激動2013 政界回顧録 解かれた「ねじれ」 「戦後」脱却の序章

December 31 [Tue], 2013, 10:45
 「(前回政権時の)6年前に参院選で惨敗した。親の敵のようなものだ。取り戻さなければ、私は死んでも死にきれない」

 昨年12月の衆院選で政権を取り戻した安倍晋三首相がここまで勝利への執念を燃やしていたのが、7月21日投開票の参院選だった。ネット選挙が解禁される中、安倍首相の経済政策「アベノミクス」や憲法改正などが争点となったが、追い風に乗る与党に対して野党側は有効な対案を示せず、選挙協力も失敗。

 「自民党の暴走に歯止めをかけるため、『落選運動』を繰り広げましょう」

 民主党の菅直人元首相にいたっては自らのブログでこう呼びかけたが、不発に終わった。

 その結果、改選121議席のうち自民、公明両党が計76議席を獲得し、非改選59議席と合わせて参院の過半数(122議席)を確保、衆参両院で多数派が異なる「ねじれ」を解消させた。一方、民主党は改選44議席を17議席まで落とし、みんなの党と日本維新の会も8議席ずつにとどまった。民主党の細野豪志幹事長が辞任、維新は橋下徹共同代表が辞意を漏らすも慰留され撤回した。

 こうした中、野党再編をめぐる党内対立が激化し、分裂騒動にまで発展したのがみんなの党だ。

 党の存続にこだわる渡辺喜美代表は8月7日の両院議員総会で、野党再編を志向する江田憲司幹事長を更迭する人事案を提示、了承をとりつけた。

 「党の方針、私の方針と反する言動があった」

 同月23日には新党結成を目指していた柿沢未途前政調会長代理を党から“追放”するという荒業に出た。

 渡辺氏と対立する江田氏ら14人は12月9日に離党、柿沢氏とともに18日に「結(ゆ)いの党」を立ち上げた。

                   ◇

 「デフレ脱却が第一の使命だ。同時に、教育の再生、さらには将来に向かって憲法改正に向けてかかわっていくのが私の歴史的使命だ」

 安倍首相は8月12日、首相就任後2度目のお国入りで、こう決意を語った。夏の参院選で大勝し、首相の政権運営は経済再生だけではなく、憲法改正をにらんだ「戦後レジーム(体制)からの脱却」へのアクセルを踏み込み始めた。

 同月8日、集団的自衛権の行使容認に前向きな小松一郎駐仏大使(当時)を内閣法制局長官に任命。11月27日に外交・安全保障政策の司令塔となる「国家安全保障会議」(NSC)創設関連法を臨時国会で成立させ、NSCを12月4日に発足させた。機密漏洩(ろうえい)に最高で懲役10年を科す特定秘密保護法も、修正を繰り返しながらも6日深夜、自民、公明両党の賛成多数で成立させた。

 だが、強引な国会運営との批判を浴び、産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が臨時国会閉会後に実施した合同世論調査で、内閣支持率は前回比9・3ポイント減の47・4%と、第2次安倍政権が発足して初めて5割を下回った。

 「残念ながら参拝自体が政治問題、外交問題化している。その中で1年の安倍政権の歩みを報告し、二度と戦争の惨禍によって人々が苦しむことのないようにするとの誓い、決意を伝えるため、この日を選んだ」

 首相は政権発足から1年となる26日、東京・九段北の靖国神社に参拝した。首相は第1次政権では参拝せず、かねて「痛恨の極み」と表明しており、再登板後は国際情勢などを慎重に見極めながら参拝のタイミングを探っていた。27日には沖縄県の仲井真弘多(なかいま・ひろかず)知事が、米軍普天間飛行場(宜野湾(ぎのわん)市)の名護市辺野古への移設に向けた政府の埋め立て申請を承認したと正式に発表。平成8年の普天間返還合意から17年で辺野古移設は進展することになったが、これが首相の靖国参拝決断を後押ししたとの指摘もある。

 安倍首相は、昨年12月の首相就任から約1年間で13回の外遊を実施、訪問した国は25カ国(重複を除く)にのぼった。アベノミクスや積極的平和主義を諸外国に理解してもらうよう積極的に外遊した。

 9月7日、首相はブエノスアイレスで開催された2020年夏季五輪の開催都市を決める国際オリンピック委員会(IOC)総会に乗り込んだ。

 「状況はコントロールされている。健康問題には今までも現在も、そして将来も全く問題ない」

 東京招致への最大の懸案とされていた東京電力福島第1原発の汚染水漏れ問題について“安全”を宣言。東京がイスタンブール、マドリードを破り、56年ぶり2度目の開催を勝ち取った。

 五輪決定の興奮がまだ冷めやらぬ同月下旬には、カナダと、国連総会が開かれる米ニューヨークを訪問。国連総会演説では安倍政権として女性を重視する姿勢をアピール、証券取引所での演説では自信に満ちた様子でこう力説した。

 「世界経済回復のためには3語で十分。『Buy my Abenomics!(どうぞアベノミクスにあなたのお金を)』」

                   ◇

 株価やさまざまな経済指標が好転していることから、アベノミクスに対する世界の注目が高まる中、安倍首相が最後まで頭を悩ませたのが、平成26年4月から消費税を8%に引き上げる問題だった。10月1日、首相は予定通りの引き上げを表明した。

 「経済再生と財政健全化は両立し得る。これが熟慮した上での私の結論だ。同時に達成するほかに道はない」

 増税による景気の腰折れを防ぐため、5兆円規模の新たな経済対策実施も決定。消費税増税法に定められている平成27年10月からの10%への引き上げに関しては「改めて経済状況などを総合的に勘案し、判断時期も含めて適切に判断したい」と述べるにとどめた。

                   ◇ 

 尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺海域では依然、中国公船による領海侵入など中国による挑発行為が続く。11月23日には、中国がまたもや国際的批判を浴びる行為を行った。尖閣諸島を含む東シナ海上空に一方的に防空識別圏を設定したと宣言したのだ。

 「中国による力を背景とした現状変更の試みには、わが国の領海領空を断固として守り抜く決意で対応する」

 安倍首相は強い懸念を表明するとともに撤回を要求。中国の防空圏は認めないとした米国は26日、B52爆撃機2機を事前通告なしに防空圏内を飛行させ、中国を強く牽制(けんせい)した。

 中国と歩調を合わせるかのように、韓国も日本批判を強めている。各国の首脳やメディアに日本批判を繰り返す朴槿恵(パク・クネ)大統領の“告げ口外交”が続く中、なんとも後味の悪い出来事が起きた。

 南スーダンで国連平和維持活動(PKO)に参加する陸上自衛隊部隊は12月23日、韓国および国連からの要請で韓国軍に銃弾1万発を無償提供した。日本政府は緊急事態と判断、武器輸出三原則の例外として実施した。韓国政府から聞こえてくるのは事実関係を隠蔽(いんぺい)するかのような発言だけで、謝意はいまだに届いていない。
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