「cafe'[waterLains]の午前」◆イルとミスレィシリーズ:1
雨が好きだ。
そう言うと大人たちは顔をしかめた。
雨は酸性雨、いいものじゃない。じめじめとして気分が悪い。洗濯物がまるで渇かない。
そんな大人たちの横をすり抜け、ミスレィは笑っていた。
彼は、僕が雨を好きな理由を知っているから。
…僕らは、雨上がりの午後旅に出る。バッグは持たない。荷物は邪魔だ。
あと数時間で雨が止む。ミスレィが言っているんだ、間違いない。僕たちはどしゃ降りの中、熱い紅茶を飲んで待った。
ミスレィが見つけたこのオープンカフェ。
木々の緑に埋まり、ひっそりとした外観。ハーブや果実の紅茶は味も香りもよく、すぐに僕らのお気に入りになった。
−−いつも人が多いことを除けば、僕の好みに完璧なのに。
ミスレィはそう言って口を尖らせた。
人気の店なんだから仕方ないじゃないか。…でも、僕もミスレィと同意見だ。これで、もう少し静かな店だったらなあ…。
だから僕らは、人の出向かない雨の日にここへ来る。更に、雨の日には誰もいないオープンカフェに居座る。
雨音、木々に滴る水音。それに僕たちの声が混ざり合う。
ミスレィはここに、自分で作った焼き菓子を持ち込むんだ。この店のよりおいしいぜ、って。実際はどっちもすごくおいしくて、僕は両方大好きだ。
…ああ、次第に雨音が微かになってきた。
僕たちは紅茶を飲み干し、これから始まる旅の行方に胸を弾ませた。
−−イル。
ミスレィが静かに僕を呼ぶ。
−何だい。
−どんな旅になるだろう?
悪戯っぽく笑うミスレィ。解ってるくせに。それでも僕は、彼の手を取って惜し気もなく言った。
−ミスレィと一緒なら、おもしろい旅になるに決まってるさ!
−奇遇!僕もそう思っていたところさ!僕とイルが一緒にいて、つまらなかったことなんてないからね。
僕らは笑い合い、旅の第一歩を歩み始めた。
−−−−−−−−−−−−
今、窓の外から、雨音が聞こえています。
わたしは雨が好きです。窓越しの雨音が一番好き

というわけで、今日は昔書いた短編シリーズものを投下してみたり^^
イルとミスレイという二人の少年の他愛なくも少し不思議な日常のお話です!
今窓越しに聞く雨音と、この作品の雰囲気がぴったり合ったので
明日・明後日は連休でーす!やった!!
物語を書いて過ごそうかな!!楽しみです