君のための唄〜3〜 

February 27 [Wed], 2008, 17:04

部屋からもれてくる音で此処だという確信を持った部屋の前。
言葉で表現できない気持ちが体中に巡っているのがわかった。
ノブに手をかけてねじったあと気を使ってゆっくりと押す。
鍵はかかってなくガチャリと音を立てて開いた。
部屋は先程の部屋と同じように白に包まれている。
そこで一際目立つのは黒のグランドピアノ。
背景が白なのでかなり印象が強い。
「あの・・・どちら様?」
急にかけられた言葉。
ピアノがなっているんだし人がいるのはわかっていたが、
突然声をかけられると流石に驚いてしまった。
「えっ…と…」
何から話せばいいのやら、分からずに視線を泳がせながらドアを閉めた。
ピアノを弾いていた人物は見た目、女の子に見える。
年齢は俺と同じくらいで17歳くらいにみえた。
金髪で長さがバラバラな髪の毛だがすごくさらさらしているように見える。
ピアノから手をはなして自分の膝の上において、
不思議そうな顔をしてこちらをみている。
「…私はユーリ。まずは自己紹介からだよね?歳は16歳。貴方は?」
唐突な自己紹介に驚いて言葉が出ない。
「あ…の……園田佑也……です。」
「ユーヤね。名前似てるね!」
にこにこと笑いながら座っていたイスからひょいっと降りて近づいてきた。
そして2,3歩前にくると右手を伸ばしてきた。
「……?」
多分今、自分は凄く間抜けな顔をしてるんじゃないだろうか…。
「あーくーしゅ。握手しよう!握手は友達の証だよ。」
先程から変わらない笑顔で言ってきた。
なんか不思議な子だな…。率直な感想を心の中でつぶやいた後
取り敢えずはユーリの望む握手をしようと自分も右手を差し出した。
あぁ・・・女の子と握手なんてどれくらいぶりだろうか…
そんなことを考えて手をゆっくり伸ばしもう少しで触れる所まで動かしたとき…

バンッッ!!!

「ユーリィ!!!出発すっぞぉ!!!準備しーやー!!!」
勢い良くあけられたドアにあたった。
まぁ、当然だろう。ドアのまん前にいたんだから。
ドアの前に居た自分を恨みながらも顔を上げて相手の顔を確認する。
結構身長は高めで顔をバンダナで隠している。
バンダナの上から少しもれている金髪の髪。
格好はいまどき風な男らしい格好。
なまりからして関西人だと思った。

「五月蝿いよ、イツキ。ちょっと黙れ。お前さっきからテンション高すぎ。」
「だってやっとこんな古びたとこからおさらばできんねんで?
そらテンションやら何やらあがるっちゅーねん。
ってことでユーリ。準備できたか?こんなとこにもう用はない!ひゃっほぉぉお゛グッ!!!!!」
「だから黙れっつってんだろ!!!次ぎ叫んでみろ、顔面に疾風斬くらわすからな。」

イツキと呼ばれた男の後に入ってきた男。さっきの奴と同じように17,18くらいの歳に見える。
イツキはなにやらガッツポーズをしながら叫んでいる途中にもう一人の奴に肘鉄をくらった。
肘鉄をくらわしたやつは珍しい…というよりみたこともない緑髪で、
鼻のてっぺんに黒い三角型の痣?がある。
少し大きめな黒のヘッドフォンを首にまいている。
イツキよりも少し低め身長でこめかみに薄く血管が浮いている。
多分五月蝿いイツキに本気できれているんだろう。
イツキは腹を抱えてその場に倒れこんだ。
…ちょっと待て。疾風斬って、何?

「ちょ、ちょっとイツキちゃん!?大丈夫!?レン!ちょっときつすぎだって!」
「この馬鹿にはこれぐらいが丁度いいんだよ。」
ユーリはイツキに近づいて「大丈夫?」といって背中をさすってやっている。
レンと呼ばれた男は「ふぅー」と苛々が詰まったため息をした。
レンのため息が終わった瞬間にガバッとイツキがユーリにの腰に抱きついた。
「あーvやっぱりユーリはいいこやーvでももうちょっと成長して欲しい、がほぁっ!」
「あ、ごめーん。蚊がとまってたからー。」
ユーリは思いっきりイツキのこめかみを握り締めた拳で殴った。
そのあとあははと笑いながらも棒読みで謝る。
イツキはそのまま横に倒れて動かなくなった。
「……お前のほうがえげつないと思うんだがな…。」
「何か云った?レン。」
「いや、独り言だ。」
ボソッとレンがつぶやいた後レンの方をむかずに訊いた。
云うまでも無いがユーリからは苛立ちからか黒いオーラが出ていた。
今度は短いため息をはいて、レンは視線をこっちに向けた。

「…何、これ。」
「あ、ユーヤ君。さっき偶然に会ったんだよ。」
「ふぅーん。」
レンは興味ないとでも言うかのように視線を窓の外に戻した。

何か…俺だけ場違い、みたいな・・・・。
心の中でつぶやくとユーリが近づいてきて佑也の前に来てしゃがんで目線を合わせた。
「さて、握手の続き。」
そういうとさっきと同じように右手を伸ばしてきた。
ちょっと戸惑ったが佑也も手を差し出し軽く握り合った。

君のための唄〜2〜 

February 18 [Mon], 2008, 19:27
一歩足を踏み入れるとガサガサと雑草達が足に絡まってくる。
下をチラリとみる。
見たことも無い、様々な形をしている雑草たち。
それだけではなく、本当に草か?
と思うほど不気味な色を放っている雑草さえあった。
無駄に広い庭。もう今が何歩目だったなんて覚えてない。
ただ、もう少し向こうにある古びた扉に確実に
一歩、また一歩と近づいていった。

扉の前に着きノブに触ってみる。
所々が錆びていてこの建物が古かったことを示している。
軽く引いたり押したりするがびくともしない。
次はありったけの力を込めて押す、引く…
だがやはり開かなくて諦めて他の入り口を探すことにした。
チラチラと左右を見回した後右方向に進み始めてみる。
「探検なんて久しぶりだなぁ…」
近い昔を思い出しながら少しほほが緩む。

あの頃は近所の友達と一緒に秘密基地とか作ったりしたな…

無断で家に入って怒られた事もあったな…

今でも皆元気にしてるかな…

俯いていた顔を上げたとき白い布が目の前に舞い上がった。
咄嗟に一歩退く。落ち着いてよく見るとそれは白いカーテン。
ほっと胸を撫で下ろした。
辺りを見回すが特に入れそうな場所が無いので、
取り敢えずそこから侵入することに決めた。
豪邸だけあって地面から床までの高さが高い。
17歳の自分にとっても結構高く感じた。
よいしょ、っと勢いを付けて腕の力だけで中に入る。
靴を置いておくのも気が引けたので
靴をはいたままその部屋を探索することに。
そこは一言で言えば「シンプル」。
いや、シンプルすぎていた。
部屋の壁、天井、床は全て真っ白。
長い間放置されていたと思っていたのだが…
黄ばみや汚れなどが一つも見当たらない。
広さは全てが白で染められているために分かりづらいが
奥行き10mはあるように感じた。
部屋の真ん中にはこれもまた白いテーブル。
高さや大きさは一般家庭でも使われているような大きさ。
不思議とイスは一つ。テーブルの上には小さめなオルゴール。
テーブルの上で只一つ、茶色の色を放っている。
それをゆっくりと持ち上げて自分の目の辺りに持ってくる。
そして先程と同じ速度でへその辺りまで落とす。
ねじを巻く。ギリギリと嫌な音がするが、案外ねじは素直に回る。
数回巻いた後片方だけでオルゴールを持つ。

   ♪         〜♪

素人が手作りしたものなのか分からないが、
音の間がバラバラな気がした。
曲がなり終わった後元にあった場所へとも出した。
今気がついたが先程からピアノの音がやんでいる。
俺の存在に気がついたか?と思うが特に恐怖心は沸いてこない。
感覚が狂うこの部屋で黒のドアを目指す。
周りが白の所為か、とてつもなくそのドアが目立つ。
ノブをひねり外へ顔をだして辺りを窺う。
人の気配はやはり無い。
さっきの部屋と違い外国を思い浮かばせる茶色の床の真ん中に
細くて長い、高級感を漂わせている赤の絨毯。
完全に部屋から出て廊下へと移動する。
数秒その場に留まっているとまたピアノの音が聞こえる。
今度は単音ではなく、あっさりとした和音。
佑也はピアノの音がする方へ引き寄せられるように歩いた。 


君のための唄〜1〜 

January 30 [Wed], 2008, 23:04

今日も教師が黒板に書いた字をノートに写して
ボーっと空を見て、放課後。
帰宅部だから部活なんかなく
部活をしている奴らより大分早い下校。
毎日これの繰り返し

正直云って何度も繰り返しすぎて
詰まらない、くだらない。
だからと云ってその日常を変えてしまうのが怖くて
何も出来なくて。
そんな日がだらだらと過ぎていった。
来年こそは…!
なんて目標を立てるもすぐに三日坊主。
これを数年何度もしているうちにもう高校生
受験などはない2年生。
自分は一番気が緩んだりする時期だと思ったり…。
でもそんなことも云えなくなってきた高校2年生の冬。
大学に行きたいとも思えないんだけど…
行かなきゃいけないという気持ちがあるため
適当な大学にいければいいや。
そんな気持ちで特に勉強するわけでもなく…
このままいくと冬休みとかもだらだら過ごしそうだな…
と思い始めた自分。
名前は園田 佑也。
昔は女子とよく間違えられたが男。
特に趣味も無く、特技も無く。
平凡な世界をだらだら生きる17歳。

毎日何も考えずに歩いてる大きめな道。

交通量は普通ぐらい。
歩道と車道の間にはイチョウ?の樹。
これが一季節前の秋には結構綺麗だったり。

その道を右折して路地に入る。
この道は近道。
普通の道を進んでいくより10分くらい早く家に着ける。
路地を抜けると近くにある豪邸。
今は誰も住んでない様子で雑草などが好き放題に伸びている。
その豪邸の正門らしき大きな門の前を通る。
恐らく佑也の身長の三倍程ぐらいあるだろう。
太さもそこそこ、
元々黒い色をしていたっぽいのだが
錆びて所々の色が抜けていた。
時々侵入してみたいなんて思ったりもするのだが…
寒いし、何より体が思い。
小さい頃から探索したりするのが好きだったんだが…
歳を取るって怖いな。
人生まだまだなのに何てこと思ってんだろう。
そんなことを考えているうちにその豪邸を通り過ぎた。


              〜〜♪


自分の後ろのほうから聞こえるピアノの音。
その音は単音で複雑な感じなんかじゃなくとても簡素で
しかしなぜか心を惹きつけられる。
そんな感じがした。
気がつくとその場で立ち止まって体ごと豪邸のほうを向いていた。
数秒立ち止まった後に勝手に足が動き正門の前に戻ってきた。
正門の前に立つ。
豪邸の端から端を見上げたあともう一度門に視線を戻した。
そしてその門をゆっくりと力を込めて押した。


P R

此処はオリジナル小説を載せているブログとなってます。
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