「堕ちる花」夜光花・著

September 09 [Tue], 2008, 15:58
※読んだのはコレ
堕ちる花 (SHY NOVELS 211)

堕ちる花」夜光花・著
イラスト:水名瀬雅良
出版社: 大洋図書(SHY NOVELS 211)
発売日: 2008/9/6
価格:903円
新書: 243ページ

大学生の誠は異母兄で人気俳優の尚吾と故郷を離れ、東京で暮らしている。ふたりはまるで恋人のように仲のいい兄弟だったが…。ずっと押し殺してきた想い。兄弟として超えてはならない一線。故郷に隠された忌わしい秘密とは?

男らしいタイプの美形な兄・尚吾×中世的な美形の弟・誠 のお話。
兄弟モノではありますが、兄→弟で、しかも異母兄弟なので、
「わりと普通だなー」なんて思ってしまったのは内緒w

大学生の誠は進学にあたり実家を出て、人気俳優の兄・尚吾と東京で同居中。
兄の尚吾は過保護なくらいに誠を溺愛しており、誠もそれを好意的に受け止めていた。
しかし、誠には悩みがあった。
沼の近くで子供が死んでいるという恐ろしい夢を、小さい頃から繰り返し見てしまうのだ。
あの光景は一体何なのか、どうしてあんな夢を繰り返し見るのかと悩む誠。
そしてある日、地元の同級生から誠宛に1通の葉書が届いた。
そこに書かれていたのは「十三年前の真実がわかりました。」という言葉。
誠は東京に出てきている同郷の友人と連絡を取り合い、帰郷するか否かを相談するが、
そうしている内に葉書を出してきた同級生が不可解な死を遂げてしまう。
そして、何かを知っているような兄・尚吾の口ぶり。
誠の例の夢は、13年前から続いている。
13年前の真実とは一体何なのか。
あの夢は本当に夢なのか。
あの夢が伝えようとしている事柄は何なのか。
…というのがだいたいのあらすじ。

面白いかどうかで言えば、面白くはあったのですが、
個人的に萌えは得られませんでした。
自分の萌えツボが「美形でかっこいい兄×かわいい弟」ではなく、
「男らしく大きな弟×パっとしないんだけどエロい兄」という感じだからかもしれませんw
それと「兄弟で、しかも男同士」という壁があるからこそのドロドロ感や葛藤が好きなのに、
この作品はわりと最初から尚吾と誠がラブラブで、
一線を越えるまでや、越えてからの葛藤への対処も簡単に進んでしまったので、
そういった所以から自分の萌えにヒットしなかったのかもしれません。
とは言え、Hシーンはエロかったです。
とある事の副作用で体の火照りを抑えられない弟の姿に、堪らず一線を越えてしまう兄。
それに対して、けっこうノリノリ(?)で色っぽい弟。
水名瀬雅良先生の素敵な絵柄との相乗効果もあり、キレイだけどエロかったー!

そんなかんじで(?)、受けと攻めのどうこうよりも、
村の秘密のアレコレの方が物語の中心なのかなーという印象でした。
村の秘密についてはなんとなーくこんな感じかな?という予想はあったけれど、
こういった日本的な恐怖の味は大好きなので、楽しく読ませて頂きました。

それと、最後の最後で「お!」と思ってしまうような、
物語の核心についての違った側面からのアプローチがあって、それが良かった!
私はそこで初めて、というか、
これまでのどの部分よりも、その最後の描写で、
兄→弟への愛情(執着?)の深さを感じましたー。

BL作品ですが、個人的には「BLを読んだぞー!」というよりも、
ホラーというかサスペンスというか…な作品を読んだという読後感。
ひやりとした寒気が背中にぺったりと貼り付いてくるような雰囲気のお話でした。
「小さな田舎村のちょっと怖い言い伝え」みたいなものがお好きな方にはぴったりかな?

「ずっと君が好きだった。」夜光 花・著

September 05 [Fri], 2008, 0:54
※読んだのはコレ
ずっと君が好きだった。 (ガッシュ文庫)

ずっと君が好きだった。」夜光 花・著
イラスト:文月あつよ
価格:590円
出版社:海王社 (ガッシュ文庫)
発売日: 2007/02
文庫:253ページ

「五年間好きでいてくれたら、お前のこと好きになるよ」高校時代に八木に告白されて裕紀はそう答えた。これをきっかけに二人の友人付き合いが始まる。役者の道を志したバイト生活の裕紀に、八木はご飯を作り励ましてくれた。いつしか実直で優しいその男は裕紀にとって、かけがえのない親友になっていた。そして五年後。ずっと裕紀を想い支え続けてきた八木から二度目の告白をされる。恋人は嫌だが八木と離れたくなかった裕紀は、キスや愛撫を受け入れてしまい…。

あえて、夜光先生「他の作品と比べてどうだった」という他作品との比較は抜きに、
この作品についての感想だをけ書こうかなと思います。

とても、おもしろかったです。

女の子と付き合うことも、友人関係も、すべてに退屈さを感じて過ごしていた裕紀は、
ある日、話したこともないような、それも「同性」の八木から告白をされる。
自分に向けられる八木の気持ちのまっすぐさに触れ、
「こういう奴と友達になったら、自分変われるかもしれない」と裕紀は思う。
そして「友達になりたいわけじゃない、駄目ならきっぱり振ってくれ」と言う八木のことを、
「5年間好きでいてくれたら、好きになるかもしれない。だから友達から」と、
裕紀は何故か必死に引き留めてしまう。

そして5年。
5年の間に裕紀は演劇の道へと進み、
八木は、演劇だけでは食べていけない裕紀を励ましたり、たまに食事を食べさせたり、
2人は親友と呼べるほどの仲になった。
5年前の自分の言葉などすっかり忘れてしまった裕紀であったが、
ある日、八木から「ずっとお前を好きでいた」と再び告白される。
「俺の気持ちは5年前と変わっていない。お前と友達付き合いは出来ない」と…。

誰よりも大切で、誰よりも自分を支えてきてくれた八木。
そんな八木を失うという事に裕紀は急に恐怖を感じ、
「お前を好きになるから、付き合うから、会わないなんて言わないでくれ」と縋る裕紀。
そして「俺とキスやそれ以上だって出来るのか?」との八木の言葉をきっかけに、
2人はついに一線を超えようとする。
この段階ではまだ最後までは進んでいないものの、
親友だと思っていた人間との別れに不安を覚えたという理由だけで、
そこまで至ってしまう流され受け(?)な裕紀に萌えました。
本当ならば流されやすい受けはあんまり好きじゃないんですけど、
裕紀はそれを本当に『天然』でやっちゃっているので、許せちゃったのかもしれません。
言い方は悪いけど、ちょっとアホ…なのかな…? アホな子は好きなんです(笑)。

そして裕紀の演劇生活にも転機が訪れます。
所属している劇団の主役に裕紀が抜擢されたのです。
演じるのは「マコ」というニューハーフの女性。
マコを演じることで、また、劇団員との関わりの中で、
裕紀が、自分自身の八木に対する気持ちを見つめなおし、
自分の気持ちは恋であるとだんだんに目覚めていく様は、
ちょっとワガママな部分もあったけれども、それでもとてもかわいらしかったです。
そしてラブラブになる2人。
八木もむっつりっぽいのにややヘタレが入っていてとってもかわいかったです。

けれど、ふとした事がきっかけで2人の間に亀裂が走ります。
八木への気持ちに気付いたばかりの裕紀が、その八木の方から決別を告げられ、
生活もままならないほどにショックを受けるのですが、
そこが本当にかわいそうでかわいそうで、いたたまれなかったです。
私は電車での移動中にこの本を読んでいたのですが、
ちょうど目的地に着いた時にこのあたりを読んでいたので、
電車を降りてからもしばらくは裕紀の絶望に共感しすぎてしまって、
私までしばらくは鬱々としてしまいましたw

そんな波乱はあるものの、
基本的に、2人はお互いを好き合っているので、全体的には甘いお話になっています。
結末も、書き下ろしもとっても甘々でした
誰かが死んだりなどの際立った不幸もなく、安心して読めるBL作品だと思います。
おもしろかったです。

「硝子の花束」杉原理生・著

September 02 [Tue], 2008, 22:59
※読んだのはコレ
硝子の花束 (幻冬舎ルチル文庫 す 2-4)

硝子の花束」 杉原理生・著
イラスト:佐倉ハイジ
価格: 560円
文庫: 253ページ
出版社: 幻冬舎コミックス (幻冬舎ルチル文庫 す 2-4)
発売日: 2008/8/18

大学生の瑛は、兄の恋人だった脩一と一緒に暮らしている。数年前、兄・雅紀の死に落ち込む脩一と一時期関係を持っていたが、今はお互いそのことには触れられずにいた。昔から脩一を好きだった瑛は、脩一と恋人同士になりたいと願っていたが…。ある日、不思議な均衡を保ちながら暮らす二人の前に、雅紀がかつて家庭教師をしていたという青年・本宮が現れ―。

杉原理生先生の新刊!
そして、イラストは佐倉ハイジ先生!
レーベルは幻冬舎ルチル文庫

完璧です。 完全に私の好みです。
好みというか、もはや「これを買わずして何を買う?」状態。
大大大好きな素敵要素が3つも重なるなんて、ビンゴにも程がある。
あらすじを見るまでも無く即買いでした。
そんな作品ですから、もちろん一気に読み終えてしまいました!

…と言いたいところですが、一気に読むなんてとても無理でした。
すごく切なくて、すごく痛くて、胸がしめつけられて、辛くて苦しくて、
途中で本を閉じ、目を閉じ、一呼吸置いて、
自分を落ち着けてからじゃないと先に読み進めることができませんでした。
受けの子がとても健気で、それがいっそ可哀想になる位の健気さで、
その様子が、切なさを描かせたら天下一品な杉原先生の言葉で綴られているので、
切ないを通り越して痛々しく、何度も手が止まってしまいました。

物語は、瑛の現状の描写から、過去の回想へと移っていきます。
話の途中で過去回想に切り替わり、受けが健気で、切ないお話となると、
杉原先生の「世界が終わるまで君と」と似た要素を含んでいますが、
「世界が〜」は切ないながらも甘い雰囲気が漂っていたのに比べ、
こちらは悲しくなるほど心をしんしんと刺す切なさです。

瑛と脩一、2人が出会ったのはまだ瑛が幼稚園の頃。
父母の別居が原因で、瑛は幼くして愛情を求める事に我慢することを覚えてしまう。
そんな瑛の心を癒してくれたのは、隣家に住む中学生のお兄ちゃん・脩一だった。
脩一は瑛を本当の弟のようにかわいがり、愛し、守ってくれた。
瑛は、大好きな実兄の脩一と、大好きな雅紀の2人が仲良くしてくれたらいいと願うが、
同級生同士の2人は対等な関係として接することができるのに、
歳の離れた自分はいつまでも弟扱いをされる日々を面白くないと思い始める。
そして、思春期を迎える頃、瑛は自分の脩一への気持ちが何なのか気付き始めるが、
瑛は、やはりそれを表に出すことは出来ずにいた。
そうこうしている内に、雅紀から「脩一と付き合う事にした」と聞かされる。
自分が先に出会ったのに…。
そしていきなりの雅紀の死。
壊れてしまう脩一。
身代わりだと分かりつつ「それでもいつかは自分が…」と思い続ける瑛。
それから5年。
2人は過去の事には触れないようにしながら暮らしていた。
幼い頃から愛情に敏感で、自然と我慢をしてしまう瑛、
過去の自分の行いを悔いている脩一。
2人は、敢えて過去を閉ざすことで、生活と精神の均衡を保っていた。
…というのが、2人の関係。

瑛の、兄を引きずっている脩一をそれでも好きだという気持ち、
脩一の、かわいい瑛をもう2度と傷付けないようにと思う気持ち。
お互いがお互いをとても大切に思っており、
大切に思うからこそ、過去の事に触れられずにいるのが、
とてもじれったくて、切なくて、息が詰まりそうでした。
そして、2人が過去と現状のどちらにもに十分すぎるほど傷付いているのが、
やりきれないほどに痛い。

けれど、雅紀の生徒だったという本宮が瑛の前に現れた事で、
閉じていた2人の世界が再び動き出します。
それまであまりにも瑛が報われなかっただけに、
本宮の登場で事態が転がり出した時には「本宮GJ!」と思わざるを得ませんでした。
本宮、本当にありがとう!w

最終的に瑛と脩一は気持ちの上でも結ばれるのですが、
これまでの鬱々とした切なさをすっきり晴らすのには、
「ザ・ハッピーエンド」な部分が短くて、ちょっと物足りないかな?と思いました。
2人の未来を想像させる余韻のある終わり方ではありましたが、
もっと、心の底から幸せな2人のことも見たかったなー、なんて。
ぜひ、この2人の甘々な後日談希望です(笑)。

スッキリ、ほんわか、胸キュンというかんじではなく、
息が上手に出来なくなりそうなほどに痛く切ないお話です。
心してお読みくださいませ。

「兄弟」「兄弟-夏」丸木文華・著

August 26 [Tue], 2008, 16:00
※読んだのはコレ
兄弟 (AZ NOVELS) 兄弟-夏 (AZ NOVELS)
兄弟 (AZ NOVELS)
兄弟-夏 (AZ NOVELS)

兄弟」「兄弟-夏」丸木文華・著
出版社: イースト・プレス(AZ NOVELS)
価格:893円(税込)
単行本: (兄弟)240ページ/(兄弟-夏)221ページ
単行本: (兄弟)2008年3月/(兄弟-夏)2008年7月
〜兄弟 あらすじ〜
生真面目な生活を送る高校教師、悠のもとに転がり込んできた疎ましい人物…それは、若手俳優の黒崎祥こと弟の涼司だ。中学時代から芸能界に入り、今では“抱かれたい男ナンバーワン”として人気の涼司。だが二人には獣じみた過去が…5年前、力ずくで涼司に嬲られたあの夜…。兄を貶め征服する弟…その存在に怯え囚われる兄。そこにあるのは憎しみ、執着それとも…? 歪んだ禁忌なる究極愛書き下ろし。
〜兄弟-夏- あらすじ〜
人気俳優の弟、涼司の撮影に同行した高校教師の悠―実の兄弟でありながら、身体を繋げている二人。長い間、憎しみに縛られ傷つけあってきた彼らだが、互いの想いを知り、その関係は変わった。今ではどんな時でも共にあろうと決意した…溺れるままに…。だが、撮影現場である南の島のバカンスクラブで、偶然にも悠の昔の教え子だというモデルの青年、保科と再会し…。スリリングな色に濡れる背徳愛書き下ろし。

18禁BLゲーム「コイビト遊戯」「弄り遊戯」、また18禁乙女ゲーム「月ノ光太陽ノ影」で
シナリオ(兼原画)として活躍されている丸木文華先生の近親相姦モノの小説です。

超ーおもしろかったです!!!!

じめじめしていて、どろどろしていて、
偏執的で、変態的で、ねっとり濃厚で、激しく、閉鎖的で、とにかく救いようがない。
内容自体は本当にどろどろとした話なのにも関わらず、
読み終わった後は「あー!おもしろかった!」という爽快感?充実感?でいっぱいでした。
ですが、内容が内容なので、人によっては読んでいて欝になるかもしれません…。

カップリングは弟・涼司(俳優25歳)×兄・悠(教師27歳)

兄の悠は、小さい頃は自分によく懐いてくれていた弟をかわいいと思っていたが、
成長するにつれて自分よりも全てにおいて優れていく弟に嫉妬し、
「俳優である弟と関わると自分の身に不要な火の粉が降りかかる」と自分に言い訳をして、
弟と距離を置くようになります。
そんなとき、ある出来事をきっかけに弟の激情が爆発。
弟は兄に屈辱を強いて、力で兄を征服するようになり、兄はそれに耐える毎日。
しかし、兄の就職を機に二人は離れることとなります。

そして5年後。
実家を離れて教職につき、静かに生活していた兄の元に、突如弟の涼司が現れます。
過去を引き摺ったままの兄に対し、弟は償い、関係を修復しようと試みます。
しかし、兄はそれを拒絶。
過去、そして現在と2度も兄に拒絶されたことで爆発してしまう弟の思い。
そして悠と涼司は、二人きりの闇へと堕ちていきます。

物語は、兄である悠の一人称で語られており、
一見すると兄が弟の暴力の被害者であるように描かれていますが、
読んでいて思ったのは、「本当に兄だけが被害者であるのか?」ということです。
弟が力で兄を追い詰めているようでいて、
実は、兄が弟を精神的に追い詰めているのでは、という感じがしました。
大好きだった兄に拒絶されても、何度でも関係を修復しようと試みる弟は、
キレると何をするかわからない激情型なところはありますが、
精神的には、兄に懐く、兄のことがひたすら大好きなワンコ。
好きが昂じて、拒絶されることに耐えられず、爆発してしまっただけ。
そして、そうさせたのは精神的に弟を追い詰めていた兄ではないのか、と。
非常に倒錯的です。

そんなどうしようもなく救われない二人ですが、
兄の教え子である生徒の事件に関わったことで、二人の関係が変わっていきます。
ただただ救われない筵の中に居た二人の関係に、ひとすじの光が見えたというか。
と言っても、光が射そうが二人の居る場所は針の筵であることに変わりはないのですが。

兄弟-夏」の方は、すでに二人が共に堕ちて生きていくことを決意した後なので、
ある意味、後日談といった感じでしょうか。
障害は現れるものの、問題自体はわりと簡単に解決し、基本的に2人はラブラブです。
ですが、その障害が現れた事によって、
気持ちが通じてもなお互いに激しく執着し、求め合う2人の姿が色濃く浮き彫りにされており、
「二人きり」、互いにもう相手しか居ないんだなという事をより強く感じました。

また、「-夏」では前作に出てきていた高校生二人の後日談も書き下ろされており、
この二人の関係にもこちらの書き下ろしでようやく光が射してくるので、
是非、セットで読んで頂きたいです。

私は通常はBL作品だろうがなんだろうが近親相姦モノはあまり好まないのですが、
丸木文華先生の兄弟ものは、別格です。
もはや別の次元にいるというか、苦手意識も吹っ飛んで読み入ってしまいます。
苦手意識が出ないというのは、けして「近親相姦モノ」っぽくないという意味ではなく、
むしろ、これ以上ないほどに「近親相姦」「兄弟」である必要性を感じるのですが、
この方の作品の場合は、それだからこそ良い。
「兄弟」という、血の繋がりも性別も超えて展開される二人の狂気的な愛は、
それこそ非生産的なものですが、だからこそ「互いしか居ない」という切なさと必死さが溢れ、
仄暗く、息苦しいのに、中毒性があるんです。

万人に胸を張ってオススメできる作品ではないかもしれませんが、個人的には大好きです。
もっと丸木先生の小説を読みたい!

うーん、おもしろい本の感想はサクサク書けちゃうなー。

「薔薇色の人生」木原音瀬(著)/ヤマシタトモコ(イラスト)

August 21 [Thu], 2008, 22:04
※読んだのはコレ
薔薇色の人生 (B-BOY NOVELS)

薔薇色の人生
木原音瀬(著)・ヤマシタトモコ(イラスト)
発売日: 2008/7/18
価 格:1100円+税
出版社:リブレ出版 (B-BOY NOVELS)
単行本:337ページ

愚かな生き方のせいで、家も家族もなくしてしまった百田。生きていても仕方がないと自棄になりかけた時、偶然通りかかった警官に制止される。生真面目な正論に腹を立て、その警官・浜渦に「抱かせろ」と無理難題をふっかけるが、彼はすべてをなげうち、百田を救ってくれた。彼のために生きることを誓う百田だったが…。ひたむきな恋がすべてを変えていく。大人気のモモ×ロンちゃんシリーズ!
書き下ろしショートつきv


分厚い本ですが、割りにサクサク読むことが出来ました。
カップリングはモモ(36歳・元薬中前科持ち)×ロンちゃん(30歳・堅物刑事)

モモこと百田保男は薬中前科持ち、刑務所にも2回入所、しかも不細工。
入所中、手紙をくれていた母親からの連絡も1年半前に途絶えていた。
自分はもう見限られたのかという思いはあったが、
「今度こそはまっとうに生きよう」と決心して出所。
両親の好きだった饅頭を手土産に家に帰るが、そこに見知った我が家は無い。
聞けば、両親は1年半ほど前に事故によって亡くなったのだという。
唯一の肉親である兄を訪ねるが、その兄にも「兄弟の縁を切ってくれ」と言われてしまう。
兄に最後に告げられたのは、
両親は自分の面会に来る途中に事故にあって死んだのだという事実だった。

すべてに絶望し、1度は止めた覚醒剤を大量に買い求め自殺を図るモモ。
それでも死ぬことは出来ず、橋から身を投げようとした時、
モモはロンちゃん(浜渦論)と出会った。

自殺しようとするモモを「命を大切にしてください」と説得に掛かるロンだが、
モモは「死んだ方がいい人間もいる」と言い返す。
「人一人の人生を背負う気も無いくせに適当なこと言うな!最後まで責任を持て!」と、
ロンを一喝するモモに、今度はロンから「責任を持ちます」という言葉が返ってきた。
そしてモモがロンに強いた代償は、男同士のセックスだった。

そんな最悪な出会いから始まるモモとロンちゃんですが、
モモは次第にロンちゃんに惹かれ、ロンちゃんを好きになり、ロンちゃんを愛し、
ロンちゃんの為にまっとうに生きたいと思うようになっていきます。
けれど、自分は前科持ちで不細工なホモ。
モモはロンちゃんを好きすぎが故に「こんな自分はロンちゃんの足枷ではないのか」と悩み、
少しでもロンちゃんの役に立ちたいという思いから、自ら再び危ない世界へ踏み入っていく。

ロンちゃんに出会うまでのモモは、それはもうろくでもない人間でしたが、
モモがロンちゃんを思う気持ちはとてもピュアで、
モモ自身もすごくいい奴で、なんとも憎めないキャラでした。

「薔薇色の〜」はモモ視点なので、モモの気持ちばかりが際立って描かれていますが、
「こんな最悪な出会いなのにどうしてロンちゃんはモモに惹かれていったの?」という疑問は、
この本に収録されている「年上の恋人」を読めば納得です。

私は、双方がどうして惹かれあったのかをきちんと読みたい人間なので、
ロン側の感情がイマイチ見えにくい「薔薇色の人生」の方は、
片方(モモ)の感情で話が進むという点と、
その片方がろくでもない人間で、私にとって最初の印象があまりよくなかったという点と、
文章量に対して心理描写よりも出来事の流れが描かれている割合が多かったという点から、
「薔薇色の〜」を読んでいる段階では、面白いと思いつつもあまり感情移入できず、
わりとサラサラと読んでいたのですが、
「年上の恋人」ではロンちゃんがどうしてモモを好きになったかが丁寧に書かれており、
また、「薔薇色の〜」でモモの気持ちは十分わかっているだけに、
ロンちゃんがモモを好きだと自覚するくだりは胸がツンと痛くなりました。

書き下ろしは「後輩の恋人」。
こちらはロンちゃんの職場の先輩にあたる甚呉という人物の視点で描かれています。
モモとロンちゃん、2人きりだったところに入ってきた友人といったかんじです。
この甚呉がいい奴で、彼の視点でモモ&ロンちゃんカップルが語られることによって、
さらにモモとロンちゃんのかわいらしさが見えてきたな、という印象でした。

すこし上で、「薔薇色の〜」は割とサラっと読んでしまったと書きましたが、
全て読み終わった今は、
「薔薇色の人生」で、モモの人柄と、モモのロンちゃんへの強い愛情を知り、
「年上の恋人」を読んで、ロンちゃんはモモのどんなところに惹かれたのかを知り、
「後輩の恋人」を読む事で、2人の絆をより深く感じることができ、
読むごとに、モモとロンちゃんへの読者としての愛情がどんどん深まっていったので、
もう1度「薔薇色の〜」に戻って、最初から読み返したい気持ちになりました。
きっと今度は味わう思いもまた違ったものになるんだろうなぁ。

登場するメインキャラクターはどの人物もみんなすごーくかわいかったです。
ヘタレなくらいに泣き虫だけど恋人を思う気持ちは誰より深いモモも、
不器用ながらもモモのことを本当に全力で愛しているロンちゃんも、
そんな2人と友人をしてくれている甚呉もみんな本当に魅力的。
個人的にはロンちゃんの弟のマニくんが気になりましたw 
ロンちゃんの不器用さのせいでちょっとぎくしゃく気味だった浜渦兄弟が、
モモに出会ったことを通して、もっと兄弟らしくなってくれるといいなーなんて思いました。

ヤマシタ先生の絵もぴったり!
私はヤマシタ先生の描く髪の毛ボサボサや無精ひげなキャラがすごく好きなので、
「不細工」という設定のモモも、全然不細工には見えませんでしたがw

麻薬、覚醒剤、暴力団、風俗業と、登場する舞台はとても過激ですが、
モモとロンちゃんの2人の恋愛感情はいたってピュアで、純愛と呼ぶに相応しいものでした。
おもしろかったです。

「NOW HERE」木原音瀬・著/鈴木ツタ・イラスト

August 06 [Wed], 2008, 1:48
※読んだのはコレ
NOW HERE (Holly NOVELS) (Holly NOVELS)

NOW HERE」木原音瀬・著/鈴木ツタ・イラスト
出版社:蒼竜社 (Holly NOVELS)
発売日: 2008/5/29
新書:251ページ
価格:900円

朝目覚めると、福山の隣りにみすぼらしい中年の男が眠っていた。
酒に酔ってお持ち帰りしたらしい。見覚えのある顔、細い綺麗な指。
…男はなんと、福山が勤める会社の経理部の部長・仁賀奈だった。
仁賀奈は五十歳の今まで童貞で、女性は勿論男とも付き合ったことがないという。
福山は「年下の可愛い恋人」として付き合い始めるが…。


お友達の水瀬ちゃんに「木原先生おもしろいよ!」とオススメして頂き、
長いこと「さてどれから読もうか」と考えていたところ、
この表紙に出会い「じゃあコレから」と手に取ったのが、超オヤジ受けなこの1冊。

ある日目覚めたら、自分の隣には裸のオッサン。
話を聞けば、自分(福山)からオッサンに告白し、関係に至ったのだという。
しかもお相手のオッサンは年齢50歳、童貞、ノンケというトリプルパンチ。
どうしてオッサンは福山の誘いをOKしたのかと問えば、
かえってきた答えは「好きだと言われて感動したから」。

福山は「ありえない」と、行きつけのバーのマスター(ママ?)に愚痴をこぼすけれど、
マスターからは「振る時は優しくしてあげてね」と諭される。
そこで思い出すのは、これまでの自分の恋愛の終わり方。
いつも自分の浮気が原因で、相手から別れを切り出され自分はそれに同意するだけ。
相手が泣いてすがろうが、罵倒されようが、別れに胸を痛めた事なんてない。
だから、どうすれば「優しい別れ方」になるのかがわからない。

「とりあえず形だけでも付き合った事にしてから振ってやればよし」と思った福山は、
仁賀奈に近づき、さっそく恋人ごっこを始める。

50年も童貞を守り続けた男を心の中で「半世紀」と呼びながらも、
その「半世紀」が自分の上でどう喘ぐのか興味を押さえきれなくなった福山は、
仁賀奈と2度目のセックスに至る。
仁賀奈の肌は、これまで抱いてきた若い男に比べると、弾力がなく柔らかい。
そして、なかなか勃起しない性器。
仁賀奈の、年齢を感じさせるところは他にもいくらでもある。
ワイシャツの下にはランニングの下着を着込み、仕事中はアームカバー着用。
デートでの食事の際には出されたおしぼりで顔まで拭いてしまう。
携帯も持たず、唯一の趣味といえばバードウォッチング。
福山はそんな仁賀奈と過ごしていくうちに、
「相手がオッサンだと思うと、かっこつけなくていいしとても楽だ」ということに気付く。
「本気じゃない、遊びだからこそ、いくらでも甘い言葉や態度を与えてあげられる。」
そして、その甘い遊ぶびを楽しむようになる福山。
けれど福山のその思いはだんだんと真実に変化していき、
2人は本物の恋人同士のようになっていった。

最初は遊びだったはずなのに、
いつの間にか「仁賀奈を喜ばせたい」という思いで行動するようになる福山と、
恋愛経験ゼロゆえにとても照れ屋で控えめな仁賀奈の2人が、
とてもかわいらしくて、ほほえましくて、甘々でほんわかしました。

しかしここで、一波乱。
そう簡単にうまくは行きません。

中盤以降はある出来事をきっかけに立場が逆転。
余裕だった福山に仁賀奈から突きつけられる突然の別れ。
これまでの自分は、いつだって別れを提示される側ではなかったのに、
今度は自分がどれだけ引きとめようとしても、相手はそれを鼻にもかけてくれない。
これまでのほんわか気分も、あっという間にガラガラと崩れ去りました。

仁賀奈を好きだと思う気持ちが強いからこそ、仁賀奈に対して怒りが沸いてきたり、
「相手が自分を好きじゃなくても、何か相手のために出来る事はないか」と考えたり、
傷付きながらも、それでも仁賀奈を好きでいることを辞められない福山。
切羽詰った福山の様子がとても痛々しくて、読みながら胸がズキズキと痛くなりました。
前半部分が幸せそうだっただけに、なお更。
あまりにも福山が可哀相で、思わず「仁賀奈ひどい!ムカつく!」と思ってしまったほど…。
仁賀奈と別れてから荒れた生活を送る福山の様子が、
ひと月ふた月と、カレンダーをめくるように淡々と書かれていて、
その淡々とした描写がかえって1人になった福山の虚無な生活を際立たせていて、
すごく書き方の上手な作家さんだなーと思いました。

最終的には結ばれる2人ですが、それは本当に最後の話。
2人の気持ちが通じ合ってからの後日談的な描写はほとんどありませんが、
開き直った2人のこれからはきっと甘いものになるんだろうな、と、
最後はホッと笑顔で本を閉じることが出来ました。

表紙から分かるように、本当にオッサンです。
オヤジ受け萌え〜なんてレベルじゃないくらいに「リアルに」オッサンです。
非常に読み手を選ぶ作品だと思いますが、
まずはこの表紙がいい踏み絵になっていると思います。
内容もリアルにオッサンなのですが、
2人の恋愛模様についてはすごく切なく、正統派に描かれているので、
表紙にひるむ事のなかった方には是非おすすめしたいです。

…と言いつつ、「言うほどハードル高くもないかも」と思った私。
これはもともと自分がオッサンが好きなせいなのか、
木原先生&ツタ先生のすばらしい描写力のおかげなのか。
うーん…後者が8割ってかんじかな?

「ビター・スイート・レシピ」月村奎・著(イラスト・佐倉ハイジ)

July 31 [Thu], 2008, 15:26
※読んだのはコレ
ビター・スイート・レシピ (新書館ディアプラス文庫 192)

ビター・スイート・レシピ月村奎・著(イラスト・佐倉ハイジ)
出版社:新書館 (新書館ディアプラス文庫 192)
発売日:2008/07/10
税込価格 588円

一年近くひきこもりを続ける健太。亡き祖母の住居兼店舗で、現実逃避にレース編みをしてひとり、暮らしている。そこへある日、宇佐見という男が訪ねてきた。長くシャッターを降ろしたきりのこの店で、焼菓子専門店を開きたいというのだ。店を貸すことになった健太は、夢と希望に満ちた宇佐見のペースに巻き込まれるうち、彼に惹かれている自分に気付き…?ほんのり苦くてほんのり甘い、ラブ・アソートメント。

原作者さんの名前をチェックしたり、あらすじをチェックする前に、
ハイジ先生の表紙が目に飛び込んできて、
しかも大好きなディアプラス文庫の本だったので即買いしちゃいました。
というわけなので、表紙はドカンとサイズ大で載せちゃえーい。

カップリングは洋菓子職人×引きこもり
引きこもりラブです。
買ってよかったです。萌えました。

受験失敗後いろいろあって引きこもりになってしまった主人公の健太。
死んでしまったおばあちゃんから譲り受けた古い一軒家に引きこもり、
なにをするでもなく、おばあちゃんの見よう見まねで覚えたレース編みをする日々。
そこに、この建物をケーキ屋として貸してくれという菓子職人の登場。
明るく、快活な宇佐見と接しているうちに、健太は段々心を開いていき、
それが恋だと気付いてしまってからは、
「こんな引きこもりのダメ人間、しかも男に好かれているなんて宇佐見が知ったら…」と、
健太は自ら宇佐見と距離を置こうとする…。

引きこもりに対してどう思うかはここではさておき、
とにかく健太がすごく健気ないい子で、かわいくて、
宇佐見もいい奴で、
「かわいい、いい人、かわいい、かわいい」と顔がニヤケっぱなしでした。
宇佐見の人物描写が魅力的に書かれているせいか、
宇佐見が引きこもりな健太を外(物理的・心理的な意味で)に連れ出そうとする過程も、
嫌味がなく、読んでいる私も健太と同様に素直に受け入れていくことができました。

前半の「ビター・スイート〜」にはエロなしです!
見ていてじれったくなる程に胸キュンでした。
でも、こんな2人だからこそ、早々に行為に至らないところがまたよかったです。

あー萌えた(*´д`*)
本当に萌えた(*´д`*)
かわいすぎ(*´д`*)

書き下ろしの「セミ・スイート・レシピ」の方は、
「過去の男が出てきて勘違いからすれ違い→乗り越えて初夜」という内容なので、
若干、BLテンプレっぽい気もしましたが、
前半部分が本当に素晴らしかったので、
後半もその萌えを持続させたまま読むことが出来ました。
自分の経験の無さは恋愛においてマイナスだと思い込み、
せめて物分りがいい人間を装うことでそのマイナス部分を補おうとする受けの、
強がっていても内心は不安に思っている様子がすごくかわいらしかったです。

それと、ハイジ先生のイラストがほんとにめちゃくちゃ合っていました。
私がハイジ先生の大ファンだから余計にそう思うのかもしれませんが、
ハイジ先生の絵をつけるために描かれたんじゃないかと思っちゃうくらいにぴったり!
顔はいいんだけどおしゃれに無頓着でジャージ姿で、不器用でシャイな受けも、
美形で体格もしっかりしていて、包容力はあるけど、どこかふざけたところがある攻めも、
イラストに描かれたキャラクターが、文章で書かれたキャラクターにどんぴしゃ!
きっと挿絵なしだったとしてもハイジ先生の絵で場面を想像しただろうな、と思います。

それに、「受けが手料理を作ったけど、真夏におでん。しかも昆布大増殖で黒い鍋。
なんて、すごくハイジ先生的というか…なんというか…w

挿絵から購入に至った作品ですが、お話もすごく私のツボでした。
こういう、かわいらしい胸キュンものは大好きです(*´д`*)
月村先生の本はこれが初めてでしたが、これから集めようと思った出会いの1冊でした。

ページをめくる度に、開いてる紙面から、
胸キュンの粒みたいなものが自分に向かってキラキラふわわ〜と舞ってくるような感覚!
とてもかわいらしく、キラキラキュンキュンしたお話です。
特に前半部分が絶品でした!

「愛してないと云ってくれ」 中原一也・著(イラスト:奈良千春)

June 28 [Sat], 2008, 5:23
※読んだのはコレ
愛してないと云ってくれ (シャレード文庫)

愛してないと云ってくれ 中原一也・著(イラスト:奈良千春)
出版社: 二見書房 (シャレード文庫)
発売日: 2006/4/28
文庫: 253ページ
価格:¥ 600 (税込)

日雇い労働者の集まる街で診療所を経営している青年医師・坂下。彼らのリーダー格の斑目は、屈強な男たち相手に一歩も譲らず日々奮闘している坂下を気に入り、なにかとちょっかいをかけていた。ある日、坂下と仲の良い日雇いのおっちゃんが肝硬変を患っていることが発覚。家族に知らせて手術を受けるよう説得してもらおうと考える坂下を、この街の現実を知る斑目は無駄だと一蹴する。坂下を諦めさせるため躰と情報を引き替えにならおっちゃんの住所を教えてもいいと条件を出す斑目。自分の本気を示すために坂下は斑目に抱かれることになり。

表紙から「これは大人の恋愛なんだろう」と勝手に推測し、
タイトルから「これは切ない系かもしれない」とさらに勝手に推測し、
あらすじから「しかもハードボイルド系かもしれない」とまたまた勝手に推測し、
いろいろ勝手に予想…というか妄想したものの、
結局は「白衣で眼鏡」と「ちょいわるっぽいヒゲ」に釣られて購入しました。
勝手に予想した諸々については、
眼鏡が受けってこととヒゲが攻めってことと、
「まぁ、年齢的には大人だよね」っていうところは当たっていましたw
逆に言うと、それ以外はあまり当たってなかt…というか思ったほどでもなかtt…(ry
けど、だからと言って期待外れでしょんぼりなんていう事はまったく無かったです!
坂下も斑目もかっこよかったー!(*´д`*)

白衣で眼鏡の坂下は、もちろんお医者さま。
医療業界の汚い部分にうんざりし、
街の診療所を開業し、そこで気ままに(?)医師を続けている29歳。
「黒髪」「眼鏡」、そしてなにより「受け」キャラで、
柄の悪い患者たちに囲まれて毎日を過ごしているのに、
それでもどことなく漂う清潔感を失わない姿はまさに「掃き溜めに鶴」。
こう書くとどことなく儚そうな印象を受けるかもしれませんが、
周りに集まってくるいかにも「荒くれ者」な患者に決しても臆することなく、
ビシっと言い返したり、時には殴ったりしてみせて、むしろとっても男らしい人物。
日雇い労働者やホームレスにも差別をすることはなく、
かと言って甘やかしもしない毅然としたその人柄で、患者達からも慕われています。

斑目は、坂下から見ても「女にモテそうだな〜」なフェロモンを撒き散らしている男。
斑目は坂下に対してはいつも下ネタばっかり言ってからかっているけれど、
実はインテリで、坂下のピンチには助けてくれるようなオッサン。

この2人がいい感じにやり合っていて、そこに萌えた!!
斑目の下ネタに、坂下はメスを投げつけて(!)応酬しているようなそんな関係です。
弱くなくて、攻めと対等にやり合える受けっていいですよね
けれど、いつも斑目の方が余裕なところがさらにイイ!(*´д`*)

あらすじを読むと、ちょっと怖いor危ない世界の話かな?というかんじもしますが、
そういった事件は「坂下と斑目の日常の中におこった事件の1つ」というかんじで、
そんなに重苦しく描かれているわけではなかったし、
文章のテンションについても重苦しくなく、テンポよく進んでいくので、
「ヤクザ感」だとか「ハードボイルド感」なんかはそんなには感じませんでした。
それと、「タイトルからなんとなく切ない系かと思った」と書きましたが、
切なくて泣いちゃう!やりきれない!というタイプのお話ではなかったかな…と。
キャラクター同士の掛け合いなんかには笑える部分もあったし、
坂下と坂下おばーちゃんの絡みなんかはむしろ微笑ましいかんじでした。
(自分がおじいちゃんコなせいもあって‘おっちゃん’のところはちょっとウルっときたけど…)
逆に、「このタイトルはどこから来たの…?」とちょっと思ってしまったとか…

比較的サラっと読めるタイプの小説だと思います。
坂下と斑目のキャラ設定がツボった私は楽しく読めました。
個人的には、ストーリー萌えよりキャラ萌えシチュ萌え度の方が高かったです。
ヒゲでオッサンでいい加減なのにフェロモンな攻めと、
黒髪眼鏡でしかも白衣なんだけど攻めと対等に言い合える受け!

個人的にはすっごくツボな設定でした

「37℃」杉原理生・著(イラスト:北畠あけ乃)

June 19 [Thu], 2008, 18:58
※読んだのはコレ
37℃ (SHY NOVELS 206)

37℃」杉原理生・著(イラスト:北畠あけ乃)
出版社: 大洋図書 (SHY NOVELS 206)
新書: 249ページ
発売日:2008/5/24
価格:903円

「悪いんだけど、俺をしばらく 泊まらせてくれないか」
銀行に勤める野田に突然掛かってきた数年ぶりの電話。それは、大学時代の野田の秘密を共有する男、若杉からだった。泊めることを了承してしまえば、面倒なことになる・・・。そうわかっていながら、野田は頷かずにはいられなかった。とっくに終わったはずの関係だ・・・それなのに・・・?静かな熱病のような恋が始まる!


杉原先生の作品には珍しい気がするオッサン同士のカップルのお話でした。

婚姻中の妻と別居をしていた野田の元に掛かってきた1本の電話。
相手は10年前に野田と体の関係を持っていた若林からだった。
10年ぶりのその電話で、若林は野田に「しばらく泊めてくれ」と言う。

10年前、野田は自分が男性に性的興味があることを自覚しながらも、
そちらの道には走ることなく比較的禁欲的に生きていたが、
友達の家で知り合ったとても美しい容貌の若林に誘われて、若林と寝てしまう。
野田はこれまでの自分を解き放つかの様に、
そして同時に、自分自身に責め苦を与えるかの様に、
鎖で縛ったり道具を使ったりといったSMプレイを若林に強要していた。
しかし、若林は野田と普通の恋人同士のように触れ合いたいと思っていたので、
野田のそんな行為を快くは思うことはなかったが、野田の希望通りに振舞っていた。
若林から何度も「優しくしたい」と言われても、頑なに「嫌だ」と言い続ける野田。
もう野田のことがわからないと思った若林は「自分は居ない方がいいのか」と野田に問い、
野田は「そうだな」と答え、2人の関係はそこであっけなく終わってしまう。

物語は三部構成になっていて、
第一部では10年前の回想をメインに、再会した2人のことが、
第二部では再会し、お互いを好きだと認め始めた2人の物語が、
第三部では気持ちが通じた2人に襲ってくる事件や不安についてが描かれています。

10年前の野田は、激しく若林を求めていたにも関わらず、
それが恋であると気付いてしまうことを、本能的に避けていたんじゃないかと思いました。
気付いてしまったら、自分を止めることが出来なくなってしまうから。
しかし、再会してから、心の中で当時の思い出をなぞっていくうちに、
10年前のあれは恋であったと気付き、認め、そして野田は若林に再び恋をします。
若林もずっと心の中に引っかかっていた野田という存在を改めて認識し、
10年の間ずっとくすぶっていた想いをそれぞれの中で静かに燃やしていく2人。

若林は一環して「野田にやさしくしたい」と思っているのですが、
野田はちょっとやっかいな人間で、優しくされるのを敢えて避けている節があります。
「責められる自分」に快感を覚えるという性癖のせいもあるのでしょうが、
野田のそれは性癖のせいだけではなく、
野田自身が幸せに甘えてしまうことに臆病になっていたからのように感じました。

心の底から相手を求めているのに、あらゆる意味でそれを素直に表せない野田。
優しくしたいと思う相手からは優しくすることを望まれない若杉。
求め合っているのに相容れることのない2人の、
一見静かなようで、激しくぶつかり合う気持ちの在り様が痛々しかったです。

はっきり言って、爽やかさのカケラもないお話です。
でもそれとは対極にあるじっとりとした激しさを味わうことが出来ました。
じりじりと底を這うような2人の感情・関係は、
激しい熱病の様でもなければ、かといってすっきりとした爽快さなんて到底なくて、
まさに37℃くらいの微熱をずっと患っているような雰囲気でした。
この湿った感じとがもどかしくて、そこがまた切なかったです。

素直に恋だけを楽める年齢ではない上に、性格的にもクセのある2人の心模様が、
杉原先生の繊細で緻密で情感溢れる描写力によってとても鮮明に描かれているため、
その切なさともどかしさに息苦しさを覚えるほどでした。
重々しいほどに、キャラクターの心理描写が丁寧に描かれています。
状況描写よりも心情描写に重点を置いた作品を読みたい方にオススメです。
ですが、決して明るい雰囲気の話ではないので、
サラっとしたBLを読みたい方にはオススメできないかもしれません。

結末はちょっともやもやが残りました。
ハッピーエンドなのかそうでないのかがとても微妙なかんじだったし、
その後2人がどうなったのかも描かれていないので、
あまりスカっとしない終わり方でした。
元嫁の親のセリフが気になる…!結局野田に何かしたの…!?
個人的には白黒はっきりした結末が好きなので、
(結末が自分の好みではなかったとしても結論付いていればそれはそれで納得できるから)
終わり方にちょっともやもやしてしまいましたが、
でもこの2人にはこんな感じのじめっとした結末が似合っているのかな〜…うーん(´〜`)

これまでに読んだ杉原先生の作品とは雰囲気が全く異なる印象でしたが、
杉原先生の描き出す雰囲気はとても好きですし、
こういった大人の恋愛も好きなので、とても面白かったです!
それに、私、オッサン好きだしw
でもやっぱり最後はちょっともやもやが…(ry

「小夜時雨の宿」水原とほる・著(イラスト・夏珂)

June 18 [Wed], 2008, 15:00
※読んだのはコレ


小夜時雨の宿」水原とほる・著(イラスト・夏珂)
出版社: 海王社 (ガッシュ文庫)
発売日: 2008/3/28
文庫: 251ページ
価格: ¥ 590

長年付き合っていた恋人に一方的に別れを告げられて一年が経った。ある日飯島佳史は、元恋人の病死を彼の弟・南方修司から聞かされる。悲しみと後悔に暮れる佳史。そのあげく追い討ちをかけるように病気だと聞かされて兄貴の元から逃げたんだろう?」と鋭く責め立てられ、憎しみの余りか陵辱されてしまう。何も知らされていなかった佳史は修司の誤解に戸惑いを隠せず…。

ちょっと文章がかたいかな〜?と思いましたが、内容は面白かったです。

恋人・雄司に突然別れを告げられ、理由を聞く勇気もなく別れてから1年。
佳史の元に元恋人の弟・修司が現れ、雄司の死を告げる。
佳史は「お前は兄を捨てたのか」と問い詰められ、激昂した修司に犯されてしまう。
そして「兄から‘佳史を頼む'と言われたから俺が兄と同じことをしてやる」と告げる修司。
佳史は「こんな関係はダメだ」と思いながらも、
「自分を恨む修司がこうすることで楽になれるなら受け止めなくてはならない」と思い、
そしてまた「どうして雄司は修司に‘自分(佳史)を頼む’と言ったのか」を知りたくて、
修司に言われるまま、修司に体を差し出す日々を続ける。
会えば激しく体をこじ開けられるばかりの佳史だったが、
眠っている自分にはとても優しく触れてくる修司に気付いてから、
段々、修司を「雄司の弟」としてだけではなく「一人の男」として見るようになってしまう。

死ぬ間際まで自分を愛してくれていた雄司と、
どんな形であれ、雄司の死にショックを受けている自分とずっと一緒にいてくれた修司。
その2人の間で自分の存在や修司との関係に葛藤する佳史の心情が、
とても丁寧に描かれており、佳史の気持ちの変化もわかりやすかったです。

前半部分の修司はとても乱暴な物言いと態度でしか佳史に接しておらず、
佳史がかわいそうになってしまうほどでしたが、
割と早い段階から「あ、修司は佳史のことが好きだったんだな」と気付く事ができ、
その乱暴さも、どうしようもない佳史への想い故かと想ったら、
修司がかわいくてかわいくてたまりませんでした。

でも、佳史はそれに気付かないんですよねー。
何度「気付けよ!」と思ったことかw
佳史は鈍感というか、とても真面目な人間ゆえに、
「修司は‘兄を捨てた’自分を憎んでいる」と罪の意識に苛まれているので、
修司の行動の全ては憎しみによるものだと自分の中で結論付けているから、
「修司が自分を好き」という可能性には思い当たりもしないんです。
佳史が真面目なのはとてもよくわかるのですが、
ちょっとかたくなすぎて、自己完結しちゃってる部分が多く、
少しだけ独りよがりなところがあるかな〜とも思いました。
まぁ、修司のあの態度からは誰も佳史が好きだなんて思わないでしょうけれど…。
読み手以外はw

そんな2人が徐々に気持ちを近づけて行き、
これでハッピーエンドのめでたしめでたしかと思っていたら、
最後に予想もしていなかったどんでん返しがあり、とてもびっくりしました。
けれど、その急展開の後はきちんとハッピーエンドになっていたのでほっとしました。
どうして最後の最後でわざわざあのシーンを入れたんだろう?とか、
ほんの数ページに無理に押し込んだ感じがしないでもないかな?という気もしましたが、
佳史の生真面目な性格を考え、
また、そんな佳史がそういう行動に至ったきっかけを知ったら、
その急展開もとても納得の出来るものでした。
佳史ならきっとそうする(そうしちゃう)よね、と…。

なんにせよ、最終的にはハッピーエンドでよかったです。
水原先生の他の作品の感想を聞くと、痛々しい話が多いようなので、
この作品ももっと精神的にも肉体的にもキツく辛いお話なのかと構えていたのですが、
意外とそんなことはなかったので、少し淋しいような気もしましたw
でも、痛く鬱々したのが苦手な人でもこの作品なら平気なんじゃないかなとも思います。

ただ、自分には文章が合わないようでした。
内容はおもしろいと思っているのに、物語の中に入り込めず、
そのギャップに違和感を感じてしまいました。
文章が少し硬い印象で、キャラ視点の文章もどこか説明的な感じがして、
物語そのものやキャラクターの情感をあまりリアルに感じることが出来なかったのが残念…。
ですが、一文一文はとても読みやすい文章だったと思います。
文章に関しては個人の好みというか、
読み手によって大きく変わる感想だと思うので、この感想は適当に流して下さい。

なかなか面白かった1冊でした。
他のお話も読んでみたい!
P R
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  • 血液型:O型
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