スペース・マウンテンゴリラの陰謀 

May 25 [Mon], 2009, 0:45
宇宙はとてつもなく広大です。
そんなこと誰でも知っています。
でも、宇宙のこと全然わからないのに、どうして広大ってわかるんですか。
人間は宇宙の1パーセントしか理解できてないんだ、ってどうして言い切れるんですか。
もしかしたら、太陽系を出て、さらにさらに進んだところには、大きな壁があってそこには、「DO NOT ENTER」と書いてあるかもしれない。
そこで宇宙は終わり。それから先はスペースマウンテンゴリラの世界かもしれない。
宇宙じゃないんです、スペースマウンテンゴリラの世界なんです。

何もない大地に、高いビルが一棟だけ。
この世界に色はありません。ここにある色は白と黒と灰色。
ただし、このモノクロの世界にひとつだけ「色」があります。
それは、スペースマウンテンゴリラの目の色でした。彼らの目は「オーストラリアのバリアリーフみたいなイメージの色」と呼ばれていました。青とエメラルドグリーンを混ぜて、太陽の光で輝きを与えたような色でした。
無限に広がるモノクロの大地、それはところどころひび割れていて、また、山も川も海もあります。
でも色はどこを見渡しても、スペースマウンテンゴリラたちの目以外はありません。
世界の中央と思われる場所に、ひとつのビル。それはオフィスビルのようにも見えます。
この世界にはこれ以外何もありません。コンビニも本屋もレンタルビデオも。

スペースマウンテンゴリラは今から100日前に誕生しました。
それまで、この世界にはスパークマウントゴリランシーが住んでいました。
ところが、突如発生した亀インフルエンザの猛威を受け、絶滅の危機に。
そして、最後の生き残り「ムゥタン」は、「このままではだめだお。ぼくたちの子孫を残さないとだめだお。」と天に向かって叫び、独り泣いて、苦しくなって、頭がおかしくなって、笑って海へと潜りました。
そこで、独り息止め大会を行い、死にました。

どんどん朽ち果ててゆくムゥタンの体は、もう原型を留めていません。
だけど、ムゥタンが最後に吸い込んだ酸素は、ムゥタンが死んだあとも体の中に残り続けました。
酸素は、どんどん縮んでいくムゥタンの体の中で凝縮されていきました。
綿菓子が、凝縮されてガチガチに固まって小さくなるように。
そして、いつしか酸素は命を宿し、種になりました。
その種は、ムゥタンの体から離れ、さらなる海の底へ。

それから100日後、その種からひとつの生命体スペースマウンテンゴリラの「スーパンパ」が生まれたのでした。
それが、スペースマウンテンゴリラの陰謀の始まりでした。

つづく

トイレット 

October 25 [Sat], 2008, 10:38
僕のだいすきなトイレット。
ショッピングビルの角の奥まったところにあるトイレット。
いつも人はいない。
駅のトイレのようにタイル張りじゃない、カーペットの床。
とてもきれいなトイレット。

そのトイレットには個室しかない。
だから、僕はいつもその一室に入って、トイレットに座り、本を読んだり、だいすきな音楽を聞く。
そして、今日あった嫌なことをそのトイレットに流す。
いつもトイレットは、
「大丈夫よ。わたしがそばにいるから、いつでも会いにきてね。わたしも嬉しいし」
と言う。
僕はトイレットに甘えていた。
僕のすべてを流してくれると思っていた。

そんなある日、いつものようにトイレットのところへむかうと。
どこかトイレットが悲しげ。
「どうしたの?」
「うん、となりのトイレッ子がちょっと大変なの」
僕は、となりの部屋をのぞいてみた。
すると、床にはタバコの灰、トイレッ子の中には吸い殻が浮いていた。
吸い殻から染み出たタールとニコチンの毒が、トイレッ子の水を黄色くにごしていた。
僕は、悲しみや怒りが芽生える間もなく、近くにあった火ばさみで、吸い殻を取り出し、何度も何度もトイレっ子の水を流した。トイレッ子は涙を流しているようだった。
ようやく元通りに戻ったものの、その日、一日、トイレットもトイレッ子も、僕に話しかけることはなかった。

「僕が犯人を捕まえよう。トイレだけじゃなく、いつもきれいに掃除してくれている人に対しても最低の行為だ」

翌日から、僕はショッピングビルの開店と同時に、トイレにこもり、閉店すぎて帰宅するという生活を始めた。

張り込み10日目。
トイレに誰かが入ってきた。
隣だ。
耳を隣の部屋との壁にくっつける。
カチカチと二回火打石を削る音が聞こえた。
まだだ、まだ早い。確証を得るまで、辛抱するんだ。
ふぅ〜っ。
と、大きく息を吐き出す音とともに、草を焦がしたにおいが立ちこめる。

まちがいない。こいつだ。

隣との壁を上から乗り越えて、僕は顔を出した。
すると、そこにはチャコールグレーの作業着を着た中年の男性。
掃除のおじさんだ。

「誰だお前!何のぞいてんだ!」
チャコールが声を荒げる。勢いあまってか、タバコを床に落とした。
僕の中で、爆発的に目覚めた罰を与えたいという衝動が、僕の右手に力を宿す。
天井と壁の狭い隙間から、上半身を乗り出し、一発、殴りつけようとした。

その時、トイレットが水を流した。僕はそれが悲鳴にも聞こえた。

床に落ちたタバコの火がトイレットの体を焦がしていた。

焦げたトイレットの体から出た煙が原因で、警報装置がなり、スプリンクラーが作動した。
僕の体と、そうじのおじさんと、トイレットの体にスプリンクラーの水が流れる。

僕らのような、おろかな人たちを、巨大なトイレに流そうとしているようだった。

それから、トイレットは廃棄処分された。
僕が、犯人をつかまえようとしなければ、こんなことにはならなかったのかもしれません。
悪を罰するって、一体どういうことなんだろう。

落下星 

October 25 [Sat], 2008, 0:26
そらにはたくさんの星。

カシオペア座と北斗七星は、船乗りにとってとても大切な星。
カシオペアのダブリューの幅と、北斗七星の柄杓の幅を基準にして、北極星を探します。
そんな大切な、カシオペアの星のひとつが、今消えようとしています。
星の寿命は、とても長い。

カシオペアは言いました。
「たとえ、僕が死んでも、世は何も変わらない」
他のカシオペアは言いました。
「君は、もう必要ない。また、君の居た場所には、新しい星が生まれて、誰も君のことなんて知らない世界が始まる」

カシオペアはだんだん悲しくなって。
このまま、ここで消えるのは嫌だって思いました。
僕は何百年も、この場所で、船乗りたちのためにがんばってきた。
もっといろんな世界を見ればよかった。
そうだ、まだ遅くない。
今から知らない世界を見にいこう。

カシオペアは、生まれて初めて、その場所を離れてながれ星になりました。

地球の科学者たちは大騒ぎ。
星座のひとつが消えた。
不吉な出来事の前兆だとか、ビッグバンの始まりだとか、言いたい放題。
しまいには、「地球に衝突する」とまで噂が。

その噂は、政府まで飛び火し、とうとう軍が動くことになりました。
そして、大統領は、カシオペアを撃ち落とすことを決定したのでした。
「国の予算をいくら使ってもいい。あの悪しき堕星を粉々にしなさい」
科学者は世にも恐ろしい兵器、「星爆弾」を作りました。

カシオペアはそんなことも知らず、ただ火星の近くを飛んだり、太陽の近くで日光浴をしたり。
悠々自適な暮らしを過ごしていました。
僕はもうすぐ、音もなく、光もなく、ただただ宇宙のシミが消えるかのように、何もなかったように、消えてなくなる。
カシオペアは死ぬ前、月の近くで消えようと決意していました。
きれいな月の近くで死んだなら、きっといつか、またきれいな星になれると思ったからです。
月も、カシオペアのことが好きで、よりそうようにただ抱きしめていました。

そんな時です、地球のおおきな大陸から一筋の光が発射され、目もくらむほどのまぶしさで、月とカシオペアを包みました。
激しい轟音と熱が宇宙を包み、たまたまその光を見ていた土星は失明してしまいました。
土星は自分の輪を制御することができず、宇宙の四方八方に輪をばらまいてしまいました。

その熱で月とカシオペアはあとかたもなく散りました。
月とカシオペアは死ぬ間際、とても輝きました。
そして、その光は地球全土を包み、土星の輪が矢のように降り注ぎました。
P R
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