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【肥田美佐子のNYリポート】iPhone盗難事件急増にみる、止まらないアップル人気 / 2010年07月23日(金)
 「強盗だ!」

 約2週間前の夜9時過ぎ、オフィスに向かってマンハッタン・ダウンタウンの小道を歩いていたときのこと。筆者の行く手に突如として立ちふさがった二人組の男の鬼気迫る形相を見上げながら、そう直感した。相手は凶器を持っていなかったものの、体が地面に張り付き、血の気がスッと引いていくのが分かった。

 あどけなさを残した顔立ちに短パン、パーカー姿のいでたちを見ると、せいぜい17~18歳の少年といったところだが、いずれも優に6フィート(約184センチ)はあろうかと思われる大男だ。パンチを1発見舞われただけでも、身長155センチ足らずの筆者など吹き飛ばされてしまう。抵抗は禁物。観念し、右腕に抱えていたショルダーバッグを差し出そうとしたとたん、リーダー役とおぼしき少年の視線が、筆者の左の手のひらの上に載っていたiPhone 3GSにくぎ付けになった。そして、次の瞬間、少年はiPhoneを引ったくり、相棒とともに脱兎のごとく逃げていったのだった。

 そう、彼らが欲しかったのは、現金でもアメックスのクレジットカードでもなく、筆者の手に握られていたiPhoneだったのだ。暗闇の中でさん然と青白い光を放つスクリーンを見て、とっさに最新モデルのiPhone4だと思い込んだのかもしれない。

 近年、米国で、こうした電気機器をターゲットにした強奪・盗難事件が増えている。古くはiPodに始まり、2~3年前からはiPhone、最近では、マイクロソフトのスマートフォン、Sidekicksも「人気」だ。強奪事件の2割が、こうしたテク製品だという。

 また、ニューヨーク市警のケリー本部長が米メディアに語ったところでは、人気のスマートフォン欲しさに犯罪に走るティーンエージャー(11~19歳)が急増している。この年代の若者は、被害者にもなりやすいが、最近、人気家電機器への誘惑から加害者になるケースが増えていると、ケリー氏は嘆く。成人の犯罪者は、クレジットカードの不正利用をねらったアイデンティティー・セフト(個人情報泥棒)のためにスマートフォンを盗みがちだが、ティーンエージャーは、単純にiPhoneが欲しくて盗んだり強奪したりすることが多い。

 筆者が、犯人の電話使用を阻止すべく、iPhoneの独占供給業者であるAT&Tに盗難を報告したあと、担当刑事が、捜査の一環としてSIMカード(シムカード=電話番号特定のために各ID番号が記録されているICカード)のナンバーを同社カスタマーサービスに尋ねた際にも、最近、盗難・紛失届けが多いという話だった。たとえば、iPhoneのオリジナル版である3Gがデビューした翌年の2008年には、ニューヨーク市の全犯罪数は19万8419件と、07年の19万9941件を下回ったにもかかわらず、強奪などの若年犯罪は増加している。

 マンハッタン在住のコメディアン、ダン・ナイナンさん(29)も、こうした事件の被害者の一人だ。ナイナンさんは、2年前、ミッドタウンのチェルシー地区にある自宅のそばで、左手に持っていたiPhone 3Gを後ろから付けてきた若い男にひったくられた。アップルのテレビコマーシャルでビル・ゲイツ役を演じ、人気を博したナイナンさんが自身のiPhoneを盗まれたのは、いささか皮肉な話だが、日本人を母に持つ彼は空手の達人でもあり、果敢にも犯人をすんでのところまで追い詰めた。だが、地下鉄の駅で見失ったと、ナイナンさんは悔しそうに話す。

 「安全のために、地下鉄の駅やバスの中、通りでは携帯電話を取り出すなというが、そんなの無理な話だ。携帯電話は、表でメールをチェックしたり電話したりするためにあるのだから。(犯罪が多発しているのも)ひとえにiPhone人気ゆえだろう」

 ナイナンさんは、一定の時間使わないとロックされ、パスワードなしには解除できないオートロックメニューなど、万一の際に個人情報の悪用を最小限に食い止める設定を一切していなかった。

 フロリダ州マイアミでアイスクリームのケータリングビジネスを展開する女性起業家、フェリシア・ハッチャーさん(27)も、そうした「自己防衛策」を怠っていたことを後悔している一人だ。ハッチャーさんは、1カ月前、出張先のフィラデルフィアのホテルで、iPhone 3GSを盗まれた。わずか15分程度部屋を留守にした間のことだった。クライアントの連絡先など、膨大な量のデータをインプットしたiPhoneは、ハッチャーさんにとって「命」と同じくらい大切なもの。盗難に遭ったと分かったときには、パニックに陥ったという。専用サーバーを通してパソコン上のデータと iPhone のデータをシンクロさせることで、iPhoneの場所を特定できる有料サービス『MobileMe』(モバイル・ミー)のアカウントを持っていたにもかかわらず、必要な設定をしていなかったため、絵に描いたモチに終わってしまった。

 「自分の怠惰さを責めた。仕事上使うデータの大半がiPhoneに入っていたのだから。怠けて2~3カ月間、データのバックアップを取っていなかったために、たくさんの情報を失ってしまった」

 盗難を確信し、AT&Tに電話をかけたのは、部屋に戻ってから3~4時間後だったため、漏えいした情報の悪用も気がかりだという。

 ニューヨークやフィラデルフィアばかりではない。シカゴやボストンの地下鉄でも、iPhoneやiPodの盗難が急増している。シカゴ交通局が米メディアに語ったところでは、今年1月から3月までの間に地下鉄で起こった盗難事件は388件という記録的な数に達している。前年同期比で32%増だ。ボストンの地下鉄でも、今年1月から6月24日までに起こったスマートフォンなどの強奪事件は、前年同期比で42%増加した。殺人やレイプなど、地下鉄での重罪は30年ぶりの少なさを記録したにもかかわらず、だ。計115件のうち88件が、筆者が経験したような丸腰の強奪である。同期間の窃盗も前年同期比で20%強増えている。ボストンの交通当局は、地下鉄やバスの中ではスマートフォンを隠すよう指導したビラを配布し、利用者を啓蒙しているという。また、iPhone人気は、窃盗や強奪事件にとどまらない。アイデンティティー・セフトの被害に遭い、iPhone3台の購入料金を不正にクレジットカードに請求された男性もいる。

 こうした数々の事件にかかわらず、iPhone人気はとどまるところを知らない。何を隠そう筆者も、事件翌日、タイムズスクエアのAT&Tストアに飛び込み、3GSを買い求めた。iPhone4は10日待ちと言われたためだ。前出のハッチャーさんは、無事に最新型を手に入れたという。

 「(盗難事件の急増は気になるが)チョイスはない。私にとっては、iPhoneしか選択肢はないのだから」

 新型マルチメディア端末iPadの爆発的ヒットなどが奏功し、7月20日、4~6月期決算で、売上高が前年同期比61%増、純利益にいたっては同78%増という過去最高の業績を発表したアップル。iPhone4の受信障害が盛んに報道されるなかにあっても、まさに怖いものなし、というところか。

【7月23日11時40分配信 ウォール・ストリート・ジャーナル
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100723-00000011-wsj-int
 
   
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