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2007年02月13日 / 2007年02月13日(火)

机に置いた、無機質なリングは、これまで俺を苦しめていたものとはかけ離れたもののように、外してしまえば同じとは思えないほどに軽いものだった。
雲が千切れては流されて行く。
まったく実家へと真っ直ぐに向かうことも出来ずに、こうやって川原の道を選んでしまうだなんて我ながら子供だ。
俺はヒロトの手を引きつつ、ゆっくりと、けれど止まることなく歩く。

「ママぁ、いいお天気ねぇ」

ヒロトが俺を見上げ笑う。
俺は笑い返して、ヒロトの緩んだマフラーを巻きなおす。
ヒロトは小さなくちを、可愛らしく綻ばせた。
冷たい空気に、頬が赤くなっている。

虎は一人でも暮らせるのだろうか。
それともすぐに女でも呼ぶだろうか。
器用な男だったから、案外平気なのかもしれない。
虎に心配の余地があったのなら、俺は出てきたりはしなかった?答えはノーだ。
そんな答えのあるところで、もうずいぶんと迷って来た。
もう十分なほど迷ったと思うところまで来たところで、こうして決断を下ろしたのだ。

「ママ、わんちゃん!」

穏やかに思考を巡らせていたら、気づけばヒロトが俺の手を引いて叫んでいた。
見ればまだ少し先の方に、飼い主に引かれたゴールデンレトリバーが散歩をしている。
ヒロトは動物が好きだ。
前に動物園に連れて行ったとき、あまりにもじっと檻の前から動かないものだから虎と苦笑した。
ヒロトが俺の手を離れ走り出す。

「ヒロト、危ないから」

あんまり遠くに行っちゃだめよ、俺は言葉を呑み込んだ。
これからつらい思いも多くさせてしまうかもしれない。
健気な背中に、今は好きにさせてやりたい。

「ママぁ、わんちゃんだよー!」

ヒロトは俺を振り返りながら、駆け出していく。
俺は笑って頷いて、その後を歩いた。

「わーんちゃーん!」

ヒロトは駆け出して行く。
小さな足でめいっぱい地面を蹴り上げて、
前へ前へと、駆け出して行く。



 
   
Posted at 11:58/ この記事のURL
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