映画 『おとうと』感想

February 10 [Wed], 2010, 0:15

製作年度:2009年 上映時間:126分
出演:吉永小百合、笑福亭鶴瓶、蒼井優、加瀬亮、小林稔侍、森本レオ、茅島成美、田中壮太郎、キムラ緑子、笹野高史、佐藤蛾次郎、小日向文世、石田ゆり子
監督、脚本:山田洋次

かくいう僕もおとうとです。
ねえちゃんとは久しく会ってません。

あらすじ:
悪い人ではないんだが酒癖とギャンブル癖の悪さで家族にいっつも迷惑をかける哲郎。
姉の旦那さんの13回忌でも酔って大暴れしたことから、家族とは疎遠になり、フーテン暮らしで現在行方知れず。
そんなある日、姪っ子の春子の結婚式を聞きつけてはるばる大阪から東京までやってくる哲郎。やっぱり大暴れする哲郎。またしてもみんなを怒らせてしまい行方知れずになる哲郎。
そんな哲郎に家族はウンザリ。寛容なお姉ちゃんにも愛想をつかされたフーテンてっちゃんはどこへ行く?
お〜れがいたんじゃ〜お嫁にゃいけぬ〜わかっちゃいるけどいもうとよ〜♪

満足度67点

ふるくせー。
これのどこが現代劇なんだ?
携帯電話がでてこなければ、六十〜七十年代の話と言ったほうがしっくりくるくらい。

蒼井優の話し方がいつもと全然違ってどこか作られた感じがするのも
山田洋次の世界の住人として、はめこまれた結果だろう。
鶴瓶師匠の違和感のなさは文句のつけようがないし、
痩せっぷりも半端ない。

散々みせられた予告編「人間失格」で見られる生田斗真君のツヤツヤした肌とは大違い。すまんが、あんたの顔には苦悩も絶望も見えんよ。頬をコケさせるぐらいはしなきゃ。
そもそも、太宰治の「人間失格」みたいな9割方内面を描いてる小説を映画化しようって企画からしてすべってる。ネタがなくて知名度だけで選ばれたのではなかろうか。
「人間失格」はちょっと思い入れが強いだけに予告編観るたびイラっとする。
「ヴィヨンの妻」とかは、ストーリーモノだから映画にしても面白いかもしれないけど。

話は戻って、「おとうと」が古臭いって話だ。
現代の娘は舌をペロッとだしたりしないし、
「あらやだ」なんて絶対に言わない。
「あらやだ推進委員会」の僕としては蒼井優の「あらやだ」が
聞けたのはめっけものだった。
「あらやだ」についての考察はまた後日書こう。

しかし、この古臭いながらも通行人一人をとってもしっかり
人が息づいている山田洋次ワールドが僕はとても好きだ。
80歳近いおじいちゃん名監督にリアルな現代に切り込んだ
作品を撮って欲しいとも思わないしね。
観客の年齢層も大分高かったし。

率直にいえば、途中まで、この映画は寅さんなんだよな。
姉弟の関係性も似通っているし。
もっとも、小百合ちゃんからは倍賞千恵子バリの生活感はにじみ出てはいないけど。
前半、中盤の笑いとシリアスさのバランスは絶妙で、
ベタながら、人情喜劇のお手本とも言えるべき、安心感がある。

それならそのまま喜劇として楽しくやってくれれば純粋に楽しめるのに
後半はどこにでもあるお涙頂戴な流れになっていったのが大変不満だ。

それにしても鶴瓶師匠はテレビで内容を語りすぎだよなー。

山田洋次監督のフーテン作品と言えば寅さんだが、
寅さんの前身ともなる「吹けば飛ぶよな男だが」は個人的にかなりオススメ。
なべおさみ扮する脳天気なチンピラヤクザの悲哀と滑稽さが描かれた名作だ。
今の洋次作品では見られない下品な言葉の応酬も楽しめる。
最高のクソババア女優、故ミヤコ蝶々の切れ味も抜群。




最後に結末について一言









何より、確執を病気で解決するなんてつまらない展開が残念で仕方ない。
サクラとケンカした寅さんが病気でが死ぬ映画なんてだれも見たくないでしょ。
あそこはさらっと死んだと思わせて姪の結婚式に登場して、
また一悶着で幕を引かないと、喜劇にならない。

せめて、フーテンが死ぬときは野垂れ死にじゃないと。
人を死なせて感動を誘うなんて監督もヤキがまわったな。
  • URL:http://yaplog.jp/futiguti/archive/106
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あらすじ姉・吟子の一人娘の小春の結婚式に、音信不通だった厄介者の弟・鉄郎が突然現れ・・・。感想山田洋次監督が『十五才学校IV』以来10年ぶりに現代劇を撮ったど〜弟はつらい...
 『おとうと』を渋谷シネパレスで見ました。

 このところDVDは別として、映画館では吉永小百合の映画を敬遠していたのですが、山田洋次監督久々の現代劇であり、そろそろ見頃ではないか、それに私が丁度弟のポジションにいることでもあるし、ということで見に行ったところです。

 実際のところ、この映画における吉永小百合は、控え目で堅実な演技を見せていてマズマズでした〔鳥肌が立つような良妻賢母型のセリフだけは言わないでくれと願っていたところ、そんなシーンはありませんでした〕。彼女は、おそらくは実年齢よりも10歳程度若い設定の役を演じているものと思われますが、何の違和感もないというのは凄いことです。

 また、吉永小百合の弟役の笑福亭鶴瓶は、主演男優賞を獲得した『ディア・ドクター』以上に迫真の演技を披露していて、なかなかやるなと唸らせます。
 その他、吉永小百合の娘役の蒼井優も大層魅力的でした。
 したがって、総じて出演者には問題ないと思われます。

 ただ、ストーリーとか映像の面ではいくつか問題があるのでは、と思いました。
 特に、このお話の設定は現時点と推測されるものの〔なにしろ、ホスピスが設けられてい...
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しょぼくれ管理人
>中村維男さん

 うーん、すいませんが自分は後半以外はおおむね好きですし、
寅さんも好きなのであまり同意できません。鶴瓶師匠も良かったと思いましたし。

 「学校」のイノさん(田中邦衛)は大好きです!
 でも、その頃から、山田監督は泣かせたがりになっていった
傾向があるかな、とも思います。
February 26 [Sat], 2011, 21:33
中村維男
姉(吉永)の姑のように裕福だけど邪魔者扱いされる晩年より、ホスピスでの弟の最期のほうが幸せだというのがテーマでしょうか。(?)
しかし、吉永小百合は感情過多でへた。鶴瓶も練習不足でへた。山田監督は大物俳優に対して甘かったのでしょうか。
セリフも意外性がないので、腹が立ちました。(寅さん映画も意外性がなかったので、渥美さんは気の毒でした)
山田監督の学校シリーズのほうがずっと輝いていました。
February 26 [Sat], 2011, 12:39
管理人(あるときはすべから)
青観さんはじめまして。コメント&お褒めの言葉ありがとうございます!
よくレビューを拝見しており、存じあげておりますよ。
僕はわれながら書き捨てのようなレビューも多いので、多くの映画に気持ちのこもったレビューを書かれている青観さんは凄いと思ってます。
レビュー消しちゃうなんて勿体無い。

寅さんとダブるこの映画「おとうと」で、あのラストはちょっと…ですよね。岡本喜八大好きってことまでよくご存知で。確かに全監督の中で一番好きで、一番観てる監督です。ちょっとひねくれた娯楽作っていうのが好きで、この監督のセンスはかなりツボなんです。

川島雄三作品は、「しとやかな獣」と「幕末太陽傳」だけ観たことアリます。まだど真ん中にヒットはしてないものの作風が好きなので、もっと観たいんですが、なかなかレンタル店に置いてなくて…。
February 13 [Sat], 2010, 18:33
青観
すべからさん、はじめまして!
すべからさんのお名前は前から随分とご存知でした。
私よりも一回りまではいかないまでもそれに近い若さでありながら岡本喜八監督の映画が好きなんて、本当に素晴らしいです。
そうそう、「おとうと」のコメントに共感致しましたので良表一票投じさせて頂きました。
私も見て最初は6点にしましたが、やっぱり5点かな?て思って消してしまいました。前は低い点数のものも書いてましたが、今は6点以上のものしか書こうて気にはなれず、そんな訳です。
寅さんファンとしてはすべからさんのコメントの最後の一言に尽きると思います。話はまた岡本喜八に戻るとして、岡本喜八監督が好きならきっと川島雄三監督も気に入ると思いますので、もし宜しければ幾つか見て欲しいと思います。それにしもてお若いのに、岡本喜八ファンというのは本当に素晴らしいです。
February 12 [Fri], 2010, 21:56
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プロフィール
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    ・バンド演る-ベース弾き。曲も作ります。
    ・本を読む-小説が好きです。
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好きな映画監督:
岡本喜八、ピーター・ジャクソン、深作欣二、山田洋次、ブライアン・デ・パルマ、ビリー・ワイルダー、ロバート・ロドリゲス、是枝裕和

好きな俳優:
ケヴィン・ベーコン、スティーブ・ブシェミ、ロバート・デ・ニーロ、ジョー・ペシ、加瀬亮、三船敏郎、田中邦衛

好きな女優:
黒川芽以、蒼井優、キルスティン・ダンスト、クリスティーナ・リッチ、エレン・ペイジ

好きな作家:
森見登美彦、伊坂幸太郎、綿矢りさ、戸梶圭太、姫野カオルコ、夏目漱石、星新一、太宰治

好きな邦楽:
ザ・ハイロウズ/ハンバートハンバート/スピッツ/The ピーズ/andymori/真心ブラザーズ/はっぴいえんど/サニーデイ・サービス/高田渡/吉田拓郎/HALCALI/Bonnie Pink/つじあやの/空気公団/大塚愛/広末涼子/松たか子/倉橋ヨエコ/LINDBERG

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