電車に揺られて。 

November 30 [Thu], 2006, 23:02
面接に向う電車の中で揺られながら、これまでの事を思い出す。




週刊誌の編集部でアシスタントをしていて、転職を考え始めたのは数ヶ月前の事だった。
作家になりたいという夢を抱えて飛び込んだ世界だったが、大きい会社ほど個人は「歯車」として扱われ、私はその「歯車」の中でもより小さい「歯車」。

「お前ほど、要領が悪い奴はいない」と怒鳴られていた頃は精一杯でそのことに気付かなかったが、余裕が出てくると「歯車」は「歯車」であることに満足出来なくなる。

何故、私はここにいるのか?

有名な会社の有名な雑誌の編集部だから?

それはアタシの見栄?

毛嫌いしていた「ブランド志向のタカビー女」「学歴自慢のチャラ男」となんらアタシは変わりない。

嗚呼、気持ち悪い。ドロドロと反吐が出そう。




そんなある日、原付で大通りを走っていて、事故に遭う「歯車」。

ぶつかって来た営業車の、ウィンカーの破片がとても綺麗で。

道路にパコンと投げ出され、救急車が来るまでの長い長い時間。

「上司に書類を届けないと」

と、薄い意識の中で考える。


その数時間後、松葉杖をつきながら編集部に向かう「歯車」。

震える手で書類を渡す。アタシの役目は終わった。

「これさぁ、ここの所を直して再提出。あー、この部分は削除ね」

「どうしたの」という一言もなく仕事の話。

そう、「歯車」はどこまでも「歯車」なんだ。

動かなくなったらおしまいなんだ。

松葉杖のせいで体中が痛い。

それよりちきしょう心が痛い。

悲しくて寂しくて。

おでんの匂いが充満するするコンビニで「とらばーゆ」を買って帰ったっけ。




アタシ「歯車」に疲れちゃったよ。

アタシどこに向って走ろうか?



「とらばーゆ」をパラパラめくっていると、場違いな求人が一つ。

「和服接客スタッフ・日本料亭・銀座」

ここに私は行かなければならない。

そう強く思った。



アタシ、「歯車」から脱皮するぞ。

おばあちゃんの夢。 

November 30 [Thu], 2006, 7:05
朝、おばあちゃんが死んでしまう夢をみた。

あまりにもリアルで、ぼんやりとした頭で、

正夢だったらどうしようと怖くて怖くて、

すぐに実家に電話した。

おばあちゃんは、「わかば」を吸ってニコニコしていた。と。母は言い。

安心して、そのまま二度寝した。


そんな妙な寝覚めの朝。







財布は持った。

携帯も持った。

とらばーゆも持った。

そして、しっかり書き込んだ履歴書も持った。

いざ、銀座の高級料亭へ。

「仲居」面接へゴーゴー。







さあ、あたしの新しい人生が始まる。
P R
プロフィール
  • プロフィール画像
  • アイコン画像 ニックネーム:♪あひる♪
  • アイコン画像 性別:女性
  • アイコン画像 誕生日:2月21日
読者になる

江戸落語も上方落語も、好き嫌いなくよく観ます。

ワインも麦酒も日本酒も、好き嫌いなくよく飲みます。

よく走りよく転びます。
2006年11月
« 前の月  |  次の月 »
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30
Yapme!一覧
読者になる