介護が政治に望むこと(5)「平均在院日数など盛り込み『質』を評価する報酬改定を」―日慢協・武久洋三会長(医療介護CBニュース)

May 12 [Wed], 2010, 2:27
 2012年、診療報酬と介護報酬の同時改定を迎える。この改定が「今後の日本の医療・介護にとって、大きな分岐点となる」と話すのは、日本慢性期医療協会の武久洋三会長だ。武久会長は、その同時改定に向け、医療と介護の中間点で活動する各施設の役割を明確にすると同時に、連携を強化することこそが、今の政治が取り組むべき課題と強調する。

―2012年の同時改定が、今後の日本の医療と介護の先行きを決める大きな分岐点になるとされていますが、その理由をお聞かせください。
 多くの人の共通認識となっていると思いますが、医療と介護は不可分な存在です。ところが、一方で医療と介護の2つの保険が存在するという現実もあります。その結果、例えば介護療養型医療施設のように、医療と介護の中間点にあるような施設での行為は、どちらで扱うのかという問題が常に付きまといます。こうした問題を根本から解決するには、同時改定は絶好のタイミングと言えるのです。
 逆に言えば、12年のタイミングを逃せば、次の同時改定は18年となります。医療・介護分野で働く人にとっても、治療や介護を受ける国民にとっても、その6年間はあまりに長過ぎるのではないでしょうか。

―すると、今夏の参院選でも、各党には12年の同時改定を見据えたマニフェストの策定を期待するわけですね。
 もちろんです。内容も、例えば「介護療養型医療施設の廃止」の廃止、という単純なものではいけません。医療と介護のはざまにある施設をどの保険で扱うか、その区分けのための作業を12年に向けてどのように行っていくか、そうした方法を提示してほしいのです。
 具体的には、病院における平均在院日数や在宅復帰率、医療区分の改善率といった項目を新たな評価項目とするよう公約してほしいですね。こうした項目があれば、それぞれの施設の性質を浮き彫りにしやすいはずです。言い換えるなら、12年の同時改定は、治療の質まで評価する内容とすることを約束してほしいのです。細かな点では、10年の報酬改定では一か月当たり150点とされた救急・在宅等支援療養病床初期加算について、次の改定では300点には上げてほしいですね。

―ところで、現在の連立政権の医療・介護への取り組みについては、どのように評価なさっていますか。
 他分野では別の評価もあるのでしょうが、医療・介護業界から見れば、政権が交代してよかったと言えるでしょう。100点満点で言えば80点はあげたいところですね。

―随分と高得点ですが、どういった点を特に評価されているのでしょうか。
 まずは10年続いた診療報酬の削減に歯止めが掛けられたことが大きいですね。また、「大変なところ、頑張っているところは手厚く評価する」という、ごくまっとうな内容になっている点もいい。特に急性期医療に配慮していることは大いに評価できるでしょう。

―急性期だけが手厚く評価され、慢性期医療がなおざりにされているようにも見える報酬改定でしたが、それでも高く評価できますか。
 急性期があっての慢性期です。急性期が駄目になれば、慢性期にも大きな影響が出てきますから。川上の急性期に手厚く報いるのは、川下である慢性期にもよい影響となって表れるはずです。

―急性期医療が駄目になると、慢性期にはどんな影響が及ぶのでしょうか。
 急性期病院が人手不足で忙しければ、どうしても必要な治療だけを実施することになります。若者ならそれでいいのかもしれませんが、高齢者となるとそうはいかない。脳卒中で搬送されたとしても、そのほかにも深刻な病を抱えている場合だってあります。そして搬送された急性期病院が忙しいと、脳卒中だけを手当てして、ほかの病気は慢性期医療にお任せ、ということになってしまうのです。
 事実、慢性期医療にやって来る低栄養症状や脱水症状といった患者の7割が、急性期病院を経由してやって来るのです。本来、こうした症状が起こらないように急性期治療をしてくれることを期待しているのです。慢性期医療で見るよりは、川上の急性期で見てくれた方がいい。10年の診療報酬改定で、急性期医療のフォローで大わらわになっている慢性期医療の状況は、少しは改善されるのではないかと安心しています。
 当たり前のことですが、今回の改定が完璧だったというわけではありません。次の改定では、急性期の受け皿となっている慢性期にも、もっと光を当ててほしいと強く願っています。ただ、最初の手順として、上流である急性期医療に手厚く報いたのは、正しかったと考えます。

―現政権に対する評価は20点だけ減点されています。理由をお聞かせください。
 公立病院に手厚過ぎる点が減点理由です。公立病院の場合、救急医療などを担当することが多いから、手厚くする理由は分かります。ただ、民間でも同じように頑張っているところもありますし、一方で診療機能の低い公立病院だってあります。できれば官民にかかわらず、よくやっているところに手厚い報酬を付けるシステムを構築してほしいですね。
 とはいっても、連立政権は前政権に比べて、国民目線に近づいていることは間違いないと思います。中には「半年たっても十分な成果も挙げられない」と批判する人もいますが、わたしに言わせれば、まだ半年しかたっていません。あの明治維新でも、西南戦争が終わり、体制が確立するまで10年かかりました。根本的な改革には長い時間が必要なのです。


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