『私が語りはじめた彼は』読みました
2008.03.10 [Mon] 13:08

美しい文章、うまい文章、というのはこういうもののことを言うのだと、実感した。  文章自体美しく、そして、内容も痛みを伴った美しさ。  村川という男女関係に奔放な大学教授を核とした6つの短編集。  村川自体は直接登場することなく、彼の存在によって人生に影響を受けた人々の人生が描かれている。  その6つに共通するのが身体のどこかにあけられた穴。  美しくも痛ましい穴が、彼らの中に開いて、そしてそれを自覚しつつ彼らは生きていこうとする。  あるものは虚しく、あるものは強い意志の元に。  ラストにはとくにラストらしい終わり方。  最後はうまくきれいに終わらせてくれるあたりもとても良い。  それが、とってつけたような簡単なわざとらしい感じになっていないのも、この人は本当にうまい作家なんだなぁと思わせる。   すごい。作家って、そう簡単になれるもんじゃない、と、自分との才能の差を実感させられる。作品。