
製作年度:2009年 上映時間:126分
出演:吉永小百合、笑福亭鶴瓶、蒼井優、加瀬亮、小林稔侍、森本レオ、茅島成美、田中壮太郎、キムラ緑子、笹野高史、佐藤蛾次郎、小日向文世、石田ゆり子
監督、脚本:山田洋次
かくいう僕もおとうとです。
ねえちゃんとは久しく会ってません。
あらすじ:
悪い人ではないんだが酒癖とギャンブル癖の悪さで家族にいっつも迷惑をかける哲郎。
姉の旦那さんの13回忌でも酔って大暴れしたことから、家族とは疎遠になり、フーテン暮らしで現在行方知れず。
そんなある日、姪っ子の春子の結婚式を聞きつけてはるばる大阪から東京までやってくる哲郎。やっぱり大暴れする哲郎。またしてもみんなを怒らせてしまい行方知れずになる哲郎。
そんな哲郎に家族はウンザリ。寛容なお姉ちゃんにも愛想をつかされたフーテンてっちゃんはどこへ行く?
お〜れがいたんじゃ〜お嫁にゃいけぬ〜わかっちゃいるけどいもうとよ〜♪
満足度67点
ふるくせー。
これのどこが現代劇なんだ?
携帯電話がでてこなければ、六十〜七十年代の話と言ったほうがしっくりくるくらい。
蒼井優の話し方がいつもと全然違ってどこか作られた感じがするのも
山田洋次の世界の住人として、はめこまれた結果だろう。
鶴瓶師匠の違和感のなさは文句のつけようがないし、
痩せっぷりも半端ない。
散々みせられた予告編「人間失格」で見られる生田斗真君のツヤツヤした肌とは大違い。すまんが、あんたの顔には苦悩も絶望も見えんよ。頬をコケさせるぐらいはしなきゃ。
そもそも、太宰治の「人間失格」みたいな9割方内面を描いてる小説を映画化しようって企画からしてすべってる。ネタがなくて知名度だけで選ばれたのではなかろうか。
「人間失格」はちょっと思い入れが強いだけに予告編観るたびイラっとする。
「ヴィヨンの妻」とかは、ストーリーモノだから映画にしても面白いかもしれないけど。
話は戻って、「おとうと」が古臭いって話だ。
現代の娘は舌をペロッとだしたりしないし、
「あらやだ」なんて絶対に言わない。
「あらやだ推進委員会」の僕としては蒼井優の「あらやだ」が
聞けたのはめっけものだった。
「あらやだ」についての考察はまた後日書こう。
しかし、この古臭いながらも通行人一人をとってもしっかり
人が息づいている山田洋次ワールドが僕はとても好きだ。
80歳近いおじいちゃん名監督にリアルな現代に切り込んだ
作品を撮って欲しいとも思わないしね。
観客の年齢層も大分高かったし。
率直にいえば、途中まで、この映画は寅さんなんだよな。
姉弟の関係性も似通っているし。
もっとも、小百合ちゃんからは倍賞千恵子バリの生活感はにじみ出てはいないけど。
前半、中盤の笑いとシリアスさのバランスは絶妙で、
ベタながら、人情喜劇のお手本とも言えるべき、安心感がある。
それならそのまま喜劇として楽しくやってくれれば純粋に楽しめるのに
後半はどこにでもあるお涙頂戴な流れになっていったのが大変不満だ。
それにしても鶴瓶師匠はテレビで内容を語りすぎだよなー。
山田洋次監督のフーテン作品と言えば寅さんだが、
寅さんの前身ともなる「吹けば飛ぶよな男だが」は個人的にかなりオススメ。
なべおさみ扮する脳天気なチンピラヤクザの悲哀と滑稽さが描かれた名作だ。
今の洋次作品では見られない下品な言葉の応酬も楽しめる。
最高のクソババア女優、故ミヤコ蝶々の切れ味も抜群。
最後に結末について一言
何より、確執を病気で解決するなんてつまらない展開が残念で仕方ない。
サクラとケンカした寅さんが病気でが死ぬ映画なんてだれも見たくないでしょ。
あそこはさらっと死んだと思わせて姪の結婚式に登場して、
また一悶着で幕を引かないと、喜劇にならない。
せめて、フーテンが死ぬときは野垂れ死にじゃないと。
人を死なせて感動を誘うなんて監督もヤキがまわったな。
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