今回は、フロアが離れた社員同士の連絡や外部パートナー企業との情報共有など、自分の働く場所を越える場合のコミュニケーション課題を挙げ、UCでの改善策を解説していく。
<業務課題1>
フロアや事業所が離れた社員とのコミュニケーションを何とかしたい
フロアが離れた社員間のコミュニケーションの問題は、どの企業においても発生し得る。同じフロア内なら、少し席を離れれば連絡を取りたい相手が席にいるのか、あるいは会議中や外出中なのか目視で簡単に確認できるが、フロアが違えばそうもいかない。
それならグループウェアを使って、相手の予定を確認してから電話連絡を取るという方法もある。しかし、スケジュール情報が入力されていなければ、相手の状況を知る手段はない。電話をかけても確実に相手と連絡が取れる保証はなく、結果としてほかの社員に不在時の電話取り次ぎが発生することにもなる。
なお、社員同士が以下のような状況にある場合もこの課題に当てはまる。
・同じ部署に所属しているが、フロア(事業所)が違う
・同じ敷地内であるが、ビルが違う
・同じ部署の社員がビルのどこで仕事をしているのか分からない
業務課題1をUCで解決する方策は幾つか考えられる。以降、それぞれの長所・短所を交えながら挙げていく。
解決策(1)-1:ボイスメール+電話転送による電話取り次ぎ削減
業務課題1の解決策として最も着手しやすいのは、電話取り次ぎの改善である。電話取り次ぎを削減する、もしくは廃止する形でボイスメールを導入するケースだ。このような取り組みは進んでいるが、転送先となる携帯電話をユーザーが持たなかったり、相手がボイスメールを確認するまでは連絡が伝えられないなど、運用上の課題も残る。
解決策(1)-2:PHSまたは携帯電話を内線電話として利用
業務連絡手段として電話を中心に考えた場合、有効なのは固定内線電話を携帯電話(PHSまたは携帯電話)にすることである。ユーザーに提供するデバイスを変更するという、簡易な課題解決策である。しかしこの方法では、電話で連絡が取れない場合の対応策やシステム投資(携帯電話料金やインフラ)などを考慮しなければならない。
解決策(1)-3:プレゼンス+統合コミュニケーションツールの活用
解決策(1)-1、(1)-2で挙げたコミュニケーション改善策は、従来多くの企業で用いられてきたが、いずれも電話が中心となっているために必ずしも課題を解決できていたわけではない。例えば相手が電話中、あるいは連絡が取れない状況にある場合は、別の連絡手段に切り替えなければならない。
そこで、ユーザーが連絡したい相手の状況を確認し、必要なコミュニケーション手段を選択できる仕組みが必要となる。それがプレゼンスとインスタントメッセージングだ。両者を組み合わせることにより、相手の状況(プレゼンス)を確認した後、在席であればインスタントメッセージ、急ぎであれば電話、外出中ならば電子メールというように、必要なコミュニケーション手段を選択できる(図1)。これらを可能にする製品が、プレゼンスを中心に統合されたコミュニケーションツールである。代表的なものに「IBM Lotus Sametime」「Microsoft Office Communicator」「Cisco Personal Communicator」などがある。
ユーザーは、電話や電子メール、ビデオ会議などを、それぞれ独立した環境の中で使い分けてきた。統合コミュニケーションツールは、これらの独立したツールを統合する、効率的なコミュニケーションポータル的な役割を果たす。ユーザーは、このツールを通して必要なコミュニケーション手段を選択し、操作する。
統合コミュニケーションツールの導入により、社内での意思決定の迅速化、組織やチームで連携して業務対応する場合の時間短縮が可能となる。具体的な導入効果は、主に表1のようなものだ。
→http://techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/1004/15/news03.html
このような統合コミュニケーションツールは、システム機能、ほかのコミュニケーションツールやアプリケーションとの連携、管理面などにより導入する製品が変わってくる。
●社外との迅速な情報共有のためのUC
<業務課題2>
社外のパートナーと情報を共有できない
近年はどの企業でも、ビジネス活動を進めるに当たって自社のみで活動が完結することはまれである。各種パートナー(業務委託先や販売店、代理店、製造委託先など)との関係なくしては、ビジネス活動が成立しないといっても過言ではない。従って、ビジネスを進める上でパートナーとの情報共有は不可欠であり、そのスピードを向上させることが企業の競争力となってきている。そしてその情報共有の多くは、対面または電話・電子メールによって行われている。
社外との情報共有の場において、多くの関係者に対して確実かつ同時に伝えたいというユーザーの要求は多い。例えば社内外のセミナーや説明会、パートナー企業との連絡会議などだ。特定の場所で会議が行われることが多いため、参加可能な人数に制限があったり、日程や地理的な事情で出席できないなど、確実、効率的に情報共有を行う上では課題も生じている。電子メールで資料の共有はできても、資料の意図する内容や背景までを多くの人に伝えることは難しい。
このようなコミュニケーション問題の改善に利用されるのが、移動を伴わずに情報共有が行えるビデオ会議システムやWeb会議システムである。
解決策(2)-1:ビデオ会議システムによる情報共有
企業内に導入されているビデオ会議システム(タンバーグ、ポリコム、ソニーなど)を利用して、外部のパートナー企業との情報共有が可能である。同システムを導入している企業は多く、既存の情報基盤を有効活用して音声や映像のみならず、作成した電子文書の共有も行える。接続できるネットワーク(電話回線やインターネットなど)さえあれば、外部企業のビデオ会議システムとの相互接続が可能となる。
ただし、外部企業と接続するためのインフラには当然投資が必要になるため、現状、容易に外部の企業と接続できる企業は限られている。また、接続したい自社の取引先や外部のパートナー企業の事業所にビデオ会議システムが導入されていない、外部企業とのビデオ会議システムの接続が認められないなど、設備上の制約や企業ポリシーによって、内外の情報共有基盤としては限定的な利用状況だ。
解決策(2)-2:Web会議を利用した情報共有
Web会議は、Webブラウザなどを利用して資料共有を行う会議システムであり、多くの企業で使われている。通常は社内での事業所間の情報共有、説明会やセミナーでの利用が一般的である。
例えば筆者が所属するネットマークスでも、Web会議システムをメーカーとの情報共有で活用し、コミュニケーション改善や自社の業務改善に役立てている。複数のメーカーから定期的に技術セミナーの提供を受けているが、従来は施設の物理的な問題から会場や参加人数に制約があった。そこでメーカーからの提案により、技術セミナーを順次インターネット経由のWeb会議を利用したセミナーに移行した。一見、このような対応はセミナーの提供者側のみに恩恵があるような印象を受けるが、受講者側においても生産性向上のメリットや副次的な効果が生まれる(表3)。
→http://techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/1004/15/news03.html
表3を見ると、情報提供者側だけではなく、受講者側も「情報伝達の改善」「業務効率・生産性向上」「コスト削減」といった具体的な効果が出ている。自社とパートナー企業の情報共有にWeb会議システムを利用すれば、結果的に双方のビジネスプロセスが改善されることが分かる。
Web会議は、同時に多くの情報伝達が行える点以外にも、会議内容を記録できるというメリットがある。録画された会議内容を、会議に出席できなかった人も見ることが可能だ。また会議主催者も、同様の会議の開催回数を減らすなど、業務時間の削減が図れる。録画されたデータは、会議後の業務改善にも活用できるわけである。
次に、Web会議で外部と情報共有を行う際の製品の選択ポイントを挙げてみよう。
→http://techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/1004/15/news03.html
このように、外部企業とWeb会議で情報共有する場合、情報を共有する側のIT環境や情報共有方法、会議記録方法など幾つか考慮しなければならないポイントがある。上記を考慮した上で製品を選択することが重要だ。
●ビデオ会議かWeb会議か 最適なUCを見極める
最後に、上記で紹介した課題解決策を実施した際のメリットおよびデメリットを表5にまとめてみる。また表6には、各解決策に必要な製品・サービスおよび製品導入時に必要な作業を記した。
→http://techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/1004/15/news03.html
次回は、「ワークスタイルの多様化によるコミュニケーション課題」「効率的なオフィスコミュニケーション」というテーマで、改善型UCによる具体的な解決策を紹介する。 4月17日1時40分配信
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