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【NGDC 2010】“ガラパゴス化を逆利用する”クラウド時代のデータセンター戦略とは?――東大・江崎教授が語る / 2010年07月27日(火)
  IDGインタラクティブ主催のカンファレンス「Next Generation Data Center 2010」が7月22日と23日、東京ミッドタウン・ホールで開催された。22日午前の開幕記念講演では、日本データセンター協会理事で東京大学大学院 情報理工学系研究科 教授の江崎浩氏が登壇し、「クラウド時代のデータセンター戦略 〜日本をアジアの情報拠点に〜」と題した講演を行った。以下では同講演の概要をお伝えする。

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▽“社会の脳”データセンターを都市計画の中に正しく位置づける

 クラウド・コンピューティングの普及に伴って、これからのデータセンターは徐々に「クラウド・コンピューティングの提供基盤」としての色合いを強めていくことになる。

 江崎氏は、データセンターを「社会の“脳”」に当たる重要なコンポーネントだと位置づける。そのうえで、社会生活や事業活動に欠かせないキー・コンポーネントとしてのデータセンターを、正しいかたちで都市計画の中に組み込み、都市を構築していくという視点が非常に重要になっていると指摘する。

 「例えば、ここ東京ミッドタウンのようなコンプレックス(複合商業施設)であれば、入居する企業や店舗が利用するサーバすべてを集約し、仮想化してホスティングするデータセンターを用意することができるはずだ。まだ『正解』が見えているわけではないが、これからの都市計画、ビル建築においては、きちんとデータセンターを取り込んだかたちで設計していく必要がある」

 こうした視点は、国家的要請である低炭素社会の実現を目指すうえでも重要だと江崎氏は述べる。

 「低炭素社会の実現を目指すうえで、データセンターが“悪者”のように語られる風潮もあるが、決してそうではない。現在、東京都内にあるサーバ136万台のうち、4分の3に当たる102万台はオフィスに設置されているが、試算ではオフィスのサーバをデータセンターでホスティングすれば、それだけでCO2排出量を15%程度減らすことができる。加えて、そこにサーバ仮想化技術も適用すれば削減量は40%にも及ぶ。したがって、『データセンターを効率よく利用することは社会への貢献なのだ』というアピールが必要だ」

▽国際競争力強化のためにレギュレーションの是正を

 続いて江崎氏は、厳しい国際競争の中で日本のデータセンターが勝ち残っていくための戦略に話を進めた。

 現在のデータセンターで消費されるエネルギーの半分近くは、空調(冷却)目的で消費されるものが占めている。この部分のエネルギー消費をドラスティックに削減することで、コスト面で大きな競争優位性が得られることになる。

 海外では、すでにそうした取り組みが盛んになっている。江崎氏は、データセンターに冷却機を設けず、気温の高い日にはデータセンターそのものを停止させて他地域のデータセンターで処理を継続するGoogleの事例や、排熱を地域供給するヘルシンキの教会地下データセンター、山中や地下に空間を作り岩盤を “ヒートシンク”にするデータセンター、海水を利用した水冷データセンターなどの取り組みを紹介した。

 ただし、こうした新しいアイデアや取り組みの実行においては、常に規制や制約とのせめぎ合いが生じる。

 「例えば、日本でコンテナ型データセンターを構築しようとすると、建築基準法や消防法などのさまざまな規制が邪魔をする。別の例を挙げると、冷気を通すデータセンターの床下スペースは空間が広ければ広いほどエネルギー効率を高めることができるが、人間の身長ほどの高さになると『別のフロア』として扱われてしまうため、税金などの面で不利になる」

 規制当局と掛け合い、新しい取り組みを阻害するこうしたレギュレーションを1つずつ是正していくというチャレンジが大切だと江崎氏は述べた。

▽勝ち残るためには「ルールの変更」も必要

 国際競争に勝ち残るためのポイントとして、江崎氏はもう一つ、競争のルールを変えることも大切であると語った。

 よく知られるとおり、日本の電源環境やブロードバンド環境は国際的に見て非常に品質が高い。さらに政情や治安、経済状況が比較的安定しており、「カントリー・リスク」が低いことも、データセンターを利用するユーザーに対して大きな価値となる。

 しかしながら、現状の国際的なルールのもとでは、こうした日本のデータセンターの持つ“強み”がアピールしづらいと江崎氏は指摘する。

 「データセンターの品質を示す基準として、現在は米国のデータセンター団体が定めた『Tier』が国際的なスタンダードとなっている。だが、Tierは米国のインフラ品質を前提として策定されているため、高いTier基準を満たすためには、例えば自家発電装置、UPS(無停電電源装置)、空調をすべて多重化することが求められる」

 例えば、日本の商用電源は、Tierで定められた最高レベルの基準値よりも高い可用性(稼働信頼性)をすでに実現しているため、自家発電装置やUPSを多重化する必要性は薄い。このように、日本の実情にそぐわない基準を満たすために無駄なコストを費やすことで、国際的には「高いだけで価値がない」ものと見なされてしまう。

 江崎氏は「“ジャパン・パッシング”を防ぐためにもこういう定義やルールを見直していかなければならない」と強調し、JDCCが策定を進める日本版のデータセンター品質基準「JDCC-FS(Facility Standard)」を紹介した。JDCC-FSでは、Tierやその他のファシリティ基準をベースとして、新たに地震リスクや運用管理リスクなどを加味した評価を行うことができるという。

▽「ガラパゴス化」を生かす逆転戦略

 「これから大きな発展が期待できる中国やインド、アジア市場への進出を見据えたデータセンター戦略が必要だ」と強調する江崎氏は、北米や欧米だけを絶対的な基準とせず、日本のデータセンターの特異性、いわゆる“ガラパゴス化”した部分を強みとして戦うべきだという。

 江崎氏は、陸上短距離選手のウサイン・ボルト氏と自身を比較するスライドを見せながら、聴講者に「先入観を持ってしまい、思考停止をしていないか」と問いかけた。現在のルールで100メートル走を競えばボルト氏に負けてしまうが、ルールを変えたり、革新的な技術(足をロボットにするなど)を導入したりすることで、ボルト氏に勝利できる可能性は十分にあるというのがその真意だ。

 こうしたデータセンター戦略のもと、日本のデータセンターを海外に売り出すことで「日本をアジアの情報拠点にしていく」ことを聴講者に訴えかけ、江崎氏は講演を締めくくった。

(Computerworld.jp)

【7月26日16時53分配信 COMPUTERWORLD.jp
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100726-00000004-cwj-sci
 
   
Posted at 11:41/ この記事のURL
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