
あれはタイの山なのかそれともカンボジアの山なのか知る由もないが、その山の向こうに太陽は沈んでいくことだけは確かな事実だ。
十時四十五分に松島に電話をすると話し中で、今日は電話が繋がると期待して五分後に再び掛けるとまた話し中の音がした。
これで電話を掛けると話し中の音が出るようにしているとわかり、躊躇なく母親に電話した。
こうなれば伝家の宝刀を抜くしかない。
今日は松島の母親が応答に出たので、金を持って来なくてどうにもならない。
明日同じ時間に電話をするから必ず電話に出てくれという伝言を頼んだ。
電話代を払って帰ろうとすると、先日日本語でこんにちはと挨拶した息子が店に顔を出して話し掛けてきた。
何でと考えるまでもなくカジで働きたいからで、バンレムには会社や工場が無くて、働きたくてもカジ以外にはろくな仕事がないからだ。
松島と相談だが、私にスロットコーナーの管理を任せてくれるならあの四人をクビにしてこの息子を雇ってもいい。
キャッシャーの女の子などなんとでもなるから心配ない、などと考えながら帰路についた。
その途中、友達の長女の誕生パーティーで同席した可愛らしい女の子と道ですれ違ったが、今日は短いジャンパースカートにTシャツで自転車に乗っていた。
遠くから私を見ていたらしく、恥ずかしそうに少しうつむいてニコニコ笑いながら、少しスピードを上げて黙って走り去った。
スースライこんにちはと言えないほんの一瞬の楽しい出来事に、先程までの暗く沈み込んだ心がぱあっと消えてハッピーフィーリングで部屋に戻った。
とは言えこの部屋で待ち受けている現実は過酷なまでに厳しくて侘しく、久し振りに女の子と出会ったうれしさなど一瞬のうちに消え失せる。
今朝マーケットで苦瓜を探したがどこにも無くて、何かないかと探してカボチャを半分買った。
こんな田舎のマーケットでカボチャを半分売っているのが不思議で買ったが、これだけあれば二日は食える。
それに昨夜営繕の兄ちゃんがくれた干し魚と鶏肉がある。
あれを焼けば十分で、生き延びるためには贅沢なんか言っていられない。
三時過ぎのこと、昼寝をしていると雷鳴が聞こえて風が出たので外に出て見ると、雨奄ェ少なくて雷鳴は思ったより遠い。
これじゃあ雨は降らねえわさと、がっかりして再びベッドに横になった。
遠雷はいずこに慈雨やと蚊帳の中一句浮かんだものの、思い出せないがどうもどこかで聞いたような句だ。
俳句などひねる柄ではないとは言え、オリジナルならうれしい。
それから一時間ほど経った頃、外が次第に薄暗くなって小雨がぱらつくようになり、あまりの暗さにどんな豪雨が降るだろうと外に出ると、西の方から真っ黒な雨奄ェ流れて今にも空を覆い尽くすような勢いだ。
わずかに残った東の空には湧きあがった積乱奄ェ太陽に照らされて白く輝き、その奄フ隙間から真っ青な空がのぞくアンバランスな空模様だ。
まだこんなに暗くなる時間ではないのに、なんだこれはと思って見ていると、やがて西の方からシャーッというスコール特有の雨音が近付いて、土塊を砕いて跳ね上げる驟雨が沛然と降りだした。
こんな雨が降るようなどでかい雷鳴はとんと鳴らなかったのに、これはいったいどうしたことだろう。
私が気付かないうちに季節が移り変わったのか。
バンレムとヤンゴンの出会い チェルカ雨季を比べることはできないかも知れないが、雨の降り方があまりにも違うので戸惑うばかりだ。
スコールが通り過ぎても明るさが戻らなくてそのまま夕暮れになったが、さほど強くはないとは言え雨は依然として降り続いた。
外がすっかり暗くなった頃、ペから電話が掛かってくると言ってヌントゥがケータイを持って来たので驚いて受け取り、ケータイを見て更に驚いた。
ヌントゥがどんな経緯でこれを手に入れたか知らないが、コリアンが新しいケータイを買う前に使っていた彼女のケータイだったからだ。
と言うことはこのケータイはプリペイドではなく、タイの電話局に料金を払うケータイだからカンボジア国籍のヌントゥには買う資格が無い。
それを持っているということは、もしかしてコリアンに口止め料としてもらったのではないのか、などと考えているとペが電話を掛けてきた。
今日か明日スライマオから二百バーツ借りてヌントゥに持って行かせると言い、その他にも何か言ったが私にはわからなかった。
それにしてもあいつらはいったい何を考えているのだろう。
またしてもスライマオから借りるとは、泥魔ニよほど仲がいいらしい。
夕食後、日記を校正すると修正液で消した部分がかなり空白のままだ。
雨は九時頃には止んだが私の仕事はまだ終わらない。
しんと静まりかえった従業員宿舎には足音も人声も無く、どこからかカンボジアの民謡が聞こえて雨が止んだ叢では降るような虫の声がした。
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