結婚式の打ち合わせで次回の日程をメモすることだって、書くまではがんばっているのに、結局その後に失くしてしまうんだから、

December 11 [Thu], 2014, 13:54

前回は大人のADHDの特徴「夕食作りがプレッシャーになって仕方がないこと」との関連について検討しました。今回は「結婚準備編」です。

毎回くどいのですが、ADHDの3つの特徴の復習です。

注意の持続困難
集中し続けることが難しい。すぐに他に気がそれてしまうので、ひとつのことをやり遂げるのが難しい。多動性
じっとしていられない。疲れるほど活動してしまう。衝動性
思いつきやその場の感情でぱっと動いてしまう。計画立てることが苦手。


これらの特徴が、日々の困りごとと具体的にどのように関連しているかを明らかにすることで、自分のことがよく理解できるのです。

さて、ミナミさんの4番目のエピソードは「結婚準備編」でした。

ミナミさんのエピソードその4(結婚準備編)

また、これは昔からのことですが、ミナミさんは細かい作業や配慮が苦手です。彼とふたりで結婚式の準備を進めているのですが、両家の意見をすり合わせることや、物事を期日どおりに進めること、ウェディングプランナーとの打ち合わせの日時を覚えておいてそれまでにきっちりと準備を進めておくことなど、すべてがストレスでした。

ある時、結婚式場での打ち合わせの日に間違って仕事を入れて、彼を怒らせてしまいました。またある時には、誰にも相談しないまま引き出物を勝手に決めてしまったこともありました。こうしたことが積み重なって彼との喧嘩は増えていき、そのたびにミナミさんは自分にがっかりしました。


「結婚式準備で、喧嘩になってしまうカップルが多い」とは、よく聞く話です。ミナミさんの場合もそれに当てはまるのでしょうか。

ミナミさんはこう思っていました。

ミナミ 「今回の結婚準備に限らず、私っていっつもそう。なぜかよくわからないけど相手を怒らせてしまうのよね、昔から……」


そうです。今回に限らず今までも同様のパターンで、ミナミさんは人間関係が長続きしませんでした。

しかも悲しいことに、ミナミさんにはその理由がいつもよくわかりません。気付くと相手を怒らせてしまっていたり、相手にすごくがっかりされていたりするのです。

ミナミさんはとても人当たりがよく、愛敬のある性格です。明るい方ですし、初対面の人ともわりときさくに話せるタイプなのです。出会って最初のうちは、どこでも誰とでもわりとうまくやることができます。しかし付き合いが長くなり始めると、なぜかいつもうまくいかなくなります。

学生時代もそうでした。大学生の時、もっと仲良くなりたいと思っていた女友達数名から、だんだん距離を置かれてしまったことがありました。

最初は仲のよいグループだったはずなのに、気づけば自分の発言に対するみんなの反応がいまいちであったり、話がかみあわなかったりするかんじがしばしばありました。そのグループでミナミさんだけが知らないという話もたくさんあったようです。ミナミさんは漠然と「浮いてる」と感じていました。

また、他の女友達からある日突然冷たくされて、メールの返信がこなくなったこともありました。ミナミさんは「私が何か悪いことをして怒らせてしまったんだ」と思ったものの、怖くて理由が聞けませんでした。それきり、縁は切れたままです。

そんな状況は、就職してからも続きます。よくしてくれていた人、飲みに誘ってくれていた人たちが、ふと気付くと離れていっており、自分だけが飲み会に誘われていない、ということがよくありました。

そんな時、ミナミさんは「自分だけ誘われていないのは、やっぱり私がたいした奴じゃないってみんなにバレてしまったからなんだ」と考え、落ち込んでいました。

人間関係が終わる理由はさまざまですし、その本当の理由は多くの場合、確かめようもないものです。そのため、人間関係は誰にとっても頭の痛い永遠のテーマだと言えるでしょう。

特にミナミさんにとっては、とてつもなく大変なテーマのようです。というのも、

これまでの人間関係の破綻を、すべて自分のせいだと思って自分を責めている

だけでなく、

人間関係の破綻した理由について、皆目見当がつかない

そのため、

原因について改善することもできず、もしかしたら似た失敗を繰り返しているのかもしれない

さらには、

たび重なる失敗から自尊心が低くなり、自分を責めてなくてもよい場面や、相手から誤解を受けている場面においてもすべて「自分のせい」と決めつけてしまい、相手に弁解するチャンスを逃している

という、悲しい悪循環をたどっているのです。

過去の人間関係の終わり方の真の理由は、今となってはわかりませんが、こうした

相手を怒らせてしまうその原因についてはよくわからない自信を失っている

というのは、ADHDの特徴を持つ人に多くみられることです。

今回の結婚準備では、ミナミさんのどんな特徴がつまずきにつながっていたのでしょうか。

結婚準備に関して、ミナミさんがいちばん「しんどい」と思っていたのは、彼と相談して共同で決めていかねばならない、ということでした。式場でも引き出物でも何でも、「自分の気持ちだけですぐには決められない」状況。これは「思い立ったらすぐ行動!(=衝動性)」という特徴とのミスマッチを起こしています。

結婚式の準備では、彼だけでなく両家の意見をすり合わせる必要があります。そのため、ひとつの物事を決めるのに手間も時間もかかります。それをただ待つ、ということであれば、ミナミさんにとってそんなに苦ではありません。

しかし、問題になったのは「自覚がないまま衝動的になっている時」があったことです。引き出物を選ぶ時が、まさにそうでした。

ミナミさんは、頭では“ちゃんと彼と相談してから決めなくてはだめ”とわかっているつもりでした。しかし、プランナーにある商品を勧められたとき、ミナミさんは一目でそれが気に入りました。これしかない、と思いました。一人で打ち合わせに来ていたミナミさんは、結局その場で勝手にすべての引き出物を決めてしまいました。

これがまずいことだと気付いたのは、帰宅して興奮しながら彼にこう話した時でした。

ミナミ 「今日の打ち合わせでね。すごーくいい引き出物があったのよ!」


この言葉を言いながら、ミナミさんははっとしました。

ミナミ 「いけない……私、また一人で決めちゃった……」


実はこのパターンの失敗は、結婚式の形式やおよその参加人数を決めるときなど、他にもいろんな場面で繰り返されました。そのたびにミナミさんは「そうだった……なんで気付かなかったんだろう」と、自分に愕然としたのです。

気分が盛り上がったり、些細なことは気にせず先に進めたいと思ったりした時、ミナミさんは自分だけでさっさと判断していました。とても衝動的になっていたといえます。本当はそんな時、「ちょっと待てよ」と用心深く立ち止まればよかったはずで、ミナミさん自身もずいぶんそれを心がけていたのですが、残念ながらすべてにおいてというわけにはいきませんでした。

また、物事を期日どおりに進めることや、ウェディングプランナーとの打ち合わせの日時を覚えておいて、それまでにきっちりと準備を進めておくことなどは、これまでも紹介した「締め切りに間に合わせることが苦手」であることが関係します。

「結婚式場との打ち合わせの日に仕事を入れてしまったこと」にも、ADHDの特徴が関係していました。ミナミさんは、打ち合わせの最後に告げられる「次回の日程」について、メモをとっていました。ここまでは素晴らしいのですが、問題はそのやり方でした。

次回の日程をミナミさんはいつも、ポケットやら財布やらに入っていたレシートか何かの裏紙にちょいちょいとメモします。そして、「なくさないように」と願いながら、それをまたコートのポケットやらバッグのポケットやら、とにかくどこかに収めるのです。

これまでもしょっちゅう物を失くしては探してばかりいるミナミさん。当然、そのメモは出てきません。万が一出てきたとしても、それをスケジュール帳に書き写すことはしません。当然、仕事中に思い出すことはできません。次回の打ち合わせの日に仕事の予定が入ってしまうのは、当然のなりゆきでした。

この一連の流れについては、「注意の持続困難」や「衝動性」がかかわっているようです。

この結婚準備編での失敗を振り返り、ミナミさんはあることに気付きました。

ミナミ 「私ってほんとに衝動的……。こうして振り返るとよくわかりました。好きなものにとびついてしまうなんて、子どもみたい。誰かと足並みそろえて一歩ずつ相談しながら……って昔から苦手でした。それには衝動性が関係していたんですね。

コツコツやるとか、計画的にとか、そういうのも昔からダメなんです。もしかしたら、これまでの人間関係もこのあたりが原因でダメになっていたのかもしれないですね。

女友達同士って、誕生日を覚えてたり、手紙やプレゼントを交換したり、そういうのしますよね。私はなかなかできなくて……。よく待ち合わせにも遅れるくらいだったし。

誰かとコツコツ細やかにつきあっていくのって、私にとっては難しいです。

結婚式の打ち合わせで次回の日程をメモすることだって、書くまではがんばっているのに、結局その後に失くしてしまうんだから、詰めが甘いというかなんというか……。

どうせなら、打ち合わせのことはすべてメモできるようなノートでも持ち歩くべきだったんじゃないかな。打ち合わせの全部の議題や、相談事項、次回の日程やそれまでにやっておくことなんかを全部メモしていけば、いくら気持ちが高まっても、書いている間に一息つくことができて、相談しなくてはいけないことを思い出せる気がします。それに、レシートなんかより大きくて失くさないし!」


ミナミさんは、自己理解だけでなく、対策まで考え出すことができるようになってきました。

次回以降は自己理解を踏まえて、対策のポイントをご紹介していきます。

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