毎日を奮闘していた

October 05 [Sat], 2013, 10:49
その事務員はこの職場に愛想をつかせて退職したらしい。
そんなことは知らない琴未は、たまたま求人雑誌で目にとまった

「あなたを求めています」
という文字にそのまま履歴書をもってやってきたのが3カ月前。
高井は「はい、採用」とだけ放って、明日からくるように言ったのだった。
琴未は、白い封筒に用意した履歴書を、あっけにとられながらも、
高井のデスクに置き、葬儀屋を後にした。
「こんな会社・・・」と思う気持ちと同時に、
なんだか、自分には合っているように思えてならなかった。

「社長、今日の4時に山本家のお通夜はいりましたので、準備にかかります」
という琴未の声に高井は何かを考えるかのように「5歳か・・・」
と窓の外を眺めてつぶやいた。

外は、午前中にもかかわらず、曇り空で薄気味悪い感を醸し出していた。
山本静香はさくらと2人暮らし。
シングルマザーとして仕事に育児にと毎日を奮闘していた。
静香には母親が一人、田舎にいた。
母、キクもまた静香を女で一つで育てあげたのだ。
静香の記憶には小さい赤ちゃんが母親の腕に抱かれていた記憶があるが、
物心ついた頃には、そんな存在はいなかった。
静香は自分の思い違いだろうと、気にも留めていなかった。
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