描写 

August 03 [Tue], 2010, 22:47
やることがなくなって、白濁した周りの風景にもう一人の私が現れる。

「もう終わると思う?」

宙にうかびながら静かに微笑んだ、

「あたしがいるじゃない」

その言葉にただ頷く

私たちはふたりっきりで、静かに終わるときだけをふわふわと待った。




だけど数時間たって

深い海の底へと、身体がずんずんずんずんしずんでいった。

耳に水がどこまでだってはいってきて、なんにも聞こえない。

目の外膜が少しずつぼやけてうまく映し出せない。

父の鬼のような形相も、母と弟のふぬけた面も。



お腹にもどんどんどんどん水が溜まる。

うまく口から吐き出せなくなってきた。

しびれた手足をばたつかせて身をよじる。なんにも出て来ない。

すごく苦しい。死にそう。死にたい。死にたい。死にたい。

こんなまんまじゃ死んでも死んでもなんかい死んでも

体がすこしも追いつけない。

どうすればなんとかなるのかぜんぜんわからない。

水びたしの脳みそで必死に考える。

手足のしびれがひどくなる。動けない。

だれもわたしのいうことなんか聞いてくれない。

頭がわれる。われる。われる。

耳鳴りがとまんない。

あ ーーーーーーーーーーーーーーー !







その時、母の声が切り裂いた。

発作を起こして台風みたいな音で呼吸するわたしの体を、

母はこれみよがしに自分の方へと抱き寄せた。



なんにもとめずに何年も見守ったくせに。おまえが死ね、

父はまだ頭にのぼった血をさげきれずに、

どうやったら母の言う通りにできるか

真っ赤な顔で憎む目を見開いて悩んでる。

あんたら本当の馬鹿か、






それから私は、

母と名乗る自分本位な女性にしばらく抱かれることで

手足からじわじわ感覚が戻り始めた。






わたしは他人のぬくもりを、それだけを、いつだって求めてたんだよ。

そんなことずっとわかってた。

だけどそれはわたしから頼めっこないじゃない? 察してよ! 



こんな女に支えられて救われるなんて、

なんだかわたしって、どこまでいっても、どんなに努力し続けても、

やっぱりひたすら無力なんだなあ。



はやく二十歳こないかな。

そしたら、きっと、ちゃんと死ねる。
プロフィール
  • プロフィール画像
  • アイコン画像 ニックネーム:evidence0731
読者になる
2010年08月
« 前の月  |  次の月 »
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31
最新記事