こういった

June 08 [Fri], 2012, 11:32
ニイチェは詩人である。何よりも先づ詩人である。しかしながら彼のポエジイには、多くの深遠な思想や哲学が含まれて居る。その内容を理解し得ないでは、ニイチェの詩を感情し得ない。しかも彼の思想や哲学やは、学問する頭脳では理解し得ず、哲学する精神によつてのみ理解されるのである。その哲学する精神を欠いた日本の詩人や文学者にとつて、ニイチェが不可解なのは当然と言はねばならぬ。日本の詩人や文学者は、動物のやうに感覚がよく発育して居る。どんな深遠な美の秘密でさへも、いやしくも感覚される限りに於て、すぐに本質を嗅ぎつけてしまふ。彼等は全く動物の叡智を持つてる。その不可思議な独特の叡智によつて、彼等はボードレエルを嗅ぎつけ、ドストイェフスキイを嗅ぎつけ、象徴派の詩を嗅ぎつけ、自然主義の文学を嗅ぎつけた。しかし流石にその智慧だけでは、ニイチェを嗅ぎつけることが出来ないのである。外人 出会い

 ニイチェはその哲学詩人としての本領の外に、純粋の詩人としての抒情詩を書いて居る。しかし抒情詩人としてのニイチェには、僕としてあまり崇敬できない点がある。ゲーテも言ふ如く、詩人に哲学する精神は必要だが、詩に哲学を語ることは望ましくない。特に抒情詩に哲学は禁物である。ニイチェの場合にあつては、この禁物が多すぎる為、詩がまるで理窟っぽい[#「理窟っぽい」はママ]警句のやうなものになつてしまつて居る。理智で考へながら読むやうな文学は、純正の意味で「詩」とは言へないのである。しかし流石にその二三の作品だけは、ニイチェでなければ書けない珠玉の絶唱で、世界文学史上にも特記さるべき名詩である。特に「今は秋、その秋の汝の胸を破るかな!」の悲壮な声調で始まつてる「秋」の詩。及び

鴉等は鳴き叫び
風を切りて町へ飛び行く
まもなく雪も降り来らむ――
今尚、家郷あるものは幸福
さいはひ
なるかな。
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