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キルギスのインターネットカフェに潜入した / 2010年06月18日(金)
 いま、中央アジアのキルギスで起きている騒乱が日本でも報じられている。この国については連載でもウズベキスタンとともに中央アジアのIT事情とともに取り上げたことがある。それぞれの国で、一般の人たちの家を訪問したが、彼らは輸入したVAIOノートPCなど高価なノートPCを所有しているものの、インターネットに接続しないで使うのみだった。

【拡大写真やキルギスにあるインターネットカフェの紹介写真】

 とはいえ、どちらの国にもインターネットカフェが存在し、PCを所有できない若者たちで活気があった。キルギスの騒乱の中でインターネットカフェはどんな影響を及ぼしたのだろうか。すでに、外務省からキルギスに対して首都のビシュケク市に「渡航の是非を検討してください。」、南部の地域では「渡航の延期をお勧めします。」が発出されており、一般人は入国すら困難な状況にあるため、推測することしかできない。そこで、ここでは参考情報として、普段報じられることがほとんどない、筆者が同国を取材したときに知った「一般庶民のインターネット事情」を紹介したい。

●1時間50〜100円が相場のインターネットカフェ

 キルギスのインターネットカフェは、専業の店舗ではなく、公衆IP電話やPCショップ、ビデオのレンタルショップも兼ねているのが一般的だ。この辺りの事情は「仕事をいくつも掛け持たないと生きていけない」という庶民の収入事情が大きく影響しているという。

 一方でウズベキスタンのインターネットカフェは、専業の店舗がほとんどだ。これは、ウズベキスタン国民の収入がキルギス国民より多く家計に余裕があるから、というわけではない。ウズベキスタンにはIP電話がないことに起因する。ちなみに、ウズベキスタンとキルギスでは、固定電話にしろ携帯電話にしろ、国際電話はべらぼうに高い(ただし、CIS=独立国家共同体に所属する国家間は国内電話よりわずかに高い料金で通話できる)。そのため、国外への出稼ぎが当たり前の両国で、国外にいる家族や知人との連絡手段は、出稼ぎ先からかかってくる電話を待つ以外、実質的にない。

 ウズベキスタンもキルギスも大きな街にしかインターネットカフェはないが、(兼業であるとしても)その数はキルギスが圧倒的に多い。ウズベキスタンの人に聞いても、インターネットカフェは「5年前より確実に減っている」という。筆者が滞在中に取材した期間でその理由を確定することはできなかったが、あるインタビューでは「何をするにも回線速度が遅いので、インターネットカフェを開業しても客がぜんぜん楽しめなかったのでは?」という証言もあった。ちなみに、ウズベキスタンのインターネットカフェ利用料金は、地元民が高いと感じるものではなく、1時間50円前後が一般的だ。

 ウズベキスタンの大都市では、モバイルWiMAXのサービスが運用されているが、最も安いプランでも月30ドル(1Mbps、しかもデータ量従量制なので、さらに追加される)、最も高額のプランで月4200ドル(2Mbps、使い放題)とかなり高い。旅行者は有線でネットワークにアクセスするのが無難だが、ウズベキスタンでは大都市でもインターネットにアクセスする場所を見つけるのに苦労する。ホテルにも客室にLANコネクタはない。旅行や出張などの一時滞在でウズベキスタンを訪れるなら、滞在期間中はインターネット利用をあきらめよう。アクセスできる場所を探すだけで貴重な時間を失うことになるからだ。

 なお、ウズベキスタンでは、Webサイトの「Voice of America」などがアクセス禁止になっていることから、インターネット利用に関して当局がなんらかの制限をかけているともいわれている。

●店によって“思いっきり”変わる利用料金プラン

 キルギスのインターネットカフェ利用料金は、基本1時間50円〜100円で夜間は若干安くなる。「1Mバイトあたりの価格」というデータ従量制の店も結構あった。キルギスではインターネットカフェを利用するときに、ネットワークにアクセスするためのアカウントナンバーとパスワードが記された「インターネットカード」が渡されるが、そのカードが時間従量制かデータ従量制かで、利用料金が“極端”に変わる。

 キルギスの首都ビシュケクで、中国からやってきた滞在者がSkypeで故郷の知人と通話をしたあと、利用料金の支払いで多額の請求を突きつけられて店員と口論している場面に出くわした。キルギスでインターネットカフェを利用する場合、Skypeや動画共有サイトなどへアクセスする場合は利用体系を確認するなど十分な注意が必要だ。

 インターネットカフェ以外にも、大都市の高級ホテルやごく一部のレストランでは、無線LANでインターネットにアクセスできる。とはいえ、富裕層でもない限り「レストランで外食」は困難な庶民がレストランでノートPCを広げてインターネットにアクセスすることはまずありえない。

 キルギスもウズベキスタンも、インターネットカフェに設置されているPCの台数はだいたい10〜20台程度で、席の間に簡単な仕切りを設けた店もあれば、完全なオープンスペースとなっている店もある。利用客はキルギスでモンゴル系のキルギス人とロシア人が多く、ウズベキスタンで中東系のウズベク人とロシア人が多いが、あくまでも多数派というだけで、どちらの国も多くの人種がインターネットカフェに集まってくる。

●中央アジアのみんなが利用するのはロシアのポータルサイト

 両国を含めた旧ソ連の国々では、自国の言葉と別にロシア語が広く使われることから、キルギスのPCにはキルギス語とロシア語が、ウズベキスタンのPCにはウズベク語とロシア語がインストールされている。日本語が利用できるPCは、ウズベキスタンの首都タシケントにあるJICAが運営する「日本センター」など極めて少ない。

 キルギスでもウズベキスタンでも、最も多く使われているのが「mail.ru」というサイトが提供しているWebメールサービスだ。インターネットカフェを利用する女性ユーザーの多くがmail.ruやニュース系Webページしかアクセスしない。一方、男性ユーザーはmail.ru以外にもオンラインゲームや共有サイトの音楽を楽しんでいたりする。

 mail.ruは、SNS的な要素もある総合ポータルサイトだ。全世界のウェブサイト情報や利用状況を調査するAlexa Internetによると、ロシアでアクセス数第3位の人気サイトとなっているほか、バルト3国を除いた旧ソ連の国々ではいずれも5本の指に入る。特にカザフスタン、ウズベキスタン、アゼルバイジャンなどでは1位と中央アジアで人気が高い。キルギスでも3位という。

 キルギスもウズベキスタンも、インターネットカフェに設置されたPCに、個人が作成したリポートのワードファイルとエクセルファイル、個人が撮影したデジカメの画像が、マイドキュメントフォルダに“どっさり”保存されていた。インターネットが家で使えないから、インターネットカフェでリポートを書いてネットワーク経由で提出したり、写真を自分のWebページやブログにアップロードするのに使っているのだろう。それにしても無防備すぎる。

 無防備といえば、インターネットネットカフェのPCだろうと、個人のPCだろうと、写真現像屋のPCだろうと、USBメモリを差すと、もれなくウイルスに感染する。海賊版が普通に販売されているキルギスとウズベキスタンでは、セキュリティソフトも海賊版を利用する。さすがにロシア人が使うビジネスPCには正規版がインストールされていた。そういう自称を反映してか、PCショップではロシアの「カスペルスキー」のみが売られていた。【山谷剛史】

【6月17日17時52分配信 +D PC USER
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100617-00000056-zdn_pc-sci

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