「最近観た・・」 

July 24 [Sun], 2016, 22:16
映画を昨日に引き続きショートコメントで。
「モンスターズ/新種襲来」:うーん・・前作ギャレス・エドワーズ版を踏襲するならモンスターズVSアーミーという単純なバトルアクション映画にならない事は予想ついたし、実際踏襲されていたワケだが、正直微妙でどっちつかず。 問題は視野の狭さで、前作がモンスターによって変わり果てた日常を主人公達の目を通してしっかり描いていたのに対し、続編の今作では既視感のある戦場以上のイメージがなく、モンスターが無くてもいいくらい存在感が希薄。 モンスターを「戦争」の暗喩とするならば、なおさらその世界における実在感が必要だったのでは? 絵はカッコ良かっただけに惜しいなあ・・
「神々のたそがれ」:いやー、すげえ映画だった・・ タルコフスキーもそうだけどロシアや東欧圏のSF映画はその社会構造への暗喩が多い事を考慮して観ないと難しい事が多いが、この映画はそこに対するルサンチマンが強烈な映像として迫って来る。 全編モノクロで助かったと思うほどの汚物まみれの惑星世界で、なにがなにやらよくわからない権力闘争と神の如きカリスマを持つ地球からの調査員の堕落ぶり。 カメラが接写でめまぐるしく、詩のようなセリフ回しでストーリーを掴むのも一苦労だが、それでもそのルサンチマンに満ちた画像の迫力で、ひたすら最後まで見入ってしまった。 監督はアレクセイ・ゲルマン。 原作はタルコフスキーの「ストーカー」と同じストルガツキー兄弟。 とにかく2013年の映画とは思えない文芸ルサンチマンSF映画。 忘れられません・・
「ストレイト・アウタ・コンプトン」:伝説のギャングスタHIPHOPグループ「N.W.A.」の盛衰を描いた映画。 過激なライムや契約をめぐったビーフ等、伝記とはいえスリリングなシーンの連続。 だがドラマの本質は成り上がりの青春と友情の光と影を描いた感動的な人間ドラマ。 イージーEが最後にドレと和解するくだりは涙なくして観れなかったYO! ・・それにしても役者が皆本人とそっくりで凄い!
「オデッセイ」:またしても宇宙に取り残されるマット・デイモン(笑) 火星でただ1人サバイヴする男というヒューマンSFドラマも職人監督リドリー・スコットにかかると、息付く間もないピンチと難題の連続でまったく退屈する事なく楽しめる。 地球側(NASA)も一枚岩ではなく、この手のSFにありがちなベタな応援譚になっていないところがニクいね。 同様のテーマの「ゼロ・グラヴィティ」に較べると重厚感に欠けるところがいかにもリドリー作品だが、鳴りもの入りだった「プロメテウス」のグダグダよりはよっぽどリラックスして楽しんで作ったかのような快作。
 

「最近観た・・」 

July 23 [Sat], 2016, 21:28
映画をショートコメントで。
「スターウォーズ/フォースの覚醒」:初作が1977年、以降エピソードを遡りながら綴られてきたもはや知らない人のいない壮大なサーガの、ついに時系列的新作とあって、そこまで熱心なファンじゃない俺でも期待せずにはいられませんでした。 んで、結果はおもしろかったけど、割りと普通でした(笑) 確かにエピソード1,2,3に較べて初期シリーズの雰囲気濃厚な今作は親しみやすかったけど、ただファンサービスだけでなく、もうちょっと新しい何かを観たかったかも。 J・J・エイブラムスのあまりにエンタメサービス過剰な今作に対し創始者であるルーカスは不満だったようだが、そういう意味では当初のルーカスのイメージを更新するような作品ではなかったんだろうな。 娯楽作として十分すぎる出来だが、なにしろ背負ってる看板が重すぎて中庸を取らざる得ない事情もなんとなく透けて見える。
「007/スペクター」:これまた歴史あるシリーズの最新作だが、「SW」に較べると007シリーズの方がダニエル・クレイグ以降うまい事リアリティとキャラクターを再構築出来ているような気がする。今作も複雑なプロットをスピーディな展開で手際良くさばき、エンターテインメント作品として十分楽しめる。 ただ「スペクター」という存在自体が妙にノスタルジックでリアリティに欠けており、結局何がやりたいどーいう組織なのかよくわからんかったよ(笑) ヒロインの女優さん、素敵!
「ズートピア」:ディズニーのアニメーション映画は基本的には子供向けである事は間違いないのだが、ピクサー以降の作品は大人も楽しめる要素を上手く絡ませて、全世代向けのエンターテインメントを目指していたように思う。 この「ズートピア」ではついに大人/子供の比率が50:50までキタ! ウサギのジュディやキツネのニックがジャパニメーションのお家芸であるキャラ萌えを獲得し、ストーリーも「アニメだから」という免罪符を軽く凌駕する堂々たるポリスアクション、それでいて全編子供を置いてきぼりにしないわかりやすさと飽きさせない演出を貫いており、もう見事としか言いようが無い。 マイナリティ差別というテーマを寓話レベルでなく社会的スケールでドラマ化し、なおかつアニメーションの動きや楽しさはキッチリ味わせるクオリティは圧倒的。 グーの音も出ない傑作「映画」!
「エージェント・ウルトラ」:トレイラーから期待するようなおバカなギャグはほとんど無く、かといってアクションも中途半端な煮え切らなさ。 なんだかウジウジした主人公が右往左往するだけのダメ映画でした。 そもそもプロットに新しさなんか無いんだからパロディでもギャグでももっと突き抜けて欲しかった。 主演は「ゾンビランド」で好演したいい役者なのに、まったくそのポテンシャルを活かせてない演出の連続。 これならいっそドルフ・ラングレン的なキャスティングでアクション押しの映画の方が良かったかも・・・

「最近観た・・」 

May 29 [Sun], 2016, 18:15
すっかり映画ブログみたいになってますが、最近観た映画をショートコメントで。
「ジョン・ウィック」:ささいなところから(本人的には超重要)雪崩式に悪の親玉まで追い詰めるプロットは「イコライザー」と同様だが、説得力ではあちらの方があるかな? しかし線の細いキアヌが猪突猛進で敵をバタバタ倒していく展開は、そのミスマッチ感がかえってコミック的であり、「殺し屋ホテル」みたいな設定もマンガみたいで楽しい。 アクションシーンでは何となく「オールドボーイ」や「リベリオン」を思いだしたり・・まったくもって単純明快なストーリーだが、そのマンガ的タメのなさとスピード感だけで最後まで飽きずに楽しめる映画。
「ピクセル」:安定のコメディ俳優アダム・サンドラーと大ベテラン監督クリス・コロンバスの映画とくりゃ安心して楽しめるクオリティは約束されたようなもんだが、堅調な出来。 80年代アーケードゲームがテーマで日本人にも馴染みのある設定だが、ギャラガやパックマンが地球侵略に来るというアイデアのバカバカしさに見合った(「宇宙人ポール」みたいな)さらなるブッ飛び具合と(俺達が泣けるくらいの)オタク愛をもっと感じたかったデス。
「カポーティ」:「ティファニーで朝食を」等で有名な作家トルーマン・カポーティが傑作「冷血」を描き上げるまでのエピソードを故フィリップ・シーモア・ホフマンが熱演。 俺的注目監督ベネット・ミラー初監督作品でもある。 すでに不穏な空気感や冷徹なドキュメンタリータッチは健在だが、「マネーボール」や「フォックスキャッチャー」のようなキレと凄みはまだ無く、少々冗漫な部分もある。 だが題材のチョイスがいかにもベネット・ミラー作品であり、この映画で注目されていったのは十分理解できる。
「コングレス未来学会議」:最初ブッ飛んだロバート・アルトマン的SF映画を期待して観ていたのだが、後半はアート方面でお決まりの概念的シーンに収まったのは残念。 原作が1971年のスタニスワフ・レム作品だけに「マトリックス」以降では新鮮味のないプロットなのはいたしかたないが、現実と幻覚を実写とアニメパートに分ける以上に何かアイデア欲しかったなあ。 全体的に抽象的で難解であり、終盤も煙に巻かれたようでピリッとしないが、前半実写部分のハーヴェイ・カイテルは素晴らしく、長い独白シーンが一番泣けました。 変な映画です。

「最近観た・・」 

May 07 [Sat], 2016, 20:01
たまってた映画をショートコメントで。
「マネー・ボール」:実在の球団ゼネラルマネージャーをモデルとしたベネット・ミラー監督作。 野球を題材としたドラマは秀作が多いが、そこはこの監督の持ち味で緊張感溢れる人間ドラマに仕上がっていて大変見応えある。 表舞台には出ないGMという職業を題材に安い感動に逃げない骨太さが素晴らしい。 パッケージから連想される感動作を期待すると最初地味に感じるかもしれないが、リアリズムに裏打ちされた音楽に頼らない本物の興奮にいつしか引き込まれる傑作! 野球に限らずビジネスシーンで奮闘する全ての人に勇気を与える映画だ(俺も勇気づけられましたw)。
「アントマン」:当たりもハズレもあるマーベルヒーローものの中でも、俺的には「アイアンマン」と並ぶ屈指の当たり映画。 とにかく愉快、明快、痛快、爽快とバランス良く揃った良質のエンターテインメントで、「ショーン・オブ・ザ・デッド」「ホット・ファズ」のエドガー・ライトが脚本に関わっている事にも一因があるのかもしれない。 人の良い前科者のダメ親父が良い父親になるために、これまたダメな仲間と世界を救うために奮闘する、みたいなプロットに感情移入しないワケにはいかないっしょ!(笑) 展開もいたずらにシリアスにならず、細かい仕掛けで飽きさせず、時にはホロッとさせながら、ちゃんと最後までハラハラドキドキさせる演出は見事です! 傑作です!
「さよなら人類」:一昔前のセゾングループ的センスというか、ブンカムラ単館系というか・・うーん、よくわかんないけどシャレオツな感じですか・・。 なんとなくアートで、なんとなくユーモアのある感じは若い人達には新鮮かも知れないけど、正直自分的に目新しいモンでは無かったです。
「ジェラシック・ワールド」:正直それほど期待してなかったし、「ジェラシック・パーク」とどう違うのよ?くらいな気持ちで観たのだが、キャラクター、演出ともに丁寧で、細部まで練られたアイデアが効いてて最後まで全然飽きずに楽しめました。 最近のハリウッドブロックバスター映画は、特撮で押し切ってた一昔前に較べてドラマのレベルが格段に上がってる気がします。 使い古されたプロットでもキャラクターとアイデア次第でいくらでも使い回せる好例だと思う!
「ドローン・オブ・ウォー」:タイトルの通り遠隔操作によって安全なアメリカ本国からアフガン空爆を行う「飛べないパイロット」の苦悩を描く異色戦争映画。 「戦争」というそもそもが非人道的環境において直接戦闘に参加出来ない「卑怯さ」で道義的に悩む主人公に感情移入するのは日本人の俺には難しく、最初からある程度予想のつくそのプロットから最後まで抜け出せないのは正直観ててツラかった。 上官が主人公と「やるせなさ」を共有しているのもかえって救いがなく、ココはむしろ対立構図を作ってくれた方がまだドラマ的になんらかのカタルシスが作れたかもしれない。 リアルっちゃあリアルなのだが、この重苦しい感じが「反戦メッセージ」なのかと問われれば、それはちょっと違うような気もします。 

「最近観た・・」 

March 02 [Wed], 2016, 17:12
映画をショートコメントで。
「イミテーションゲーム」:天才の生涯は得てしてドラマチックである。 普通でないから天才なのであり、天才だから偉業を成すが、そこには天才ゆえの独善と孤独がありその事に我々凡人は強く惹き付けられる。 人工知能の論理的基礎を作った数学者・論理学者のアラン・チューリングを描いたこの映画には、その強烈なキャラクター性だけではなく、かの有名なドイツの暗号機エニグマ対チューリング(とそのチーム)、秘めたる同性愛と妻との友情のドラマといった、これが実話なのかと驚くほどのてんこ盛りホームラン級プロットが実に手際良く詰め込まれており、一瞬たりとも目が放せないシーンに満ち満ちている。 チューリングのエキセントリックさには「ソーシャルネットワーク」のザッカーバーグに通じる好奇心を感じるが、戦時下の緊張感とあまりに哀しいエピローグでは好奇心を越えてこの天才の生涯に深い敬意と同情を感じずにはおれない。 題材と演出が最高級の融合を見せる、歴史ドラマの傑作です!
「ターボキッド」:く、くだらなすぎる・・が、愛さずにはいられない!(笑) マッドマックス的黙示録世界をチャリンコで疾走するヒーロー・・どいつもこいつもチャリンコゆえのスピード感の無さと間抜けさ(笑) イカれたヒロインを筆頭に(主人公以外)誰一人まともじゃない世界で、80年代風チープシンセミュージックに乗って繰り広げられるスカムなバトル! なのに最後何故か感動してしまうのはアップルちゃんのあまりに不思議ピュアな純情ゆえか・・気楽に観るには少々エグイが、そこが笑えればもしかしてお気に入りの一本になるかもしれないチープ&おバカな映画です。 もちろん俺はお気に入り!
「デイブレイカー」:人口の9割がヴァンパイアになった未来、血液不足が社会問題化。 アイデアは秀逸だが、キャラクターに少々感情移入しづらい。 プロットは整合性も高く破綻もないが、ストーリーのたたみ方がやや唐突。 イーサン・ホークの演技も良かったし(エグみも含めて)雰囲気も悪くなかったのだが、もう少しストレンジでパワフルな映画にしても良かったんじゃないかな。 惜しい。
「インサイド・ヘッド」:人間の頭の中の「感情」がメインのかなりシュールな設定だが、感情達が操作するのが11歳の少女の多感な時期という設定が上手い。 ヨロコビやカナシミといった「感情」達のキャラ達も活き活きとして充分感情移入出来るし、冒険できるような頭の中の仕組みもよく練られていて楽しい。 まるでスティーヴン・キングが考えそうな、こんな変な設定のプロットを誰もが感動できるドラマに仕立て上げる手腕がすごい! 感動しました。 ビンボンのくだりはもちろん・・泣いたよ!

「フラットライナーズレコーディング」 

February 16 [Tue], 2016, 20:41
2012年に1stアルバム「不運な人」をリリースしてからはや4年・・いよいよフラットライナーズ2枚目CDへ向けたレコーディングがスタートしました!
前回は東京は高井戸のスタジオで、エンジニアに柏井日向さんをお迎えして録音したのですが、今回のレコーディングはなんと奈良! エンジニアもACOさんやトクマルシューゴさんのサポートメンバーであり、録音ではロストエイジさんの超絶かっこいい音源が話題となった岩谷啓士郎さんです。 実は岩谷さんはイノスケとは「golfer」というバンドで一緒だった御縁もあり、イソネエの「sweetsunshine」のエンジニアもしていただいた旧知の間柄でもあるんです。 岩谷さんの御紹介していただいた場所は奈良某所にあるスタジオ「モーグ」。 一戸建てをまるまるスタジオに改造、中も見るからにヤバい感じ(笑)のヴィンテージ機材満載で、メンバーも大興奮。 イカしたサウンドに期待がふくらみます!
一日目、ドラムのセッティングを自ら行うイソネエ、フラットのバンドとしての成長が感じられます(笑) とは言え久しぶりのレコーディングにボツテイク出たりして、まずはお昼。 2階の豪奢なテーブル(激ロココ調)でスーパーの焼きそばやらいなりやらを食し、緊張もほぐれて午後から快調に飛ばします。 柏井さんの時も思ったけど一流のエンジニアの人は、まず仕事が早い! そして安心感! スーパードクターK(岩谷さん)のメスさばきにメンバーただただ見とれるだけのアホ面でした(笑) 一日目トラック5曲というハイペースで、夜は岩谷さん行きつけのおでん屋「竹の館」で打ち上げ! なぜかとてつもなく薄暗い(笑)店内でおでんの闇鍋状態を堪能、めちゃくちゃうまかったです!
二日目、風邪から秒単位で回復中の俺、ついに歌入れに突入! 岩谷さん曰く、だいたい平均すると録音は一日3曲くらいが普通なのに対し、一日半でトラック10曲録るフラットライナーズ(笑)に驚かれてました。 なんだかごっついマイクを前に歌い続けた俺・・疲れたよ・・その後メンバーのコーラスも入れて、なんとかセカンドの全貌が見えてきました!

あのね、岩谷さんのおかげもあってセカンドCDはヤバいの出来そうだよ! マジで! 音楽性はなんら変わってない(変われない)俺達ですが、ポップでロックなアツいヤツが出来そうです! そこんとこは期待していただいて大丈夫です!

てなワケで来月には歌入れ二回目でもう一度奈良へ、その後ジャケやらなにやら作って出来るだけ早く皆さんの元へお届けしたいと思っております。 全国でリリース予定なのでお楽しみに! よろしくお願いしまっす!

「最近観た・・」 

January 24 [Sun], 2016, 12:58
書くヒマなくてたまってた映画をシュートコメントで。
「フォックス・キャッチャー」:ヂュポン財閥で知られるジョン・ヂュポンの実際にあったレスリングコーチ射殺事件のドラマ化。 アクションでもなく謎解きでもなく、ただただ不穏なムードがジワジワ緊張感を盛り上げるサスペンス。 強大な権力を持つ人間が静かに壊れていく過程に巻き込まれていくレスリング選手の兄弟が悲しい。 荒涼とした演出に人間の不条理とエゴが浮き彫りになっていくドラマに目が離せなくなる。 傑作!
「ウォーリアー」:格闘技のプロットは試合そのものより「誰が、なんのために闘うか」が重要。 この映画もまたシンプルな格闘技映画のプロットながら、登場人物親子3人のドラマが深く滋味深い。 「マッドマックス」のトム・ハーディがカッコ良すぎて泣ける! 傑作!
「セッション」:音楽学校を舞台にした壮絶な師弟ドラマ。 尊大で暴力的な講師を演じたJ・K・シモンズが素晴らしく、下手なホラーより怖かった(笑)。 芸事の道では美大に通じる部分も多々あり、余計に感情移入したせいかもしれん。 かといって「ガラスの仮面」的成長譚ではなく、安易な成長や和解に結着する事なく明快な「結論」を避けた点がかえって深く心に残る映画となった。 傑作だよ!
「ターミネーター新起動/ジェニシス」:言わずと知れた「ターミネーター」リブート企画だが、名作「1」「2」のいいとこ取りにもかかわらずいっこも興奮しないのは何故!? 既視感しか残らない駄作。
「海街diary」:吉田秋生先生同名マンガ原作の映画化。 傑作である原作にかなり忠実な印象で、キャスティングもイメージ通りで素晴らしい! 多少セリフの芝居っけが気になりはしたが、丁寧な人物描写と美しい鎌倉の背景に感動する事請け合い。 コクのある人間ドラマを美しい背景がやさしく包んでいました。 原作を読んで欲しいっす!
「百円の恋」:「海街」と反対に地を這うようなビターな青春映画。 主演安藤サクラは素晴らしすぎで、その容赦ない(笑)ダメ女ぶりに前半イライラするのは間違いない。 しかし映画には全編通じて場末のダメ人間への愛が通低しており、コンビニの残り物を漁るオバちゃんと一子との別れのシーンは思わず泣けてしまった。 本当にダメな奴と愛嬌のあるダメな奴の描き分けが完璧で、だからこそ説教臭くならずにクライマックスの試合では大いに盛り上がるのだ! 傑作!
「キングスマン」:「キッスアス」監督の新シリーズ誕生か? 旧き良きスパイ映画のエッセンス「紳士」をベースにハチャメチャやるアイデアは上手く、痛快! 相変わらずマンガみたいなキャラクターと展開だが、「キックアス」に較べるともう一つキャラへの踏み込みが足りない感じがした・・そこが惜しい。 教会での立ち回りシーンは最高です!

「最近観た・・」 

December 20 [Sun], 2015, 13:06
映画をショートコメントで。
「マッドマックス・怒りのデスロード」:あっという間の2時間、行って帰って来るだけの話なのに(笑)よく練られたシーン構成と息もつけないくらいのアクションで全く飽きない。 コンセプトは傑作「マッドマックス2」(1985)とほぼ同様だが、より善悪の境界が曖昧になって、人間の生存本能に絞られた演出がシンプルながらいろいろ考えさせられる。 出て来る人物もセリフに頼らず末端に至るまで激しくキャラ立ちしており、特にほとんど喋らないマックス役トム・ハーディの存在感がカッコいい! 特筆すべきはウォー・ボーイズの潔いまでの生死観で、一応敵側なんだけど黙示録的世界における彼らの生き様に強く惹き付けられた。 やっぱり大画面で観たかったっす! 傑作! V8!
「メイズランナー」:「キューブ」的SF感と「蠅の王」的サバイバルドラマ。 中盤までの謎が謎を呼ぶ展開にワクワクする。 クライマックス以降の大味感と「メイズ」自体の怖さが今ひとつだったのは不満だが、完全な十代向けのエロっ気、エグ味無しな健全仕様は懐かしいジュブナイルSF風でかえって新鮮でした。 まあ、出来れば続きでなく今作中にすっきり謎は回収して欲しかったです・・
「ゼロの未来」:テリー・ギリアム監督「未来世紀ブラジル」(1985)「12モンキーズ」(1996)以来久しぶりのガチSF。 スケールは小粒ながら皮肉に満ちた独特の未来描写は健在。 ただストーリーがよくわかんないのと、ほとんど室内劇なのでやや退屈。 キャストも魅力的で演技も素晴らしいのだが、話の中核である「ゼロの定理」がわからなすぎてツラくなってくる・・コミュ障の主人公コーエンとバーチャルコールガール(?)のペインズリーとのラブストーリーだけ追うと結構感動的なのに・・「ブラジル」では先鋭的だった独特のガジェット描写もネットを題材にしてる時点で古さは避けられず、なんとなく期待倒れだった映画でした・・(まあしょうがないよねw)
「ブラックハット」:大好きなマイケル・マン監督最新作という事でこちらも過大な期待をしすぎた映画。 なんかこう、しびれる部分と興ざめする部分が混在する感じで、犯罪者のプロフェッショナリズムと孤高のダンディズムを描かせたらピカイチのマン監督でもネット犯罪者「ハッカー」は無理があったかも。 特に冒頭のCGによるハッキング描写はダサすぎるよ(笑)。 主人公もハッカーにしてはフィジカル面でも万能すぎるし、原発テロに関しても日本人の俺からするとあまりに乱暴すぎるプロット。 ただそれ以外の描写や渋いキャラクター、容赦ない展開はワクワクしたし、相変わらず射撃シーンは素晴らしい! 要するに題材が「ハッカー」じゃなかったら文句無しだったような・・・気がする。

「エンターテインメントメディアに接近する美大」 

November 08 [Sun], 2015, 17:53
かつて美大と言えば、就職へのレールを敷く総合大学と違い、わけの分からない人がなにやら凄い事をする環境という印象だった。 その後バブルを経て若者の価値観が金から生き甲斐にスライドするにつれ、カッコいい響きがある横文字職業が人気となり、どこの美大もその主力をファイン系からデザイン系にシフトした。 一方で美大にグラフィックデザイン等の領域を喰われつつある専門学校は、その矛先を早くからエンターテインメントメディアに向け、アニメーターやマンガ家を養成するカリキュラムを開始する。 それでも最初の頃は美大と専門学校の間には棲み分けがあり、美大にはまだまだ「アート」「大学」というステイタスに依った気取りがあってマンガやアニメ、ゲームといったエンターテインメントメディアは扱うに価しないジャンルという見方があったからに違いない。 だが時は流れ、ここ数年の美大の傾向はまさにこのマンガやアニメ、ゲームといったエンターテインメントメディアに急接近しており、なりふり構わない学生数の確保に躍起になっている状況が続いている。 その裏には予測をはるかに越える爆発的なオタクカルチャーの拡大と産業化があり、その洗礼を受けて育った受験者層の一部が進路としてその世界を目指すようになった事情がある。 
逆に今まで全く「アート」や「大学教育」と無縁の領域に生きてきた自分にとって、昨今の美大のあり方はいまだに困惑する。 エンターテインメントメディアというのは実は「結果」が全ての世界であり、そこには「アート」の免罪符も「格付け」も通用しない実力だけが物言うビジネスフィールドである。 お金の流通こそがイノベーションの原動力であり、新しいアイデアや表現も、市場の支持を得られなければ存在を許されない人気商売である。 もちろん研究や修練も必要だが、その先に待っているのは「個人の表現の探求」でも「オシャレなライフスタイル」でもなく、ひたすら「やりたい事で稼ぐ」事への挑戦なのだ。 
そのようなジャンルを大学に取り込むにあたっては、言い訳のように「マンガ表現の可能性」や「マンガ文化の研究」をお題目として唱え、その実かつての美大の「格付け」意識から脱却できないようではおそらく駄目だろう。 そもそもエンターテインメントメディアと大学のアカデミックな意識とは喰い合わせが悪いのであり、思い切った価値観の転換を実行する覚悟がなければ先細りする事は目に見えている。 ではそんな美大という環境のメリットを最大限活かして、お題目や言い訳に終始しない実質的で誠実な教育のあり方とは何なのだろう? 自分が考えるその答えは、エンターテインメントメディアが速攻必要とする「結果」をシミュレーション出来るモラトリアムであり、即時に結果をジャッジされない創作時間を4年間担保できる自由な環境であり、やがてそこから生まれた表現が業界をイノベートするという「結果」が出せたなら、それこそが美大の力と言えるのではないかと思うのだ。

「最近観た・・」 

October 18 [Sun], 2015, 16:06
映画をショートコメントで。
「チャッピー」:ブロムカンプ監督最新作。「エリジウム」で風呂敷広げすぎたブロムカンプだが、今作はほどよいスケールで持ち味を存分に発揮する快作となった。 まるで感動作テイストな宣伝だったが、本編はバイオレンス満載の突っ込み所満載でけっこう笑えるシーンも多々あり、俺的には嬉しい予想外でした。 主演のギャングスタ役はダイ・アントワードという実在のHIPHOPユニットらしく、こいつらの(顔も含めた)存在感がチャッピーを喰うほど強烈。 ロボットのアテ演技した常連シャールト・コプリーも最高で、自我に目覚めたロボットと言えば無垢な演技という定番を大きく逸脱するスラップスティックなノリが、かえって生命感を感じさせて感動的。 モラル的に正しい人物が1人も出て来ないのも痛快で、言うまでもなく今作のガジェットのディテールデザインも素晴らしい! こうでなくっちゃ!
「インヒアレント・ヴァイス」:難解で有名なトマス・ピンチョンの小説を天才ポール・トーマス・アンダースン監督が映画化。 1970年代のロサンゼルスを舞台にヒッピーで探偵のドクが謎めいた事件に巻き込まれるストーリーだが、なにしろ主人公が常にラリッてるもんで論理的な推理などなく、あらすじはナレーションで進めるという反則ぶり(笑) もちろんそうした構成は折り込み済みであり、本編の真髄はマリファナの煙の向こう側にチラチラする、愛と自由に関する難解な寓話なのだと思う。 チャンドラーの「長いお別れ」を70年代風俗に翻訳したアルトマンの「ロング・グッドバイ」を思い出すが、あらすじを放棄するようなドタバタ展開の中のイメージには、妙に心に残る深遠さを孕んでいるようでもある。 要するに、よくわからないが、ちょっとカッコいいのである(笑)
「バードマン」:難解な映画が続きます(笑) ブロムカンプ、ポール・トーマス・アンダースンに続いて俺注目の天才監督アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ最新作。 「アモーレス・ペロス」「21g」「ビューティフル」がお気に入り(「バベル」は俺的には今一つ・・)だが、本作はちょっとそうした作風と毛色が違った笑えないコメディ! 実名でブロックバスター映画をこき下ろすアンチハリウッド的ドタバタ展開だが、徐々ににピュアな創造性への讃歌へシフトするメタストーリーにもなっており、結局のところ役者、舞台、映画は素晴らしいと思わざる得ない。 主演のマイケル・キートンはもちろん、脇役も完璧、流れるような切れ目ない撮影も奇跡的で、キワドい内容を凌駕する素晴らしいクオリティ! ラストも陳腐になりそうなところをナナメ上に行くイメージで、イニャリトゥ監督らしい。 考えようによっちゃ、大変ロマンティックな映画でもある。
「RE・KILL」:最後は頭をあんまり使わないB級丸出しなゾンビアクション映画。 本編は劇中の潜入犯罪24時系テレビ番組という思い切った構成で、ブラックなCMを挟むのは「ロボコップ」以来のお約束。 ロメロ作品のような社会性も「28日後」のようなスピード感も「ショーン・オブ・ザ・デッド」のようなユーモアもなく、ひたすら真っ当なB級感で突っ走る。 なんとなく80〜90年代に大量に作られたゾンビ映画の風情もあり、特におもしろくもないが、嫌いでもない(笑) たぶん作る側が、予算とスケールで出来る事とこの手の映画に観客が望む事をキッチリわきまえた作りだからなんだと思う。
P R
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