自伝ファンタジー小説『時天生〜悠久の真実〜』5回目 

2006年04月15日(土) 10時08分
「違うのか?」 「俺は自分の名前以外、何も覚えてない」 「なるほど…。ではあれは…」 「何だ?」 「いや、何でもない」 「ね−、クラウド〜。寒くなって来たから宿に戻ろうよ〜。メルお姉ちゃん達も一緒に! ね、いいでしょ、クラウド!」 ジェラが催促しするようにクラウドに声をかけた。 「ああ、私は構わないが…」 「ね、行こッ☆メルお姉ちゃんっ」 言うが否や、ジェラはメルの手を引っ張っていく。 「え?ちょ、ちょっと待って…」 メルは手を引かれながらも、思った。 (この人達は悪い人じゃない…、) と確信した。その根拠はどこから来るのか自分でもわからないが。 「君はどうする?ついてくるかい?」 「そうしてやってもいい」 「君も素直じゃないな…」 クラウドは苦笑した。 「……俺の勝手だろ」 メルとジェラは、宿に着いた。メルは窓から中を覗いて驚いた。魔法使いや戦士達がたく さんいたのだ。気になって、ジェラに聞いた。 「あの…、この宿っていつもこんなにたくさんの人達がいるの?」 「ううん、違うよ〜。あたし達がこの街に着いた頃はこんなにたくさんいなかったもん。 きっと、明日大会だからだよ」 「大会??」 「うん。メルお姉ちゃんは知らないの?」 「ええ…」 「そっか〜。明日はね、年に一度開かれる『格技大会』の日なの。世界各国から、この大 会に参加する魔法使いや戦士達が集まって、技を競い合うんだよ☆で、1番強い人がチャ ンピオンになって『王者』の…地位っていうのかな?よくわかんないけど…、それを得る ことが出来るんだって」 「そうなの…」 「それにしても、クラウド達遅いなぁ…」 噂をすれば影というのはこういうことを言うのだろう、ジェラが言った矢先、クラウドと ラルクが現れた。 「も〜、クラウドおっそ〜い!」 「すまない。待たせてしまったな。では行こうか」 クラウドは、フロントに行きマスターに、まだ開いてる部屋はあるか?と聞いたが、答え は満室。 「満室か…。メル、ジェラと同じ部屋で構わないか?」 「え?はい」 「わぁい☆メルお姉ちゃんと同じ部屋だぁっ」 「ラルク、君は私と一緒だ。いいかい?」 「別にいい」 「では決まりだな」  続く

小説『時天生〜悠久の真実〜』4回目 

2006年04月12日(水) 17時12分
しかし、メルの不安は杞憂に終わることとなる。周りをさっとみても、モンスターの姿は
どこにも見当たらない。気配というものを察するのは苦手だが、モンスターは大きいから
目立つはずだ。
「あれ」
唐突にラルクが口を開いた。
「え?」
「人間」
どうやら、ラルクも視線に気がついていたらしい。確かに、ラルクが見ている方に目を向
けてみれば、なるほど人の姿をしたものが、二つ並んでいる。暗がりでよく見えないが、
一つは、長身で、もう一つは小柄。
しかし、油断は禁物だ。モンスターではなかったとはいえ、善人であるとは限らない。も
しかしたら、身売りかもしれない。
メルは用心深く、その場所から動かなかった。すると、長身と小柄な人物が暗がりから出
て来た。長身の方は男で、小柄なのは少女だった。
長身の男が話し掛けて来た。
「すまない、そんなに警戒しないでくれ。私たちはしがない冒険者だ。私たちもつい先日
この街に着いたばかりなんだ。君達はもう宿はとってあるのかい?」
「いえ、まだ…」
メルは用心しながら答えた。見たところ悪人には見えないが…。人を見る目はあるつもり
だ。
「あぁ、まだ名前を言ってなかったな。私は、クラウド=ストレックスだ。そして、こっ
ちが−−−」
「ジェラだよ☆」
少女−ジェラはぺこっと頭を下げた。
「私はメル…、メルティーナ=オズワーディスです。こちらは…」
「……ラルク…」
ラルクは無愛想に答えた。
「おや…、その服は、ホリュート団の制服じゃないか?」
「「ホリュート団??」」
メルとラルクの声が重なった。

小説『時天生〜悠久の真実〜』3回目 

2006年04月09日(日) 19時42分

その人物が目を覚ましたのだ。その人物は、メルに気がついた。すると、木から降りて来
た。その者は少年とも青年ともとれる顔立ちをしている。身長はメルより弱冠低い。
「誰だ…?」
「私はメル。メルティーナ=オズワーディス。あなたは……?」
「……ラルク……」
「ここはどこなんですか??」
「わからない…。名前以外…何も記憶がないんだ。気がついたらここにいた」
「え?」
(もしかしてこの人…)
話しには聞いたことがある。何らかの内的要因や、外的要因によって記憶を失ってしまう
ことがあると。最も、そんなことは稀だ。メルは少々驚きを隠せなかった。まさか、自分
が記憶喪失の人間と出会うことになるとは…。
「じゃあ私と一緒ですね。私は記憶は失っていないのですが、気がついたらここにいまし
た」
メルは多少天然ボケなところもある…。
「ということは、この森の出口がどこだかはわからないんですよね…」
ラルクは答えない。まあ、記憶がないのだから答えようがないが。
「とにかく進みましょう。もしかしたら街か村に出られるかもしれない」
そうあってほしいとメルは願う。その願いが届いたのか、森の様子が変化してきた。密集
していた木々が次第にまばらになってきたのだ。
(よかった…何とか森を抜けられそう)
「ラルクさん、もう少しで抜けられそうですよ」
「そうか」
短く答えるラルク。
それから、1時間くらい歩いただろうか?ついに森を抜けることが出来た。その間、会話
はなかった。
「よかったですね、ラルクさん、森を抜けることが出来て」
「ああ」
しかし、辺りは暗くなって来ている。そこでメルは気がついた。いつもなら夜になると輝
く“月”が今日は見えない。
「一体どうして…」
けれど、考えても答えは出ない。それよりも今は早く街に入って、宿で休みたい。
何とか街に入ることが出来たが、ずっと森の中を歩いた来たせいで服が汚れている。幸な
のは今が夜で人もあまり出歩いてないことだ。服が汚れているのはラルクも同じだが、あ
まり気にならないらしい。
不意に視線を感じた。
(まさか、モンスター?!)

小説『時天生〜悠久の真実〜』2回目 

2006年04月07日(金) 23時38分
どれくらい時間が過ぎただろうか。
「……ん…」
メルは目を覚ました。
「ここは…?」
見渡すかぎり緑の木々が密集している。どうやら森の中らしい。前向きな性格でもあるメ
ルは、とりあえず先へ進んでみることにした。迷わないように目印をつけ、慎重に。いつ
何時、魔動物と言われるモンスターが出てくかわからない。
弱いモンスターなら、メルにも魔法で倒すことが出来る。
(この森…何だか落ち着く…もしかして精霊が住んでる…?)
精霊の住んでる森は、神秘的な力が働いていてモンスターを寄せ付けないのだ。
メルは、緊張を少し解き、歩き続けた。されど、歩き続けてもいっこうに森を抜けられる
気配はない。
(ここで少し休もう…ちょうど泉もあるし…)
それにしても、ふとメルは思う。ここはどこの森なのだろう?いや、それよりも自分はど
うなってしまったのか?自分は確か家で魔法の練習をしていたはすだ。その途中で光に包
まれ、気がついたらここにいた…。
(あの光が原因なのは間違いないはずだけど…でもどうして?いつもはこんな事ないのに
…)
 不意に、木々がガサッと揺れた。メルが上を見上げるとそこには人が木の上で眠っていた。


続く

小説『時天生〜悠久の真実〜』 

2006年04月05日(水) 23時49分
ここは異世界アルフォリア。そこにあるエクラセン大陸のルニャーズ国で事件は起きた。

この世界には魔法と言うものが実在する。
存在する魔法は、炎、水(氷含む)、風、雷、闇、光、無、その他もろもろ…そして“時”。
この世界の決まりとして“時”は使用禁止とされている。というよりは使える者がいな
い。存在するということを知るのみだ。
魔法を使えるのは、素質のある人間のみだ。その人間は魔法学院に入学し、技術を磨い
ていく。初級から上級まであり、定期的にテストが行われる。それに合格した者が上にい
ける。
その中に、メルティーナ=オズワーディスはいた。メルティーナ、通称メルは今17歳。
真面目で優しく、そのうえ顔立ちも整っている。いわゆる美少女の部類に入る。メルは努
力を惜しまない人間だ。今日も魔法の練習をしていた。
「うまくいかないなぁ…物を動かす魔法…」
しかし、メルはめげない。「もう一度やってみよう」呪文を唱えるメル。今度はうまく
いったらしい。
「え?」
しかし、どこかがいつもと違った。
「何?この光…」
突如、光はメルを包み込んだ。
「きゃああぁ?!」
光が消えた後には、メルの姿はそこにはなかった……
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