夢の話。『Aggressor squadron−Changing everything again−【15】』

November 13 [Tue], 2012, 19:08
ドラゴンフライ。
蓮の国で正式名を付けられた、トンボ形の混虫。
通称ドラゴンフライ。
スズメバチを凌ぐ高速飛翔能力を持ち、横滑りや急旋回も自在にこなす。
大気を打つ四枚の羽は、その大きさに関わらずほぼ無音というのが恐ろしい。
空中格闘戦に優れ、後方から追い縋る敵有りと認めれば、ホバリングしてやり過ごす。
その後の急加速で一気に距離を詰め、易々と戦闘機を屠る。
集団で襲撃してくるスズメバチとは違い、彼らの群れは小さい。
しかし、水面スレスレを超高速で巡航するため、レでの発見は容易ではない。
今回の発見は、幾つかの偶然が重なった結果だと私は思う。
ラドガと私が乗る航空機は偵察戦闘機。
夜間に幽蛾を察知、撃墜することを主任務とし、地上からのレ波ではカバー出来ない場所で索敵を行ったりする。
小型高性能のレを装備し、コスモスの国スカイアイに匹敵するほどだ。
小型と言っても、単発の航空機には搭載できないような大きさ。
小型というのは、艦船や陸上基地に配備されているものに比べて、という意味もある。
蓮の国第一機動部隊の戦闘機隊を誘導した後、スズメバチとの戦闘を避けて低空で待機しようと提案したラドガが、偶然発見した。
工作員という任務柄勘というものが鋭い。
また、各部隊が収集したデータや他国の情報にも明るく、先入観を排した藷档l発想と対応ができる。
先のヘタレな発言も、相手を知っているせいかもしれない。
ハヤミの大戦艦射程遠距離やがぶつぶつと独り言を言う時は、何か決定打が構築されつつある前兆。
最近気付いた。
ワシと艦隊で二重測距弾着誘導。
これやなほら来た。
艦隊旗艦キイに連絡。
宛ては艦隊司令兼艦長のハヤミ。
コード、花火大会48T52R195。
発信者ナインテイル普段の口調ではない。
数回しか聞いたことがない、真剣な声音。
わかったわ電鍵を叩き、暗号を送る。
無線通話では、ミスが起こるかもしれないから。
それに、発信者の符号ナインテイルを使用する辺り、重要度が高い。
狐天が使用する特殊な符丁。
キイからナインテイル。
花火大会48T52R195了解。
指示を乞う早い。
同調確認。
撃て発射。
弾着まで〇分花火とは、対空砲弾の事。
でも大会ってサンドラ。
スカイアイ、それから近隣の全航空部隊に連絡頼むわ。
サンケット市付近にドラゴンフライ接近中。
低空に注意されたしってなぁ。
あ、ワシの部隊に集合掛けといてんかあ、戻った。
操縦任せたわ。
ワシ、これから大仕事。
結構責任重大なんやで慌てて銃座から飛び降り、操縦席に向かう。
銃座は操縦室の後上方にあるため、移動は早い。
中型爆撃機程の大きさがあるこの偵察戦闘機は、機内を立って歩ける程度には広い。
大戦艦級の大物やないと搭載できへん新兵器や。
射程は大体1000km、せやけど命中率はえらい悪いすれ違いながら疑問の目を向けると、ラドガはそわそわした口調で話始めた。
射程1000kmと言えば、対空ロケット弾のお化けのような奴だ。
普通は陸上基地で運用するような代物だが、大戦艦級ならば運用可能かもしれないとの理由でさっさと搭載されてしまった。
狐天の人々は、馬鹿なのか天才なのか判断に困る時がある。
そんでワシらの出番。
新兵器を無線誘導して、ドラゴンフライにぶつける。
タイミング間違えたら偉いこっちゃやで。
緊張するわ楽しそうに見えるのは、私の見間違いかしらあぁもう狭い。
サンドラ、胸引っ込めてやー。
通れんわっあんたもその尻尾引っ込めなさいよ九本も要らないでしょ振り挙げた拳は尻尾に遮られ、フカフカな感触が返ってきた。
ムリや。
キイからのロケットを目視、誘導開始。
サンドラの腕前、信じとるでっっ覚えてなさい揺らすな、傾けるなそして墜ちるな。
言いたい事は山ほどあるけれど、今は拗ねたフリをしておこう。
この空には、彼の戦友達が数多く居る。
私達の恩人だって居る。
その後ろには、彼らが命を捨ててでも守りたい家族や恋人が居る。
ラドガの伯父、オネガ。
その妻、雪虎のレイリ。
二人の娘であるリディア。
そしてラドガが憚らず相魔ニ呼び、身命を賭してまで外国へと送り出した存在。
元糟uコ、現戦闘機乗りのバルト。
大戦を終結に導き、世界同盟の一翼を担った若き撃墜王。
数奇な巡り会わせから黒豹族族長との親交を深め、今や世界公認の仲。
アレは計算外やったわ。
ティデルがやたら乗り気やったんは、言う意味やったんやなぁ。
オネガ伯父も大笑いしとったわ無言で無線誘導装置を操作するラドガ。
普段の彼も良いけれど、こんな表情も悪くないわね。
スカイアイから全部隊へ。
エリアにドラゴンフライ接近続々と入る情報。
サンケット市方面へ多数侵攻中赤熊隊、交戦開始焦り、不安。
黒豹族と岩狼族は、戦況に応じてエリアかサンケット市方面へ向けて出撃する手筈になっている。
烈風隊、残存17交代した部隊への心配。
あの、狐天の女性士官は烈風に乗っていたはず。
陣風隊、残存36精鋭と謳われた部隊が苦戦している。
世界大戦時、連合軍を震撼させ無敵艦隊と称される程だったのに。
統合本部より緊急警報新種襲来敵はドラゴンフライ高速にて低空侵入の模様ドラゴンフライとは何か飛行場全体がざわめき、新たな敵についての情報を求めて指揮所へ走る者も居る。
バルトなら何か知っているだろうけど、生憎と今はエリアで戦闘の真っ最中だ。
迎撃は別動の蓮の国戦闘機隊が交代したコスモスの国戦闘機部隊は、全機サンケット市防空へ回れ情報が少な過ぎる。
前線では何が起こっているんだろう。
バルトとオネガは無事なのだろうか。
統合本部より続報ドラゴンフライはトンボ形、スズメバチよりも優速と思われる警戒せよスズメバチ、オオスズメバチ、新種のドラゴンフライ。
心配していない、と言ったら嘘になる。
あたしの戦闘機も、バルトの戦闘機みたいに長い間飛べたら戦闘機隊接近整備班待機損傷機有り確認できる機影は6。
あたし達の帰還を援護してくれた蓮の国の戦闘機隊は陣風2、烈風3。
リディアとレイリ、テランとウルフェンで4機。
総勢9機なのに、3機足りない。
損傷機から先に降ろす彼女は重傷だ、助けてやってくれテランの声だ。
彼女重傷胸が苦しい。
一体、誰が着陸路へ侵入してくる機影。
全身を黒く塗装しているらしく、国籍マークや部隊番号すら見えない。
おかしいなあんな機なんて居なかったっドッガリガリガリガリガリガリ倒れ込むような胴体着陸。
固唾を呑んで見守る人々が、ざわめく。
黒い塗装に見えたのは、焼け焦げた痕。
翼や胴体が、ただの金属片となって辺りに散乱していく。
皆が走り出す。
誰が最初かなんて解らない。
着陸を確認した5機は、隣の滑走路へと降りていく。
レイリとリディア、テランとウルフェン。
それと、一機の陣風。
大丈っ一番乗りを果たしたあたしは、直ぐさま操縦席へと飛び上がった。
少し焦げ色が着いてしまっているけれど、この金色の髪は、あの狐天の女性士官だ。
夫力無く握る操縦桿。
光を反射しない瞳。
滴り落ちる赤い血。
僅かに上下する胸。
大きな戦闘機に、かさ上げした座席に座る少女。
多分、あたしより若い。
、あたしを見上げながら、何かを呟いている。
操縦桿に手が張り付いてしまったのか、微かにしか動かせない。
なに操縦席に潜り込むようにして、彼女の口元に耳を寄せる。
蓮の国の言語は、バルトやオネガ、リディアやレイリのお陰で完璧に使えるようになった。
か、さまわかる。
とても伝わる。
かぁさまか、ぁっ痛い。
心臓が握り潰されているように苦しい。
っ操縦桿を握った手とは別の手で、ポケットから巾着袋を取り出そうとしている。
震えながら涙を流し、訴えるような瞳で。
わかった必ず冷たい手を両手で包みながら、巾着袋を受け取る。
イゼさ色が失せていく微笑み。
膝に落ちる手の平。
ぅ、っ彼女に、掛ける言葉が、見つからない。
どうしていいか、わからない。
彼女は、追い付いて来た仲間達の手によって、直ぐに機体から助け出さた。
搬送車によって、リィナの特設野戦病院へと向かって行った。
誰も皆、何も話さない。
話せない。
口数少なに持ち場へと戻って行く皆は、何かを背負ったかのように緊張していた。
あたしも、自分の戦闘機の元へと向かう。
かぁさま全身に刻まれた傷のように、纏わり付いて来る。
死んで行く人々は、何人も見た。
だけど、母を呼びながら、縋り付くような瞳で息絶えて行く人を見るのは、初めてだった。
本来ならば、家庭というカカオトーク世界の中で幸福に生きているはずの子。
あの歳で、何故。
蓮の国第一機動部隊第二戦闘機隊所属、ドライゼ中尉であります背後からの声に振り返ると、頭から上半身にかけて包帯ぐるぐる巻きの、初老の男性士官が立っていた。
血に濡れた軍服を肩に羽織り、包帯から滲み出る血をそのままに、紅腕を振り挙げて敬礼している。
黒豹族族長、ティア反射的に答礼を返しながら、応じる。
階級を言い忘れてしまったが、ドライゼは気にしたそぶりを見せない。
より一層背筋を伸ばしながら、彼女の最期を看取られたと聞き、御礼を申し上げに参りました彼女と、その家族に代わって御礼申し上げます。
ありがとうございます獣人でも半獣でもない、バルトと同じタイプの人間。
群青色の瞳からは、様々な感情が滲み出て来ている。
きっとこの人も、数々の戦場を渡り歩いた歴戦の勇士だろう。
これも、渡されて。
お国の御家族へ差し出した巾着袋。
金糸銀糸の美しい刺繍が施されており、汚れの一つも見当たらない。
ドライゼは一瞬息を呑むと、目尻に皺を寄せながら、少し寂しそうに微笑んだ。
祖国海瑞社のお守り。
それは、ティア族長殿に対する御礼でしょう。
私の国の言葉で形見といいます形見を家族に、母に渡して貰いたかったのか。
でも、平時の世ならともかく、今は蓮の国へと渡る事は不可能に近い。
あたしでは、彼女の御家族に渡す事が同じ国の人ならば、いつか祖国へ帰還するはず。
あたしよりも、渡せる時期は早いはずだ。
彼女の御一族は、あの町で全滅されました。
私は、防空戦に、参加、していたのです渡そうとした手は押し止められ、絞り出すような声で受け取れないと言う。
しかし、優先順位は考えるまでもない。
あの子、は、かぁさまとつい先程の光景が甦る。
強い想いと願い。
流れ込んできた情景は、彼女を守る祖霊が見せた、啓示。
祖父と孫娘のような二人。
はっ恐れる必要なんてない。
あなたが、気に病むことなんて最後に、ドライゼさんと触れ合った手から、様々な感情が流れ込んできたんだ。
っっ最近強まってきた、黒豹族特有の力を使う。
あの子の願いはあたしが。
だから、想いは、ドライゼ中尉が持つべきです責めてなんかいない、感謝しているとはっ見上げる程の巨漢が、肩を震わせている。
上手くいったかな彼女の名をゴァッと。
重ねて御礼申し上げます深々とお辞儀をして、野戦病院の方向へと去っていくドライゼ。
ドライゼもまた、その強さ故に様々なモを背負っている。
巾着袋を受け取ってから、序aな雰囲気が一変した。
生ある限り、戦い続ける生き残り続ける限り、背負い続けなければならないモ。
よく解らない感情が沸き上がっては、消える。
長く突き出た57mm機関砲の砲身を見上げながら、必死に堪える。
あなたの分まで、あたしは戦う。
着陸機の音と風が、綺麗な名前を運んで来た。
忘れないよ、シェラつづく
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