第十話 

March 09 [Mon], 2009, 2:26
「パーカー」

ニコはねるときにパーカーのフードをかぶって寝る。落ち着くそうだ。僕はそのパーカーを引っ剥がす作業に追われている。ニコの肌がみたいから。

バカみたいだと、自分でも思う。もうそこそこ大人なのにね。

でもニコの白い肌を見ると、何だか全部許される気がすんだよ。別に悪いことしてる訳じゃないけど。

喉を痛めたからと云って、マスクまでしてやがる。手間取らせるな。ボケ。

第九話 

February 03 [Tue], 2009, 7:34
「朝」

早く来てほしいと願うほどに遠く、来たら来たでそれはまたとんでもなくうんざりするものなーんだ?
眠りは心地いい。覚醒は気持ち悪い。その狭間を行ったり来たりする。好き好んでしているわけではないが、そうしているのは自分の身体であることに間違いは無い。その事実がまた僕を嫌悪に陥れる。
散々眠れなかった後、ニコが焦がしたホットケーキを食べ、再びベッドに入る。
「おひるま寝ちゃうから夜ねむれないのよ」
至極当然の事を云われて僕は不機嫌になる。僕だって好き好んでやっている訳ではない。
「まあ、人生のうちのちょっとの間、そんなことあってもいいんじゃない」
そう言ってニコは、半開きの僕の口に青い錠剤を放り込んだ。

第八話 

January 26 [Mon], 2009, 23:52
「ニコの日記」

あたまいたいけどあたまいたいのかがよくわかんなくなってきたの 今日テレビでやってた精神科の番組 みてたらきもちわるくなったのにすこし憧れた。わたしはもっとこわれたいの?いまでもじゅうぶんよくわからないのに、もっとこわれたらもっとわからなくなって楽になるの? わたし楽になりたいわけじゃない ちょっと無理しながらでも ちょっとつらくても働いておかねもらってごはんたべて生きたい でもいっぱいつらいのは無理 丁度好いのがわからない。クリームパンばかり食べてる、もう無くなっちゃった苦しい、買いに行ったらきっと寒くて死んじゃう、あたし死にたくないのに。煙草も吸えなくなったから。もうすぐ呼吸も出来なくなるんだわ、はやくクリームパンちょうだいクリームパン。

クリームパン

第七話 

January 24 [Sat], 2009, 1:13
「赤い線」

すーう。すーーう。すう。すーう。新しい剃刀を買ったニコは、すう、すう、と言いながら腕に刃を走らせている。刃の走った跡には、赤い線が浮かぶ。

今夜は手首の内側だけでなく、外側、そして上腕部まで「すう」が走っていく。泣いてるようにも笑ってるようにも見える。

腕全体に赤い線が走り、いよいよ切るところがなくなった。すう、といってニコは目蓋に線を引いた。

「痛みがあたしをねかせてくれるのよね。」

第六話 

November 30 [Sun], 2008, 22:33
「終わらないダンス」

さっきからずっと踊っている。足が冷えているのか真っ赤である。床はコンクリートだ。皮が剥けているのも有るかもしれない。

ねえニコ。どうしたらニコを止められるんだろう。90年代の音楽が僕を苦しくする。ニコも息が上がって苦しそうだ。まだ行けるか。生きられるか。僕の灰皿はもう満杯だ。この狭い部屋はもう煙でいっぱいだ。ニコも僕も窒息しそうだ。

でも煙の中で回る蒼白いニコは綺麗だ。
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