倫敦塔・一夜

February 23 [Fri], 2018, 20:37
夏目漱石著作

倫敦塔
漱石はロンドンで2年間の留学生活を送りました。が、大都会の雰囲気に飲み込まれほとんど外出をしなかったといわれています。数少ない外出の内の1つが倫敦塔見物とカーライル旧宅訪問でした。どちらも作品として残っています。
漱石は自作を評して『盾は礼服、塔は袴、猫は平服』と言っていましたが、この塔にあたるのが倫敦塔です。
短編ですが、一度だけ行った倫敦塔の様子を思い出しながら日本で描いているため、曖昧な部分もあります。しかし、ロンドン塔の歴史を織り交ぜながらここにはこういう人達がいたのではないかという想像を膨らませつつ話は進みます。処刑を待つ兄弟や若くして処刑されたジェーン・グレー、ヘンリー六世など史実に基づく人々を漱石流に解釈し彼等の最期をあたかも今目の前で見ているかのように描いています。とても幻想的な物語だと思いました。

一夜
こちらも短編。漱石曰く『夏の一夜、八畳座敷に二人の男と一人の女を配して詩心だけを存分に活動させ、それでいて「一貫した事件が発展せぬ」人生を書いたのであって小説を書いたのではない。』とのこと。なので、詩にも俳句にも漢詩にも詳しくない私にはちょっと難しすぎました。

三人がそれぞれ連作で詩を詠いながら、背後ではホトトギスが鳴き、琴と尺八の音色が流れていて、蚊取りの香を焚きながら、香炉の上には一匹の蜘蛛、迷い混んだ蟻、それらが美しく一体となって素性も解らぬ三人がまったりと時間を過ごしていく。
倫敦塔とは違った意味でこちらも幻想的な物語です。

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