4 

2007年06月06日(水) 0時52分
 これだ。これさえ投げられるようになったら…。
クリスマスイブの夜のようなわくわくした気持ちに似た感情が沸き上がった。

いてもたってもいられなくなり、かばんから軟式のボールを取り出して雑誌を握り締めると、一目散に近所の高速道路の橋桁の下にある公園へと走った。
風をきって、ただ行く先をじっと見つめて走った。

あの瞬間は今考えると、とても輝いていたように思う。今でも鮮明に覚えている。生まれて初めて何かに希望をもつことができた、そんな瞬間だった。

小さい頃から、体が小さくてなにをやってもうまくいかなかった。運動も勉強も。好きな女の子には話し掛けることもできなかったし、人前にでることがとにかく苦手だった。

けど、いつも身にまとってるいいわけのための弱い自分を忘れてこのときは明るい未来だけをのぞんでいた。

公園についた。
ボールを左手に雑誌をぱらぱらとめくる。

『スローカーブ。人差し指と中指をかさねて、中指が縫い目にそうように重ねて握る。』

図のとおりに握ってみる。
『リリース時に抜くようにして投げる』

とにかくよくわからなかったが、とりあえず…
握って、抜くようにして投げる、か。

立ち上がって、ボールを握り、胸のところに両手をおいたあと、振りかぶって左腕をふりきった。

「あっ、ちょっと曲がった?」

おそらくあれは気のせいだった。けどその勘違いがいい方向に向かった。

うれしくなった僕はくる日もくる日も雑誌のカーブを投げられるように練習にあけくれた。


ある日―
「あれ北野じゃねぇ?なにやってんだ?」
 湯原だ。今日は一人だ。

 練習に没頭していた僕は気付いたが、怖くて気付かないフリをしていた。しだいに近づいてくる。
「おい、北野。なにしてんだ?」
一瞬、心臓が止まった。かもしれない。呼吸が荒くなっているのを感じた。

「れ、れ、練習。」口が震えてた。

「ほんまか!ほんなら俺が相手になったるわ。おまえさっき投球練習みたいなんしとったやんけ。投げてみぃや。」

待ってもない機会だったが、冷静に考えたらこないほうがうれすかた

3 

2007年06月05日(火) 1時19分
 家に帰るなり洗面所に駆け込み、涙目になってないか鏡を覗き込んだ。
 「あー、赤い。これじゃ泣いてたってわかるな。」
 子供が親に心配かけまいとする気持ちは、大人が思っているより強い。
 どうしようか考えた末、トイレで時間を潰して誤魔化すことにした。
 洗面所から、誰にもこんな顔をみられることの無いように周りをゆーっくり見回した。そして、
全員テレビに釘付けになっていることを確認すると、一目散にトイレにかけこんだ。
 便器にズボンをはいたまま座り込み、じっとしていた。
 
 なにかであいつらを見返したい。絶対に馬鹿に出来ないように見返したい。
 そんなことをずっと考えていた。 
 どの分野で見返すか、なにをすれば度肝をぬけるか。ひたすら考えた。
でも、なにも勝てる気がしなかった。
 天井を仰いで、電球を見つめた。眩しくて目がくらんだ。
 目をそむけて窓の方をみた。まだ外は明るい。
そしてなにげなく窓の桟に立てかけてかった雑誌を手にした。
 なんだこの本。ああ、お父さんが買ってきたのか。

題名は、と。

 『週間ベースボール』
表紙は、少し昔な感じで左投げの青いユニフォームの人だった。

 気がついた。 
 「そうか!ピッチャーになって湯原を三振させる事ができたら、あいつらを
見返せる。」もっともな事を思いついた。
 そう思い立つと中身をパラパラと読んでみた。バッターのタイミングをはずすための
いろんな方法や、いろんな変化球の投げ方が載っていた。
 スライダー、フォーク、シュート、チェンジアップ。名前は知っていたが、どんな曲がり方を
するのかなど細かい事は全く知らなかったから、すごく惹かれ食い入るように本をよんでいた。

 その中でも一際、目を引いた球種の説明の画像があった。写真にのってたのは表紙の人だった。
弓のようにしなるような軌道を描き、バッターの肩あたりから入ってキャッチャーの
ミットに入るときは外角低めに収まる。
 子供ながらなにか魔術をみせられたかのような電流が走った。
 「これどうなってんの?---------でもこの球を自分がマスターできたら湯原を
三振させる事ができるんじゃないか?」 
 なんの根拠もないがそのときはそう思った。
 雑誌の見出しで「どんなバッターも三振させることができる。」
なんて大口たたいたものがあったから、この本に書いてあるならできるんだと思った。
 
 この変化球はなんていう名前なんだろう。と思いそのページの見出しをみると、
こう書いてあった。





 スローカーブ。 

2 

2007年06月04日(月) 22時19分
 10年前の夏--------
 
------代打、北野くん。
焼けるような炎天下の元。小柄で体の線の細い少年が
左バッターボックスの極端に外側にたって構えていた。
 


 スカッ。
  
 「ストライク!バッターアウト。」
 ボールの30cm上を思い切ったスイングで三振した少年は、
またいつものように頭を垂れてベンチへと戻ってきた。
 「どうしてバットに当たらないんだよ、北野。ボールちゃんとみえてんのか?
もういい、交代だ。」
 「・・・はい。」

 いつものことといえばいつものこと。
 毎回、もう出番はないんじゃないか、とか
どうせ期待してないくせに、とか消極的なことばかり考えてしまう。

 なんで少年野球なんかやろうと思ってしまったんだろう。
 
 きっかけは、あのイチロー選手をブラウン管でみて、衝動で
野球をやってみようとおもっただけ。
 
-----バッター4番湯原くん。
 



 カキーン。
 その白い球ははるか球場のフェンスを越えて消えていった。
 「すげぇ!湯原先輩またホームランだよ!!」
 後輩の一人が叫んだ。

 試合は湯原の3安打5打点の大活躍で大勝だった。
 圧巻だった。
 すべてホームランだったからだ。
 湯原は小学4年生ながら、高校生に間違えられても可笑しくないほど
がっちりして身長も高かった。隆々とした肉体の轟かすスイング音は、
相手のピッチャーを震え上がらせた。ポジションはキャッチャーで
その強肩の前に盗塁を成功できるものはいなかった。
 超小学生級スラッガー。違和感はあるがそう自然とよびたくなるような小学生だった。

 「それなのに、ぼくなんか・・・・。」

 荷物を右肩に担いで、帰ろうとしたその時、誰かが担いでいたかばんをひっぱった。
 「おい、北野。おまえただでさえ役にたたねぇんだから、俺のかばん持つくらいしてくれよ。ハハ。」
 湯原達だった。これもいつものことだった。
 無理やりスパイクやユニフォームの入った4、5人分の重い荷物を持たされる。
 「俺たちのかばんももってくれるよな?お荷物君。」
 「お荷物って名前じゃない!!!!!」
 名前を侮辱され反射的に反抗した。
 なんでいつも僕が標的にされるんだ。どうして僕なんだ。それは高校生の時、なんとなく
わかるようになった。この頃はダメで気が弱かったからだ。


 今日こそはいつも通りにさせるわけにはいかない。
 「・・・・・ゆ、湯原君、いやだよ。・・・・持ちたくない。」
 かすかな勇気を必死にしぼりだした。

 湯原の表情が少し変わった。
-------やった。しっかりといいたい事を言えば、わからせることができるんだ!
 そう、思った。が、
 「北野、今日はえらいえらそうな態度やのォ。調子のんな!はよ持てや。」

 結局、いつもと変わらなかった。また4、5人分の荷物を持たされている。

 悔しくて目頭が熱くなった。理不尽なあいつらに。無力な自分に。
 ある程度のところまで運ぶと、荷物をもって奴らは帰っていった。
 一人になったところで、僕は帰り道で一人泣いた。


ウィニングショット 

2007年06月04日(月) 13時49分
初夏のほんの少し湿気を帯びた雑草の生いしげる河原の土手で、おもいっきり体をのばして澄んだ青空を眺めていた。今日はいろいろありすぎた…。



―そっちが好き勝手にしなさるんなら、こっちも好き勝手にさしてもらいますわ。



「ここでやめてもおまえ絶対後悔するぞ。ほんとやめんなよ。おまえ以外のキャッチャーなんか代わりきかないんだよ。」

ありがとう――――
けど後悔はしねぇよ。自分で選んだ道だから。

ただおまえには迷惑かけるなぁ…すまねぇ――――

青空が少しやわらかい茜色に変わりはじめた。



RED-ROSES 2#
湯原 啓介
と刺繍の入ったカバンから牛革が時間の流れにもまれてしんなりしたキャッチャーミットを取り出して、ごつごつした左手にはめてみた。

「これからどうしよか。」

部活をやめてみたものの、なんか目標を失ってしまって少し不安だった。
しばらくなにも考えず、川の流れる音とか鳥の声とかが無意識に耳に入ってくる静かな雰囲気の中、ぼーっとしていた。

10分くらい横たわって、結局やっぱり自分には野球しかないなと思うに至った。

あとさき考えても、自分にはなにもやりたいことがみつからないし今まであけてもくれても野球のことしか考えなかったからやりたいことが野球しか思いつかなかった。

「やってみるか…」


そうつぶやくと俺は急いで駆け出し、コンビニに寄ってバイト求人誌を手にして家路についた。

一新。 

2007年06月04日(月) 11時11分
空白要因。ここを境とする。

あたらしい領域 

2007年05月19日(土) 2時52分
ピロウズとか、ナンバーガールとかもっと勉強しよう。

表現力を失ってはいけない
表現をやめてはいけない

もっとそういう彼らの歌詞を参考にして表現の方法を模索していけば


本当の自分がみつかるんじゃないか。

と、信じてギターを再び握ろうかと
思う今日この頃。

ありきたりな言葉じゃ、うそ臭い。

自分の言葉に換えて

なにか伝えれるようなパワーを

相手に放つ

そうして本当の人間としてのつながりが始まる

んじゃないかな。

妥協とか愛想笑いとかで手ぇつないで歩いてるカップル

それは違うだろう

そんな薄いつながりだけで終わるのか

薄く広くで

体だけじゃなくて心も

ずっとつながっていける

そんな相手とボクはとなりにいたい



だから自分という実の部分を出す為に
一枚一枚自分の皮をむいていく

いつか本当の自分をみるために


踏み入る、あたらしい領域へ

ネガイ 

2007年05月19日(土) 2時23分
はやくおわらせよう。

楽になろう。

決断の時 

2007年05月13日(日) 14時45分
考えた。

けど

そんときの感情次第でかわるから

いまに流されるのもどうかと思うから

結果はわかってる

というかそんなに変わらない

今を逃げるか

逃げるとはいいたくない

自分の為

身をまもる為

それはもっと前からしようて思ってた

失うものも多いけど

得るものも多いはず。

時間が24時間っていう縛りな限り両方は無理。




まぁ続きはまたあとで。

自分は 

2007年04月19日(木) 23時31分
無力だ。
なんにもできない、誰一人救えない。自分が生きている価値がわからない。

自分があたまをかかえてる間も救うべき相手は苦しんでいる。

どうにかしてあげたい。



しかし救う手段を知らない。なにをしてあげれば救われるのか、そばにいてあげるだけではチープすぎる。

自分は無力だ。

狂い始めた歯車はもうもとには戻らない 

2007年04月13日(金) 23時23分
人に裏切られたと感じたとき。

自分が折れて、相手の下手にでれば済む話だが。
結局それはじぶんを否定するからできない。
距離は開くばかり。





もう少しうまく生きれたら……

ちょっと背伸びしすぎたかな。
実際そんなちからもないのに。

結局いつかそのうちポロポロ崩れ始めると思ってた。

今なのかもしれないな。

なんでこんな器がえらそうにしてるんだとか思ってるやつもいるだろう。

見えてる人間には見えてるからそれはいつか己の器の小ささを見透かされるのはわかってた。

本当はただのしょーもない人間やから。

ある意味周りが勝手につくった虚像を演じているにすぎなかったのかもしれん。


そろそろ身じたくするか。
プロフィール
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  • アイコン画像 ニックネーム:けん
  • アイコン画像 性別:男性
  • アイコン画像 誕生日:1987年10月27日
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