【一度目の入院】

August 07 [Fri], 2015, 2:59
妻であるまゆが病気であるという事実に辿り着くまでは長い時間がかかりました。


その引き金を引いたのは現在闘う病とは別の出来事でした。


ある日仕事中の僕にいつものようにヘラヘラと電話してきたまゆ。

『あのねー。今気持ち悪くて吐いたらね、真っ赤な鮮血だったから病院行ってくるねー』


まだ付き合ってもいなかった頃にまゆは十二指腸潰瘍で吐血して入院した事があったので正直2人とも事の重大さを把握していませんでした。


仕事が終わって様子を見に行くと

『まゆさんのご家族ですか!?先生からお話があるそうですので、こちらへお入りください』

と看護師さんに言われて少しだけ不穏な空気を感じました。


医師からの説明はまゆの十二指腸にはぽっかりと穴が開いていてかなりの出血量である事。

傷の周辺に内視鏡で直接止血剤を入れて、穴はクリップで止めてある事。

今少しでも出血すれば失血性ショック死しかねないほどギリギリの状態である事。


驚きや悲しみや、そんな感情は通り過ぎて頭が真っ白になりました。



内視鏡検査をしたのでまだ麻酔で眠っているまゆのところへ案内されると、白いとか青いとかそんなレベルではなく色のない妻が横たわっていました。


この時、結婚から3年目。
おいおい…こんないきなり置いていくのかよ…としんみりしていると突然麻酔の切れたまゆが目を見開きました。


覗き込む医師と看護師と僕。
彼女は全員の顔を見渡して開口一番

『帰りまーす

と元気に宣言しました


無理です。連れて帰れません。
結局渋々入院することになった妻が

『念のためにって思って玄関にあるバッグに必要なもの、詰めてあるから…』

とふて腐れ気味に言うので僕はそれを取りに自宅へ向かいました。



玄関には少し大きめの黒いバッグ。
一応中を確認すると…下着しか入ってないよ、まゆさん


タオルや色んな物を適当に詰め込んで持って行ったのですが、彼女がどんな入院生活を送るつもりだったのかは今もわかりません。
プロフィール
  • プロフィール画像
  • アイコン画像 ニックネーム:まゆ
読者になる
2015年08月
« 前の月  |  次の月 »
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31
最新コメント
ヤプミー!一覧
読者になる
P R
カテゴリアーカイブ
月別アーカイブ
http://yaplog.jp/everyday-wan/index1_0.rdf