適温A 

February 24 [Tue], 2015, 12:53
■24歳、冬2

都「くらーい」

声と共に部屋の電気がついた。自分の体温で暖まった布団から、顔だけを出す。部屋寒い。

私「なんの用」
都「こんばんわ」
私「いや」
都「鍵かかってないし、危ないよ、ここは大都会ですよ」

真っ先に冷蔵庫に向かって、自分で持参した酒らしき缶やビンを手際よく入れていく。

都「あ」
私「…」
都「あれか、ヤツ来る? だから開けてた?」
私「まあーそういう話だったけど」
都「まあ来ても来なくてもどっちでもいいけど」
私「来なくなった」
都「そー」

一本袋に残して、氷の入ったらコップとともに持ってこちらに向かってくる。

都「エアコンつけていい? 何でつけてないの?」
私「私の分は」
都「あ、飲む? いいの?」
私「明日金曜だし、明日行けば休みだし」

私の言い訳を聞ききる前に、彼女は再び冷蔵庫の前へ戻る。冷蔵庫の前にいる回数が家主より多いかもしれない。

都「で、エアコンは? スミノフ?」
私「スミノフ、エアコンは節電中」
都「あそ、酔うまでは寒いからつけるよ」
私「どうぞ」

静まりかえっていた部屋に、機械音と騒がしい声。生暖かい風が温度をあげながら吹いてくる。

私「急速やめて」
都「はい、ecoモード」
私「これ飲んだら寝るからね、お風呂入ったし」
都「じゃあ私もこれ飲んだらお風呂借りる」
私「一週間早い」
都「曜日の感覚がない」
私「…土曜の夜は来るから」
都「そしてまたドタキャンされるのか」
私「わかんないけど、とりあえず予定だけ」
都「いてもいなくても関係ないけど、あんま会いたくないし、エロいことしてるときに鉢合うのもな」
私「ソレないって言ってんじゃん」
都「あんま信じてない」
私「みっちゃんに嘘ついてどうすんの」
都「まあ、まあ、そうね」
私「もう寝る」
都「言うても前にお付き合いしてた男女ですよ」

私はビンの残り1/4を一気に飲み干す。

私「ごちそうさま」
都「はい、私も。とりあえずお風呂借ります、おやすみ」
私「うん、おやすみ」

わざわざ電気を消してくれる。みっちゃんは6畳の部屋から出ていき、寒いであろう廊下へ向かった。部屋と廊下の薄っぺらいドアが閉められる。微かな衣擦れの音を聞きながら、私はいつもより異常な早さで眠りについた。





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