平成二十七年 

May 03 [Tue], 2016, 0:12
空襲に燃えさかる夜の防空壕にあれし吾が甥は古希迎へたり
            (講師選 入選)

平成二十五年 

October 22 [Tue], 2013, 16:40



冬ざれの庭すみに咲く紅椿華やぎ見せて大寒に咲く



初孫の誕生記念に娘等植ゑし紅白の梅に飛び交う目じろ



吾が愛しむ猫を捨つるか殺せといふ隣人の言に我はおののく



春雨にぬるる甘野老(アマドコロ)を見詰めつつこの花植ゑくれし亡き妹を恋ふ



ながらへて卒寿迎へし吾が月日か曾孫のデジタル写真見つつ楽しむ



戦死せし息子と知らず三年日参せし亡き舅姑の悲しみ思ふ



朝な夕な陰膳をして祈りじに義弟はビルマの土になりたり



わが窓辺にゴーヤを植ゑて垣を結ふ器用なる娘は亡き父に似る



われに似て花好きならむ娘の庭のつるばらアーチあかず見上ぐる



十三の先祖の墓を夫建てし黒田家の墓に納めて心安らぐ



丹精込めて吾か培ひしオンシジューム見事に咲きて心足らへり


平成二十四年 

October 08 [Mon], 2012, 11:37



青垣会を松前におこせし澤井さま子らに看取られ百寿にて逝く



とろ火にてひねもす炊きし黒豆をひとりの膳の皿に盛り上ぐ



徳寿先生の短歌を澤井さん書きくれし掛けて二十年君は亡きかも



膝つきて馬鈴薯の芽をまびきする衰ろへし身のややによき日を  (愛媛歌人クラブ入選)



長男にあやめられたる友の死は疎かにならず風呂に沈めし



長尾谷川の川面おほひて咲くあさざしみじみ眺む稀少植物 (第30回子規顕彰全国大会入選)



咲き満つるふじばかまの蜜を吸ふあさぎまだらをやうやく写す



百日紅散りかん草の花咲き盛るあきは来にけり米寿の我に



金粉を苔の上に播く如し祭り果てたる木犀の花



苔の上に金色の粉散り敷けり祭りの後を木犀の花



義理をたてて古き仕来たりに縛られし生みの母と会ひしは僅か九時間



平成二十三年 

June 10 [Fri], 2011, 21:30



カタログにかね火箸ほどのらふ梅を購(あが)なひしは遥か庭にはなつ香



味噌瓶が娘の裏口に傘立てとなりて仕込みし姑の思ほゆ       (子規顕彰全国大会入選)




二十五回忌修するさ庭のほたるぶくろ野草好みし姑の植ゑにし     (青垣暁風入選)

                                                     

花の彩あせるまの無く群らけしくれなゐ椿地(つち)に落ちて咲く



たちまちに街を呑み込む大津波人も住み家もすべてを失ふ



とことこ歩き初めしをさな子を託してして働く孫を気遣ふ



我が植ゑしもちの木にこまかく花咲きて吹き散る後も残る白花



臨月のわれは実家に着きし時玉音放送聞きてすくみぬ



夏草をひたすらに刈るひとときに娘の持ちくるる麦茶飲み干す



寂れたる庭を彩るつはぶきの形ととのふ松の樹下に




平成二十二年 

January 17 [Mon], 2011, 23:31



七草を姑と摘みしも遥かにてスーパーに求めかゆ炊き祝ふ



四川蘭賜びにし友なく夫も亡く老いしるき吾が手入れとどかず



乳足りてすくすく太る初曾孫老いを和ませ帰りゆきたり



癌病みし此の身永らへ初曾孫の命名祝ふ膳に向かふも  (青垣暁風集)



春寒き今日はこたつに足のべて曾孫の成長映像に追ふ



花咲きて我の好める黄のパフェオ友持ちくるる曾孫祝ひて



二十五年の日月咲きつぐほたるぶくろ好みし姑が植ゑし日のまま



蒙古斑うく曾孫の背を洗ふ我が手の老斑みにくかりけり



朝ちぎる隠元も固くなり果てて夏さ中なる暑さに喘ぐ



職終へて故郷に帰りし此の十年憂ひなき我が幸かみしめてをり



亡き父描きし産(うぶ)すなの宮の手引松松食ひ虫に枯れ果てにけり



老い母の手すさびに編みしひざ掛けをかくるに温もり甦へり来る

                                         

坪内氏とのえにし深かりし星野さん義農作兵衛の歌詞を作りし
          

平成二十一年 

January 17 [Mon], 2011, 23:22



半年を眠りつづけて逝きし姪古稀にも満たぬ面はうるはし



チチチッと古木の梅を飛び交ひて蜜吸ふめじろしばし目に追ふ



八十五歳の蝋燭灯して祝ひくるる娘等と住みて延ぶるかわれの命は



根の深き杉菜をひきて痛む手に草引きくれし亡き姑を恋ふ  (子規入選)



曾孫のエコー写真に目をみはる三ヶ月にて指五本見ゆ



ふじばかま咲き満ちたるにあさぎまだら遂に来たらず秋たけにけり   (青垣暁風)



夏の陽なか百日紅の花咲きさかり揚羽蝶ふたつ縺れつつとぶ



野良生えの高砂ゆりがをちこちに陽をはじきつつしらじらと咲く



慰霊祭に賜びし白菊ビルマに果てし義弟に手向く二十三才



三千巻の心経を納め得度せし義姉(あね)九十五才黄泉へ旅立つ


平成二十年 

January 17 [Mon], 2011, 23:02



術後九年を躓きつつも生き延びて子年七たびの屠蘇酌み交わす



山茶花の花芯啄む二羽のひよその背に光る寒の木洩れ日



シンピジウム仄かに花の咲き初めてもも色うすくふちを色どる



亡き夫が日毎聖書を繙きし回転椅子に眠る三毛猫



二十才にて嫁ぎし我は早苗饗(さなぶり)に柏餅作りぬぎこちなかりし 



亡き夫書きし桜井塗りの額皿に対へばおのづと鬱払はるる



いまやかの三つの塁は埋まりて阿部の打順に心ときめく



打ち上ぐる住吉まつりの遠花火夜空に爆ぜて花咲かせたり



土手の傾りに連なるいちし赤々と燃ゆるごとしも蕊を反して



土手の傾りに植ゑしいちしの赤あかと燃ゆるがごときその蕊かかぐ



咲き満つる隠居の庭のホトトギス手のしみ多き姑と植ゑにき  (伊予市文化祭入選)



刈り田道を媼(おうな)押し行く老人ぐるま夕つ茜を満たしてゐたり



親と相談で子をもろたとのメモ置きて風流のつもりか芋盗人は


平成十九年 

January 17 [Mon], 2011, 14:06



亡き姑が胸やけに効くと飲みてゐしアロエあかあかと塀抜きて咲く  (講師入選)



我がうまご尾張にて式を挙げにけり写し絵めくり幾度もみる



暖房のききたる風呂に背を流しくるる娘のゐて心足らふか



屋敷うちに繁る柏の葉を摘みて餅包みたる若き日のわれ



娘の焼きし小さき花瓶の都忘れ楚々と咲きたり濃きあはき色



よもすがら田に水引くと出る姑の後追ひし幾とせか今に夢みる   (県民総合文化祭講師入選)



検査するペットシーティの筒の中腫瘍あれば尊厳死を我は望まむ



挿し木して伸ぶる寒菊の柔葉食む詫びつつ小さきバッタ潰して



新しき玉垣に我が名刻まれし落慶法要に僧侶在さず



庭隅に父祖植ゑましし柏の木朽ち木となるを詫びつつぞ伐る   (高橋淑子 入選 子規大会)



剪定終え形整ひし老松に皓皓と十六夜の月輝りわたる


平成十八年 

January 17 [Mon], 2011, 13:59



半世紀を水墨画と俳句を教えてくれし翁みまかる雪しまく日に



術後九年を生きて部厚き我がカルテ癌センターと共に移さる  (県民総合文化祭 高野公彦講師入選)



逝きし師の空家の庭に咲く桜この花描きて我に賜ひき



産卵の季か群がる黒き鯉乏しき流れを揉みにもみあふ



培ひし観音竹に咲く花は淡きくれなゐほつほつ綴る



野路菊のなかに混じれる水引き草楚楚と咲くかな夫の忌日に



夜香木の香り茶の間に満ちみちて亡き夫顕つか此の花植ゑし



種子零れ生ひたるトマト雑草(あらくさ)に混りて結ぶ赤きつぶら実



中国に裁かれ処刑されし大佐の児らの編みし遺歌集心して読む


平成十七年 

January 17 [Mon], 2011, 13:51
病癒えし吾が挿し木して培ひし小菊咲き満ちて恙なき秋





白妙の山茶花咲きておのづから深まる秋か巡る夫の忌



退院する吾が部屋に娘の活けくれし白ふくりんの藪椿待つ



繰り返す入退院に命延ぶる吾看取る娘か涙ぬぐひて



すかし百合の土盛り上げて出でし芽のみづみづしかり弥生の尽に



さくら見て「ああきれかった」を一期に忽然と従姉妹逝きたり米寿迎へて



亡き夫の手塩に掛けし五葉の松娘の庭にひき立つ芽立ち豊かに



殻脱ぎしくま蝉の翅ゆっくり伸び始めうすみどりに透きて飛びたたんとす



手術して腹帯巻きし三毛の猫「黒田ミー殿」の抗生剤出る



八木先生に賜びたる白のいちし花今日は夫の忌仏前に切る



ほととぎす木の下陰に群れ咲くをメールに送る都の孫に



庭隅に父祖植ゑましし柏の木朽ち木となるを詫びつつぞ伐る   (入選  子規大会)




P R
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ふみお祖母ちゃんの短歌をまとめたブログです。
米寿のお祝いに製本してプレゼントする予定です。